ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode219 闇空の城へ

エンダルゴを倒した翌日、ラダトームに戻って来てから8日目、俺は昼頃になって目覚める。

俺はせかいじゅの薬を使った後にほとんどダメージを受けなかったため、すっかり傷も癒えているが、ゆきのへたちはまだ完全に回復はしていなかった。

みんなはまだ休んでおり、俺もアレフとの戦いに体力を温存するため今日一日ゆっくり過ごそうと考えていた。

 

だが、そう思いながらラダトーム城の中を歩いていると、占いの間からムツヘタの大きな声が聞こえて来た。

 

「おお、ついに見つかったのじゃ…!雄也、いよいよじゃぞ!」

 

次の瞬間占いの間のとびらが勢いよく開かれ、中からムツヘタが出て来る。

ムツヘタは俺を見つけると、そう言いながら走って近づいてきた。

彼は徹夜で予言者の魔法台を使っていたようだが、ついにアレフの居場所を見つけることが出来たのだろうか。

 

「どうしたんだ、ムツヘタ?もしかして、アレフの居場所が見つかったのか?」

 

「そうなのじゃ!昨日の宴が終わってからずっと作業を続けて、今ちょうど奴の居場所を特定することが出来た」

 

徹夜で強化した魔法台を使っていたとは言え、まさか一日でアレフの居場所を特定出来るとはな。

これなら、魔物たちが勢力を取り戻し、エンダルゴが復活する前に奴にとどめをさすことが出来そうだ。

今まで手に入れた全ての武器や道具の力を使い、必ずアレフと決着をつけに行こう。

今のムツヘタの声を聞いて、休んでいるゆきのへとピリンも部屋から出てきた。

 

「今の話は聞いたぜ、雄也。アレフの奴とも、決着をつける時が来たのか…」

 

「また危険な戦いに行くんだったら、わたしにも見送らせて」

 

ピリンたちに続いて、ラスタンたちも俺とムツヘタのところに集まってくる。

今回もエンダルゴの時と同じで、みんなに見送られながらアレフとの戦いに行くことになりそうだな。

みんなの応援の声を心の支えにして、最後まで諦めずに戦い続けよう。

みんなが集まってくると、俺はムツヘタに奴の詳しい居場所を聞いた。

 

「みんなも集まって来てくれたか…俺たちが話していた通り、ムツヘタがついにアレフの居場所を見つけ出したらしい。詳しい居場所を聞いたら、すぐに戦いに行くつもりだ。ムツヘタ、アレフはどこにいるんだ?」

 

「かつてサンデルジュの砦があった場所の近くの高く険しい岩山…そのはるか上空に、奴の潜む場所があるようなのじゃ」

 

サンデルジュの岩山の上空か…それなら、まず旅のとびらでサンデルジュに向かい、そこから上空を目指せば良さそうだな。

空に向かうためには、以前ルビスを助けに行こうとした時と同じで、たくさんのブロックを積んでいこう。

 

「上空か…それなら、この前と同じでブロックを積んで行くしかないな」

 

「アレフがいるのはかつてひかりのたまがあった場所より高いところじゃ。かなりの数のブロックが必要になりそうじゃぞ」

 

ルビスを助けに行く時もかなりのブロックを使ったので、あれ以上となれば確かに用意するのは大変そうだな。

しかし、みんなで協力してブロックを集めれば、あまり時間がかからずにアレフのところに向かえるだろう。

そう思い、俺はみんなにブロックを集めるように指示を出した。

 

「それでも、みんなで協力したらすぐに集まると思うぞ。みんな、一緒にブロックを集めてくれるか?」

 

「もちろんだぜ、雄也。ブロックを集めたら、ワシらも一緒に戦いに向かうぜ」

 

俺の指示にみんなうなずき、ゆきのへはアレフとの戦いについて行きたいとも言う。

確かに今日も魔物の数は少ないままなので、奴らが襲撃してくる心配はないだろう。

しかし、ゆきのへたちは昨日の戦いからまだ完全に回復していないので、アレフとの戦いに行くのはとても危険なことだろう。

それにアレフはエンダルゴより小柄なので、多人数で向かうと大きな動きがしにくくなり、かえって戦い辛くなる可能性もある。

 

「いや、今日はみんなはここに残っていてくれ。みんなは昨日の傷からまだ回復してないし、アレフは人間とあまり変わらないくらいの大きさだから、大勢で行くとかえって苦戦するかもしれない」

 

「確かにそうかもしれねえけど…大丈夫なのか?」

 

ルビスをも殺したアレフに1人で立ち向かうのは、どんな装備があっても相当厳しいことだろう。

だが、ここまでの戦いを生き抜いて来た俺なら、必ず生きて帰って来ることが出来ると信じている。

 

「きっと大丈夫だ。必ずアレフを倒して、生きてラダトーム城に戻ってくるぞ。早く戦いに向かいたいし、ブロックを集め始めよう」

 

「そうか…なら、少しでもお前さんの役に立てるように、出来る限りのブロックを集めてやるぜ」

 

「私も力の限り剣を振るって、ブロックを集めてやろう。みんなも行くぞ」

 

自身の怪我やアレフの大きさを考えると、ゆきのへたちは無理について来ようとはしなかった。

その分も俺の役に立とうと、ゆきのへとラスタンはたくさんのブロックを集めに行く。

二人に続き、ラグナーダたちもブロックを集めに城の外へと向かっていった。

 

「俺も大砲を使って、その辺の灰色の土を集めてくるか」

 

俺も、みんなに任せきりにしておくわけにはいかない。

剣やハンマーを振り回して体力を消耗しないよう、俺はラダトーム城の前の六連砲台を使って灰色の土ブロックを集めていった。

俺が放った6つの赤魔の砲弾は着弾すると、大爆発を起こして広範囲の地面を砕いていく。

そうして砕かれた地面のところに向かい、俺はたくさんのブロックをポーチに入れていった。

 

「みんなもたくさん集めてるし、すぐにアレフのところに行けそうだな」

 

ゆきのへたちもそれぞれの武器を使って、ラダトーム城周辺の灰色の土を回収していく。

アレフのところに向かうには千個以上のブロックが必要になるかもしれないが、それだけ集めるのにもあまり時間はかからなかった。

莫大な数の灰色の土ブロックが手に入ると、みんなはラダトーム城の中に戻っていく。

俺も大砲で砕いた地面を回収し終えると、城の中に入っていった。

 

城の中に戻ってくると、さっそくゆきのへはみんなが集めたブロックを俺に渡してくる。

 

「そっちも集まったみてえだな、雄也。これがみんなが集めた土のブロックだ…受け取ってくれ」

 

「ありがとうな、ゆきのへ。これでついに、アレフと決着をつけに行けるぜ」

 

ルビスとひかりのたまが失われたためもう平和な世界が訪れることはないが、アレフを倒せば人間を危機に陥れるほどの存在は、ひとまずはいなくなる。

アレフガルド中のみんなのために、今度こそ必ず奴にとどめをさしてやろう。

感謝の言葉を言い、そろそろアレフと戦いにサンデルジュに向かおうと思っていると、ピリンも話しかけてきた。

 

「雄也、わたしからも渡したいものがあるの」

 

「どうしたんだ、ピリン?何か作ってきてくれたのか?」

 

アレフとの最後の戦いに向けて、ピリンも何か作ってくれたのだろうか。

だがそう思っていると、彼女は持ち運び式収納箱から、メルキドでよく食べた桃色の木の実を取り出した。

 

「これは…モモガキの実?」

 

「大変な戦いに行く前に、雄也が少しでも元気を出せるようにって思ったの。大したものじゃないけど、少しでも役に立ちたくて…」

 

モモガキの実は小さいため、腹はあまり満たされない。

しかし、とても美味しい果実なので、食べれば間違いなく元気が出るだろう。

大したものではないとピリンは言うが、厳しい戦いの前にこれをもらえて俺は嬉しいぜ。

 

「ピリンもありがとう。戦いの前に、これを食べて行くぜ」

 

「この用事が終わったら二人でピクニックに行って、またそこで一緒に食べようね」

 

俺はピリンに礼を言って、モモガキの実を受け取る。

そう言えば以前もピリンは、用事が全部終わったら二人でピクニックに行こうと言っていたな。

アレフを倒せば大きな用事は終わるし、行くのが今から楽しみだぜ。

そのためにも、今日も必ず生きてラダトーム城に戻って来よう。

ピリンからモモガキの実を受け取ると、俺はいよいよサンデルジュに向かおうとする。

 

「ああ、もちろんだ。…じゃあそろそろ、俺はアレフと戦いに行ってくる。必ず生きて戻って来るから、信じて待っていてくれ!」

 

みんなにそう言って、旅のとびらのある部屋へと向かっていった。

アレフとの戦いに向かう俺に向けて、みんな手を振って見送ってくれる。

 

「頑張ってね、雄也!」

 

「どんな強力な攻撃をして来ても、最後まで戦い続けるんだぜ!」

 

「お前の勝ちを確信して、宴の準備をしているぞ!」

 

間違いなく厳しい戦いになるが、みんな応援してくれていた。

これからもみんなと共にアレフガルドを作り続けていくために、必ずアレフと…世界を裏切った勇者との決着をつけてやろう。

俺はそう思いながら、緑色の旅のとびらを抜けてサンデルジュに向かっていった。

 

旅のとびらに入ると視界が一瞬真っ白になり、俺の身体はサンデルジュの地へと移動する。

サンデルジュに着くと、俺はすぐに砦があった場所に向かって歩いていった。

 

「砦の近くの山の上空に、アレフの居場所があるんだったな」

 

砦にブロックを積んで空中に向かっていけば、アレフの拠点の姿も見えて来るだろう。

森の近くを通って草原に出て、そこからサンデルジュ砦があった高台を目指していく。

ラダトームと同様、サンデルジュでも生息している魔物の数が非常に少なくなっていた。

 

「ここの魔物の数も減ってるし、早くたどり着けそうだぜ」

 

魔物の数が少ないならより進みやすい…俺はほしふるうでわの力も使って、砦の跡地に急いでいく。

しばらくしたらまた魔物の数が増えるだろうし、今日アレフとの戦いに行くことが出来て良かったな。

少数のブラックチャックなどはまだ生息していたが、それでも7分ほどで砦があった場所にたどり着くことが出来た。

 

「砦の跡地に着いたし、ここでブロックを積み上げて行こう…」

 

そこに着くと俺はポーチから次々にブロックを出して積み上げ、アレフのいる空を目指していく。

二百段ほど積むとサンデルジュの岩山の頂上にたどり着くが、まだアレフの拠点は見えて来ることはなかった。

そこでさらに俺はブロックを積んでいき、そのさらに上空を目指していく。

落ちたら死んでしまうので、俺は慎重にブロックを積み、少しずつ登っていった。

 

そして、ルビスを助けに行った時よりも多くのブロックを積み上げ、サンデルジュとそれを囲む岩山全体だけでなく、その周囲にある海までも広く見渡せるほどの高さまで来た時、俺の目の前に禍々しい気配を放つ城が見えてきた。

これがアレフの拠点で、奴はここからアレフガルド中に闇の力を振りまいているのだろう。

 

「あれがアレフの城か…ついに見えてきたな。早く中に入って、何としても倒してやろう」

 

エンダルゴの城よりは小さく、入ったらすぐにアレフのいる空間にたどり着くはずだ。

俺はさっきピリンから受け取ったモモガキの実を食べて、さらにブロックを置いてその城に近づいていく。

モモガキの実はやはりとても美味しく、身体中に元気が湧いて来ていた。

決戦の時が間近に迫っているが、もう恐れる気持ちは持っていない。

絶対に勝つという強い思いを持ち続け、俺はアレフの城へと入っていった。


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