ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
ラグナーダにハンマーで殴られたしにがみのきしたちは、彼に集中して斧を振り下ろしていく。
ビルダーである俺への攻撃を妨げられ、奴らは怒りの声を上げていた。
「ビルダーの野郎を仕留めようとしたのに、邪魔をしやがって!先に貴様のことを叩き斬ってやる!」
「仲間のほとんどを殺されながらも生き残った、死に損ないの長老め!他のおおきづちと同じように、無様に死んでいくがいい!」
ラグナーダはおおきづちなので動きが人間より遅く、全てを回避していくことは出来ない。
しかし、他のおおきづちよりもはるかに高い攻撃力を持っており、しにがみのきしの斧を弾き返していく。
そうして奴らが体勢を崩したところで、ラグナーダは何度も追撃を与えていった。
「確かに多くの仲間を失った時には、わしらだけ生き残っても意味がないと思っていた…だが、ビルダーに救われ、新たな仲間を手に入れた今は、生きて戦い続けなければいけないと思っておる」
おおきづちの里が壊滅した時、ラグナーダはそんな考えにも陥っていたのか。
しかし、新たな守るべき仲間と場所を手に入れた今のラグナーダは、生きるために魔物との戦いを続けている。
ラグナーダの強力な攻撃を受けて、しにがみのきしたちはだんだん追い詰められて来ていた。
ラグナーダがしにがみのきしを引き付けてくれている間、俺とルミーラはまどうしと戦っていく。
奴らもメラの魔法で俺を焼こうとして来るが、走って避けていく。
アサルトライフルを頭に当てると数発で倒せるので、かなりの早さで数を減らしていくことが出来た。
「ビルダー…お前も仲間たちも、時期に死んでいくことになるのだ!」
「貴様ら人間がどれだけ力を手に入れたとしても、我らを止めることは出来ん!」
それでも奴らも俺たちとの戦いを諦めず、メラの火球を出来るだけ大きくして来ようとして来る。
しかし、しにがみのきしもいなくなって、俺たちは動きやすくなっていた。
まどうし自体の数も残り少なくなって来ているので、メラを受けることなく攻撃し続けることが出来る。
ルミーラも麻痺の矢で動きを止めながら、奴らにとどめをさしていった。
「まどうしも残り少なくなって来たな…さっさと倒して、ゆきのへたちのところに向かおう」
俺たちがまどうしと戦っている間にも、ゆきのへたちはだいまどうたちと暗黒魔導たちに苦戦している。
バルダスは何度もメラミを受けたことで、さらに動きが遅くなって来ていた。
ゆきのへも暗黒魔導のメラゾーマやドルモーアを、かわし続けるのが難しくなって来ている。
早く助けに行かなければ、二人とも魔物たちに殺されてしまうだろう。
俺は残っているまどうしに正確にはがねの弾丸を当てようと、近づきながら攻撃していった。
「距離を詰めた方が、確実に当てられそうだぜ」
距離が近くなるとメラを回避することもさらに難しくなるが、俺は大きくジャンプをしたりもしながらアサルトライフルを撃ち続けていく。
戦いが長引くとまどうしたちの魔力も尽きて来て、メラの威力も落ちて来ていた。
「まどうしたちも弱ってきているし、今がチャンスだな」
俺はそこでさらに距離を詰めて、至近距離で頭を弾丸で貫いていき、残っているまどうしたちを全て倒していった。
まどうしたちを倒しきった頃には、俺が持っているはがねの弾丸はほとんどなくなっていた。
ゆきのへたちを助けに行く時は、剣とハンマーでだいまどうと戦わなければいけなさそうだな。
俺はゆきのへを助けに行こうと思い、ルミーラにはバルダスを助けに向かって欲しいと指示を出した。
「これでまどうしはみんな倒れたな…ルミーラ!俺はゆきのへを助けに行くから、そっちはバルダスを頼む」
「そっちは黒い魔物がいるみたいだし、気をつけてね」
暗黒魔導がゆきのへを狙っているのを見て、ルミーラはそう言う。
確かにゆきのへを助けに行けば、暗黒魔導は俺を狙って来ることになるだろう。
だが、リムルダールでも暗黒魔導を倒したことがあるので、今回もきっと勝つことが出来るだろう。
「分かってる。ゆきのへを助けて、暗黒の魔物も倒して来るぞ」
俺はルミーラにそう言うと、ふめつのつるぎとビルダーズハンマーを持ってゆきのへのところに向かっていった。
ゆきのへは多くのだいまどうを倒して来ているが、まだ半分以上が残っている。
ゆきのへの体力の限界も近くなり、ついには暗黒魔導のメラゾーマで腹と足を大きく火傷してしまった。
「くっ…あの黒いだいまどうの野郎、ここまで強えとはな…」
直撃は避けられたが、ゆきのへはかなり苦しそうな表情になっていた。
立ち上がることは出来たが、動きは今までよりも遅くなって来てしまう。
このままではさらなる炎を受けてしまうので、俺はだいまどうたちのところに急ぐ。
だいまどうは俺に気づくと、こちらに向かってもメラミの呪文を唱えてきた。
「せっかくこのハゲた男を焼き殺せると思ったのに、ビルダーの野郎め!」
「一緒に排除してやる、メラミ!」
俺はジャンプして回避し、次のメラミを詠唱している間に全速力で走って近づいていく。
ゆきのへのところに飛ぶ火球は少なくなり、彼は近づいて攻撃することは出来ないものの、2撃目を受けないように必死に回避を続けていた。
メラミの詠唱時間はそこそこ長く、腕輪の力を使えば一気に距離を詰めていくことが出来る。
そして目の前にまで近づくと、俺は両腕の武器を振り上げて思い切り叩きつけた。
「ゆきのへ、助けに来たぞ!残りのだいまどうたちは俺が倒す」
だいまどうも、生命力や防御力は他の魔物と比べると低い。
伝説を超える武器での攻撃を受けると、大きく怯んで動けなくなっていた。
そこにさらにもう一撃を与えると、奴らは力を失って光を放ちながら消えていく。
何体かを倒していくと、だいまどうたち全員が俺に向かってメラミを放って来た。
「助かったぜ!ありがとう、雄也。あの暗黒のだいまどうは相当の強敵だ…気をつけるんだぜ…」
これで、追い詰められていたゆきのへも危機を脱することが出来たな。
ゆきのへは俺に感謝の言葉を言うと、体勢を整えるために一度後ろに下がっていく。
ルミーラも身体中に火傷を負っていたバルダスを助け出し、麻痺の矢でだいまどうたちを倒していた。
しかし、安心いている暇もなく、暗黒魔導も俺に向かってメラゾーマの呪文を唱えてきた。
「アレフから聞いた通り、ビルダーとは本当に厄介な存在ですね…!アレフに逆らったあなたは、私が排除しましょう!」
この暗黒魔導は、アレフに直接会ったことがある奴みたいだな。
アレフと親しい魔物なら、それだけビルダーである俺への恨みは大きいことだろう。
大きくジャンプして回避するが、暗黒魔導は連続してメラゾーマを放っていく。
まわりのだいまどうたちも、メラミで奴を援護していた。
「暗黒魔導様と共に、お前を焼き尽くしてやる!」
「諦めて灰になれ、ビルダーめ!」
まずはだいまどうたちを倒さなければ、暗黒魔導と戦うのは難しいだろう。
俺はメラミやメラゾーマを回避しながら、奴らに近づいていき、両腕の武器を振り下ろす。
「早くだいまどうたちを倒して、暗黒魔導とも戦いに向かおう」
さっきのだいまどうと同じように、何度か攻撃を当てると生命力を失い消えていく。
ゆきのへの時とは違い、残っただいまどうの数が少ないので、俺の体力が尽きる前に全員を倒し切ることが出来そうだ。
俺は多くの火球を走ったり跳んだりしてかわしながら、だいまどうたちの杖を叩き落とし、怯んだところに頭に向かって武器を叩きつけ、青い光へと変えていく。
だが、残っただいまどうがあとわずかになると、暗黒魔導は長い詠唱時間をかけて、超巨大な火球を生み出していく。
「ここまで私達を苦戦させるとは…しかし、エンダルゴ様やアレフのところに向かう前に、あなたはここで燃え尽きる!」
「メラガイアーの呪文か…何としても避けないとな」
リムルダールの暗黒魔導も使ってきた炎の最上位呪文、メラガイアーだろう。
遠くからでも熱を感じるほど非常に高温であり、直撃は避けられても大やけどは免れない。
俺は攻撃を中断して回避することだけを考えて、力の限り走って、大きくジャンプする。
叩きつけられた火球は巨大な火柱となり、空まで燃やすかと思えるほど高くまで上がっていた。
力の限りの動きによりかわすことは出来たが、休む間もなくだいまどうはメラミを、暗黒魔導はメラゾーマを放って来る。
「くっ…何とかメラガイアーからは助かったけど、まだまだ炎が跳んでくるな」
流石にメラガイアーを連発することは出来ないようだが、このままでは俺もゆきのへのように火球を受けてしまうことだろう。
俺は早く残っただいまどうを倒そうと、すぐに起き上がった武器を振り上げ、詠唱時間の間に近づいていく。
そして、少しでも大きなダメージを与えられるよう思い切り武器を叩きつけていった。
何度か攻撃を当てると、だいまどうは倒れて消えていく。
「これで後は暗黒魔導だけになったか…やっぱり変異体は強敵だけど、何とか勝たないとな…」
だいまどうを全員倒しきった時には、俺の体力はもう限界に近づいて来ていた。
だが、ここで動きを止めたら暗黒魔導に殺されてしまうので、俺は動き続ける。
みんなも、だいまどうとしにがみのきしを倒し終えて、キースドラゴンやエビルトレントと戦い始めていた。
ルミーラは麻痺の矢で奴らの動きを止めて、ラスタンとラグナーダもそれぞれの総力をぶつけていく。
今までの戦いで傷を負ったゆきのへたちも、戦い慣れた魔物ではあるので、さらなるダメージを受けずに攻撃することが出来ている。
俺はみんなが生きて戦いに勝てることを信じて、暗黒魔導に斬りかかっていった。
「私達の仲間を全て倒しましたね…ですが、私だけでもあなたを滅ぼして見せる!」
「くっ…この暗黒魔導も、力で押し切ることは出来ないか…」
正面から斬りかかると、暗黒魔導は黒く染まった杖を構えて受け止めてくる。
リムルダールの暗黒魔導を倒した後にも多くの厳しい戦いを生き抜いて来たが、今の俺でも暗黒魔導を腕の力で押し切ることは不可能だった。
弾き返されて武器を落とすことがないよう、俺は奴の側面にまわって武器を叩きつける。
「攻撃を回避しながら、少しずつ体力を削っていくしかなさそうだな」
押し切って体勢を崩させることが出来ないのなら、攻撃を回避しつつ反撃していくしかない。
伝説を超える武器を装備しているので、それでも大きなダメージを与えられていた。
しかし、変異体である暗黒魔導はそう簡単に倒れようとはしない。
俺の体力が尽きるまでに、奴を倒し切れるかはかなり不安だった。
「弱っていても、流石はビルダーですね…!アレフに苦労させないためにも、なおさらここで倒さなければいけない」
暗黒魔導も杖を振り回し、俺を殴りつけようとして来る。
弱っているところにダメージを負ったら、俺の動きはさらに鈍ってしまうだろう。
攻撃をかわすのを最優先に動きながら、少しずつ奴の生命力を削っていった。
しかし、暗黒魔導は追い詰められていく様子はなく、むしろ攻撃の手を強めて来る。
「どれだけ強い武器を持っていても、変異体はそう簡単に追い詰められないか…」
伝説を超える武器を持っていても、やはり変異体は一筋縄ではいかないな…。
確実に弱って来てはいるだろうが、倒すためにはまだ多くの攻撃が必要だろう。
俺は体力が持つことを信じて、暗黒魔導への攻撃を続けていく。
しかし、奴の攻撃を避けるのも難しくなっていき、俺は足を思い切り叩きつけられて倒れこんでしまった。
「くそっ、このままだとまずいな…」
「あなたにとどめをさして、私達とアレフの望んだ世界を作り出す!」
俺は痛みに耐えて起き上がり大きくジャンプして、暗黒魔導から一度離れようとする。
すると、暗黒魔導は俺を追いかけて来ようとはせず、その場で呪文を唱え始めていた。
今度もメラガイアーと同じくらいの詠唱時間があり、非常に強力な攻撃が来そうだ。
「どれだけ距離をとっても無駄です!」
「また呪文か…もっと遠くまで離れないと」
しかし、足にダメージを受けた今の俺では、暗黒魔導の広範囲の魔法を避けることは難しそうだった。
足で逃げられないのならと思い、俺は何か使えないかと一瞬で考えていく。
そこで、極げきとつマシンのスピードなら逃げられるかもしれないと思い、俺はマシンに乗り込んだ。
そして、暗黒魔導の詠唱が終わった直後に、俺は思い切りアクセルを踏んで遠くに向かう。
「消えなさい、ビルダー!」
今度の暗黒魔導の呪文はメラガイアーほどの火柱は立たなかったが、辺り一面を焼け野原に変えるほど広範囲に炎が撒き散らされていく。
恐らくはギラの最上位呪文、ギラグレイドだろう。
俺はマシンを使うことで何とかギラグレイドの炎から逃れることができ、再び暗黒魔導に近づいていった。
みんなも何体かのキースドラゴンやエビルトレントを倒すことが出来ていたが、ダースドラゴンやゴールデンドラゴンの変異体と思われる黒い竜に襲われて苦戦している。
変異体は非常に広範囲の闇の炎を吐いて来ており、さっきの戦いで傷を負っていたゆきのへたちは後方に撤退し、ラスタンたちも火傷を負っていた。
「ギラグレイドからは助かったけど、みんなも苦戦してるみたいだな…」
全員の体力が限界に近づいて来ており、怪我を負っている。
極げきとつマシンで暗黒魔導を突き刺そうかとも思ったが、奴も俺の考えは見抜いていたようで、火球を自身の目の前に出して防壁のようにし、突進を防いでいた。
どうしようかと思っていると、ゆきのへの大きな声が聞こえてきた。
「まずい状況になってるし、またあの大砲を使って魔物どもを倒そうと思う!雄也、この前の砲弾はあるか?」
「ああ、まだ残ってるぞ!」
そう言えば今回の戦いでは、六連砲台をまだ使っていなかったな。
砲台を使っても変異体は倒しきれないだろうが、絶大なダメージを与えることは出来るはずだ。
俺はゆきのへにそう返事をして、極げきとつマシンをまずはゆきのへの方に向けて走らせていく。
ラスタンたちも、変異体や他のドラゴンたちから離れて、ラダトーム城に向けて走っていく。
「これが大砲の弾だ。受け取ってくれ」
俺はみんなのところに来て極げきとつマシンを降りると、ゆきのへとラスタンに赤魔の砲弾を渡す。
この前と同様に、みんなで大砲の弾を込めた方が早く発射出来るだろう。
「ありがとう、雄也。ラダトーム城に急ぐぜ」
「これを使って、少しでも魔物の数を減らそう」
奴らを砲台に近づけると言うのは、同時にラダトーム城に近づけるということでもある。
しかし、大砲を使っても勝てるか分からないにしても、このままでは俺たちは全滅してしまう。
そう思いながら、俺たちはラダトーム城へと力を尽くして走っていった。