ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode210 追い詰められた城

俺たちは六連砲台を使うために、ラダトーム城の方向へと走っていく。

走っている間にも、俺は残ったアサルトライフルの弾を、ルミーラは麻痺の矢を使って何体かのキースドラゴンやエビルトレントを倒していた。

 

「大砲だけじゃ倒しきれないから…少しでも数を減らしておかないとね」

 

「確かにな…俺も一緒に攻撃するぞ」

 

ルミーラの言う通りまだまだ敵は多く、大砲の攻撃範囲にも限度があるので、少しでも数を減らしていった方がいいだろう。

今までみんなと戦っていた魔物たちは、俺とルミーラの攻撃を受けて何体かが倒れていく。

ダースドラゴンたちやゴールデンドラゴンの変異体にも、少しのダメージを与えることが出来ていた。

しかし、ドラゴンたちと戦っている間に、俺の持っている弾は全てなくなってしまう。

 

「くそっ…まだまだ敵はいるのに、弾がなくなったな…」

 

「まだ矢は残ってるから、私が攻撃を続けるね」

 

たくさんはがねのライフル弾を作ったつもりだったが、まさか足りなくなるとはな。

だが、ルミーラは剣での攻撃が出来ないためか、俺のはがねのライフル弾よりも多くの麻痺の矢を用意している。

そのおかげで、俺がライフル弾を使いきった後も矢が尽きることなく攻撃し続けることが出来ていた。

ルミーラの攻撃で、キースドラゴンとエビルトレントたちは力尽きてほとんどが倒れていく。

しかし、それ以上の攻撃を続ける前に、ルミーラの矢もいよいよ尽きようとしていた。

 

「でも、わたしもそろそろ矢がなくなって来たみたいだね…まさか、足りなくなるとは思わなかった」

 

「今までありがとう、ルミーラ。後は、大砲で少しでも多くの魔物を倒せることを祈ろう」

 

どれだけ矢を用意していたにしても、今回は魔物の数が多すぎる。

逃げながら魔物を攻撃する方法がこれでなくなったので、今はラダトーム城の六連砲台で出来るだけ多くの魔物を倒せることを信じるしかないな。

俺は魔物の数を減らしてくれたルミーラに感謝すると、ラダトーム城へ急いでいった。

 

ラダトーム城が近づいて来ると、俺はポーチから赤魔の砲弾を取り出し、ゆきのへたちに声をかけながら大砲のところに向かう。

 

「そろそろラダトーム城だ…この前と同じで俺は右の大砲に弾を詰めるから、二人は左の大砲を頼んだぞ!」

 

「分かったぜ、雄也!」

 

「何としても大砲を撃って、魔物の群れを倒すぞ!」

 

3人で大砲の弾を詰めて、速やかに発射しないとな。

ゆっくり大砲の弾を詰めていたら、発射する前に魔物に砲台を壊されてしまうだろう。

俺は確実に大砲を放てるよう、ほしふるうでわの力を最大限に使って全速力で走り、大砲に弾を詰めていく。

弾を詰めている間も、魔物たちはどんどんラダトーム城に近づいて来ていた。

 

「何を使うかは分かりませんが、今さらどうしようとあなた達に勝ち目はありません!」

 

暗黒魔導は、大砲のところに来た俺たちに向けてそんなことを言う。

六連砲台が使われるのを見た魔物は今まで全員倒されているので、魔物側は砲台についてよく知らないみたいだな。

しかし、それでも強力な兵器であることは感じとったのか、呪文を唱えて破壊しようとする。

 

「その兵器もあなた達自身も、ここで焼き尽くしてみせましょう!」

 

暗黒魔導の動きを見て、俺たちは大砲の弾を詰める速度をさらに上げていった。

大砲の弾はかなりの重さではあるが、出来る限りの力を使って素早く持ち上げ、三連大砲の中に入れていく。

そして、ラスタンたちの協力もあって6つの赤魔の砲弾が入りきると、俺たちはすぐに発射スイッチを押して、砲台から離れた。

 

「なかなか厳しい戦いだったけど、これでどうだ!」

 

発射スイッチを押すと、大砲から6つの赤魔の砲弾が発射され、ちょうどゴールデンドラゴンの変異体がいるところに着弾し、巨大な爆発を起こす。

6つの爆発が重なり合うことで威力も範囲もすさまじい物となり、周囲にいたキースドラゴンやエビルトレント、ダースドラゴン、暗黒魔導にも絶大なダメージを与えた。

しかし、発射した少し後に、六連砲台に向かっても暗黒魔導のメラガイアーが叩きつけられる。

俺たちはかわすことは出来ていたが、六連砲台は壊されてもう一度使うことは出来なさそうになっていた。

 

六連砲台の炸裂により、多くのキースドラゴンやエビルトレント、ダースドラゴンが倒れていく。

だが、暗黒魔導やゴールデンドラゴンの変異体は弱っているものの生き残り、ゴールデンドラゴンなどは爆発の範囲外にいたのでダメージを受けていなかった。

 

「結構な魔物は倒せたけど、まだまだ多く残っているな…」

 

厳しい状況が逆転したとは、とてもじゃないが言えないだろう。

ゴールデンドラゴンの変異体はともかく、既に弱ってきていた暗黒魔導だけでも倒しておきたかった。

暗黒魔導は瀕死にまで追い詰められているものの、俺のところにメラゾーマの呪文を叩きつけて来る。

 

「さすがは人間、ここまで強力な兵器を持っているんですね…ですが先ほども言いましたが、何をしたところであなた達は滅びる運命なんです!」

 

俺はまたメラゾーマの呪文をかわしつつ、奴に向かって近づいていく。

暗黒魔導ももう追い詰められているので、もう少しで倒せるだろう…そう思いながら、両腕の武器を振り上げていった。

奴に近づくことが出来ると、俺は杖での攻撃を回避しながらビルダーズハンマーとふめつのつるぎを叩きつけていく。

 

「何とか近づけたし、このまま倒してやるぜ」

 

「ビルダー…まだ戦えるほどの力があったのですか…!」

 

杖での攻撃の後には僅かな隙が出来るので、俺はそこを逃さず確実に攻撃を叩き込んでいく。

暗黒魔導も傷だらけになっており、倒れる時は確実に近づいて来ていた。

だが、暗黒魔導を倒す前に、俺の体力にもいよいよ限界が訪れてしまう。

 

「しかし、その力強さも無駄なものでしょう。あなたは私に、仲間たちはダークメタリックドラゴンに殺されるのです!」

 

ラスタンとラグナーダも、ダークメタリックドラゴンと呼ばれたゴールデンドラゴンの変異体に苦戦していた。

奴は悠久の竜のような連続攻撃は行わないものの、広範囲の炎と両腕の爪から放たれる闇の刃で二人にいくつもの怪我を負わせている。

ゆきのへとバルダス、チョビは残ったダースドラゴンたちを倒していたが、そこにゴールデンドラゴンも襲いかかってくる。

戦い慣れた魔物ではあるが、先ほどの戦いで受けたダメージもあって、二人は危険な状態になっていた。

俺もついに暗黒魔導の攻撃をかわすことが出来なくなり、腹を殴られて倒れこんでしまう。

 

「くっ…ここまで戦い続けても、まだ倒しきれないか…!」

 

「私の勝ちみたいですね、ビルダー。とどめをさしてあげましょう!」

 

倒れた俺に向かって暗黒魔導はメラゾーマを何度も放ち、とどめをさそうとする。

俺は身体中の痛みに耐えて立ち上がり回避を続けるが、それにもやがて限界が来る。

ラスタンたちもドラゴンたちに身体中を斬り裂かれ、焼かれ、あと一撃でも受けたら死にそうな状態になっていた。

ルミーラは攻撃手段を失い、追い詰められている様子をただ見ていることしか出来ない。

追い詰められた俺たちを見て、魔物の群れの最後尾にいた滅ぼしの騎士は言った。

 

「人間どもは終わりだ!城の中に隠れた者共も、我らが殺し尽くしてやろう!」

 

俺はメラゾーマをかわし続けるが、そのせいで暗黒魔導との距離が離れてしまうことになる。

アサルトライフルの弾がなくなったので、遠くからでは奴を攻撃する手段がないな…。

もう一度近づこうとするが、回避しながら近づけるほどの体力はもう残っていない。

そしてついに俺はメラゾーマの呪文で身体に大きな火傷を負い、倒れ込んでしまった。

 

「さようなら、ビルダー!同じルビスに苦しめられた存在でありながらアレフに逆らったことを、永遠に後悔し続けなさい!」

 

倒れこんだ俺に対して、暗黒魔導はさらなるメラゾーマの呪文を叩き込もうとする。

ラグナーダもダークメタリックドラゴンの攻撃で動けなくなり、ラスタンが必死にかばっているという状況であった。

ゆきのへたちも、ダースドラゴンとゴールデンドラゴンに苦戦し続けている。

 

「くそっ…どうしたらいいんだ…!?」

 

戦いに出ている7人は全員追い詰められ、後衛の魔物もラダトーム城を破壊しようとだんだん近づいて来ている。

何とか形勢を逆転出来ないかと思ったが、その方法を思いつくことは出来なかった。


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