ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode205 王都大決戦の幕開け(前編)

ビルダーズハンマーとふめつのつるぎを手に入れ、エンダルゴとアレフを倒す準備は整った。

アレフの居場所は依然として不明なので、俺はまずはエンダルゴのところに向かっていく。

今までの比ではない強敵だろうが、絶対に負けるわけにはいかない…そう思いながら、ラダトーム城を出発しようとした。

 

だがそんな時、監視塔から魔物の様子を見ていたラスタンの焦る声が聞こえてきた。

 

「みんな、すぐに集まってくれ…!私たちの城に、見たこともないほどの魔物の大軍が集まって来ている!」

 

ラスタンの声からは今まで以上の焦りが感じられるが、それほどまでの危機が迫っているのだろうか。

今まででも100体を超える魔物が襲って来たことがあったが、それをさらに上回るとはな。

ラスタンの声を聞いて、工房で休んでいたゆきのへがハンマーを持って出て来る。

 

「雄也、まだここにいたか。今の声は聞いたな…エンダルゴとの戦いの前に、まずは魔物どもを倒すぜ!」

 

「ああ、分かってる」

 

このままではエンダルゴを倒せても、ラダトーム城が壊滅してしまう。

手に入れた伝説を超える武器を使って、まずは奴の手下の魔物を倒しに行かないとな。

俺はゆきのへにうなずいて、魔物が襲撃しているという方向に向かっていった。

人間に変身する訓練をしていたルミーラたちも、それぞれの武器を持って駆け付けてくる。

 

「何度倒されテモ、懲りナイ魔物たちデスね!」

 

「ここはわたしの仲間たちが住む大切な城…何としても守り抜かないとね」

 

「どんな魔物が来たとしても、ボクたちがこの城を守るんだ!」

 

俺たち6人がラダトーム城の外へ出ると、剣を持って監視塔から降りてきたラスタンも一緒に戦いに向かう。

いつも城を守ることに一生懸命になっているラスタンも、今回は少し怯えた顔をしていた。

 

「来てくれたか、みんな。…あまりにも魔物の数が多すぎて、私でも正確な数は把握出来なかった。今の設備を持ってしても、相当厳しい戦いになりそうだ」

 

アレフガルドの2度目の復興の中で手に入れたさまざまな物を使うことで、この前の戦いはそこまで苦戦することはなかった。

しかし、今回は俺たちの総力を持ってしても、勝てるか分からない戦いになりそうだ。

それでもここまで来て負けるわけにはいかないので、俺たちは魔物の大軍勢のところに近づいていく。

 

「それでも、ここで引き下がりたくはない。どれだけ厳しい戦いであっても、必ず勝機はあるはずだ」

 

「分かっている。この城には姫様と、守るべきたくさんの仲間がいる。志半ばで倒れたオーレンのためにも、私は最後まで戦い抜くぞ」

 

ラスタンも怯える心を振り払いながら、果敢に魔物たちのところに向かっていった。

走っていくと、確かに今まで多くの戦いを生き延びた俺でも戦慄するようなおびただしい数の魔物が見えてくる。

かげのきし、まどうし、しにがみのきし、だいまどう、ブラックチャック、ブラバニクイーン、アローインプ、メーダクイン、コスモアイ、キースドラゴン、ダースドラゴン、ゴールデンドラゴン、エビルトレント、ドロルリッチ、キラークラブ、オーロラウンダー、ボストロール、トロルキング…さまざまな魔物が、ラダトームを目指して進んでいる。

魔物の群れの中には、ゴールデンドラゴンの変異体と思われる黒く輝く竜や、滅ぼしの騎士、暗黒魔導もいた。

今までは戦力外として来なかった魔物も、今回は軍勢の中に混じっている…おそらく、もう多数の犠牲が出てもかまわないと、奴らは考えているのだろう。

人間と魔物、勝った方が生き残る…そんな戦いになりそうだった。

無数の魔物を見て、ルミーラやバルダスも怯えた様子を見せている。

 

「城を壊させたくはないけど…すごい数の魔物だね…」

 

「新しい力を手に入れたボクでも、こんな数をどうしたら…」

 

ゆきのへたちも、かなり険しそうな表情をしていた。

だが、俺たちは絶望的な状況から、ここまで戦い続けることが出来た。

今日もその奇跡が起きることを信じて、まずはスナイパーライフルを構えた。

そして、俺が参戦する中では5回目のラダトームの防衛戦が、人間と魔物の生き残りを賭けた大決戦が始まった。

 

監視塔を使って魔物を早期に見つけたので、奴らとはまだかなりの距離があった。

接近戦となる前に少しでも数を減らそうと、俺はまず前衛にいるメーダクインたちを倒そうとする。

奴らはコスモアイより耐久力が低いので、スナイパーライフルなら簡単に倒すことが出来るだろう。

俺はメーダクインの目に向けて、はがねのライフル弾を撃ち放っていく。

 

「まずはメーダクインか…こいつも目玉は大きいし、これで狙撃していこう」

 

スナイパーライフルの扱いにはまだ慣れていないが、メーダクインは目玉が大きいので、かなりの確率で狙い撃つことが出来た。

弱点を貫かれたメーダクインは大きく怯み、地面に落ちていく。

落ちた奴に向かって、俺はさらに銃弾を放っていった。

耐久力のあまり高くないメーダクインは、3発目に攻撃を受けると力尽きて消えていった。

 

「3発で倒れたな…弾はたくさん作って来てあるし、このまま減らしていくか」

 

近づくと光線を撃って来るので、それまでに数を減らさないとな。

はがねのライフル弾は2日前にたくさん作ったので、なくなる心配はなかった。

俺は奴らの目や触手に向かって、スナイパーライフルを次々に撃っていく。

かなり遠くからでも、多くのメーダクインを倒すことが出来た。

 

「でも、数が多すぎて倒しきれないな…」

 

だが、あまりにも数が多すぎて、俺1人では奴らを倒しきることは不可能だった。

ルミーラの矢はスナイパーライフルよりは射程が短いので、まだ近づかなければならなさそうだ。

奴らの光線を警戒して、俺たちは銃での攻撃を続けながら走って近づいていく。

ある程度近づくと、俺はルミーラに弓で奴らの目を撃ち抜くように言った。

 

「数が多すぎて俺だけじゃ倒しきれない…ルミーラも、弓矢でメーダクインを撃ち落としてくれ!」

 

「分かってる…大事な砦を失ったあの悲しみを、もう繰り返したくないからね」

 

怯えた様子のルミーラも戦いを諦めず、メーダクインたちの目玉を正確に撃ち抜いていく。

苦戦の果てにピリンたちをも危険に晒すことになり、最後にはサンデルジュの砦を放棄したこと…あの悲劇をもう繰り返したくないと、俺もルミーラも思い続けている。

彼女の正確な矢は、俺より素早くメーダクインたちを減らしていった。

距離が縮まったことで、奴らも目から光線を放って攻撃して来る。

 

「光線が飛んできたな…みんなも気をつけてくれ!」

 

俺はみんなにもそう言った後、光線をかわしながらライフルを撃ち続けていく。

光線といっても光速で飛んでくるわけではないし、溜め時間もコスモアイより長い…それに、ルミーラと俺の攻撃で奴らは数を減らしているので、みんな回避は容易だった。

今回の戦いは長丁場になるので、体力を消耗しないようジャンプは控えておく。

走りながらさらに距離を詰めると、俺はアサルトライフルに持ち替えて連射していった。

 

「みんなうまく回避出来てるな…近づいて来たし、アサルトライフルで一気に倒そう」

 

回避しながらの攻撃なので命中率は下がるが、それでもだんだん数を減らしていくことが出来ていた。

追い詰められたメーダクインたちは、普段より高くまで浮き上がる。

そして、奴らの下を通って4~50体のかげのきしたちが、俺たちのところに近づいてきた。

 

「倒しきれるかと思ったけど、かげのきしたちも近づいて来たか…」

 

かげのきしはラダトームに生息する魔物の中では弱い方だ。

しかし、これだけの数がそろえばそう簡単には倒すことは出来ないはずだ。

しかも、奴らの後ろからは多数のブラバニクイーンも迫って来ており、のんびり戦っているとさらなる危機になってしまうな。

メーダクインたちも、かげのきしたちの裏を通って俺たちの横側にまわって、光線で攻撃して来ようとして来る。

 

「雄也とルミーラが頑張ってるんだし、ワシらも諦めるわけにはいかねえ!あのかげのきしどもを潰しに行くぞ!」

 

「ボクの新しい力を、魔物たちに見せつけてやるんだ!」

 

かげのきしたちの様子を見て、バルダスが闇の呪文を唱えて足止めしようとする。

かなりの威力があって奴らは怯み、その隙にゆきのへたちが近づいていった。

しかし、みんなの力を持ってしてもブラバニクイーンが来るまでに倒し切れるかは不安だ。

かげのきしの剣だけでなく、メーダクインの光線も避けながら戦わなければならないからな。

そんな様子を見て、俺のとなりにいたルミーラが一つ提案する。

 

「このままだとまずいね…わたしがメーダクイン全員を引きつけるから、雄也もかげのきしを倒しに向かって」

 

確かにルミーラにメーダクイン全ての注意を引きつければ、みんなは奴らの攻撃を気にせずかげのきしと戦える。

俺も伝説を超える武器の力を使い、かげのきしたちを一気に倒すことが出来るだろう。

しかし、メーダクインは最初に比べたら大幅に減ったもののまだ多くいるため、ルミーラが1人で全員を引きつけるのは危険だろう。

 

「でも、そうしたらあんたが危ないんじゃないか?」

 

「そうでもしないと、この戦いには勝てないよ。…大丈夫、わたしの弓で、攻撃を受ける前に倒すつもりだから」

 

だがルミーラの言う通り、危険な方法でも使わなければ、この戦いに勝つことは出来そうにない。

ルミーラの正確な射撃で、光線を受ける前に倒せることを祈るしかなさそうだ。

俺はルミーラの無事を願いながら、ビルダーズハンマーとふめつのつるぎに持ち替えてかげのきしたちに近づいていく。

 

「俺も他の方法は思いつかないし、分かった…無事でいてくれよ、ルミーラ」

 

俺が世界を救えなかったことで、多くの仲間の命が失われてしまった…これ以上の悲劇は、絶対に起こってはならない。

そう思いながら、俺はかげのきしたちに両腕の武器を叩きつけようとしていく。

ビルダーである俺を排除するために、10体を超える奴らが俺のところに近づいて来ていた。

 

「ビルダー…オレたちに逆らった大罪人め…!骨まで斬り刻んでやる!」

 

「剣のサビになってしまえ!」

 

「相当な数だけど…諦めずに戦い続けないとな…!」

 

ここまでの数がいたら、普段の回避しながら戦うという戦法は使えない。

俺もみんなも腕に力を込めて武器を叩きつけ、奴らの剣を弾き落とそうとしていった。

かげのきしの攻撃力は高めではあるが、今まで多くの魔物と戦ってきた俺たちは無事に剣を弾き落とし、奴らの体勢を崩させることが出来る。

何回も繰り返していると腕に強い痛みが走って来るが、俺たちは耐えて攻撃を続けた。

 

「結構な数が怯んだな…今のうちに仕留めてやろう」

 

多くのかげのきしが怯むと、起き上がられる前に倒そうと、頭の骨に向かって伝説を超える武器を振り下ろしていく。

すると、強力な武器ですさまじいダメージを受けた奴らは、一撃で倒れていっていた。

 

「これが伝説を超える武器の強さか…これなら、この戦いにも勝てるかもな」

 

絶大な攻撃力を持つことは確信していたが、まさかここまでの強さだとはな。

これを使えばこの厳しい戦いにもきっと勝てるはずだと思いながら、俺は戦いを続けていく。

ビルダーズハンマーとふめつのつるぎの攻撃力を見ても、かげのきしたちは下がらずに剣を振り回して来た。

 

「なんて威力の武器なんだ…でも、オレたちはビルダー、お前を逃がさない!」

 

「オレたちを倒したところで、お前たちに勝ち目はない!」

 

自分が死んでも、少しでも俺たちを消耗させようという考えに魔物たちはなっているのだろう。

俺はまた身体中の力を腕に込めて、奴らの武器を次々に叩き落としていく。

 

「まだ結構なかげのきしがいるけど…みんななら押し切れそうだな」

 

ゆきのへたちも倒れたかげのきしに、本来片手用の武器を両腕で持つことで威力を上げて攻撃しており、バルダスは闇の魔法で一気に吹き飛ばしたりしていた。

ルミーラもメーダクインを次々に落としており、何とかまだ危機的状況に陥らずに済んでいる。

俺はかげのきしが減って来ると、一気に倒そうと両腕に力を溜めていった。

 

「回転斬りも使って、こいつらを倒し切ろう」

 

俺のところには、まだ立っている奴らも剣を振り上げて近づいていくる。

俺はそう言った奴らもまとめて、両腕の武器で薙ぎ払っていった。

 

「回転斬り!」

 

回転斬りを放った途端、ふめつのつるぎから紅色に輝く光の刃が生み出され、周囲の敵全てを斬り裂いていく。

おうじゃのけんでもギガスラッシュのような光が出ていたが、こちらはそれをはるかに上回る強さであった。

そこにビルダーズハンマーでの打撃も加わり、かげのきしたちは全て倒れていく。

 

「回転斬りもすごい威力だ…こんな光の刃まで出て来るなんてな」

 

ゆきのへたちもそれぞれの力を発揮して、かげのきしたちを全滅させていった。

かげのきしたちを倒したところに、今度はブラバニクイーンたちも近づいてくる。

同時に戦うということは防がれたが、ブラバニクイーンも弱い魔物ではない…伝説を超える武器があるからといって油断せず、俺は戦いに向かっていった。


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