ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode18 強固なる軍団

雄也がメルキドに来てから21日目 早朝

メルキド 魔物の集会所

 

メルキド中の魔物を集めていたよろいのきしが、報告をしにあくまのきしの元へ戻っていた。

 

「どうだ、魔物は集まったか?」

 

さっそくあくまのきしは、よろいのきしに話を聞いた。次こそメルキドの町を潰そうとしていた。

 

「数日前に人間どもにやられてしまったおおさそりやてつのさそりの残党、それにしりょうのきし、スターキメラが共に戦ってくれるそうだ。まもなくこちらに到着する」

 

しりょうのきしやスターキメラは強力な魔物だ。だがあくまのきしは、それでも油断ならないと思っていた。

 

「分かった。今日こそあの人間どもを引き裂いてやる!」

 

「お前らは万全の準備を整え、魔物たちの到着を待て!」

 

「了解だ!」

 

2体のあくまのきし、多数のよろいのきしは人間たちとの決戦を目前に控えていた。

 

 

 

メルキドの町

もう俺がメルキドに来てから3週間か。気がつくと結構長い時間が経っているな。

 

「さて、今日は何をしようか」

 

俺が個室から出ると、すぐ外に真剣な顔をしたロッシが立っていた。何か大事な話があるのだろうか。

 

「雄也。話したいことがある」

 

「何だ?話したいことって?」

 

ロッシは、俺の個室に入った。またしても、人には聞かれたくない話だろう。

 

「まったく、神鉄炉なんてとんでもねえもんを作りやがって。オレは何度も忠告したぜ、余計なことをすると、魔物に目をつけられるって」

 

それで忠告のつもりなのか?ロッシは部屋に入るとムカつくことを言った。余計なことだと?俺たちは魔物に狙われることを分かって、それでも町を発展させているのに。なぜわかってくれないんだ!?俺はいら立つ気持ちを押さえて、俺は普通の口調で話す。

 

「それぐらい分かってるんだ。それを理解した上で、町を発展させている、分かってくれないのなら、前も言った。出ていけばいい。それに、お前が何を言おうとメルキドの復興は止めないからな」

 

「魔物だけならまだいい。人間が力をつけすぎると、あの化け物が···」

 

またゴーレムの話か。メルキドはゴーレムが滅ぼしたという話は少しは信じているが、こいつの態度は何かイラつく。俺たちをなめている感じだ。

 

「とはいえ、もう手遅れか。なあ、一つオレの頼みを聞いてくれねえか?」

 

「町の発展を妨げるような発言をするやつの話を聞くと思うのか?」

 

俺はそう言い返した。それでも、ロッシは話し続けた。

 

「ここにオレが書いた遠くまで見渡せる見張り台の設計図がある。この設計図通りに見張り台を作ってほしい」

 

正直に言うと、却下したい。だが、確かに見張り台があったら便利ではあるな。作っておいたほうがいいのかもしれない。

 

「仕方ないな、その設計図とやらを見せてくれ」

 

ロッシは俺に設計図を渡してきた。5メートルくらいの高さで、上にかがり火があり、つたと石の階段で登れるようになっていた。石の階段は廃墟にあったものを取り外したからあるが、かがり火はないな。

 

「作れそうか?手遅れになる前に頼んだぜ」

 

やっぱりロッシはムカつく奴だが、見張り台は作っておくべきだな。俺はまず、かがり火の作り方を調べた。

かがり火···石材3個、石炭1個

結構簡単に作れるな。俺は作業部屋に入り、かがり火を作った。

 

「これで見張り台をつくればいいんだな」

 

かがり火が出来ると町の旗の近くに、29個の土ブロックで見張り台を作り、階段とつたを設置し、最後に上にかがり火を置いた。

 

「ロッシ!出来たぞ。」

 

ロッシは俺の声を聞いて駆けつけてきた。

 

「お、見張り台が出来たか。手間かけさせて悪かったな。」

 

これからはロッシが見張り台で魔物を見張ってくれるのだろうか。それならもし襲撃があっても早く準備が出来るんだが。

 

「お前が魔物を監視してくれるのか?」

 

「ああ、アイツが来たとき、すぐにここから逃げ出せるようにな」

 

逃げ出せるようにだと?そんな理由でこれを作らせたのか?今すぐ撤去してやりたいな。ロッシの態度に俺はもう限界だった。

 

「ふざけんな!俺は町の役にたつと思って見張り台を作ったんだ。そんなことを言うのなら今すぐ取り壊すぞ!」

 

俺は激しい口調でロッシに怒鳴っていた。さっき作った見張り台におおかなづちを叩きつけそうになった。

 

「落ち着けって。オレはガキのころから、メルキドで人間が栄えたら、必ずゴーレムが全てを破壊するって聞いてたんだ」

 

落ち着けと言われたが、俺は苛立ちが収まらない。

 

「ロロンドやお前は言ってただろ。メルキドを本当に解放するには、ここを支配する魔物の親玉を倒す必要があるって。その魔物の親玉こそ、メルキドの守り神である巨大なゴーレムで間違いない!」

 

だからどうしたって言うんだ?ゴーレムが来たとしても、倒せばいいだけだ。そうすればメルキドは解放される。

 

「それくらい聞いている。だから俺たちはゴーレムだろうがなんだろうが倒そうとしているんだ!何故分からない!」

 

あまりにも分かってくれないロッシに、俺は怒鳴り続けていた。

 

「それくらい分かってるよ。だが、俺たち人間じゃ、ゴーレムには勝てねえぜ」

 

ロッシのその言葉は、俺の腹をさらに立たせた。勝てないだとか勝手に決めつけてるんじゃねえよ。俺は衝動的に、ロッシの服を掴んでいた。

 

「いい加減にしろ!どれだけ強い相手だろうが、必ず勝とうと俺たちはしてるんだ!お前なんかに俺たちの何が分かったって言うんだ!?」

 

さすがに怒りすぎたと思い俺は自分をなんとか落ち着かせる。俺とロッシの仲は、非常に悪いものとなっていた。ロッシも何も言い返せず、険悪なまま俺たちは別れた。

 

「怒りすぎてしまったな。だが、あの俺たちの力をなめた言い方はどうしてもイラつくな」

 

俺が不機嫌な表情で歩いていると、ロロンドがそれを気にかけたのか話しかけてきた。

 

「雄也よ、何かあったのか?」

 

「ああ、ロッシがイラつくことを言ってきてな」

 

「もしかしてまたゴーレムが魔物の親玉だとか戯れ言を言っていたのか?」

 

そう言っていたが、それは本当の可能性もあるので、問題はそこではない。

 

「それも言っていたが、それ以上に腹が立つことを言っていた。ゴーレムが魔物の親玉の可能性はゼロではないからな」

 

ロロンドは絶対に信じていないだろうがな。

 

「あいつは俺たちの力をなめたようなことを言っていた。人間じゃゴーレムには勝てないぜ。とかな。俺はゴーレムが魔物の親玉と言うのは否定している訳じゃないんだが、あの態度は許せない」

 

「その通りだな。我輩たちは何回も困難を乗り越えてきた。それなのに勝てない相手などおらぬはずだ」

 

そこまで言うと、急にロロンドは真面目な顔になった。

 

「そこで雄也よ。お主にひとつ、大切な話がある。」

 

今までこんな話をしていたから、ロッシに関係することなんだろうな。

 

「この町をさらに発展させるためには、町に住む人間はしっかりと選ばねばならん。町の発展の邪魔をするもの、みんなの気持ちをそぐもの···町には不要な人間だ」

 

確かに、そんな奴が町にいたら、町の発展が妨げられること間違いなしだ。これまではこんな世界だしおおめに見ていたが、そう言う訳には行かなくなってきた。

 

「意味することは、分かるな?」

 

「もちろんだ。」

 

これ以上まちの発展の邪魔をする場合は、ロッシをこの町から追放しろということだな。あんなやつ、メタルギアのヒューイのように追放してやる。

 

「よく、考えておいてくれ」

 

追放するなどと言う話をしていたが、ロロンドはもうひとつ言いたいことがあったらしく、今度はいつもの口調で言った。

 

「ロッシのことは後から考えることにして、実は、雄也に朗報があるのだ」

 

もしかして、またメルキド録の解読が進んだのか?

 

「雄也よ、喜ぶがいい!我輩はメルキド録を読みとき、鋼の守りの作り方が判明したのだ」

 

「本当か!?」

 

俺の予想した通り、ついに鋼の守りの記述を解読できたようだ。ようやくこの町の防壁を強化できるな。

 

「ああ、鋼の守りなら、この町をさらにさらに強固に守れるだろう。この設計図の通りに、鋼の守りを完成させようぞ」

 

ロロンドは俺に設計図を渡してきた。石垣を78個も使う上、見たことのない物も2つある。

 

「設置場所はもちろん町の西だ。邪魔になるし、もう役に立たないだろうから、石の守りは壊してくれても構わない。」

 

確かに石の守りだと、すぐに壊されてしまうな。

俺は、必要な物を作るために、よく分からないものについて聞いた。

 

「それでロロンド、この木でできた盾みたいなのと、この大きな扉はなんだ?」

 

「バリケードとはがねの大とびらという物だ。バリケードは木の枠に鋼を取り付け、魔物の攻撃を防ぐもので、はがねの大とびらは物凄い固さで魔物の攻撃を防いだり、こちらが出撃するときに使う。」

 

どっちも凄そうな設備だな。俺は作り方を調べる。

バリケード···はがねインゴット3個、木材1個

はがねの大とびら···はがねインゴット6個、染料1個

染料と木材はたくさんあるにしても、はがねインゴットの必要数が多いな。バリケードは10個も必要なようだし、合計36個必要な計算だ。もしかしたら、バリケードは一度にいくつかできるのかも知れないが。

 

「じゃあ俺は必要なものを作ってくる。ロロンドは石の守りを解体していてくれ」

 

俺はロロンドにおおかなづちを持たせ、作業部屋に入った。俺はまず石垣を40個作ろうとした。炉と金床で作れるものは、神鉄炉でも作れるようだ。40個作れば石の守りの40個と足して80になり、必要数に足りる。

 

「本当に大量の素材が必要だな」

 

石垣を40個作り終えるころには、石材がほとんどなくなっていた。それにトゲわなももう少しいるようなので作っておく。

その次に鉄のインゴットを作り、もう一度加工しはがねインゴットにする。

 

「まずはバリケードだな」

 

俺は木材とつなぎあわせ、バリケードを作る。すると、魔法の力のおかげでバリケードが5つもできた。これならもう一回作ればいい。俺はたくさんのはがねインゴットを作ると、バリケードとはがねの大とびらを作った。予想より少なかったが、かなりはがねインゴットを使ったのに変わりはない。鉄をたくさん集めておいて正解だった。

 

「ロロンド、解体は終わったか?」

 

俺が作業部屋から出ると、石の守りは跡形もなくなっていた。これなら鋼の守りを設置できるな。

 

「雄也も準備ができたようだな。では、鋼の守りを作り上げよう!」

 

今回は大変な作業だということで、ピリンやケッパーたちにも手伝って貰った。

最初にはがねの大とびらを設置し、バリケード、トゲわなを設置していく。そして両端に火をふく石像をおく。

 

「あとはまわりを石垣で囲めばいいな。みんな、がんばるぞ!」

 

石垣は4段積み上げないといけないところも多く、一番上の段は落ちても大丈夫そうな靴をはいている俺が作った。

みんなで協力して作っても、30分くらいはかかったであろうが、鋼の守りを完成させることができた。

 

「よし、完成したみたいだな!」

 

「すごいね。」

 

「これなら強い魔物でも壊せないな」

 

「素晴らしすぎます!」

 

「ここまで頑丈な防壁、よく思いついたな」

 

みんなも、これならどんな魔物との戦いに勝てそうだと思っているようだ。

 

「やったぞ!うおおおお!ついに鋼の守りが完成したな。これがあれば、どんな魔物が来ても町を守れる」

 

ロロンドはハイテンションになっている。俺からみても、この防壁は強力だ。鉄壁の壁に守られて、壊そうとしたものは火をふく石像にやきつくされる。みんなは先に戻っていったが、俺とロロンドはもう少し鋼の守りを眺めていた。だが、せっかく喜んでいたのに、そこにロッシが現れた。

 

「こんなので、ゴーレムが来ても守れると思うのか?」

 

俺には分からない、ゴーレムの強さによるな。だが、その発言はロロンドのかんに障ったようだ。

 

「お主、またゴーレムが魔物の親玉だとか戯れ言を言ったり、我輩たちが弱いと言っているのか!?」

 

ロロンドは俺より大きな声で怒鳴った。俺はおっさんが怒鳴るところは生まれて初めて見た

ロロンドはゴーレムが魔物の親玉と言うことも信じていないんだよな。俺もまだ疑っているし。

 

「雄也から聞いたぞ。お主、これまで何度もそんなことを言っているそうだな。我輩は、いや雄也もピリンもケッパーもショーターもゆきのへも、みんな町の発展やメルキドの復活を願っているのだ!何故そこまでみんなの気持ちをそごうとする!?」

 

そして、ついにロロンドは俺と相談していたことを言い出す。

 

「町の発展の邪魔をするもの、みんなの気持ちをそぐもの、町には不要な人間だ。これ以上そのようなことをするのであれば、この町から立ち去ってもらうぞ!」

 

ロロンドとロッシの対立が極限まで高まった時その時、ケッパーの大声が聞こえた。

 

「みんな。魔物が攻めてきたみたいなんだ!これまでよりも敵の数が多い。今度こそ僕たちを潰すつもりだ」

 

ケッパーは、見張り台の上から町の西を見ていた。

 

「仕方ない。このことは保留にする!」

 

「ああ、今は魔物を倒すのが先だ」

 

俺とロロンドも見張り台に上がり、町の西を見る。そこには前回見なかった、さらに強力な魔物がいた。ピラミッドで俺を苦しめたがいこつとしりょうの上位種、しりょうのきしやキメラとつく魔物の最上位種、スターキメラがいた。

 

「あんな強い魔物も攻めて来たのか···」

 

前衛にあくまのきし1体、よろいのきし6体、てつのさそりとおおさそりが2体ずつ、後衛にしりょうのきし12体とスターキメラ4体、あくまのきし1体の合計28体だった。

 

「魔物の親玉を倒す準備のためにもここはなんとしても魔物を追い払わねば!」

 

俺たちは見張り台から降り、下にいたゆきのへと合流した。強固な魔物の軍勢はすぐそこまで迫っていた。5度目の防衛戦の始まりだ。

 

「今日こそ、人間どもを根絶やしにするぞ!」

 

先頭にいたあくまのきしは、鋼の守りを破壊しようと、バリケードやはがねの大とびらに斧を降り下ろす。足元のトゲわなは壊れた。しかし、バリケードやはがねの大とびらそう簡単に壊されるものじゃない。あくまのきしの一撃は弾かれた。

 

「固いな。ん、石像の火が来るぞ!」

 

石像で焼き尽くせると思ったが、それに気づかれ大防御の姿勢をとられる。そして、火の勢いが弱まるとあくまのきしは回転斬りを放った。金属がぶつかり合ってギン!という音がする。それでも壊れなかったが、耐久力が減ったことは確かだ。そこへ、6体のよろいのきしがバリケードを壊そうとしたり、石像を破壊しようとしたりしていた。このままだと、鋼の守りでも耐えきれない。

 

「眺めてるだけでいいかと思ったが、そんなわけにもいかないようだな。」

 

正面から出ると町に侵入される可能性もあるので、俺たちは鋼の武器を持って町の横から魔物の群れに向かっていった。

 

「やれ、スターキメラ!人間どもを焼き尽くせ!」

 

4体のスターキメラが俺たちに火を放ってくる。コイツらを倒さないと、マトモに戦えないな。しかしスターキメラは、多数のしりょうのきしやさそり達に守られている。

 

「誰かがしりょうのきしどもを引き付けて、その隙にスターキメラを倒せばいいんじゃないか」

 

ゆきのへが言うのは、よくある誰かに引き付けてもらう作成だ。上手くいくか分からないが、俺はしりょうのきしの群れに斬りかかった。

 

「喰らえ、回転斬り!」

 

俺の攻撃でダメージを負ったしりょうのきしたちは、俺のほうに襲ってくる。しかし、後方のあくまのきしが、しりょうのきしに言った。

 

「コイツらの作戦に惑わされるな!お前達を一ヶ所に引き付けてスターキメラを倒すつもりだ!」

 

聞こえないほどの距離で言っていたはずなのに。さすがは隊長だな。鋼の守りにもかなり傷が入っていた。

 

「くそっ、スターキメラの炎を避けながらコイツらを倒すしかないな。」

 

危険だが、それくらいしか方法が思い付かない。銃でもあれば遠くのスターキメラも倒せるんだろうけど。

俺とロロンドは目の前のしりょうのきしを、ケッパーはさそり達を、ゆきのへはよろいのきしや先頭のあくまのきしと戦いになった。少しでも動きが止まると炎を撃たれるので、回転斬りは使えない。何度か肩や腕を切られながらも、しりょうのきしを倒していく。鋼の武器なら斬ることができるので、ケッパーはおおさそりやてつのさそりを切り刻んだ。回転斬りはなくてもさすがはメルキドの衛兵の子孫だ。

 

「これ以上被害をだす訳にはいかない!スターキメラ共、何としても人間どもを焼き尽くせ」

 

スターキメラは、俺たちを正確に狙って、炎を乱射してくる。俺は火を避けながら逃げるのはピラミッドでやったことがあるので、その時のように動いた。

 

「ビルダーの野郎!なんて逃げ足の早い!」

 

俺は体育は苦手だが、しりょうのきしからギリギリ逃げ切れるくらいのスピードはある。それに、しりょうのきしも所詮は骸骨。骨しかないのでスピードが遅いのは当然だ。

 

「お前ら、さっさとビルダーを始末しろ!そこのヒゲ野郎や兵士やハゲもだ!」

 

あくまのきしはそう言うが、魔物たちにも限界はある。やがて、スターキメラは炎の撃ちすぎでそろそろ疲れてきていった。ゲームで言うところの、MP切れってやつだな。

 

「何をしているんだ!さっさと奴等を殺せ!」

 

スターキメラが弱ってきたところで俺はしりょうのきしたちに全力で剣を叩きつける。片手用の剣だが、今は両手で持ち、より威力を高めた。そして、しりょうのきしたちの生命力を破壊していく。

 

「我輩をヒゲ野郎とは失礼な奴だな!切り裂いてやる!」

 

ロロンドも剣を操り、しりょうのきしを倒していった。12体もいたしりょうのきしだが、俺たちの攻撃で全滅した。結構強行突破で、いくつか傷を負ったが、俺もロロンドもこれまでの戦いで痛みには慣れている。

 

「このままスターキメラも倒すぞ!」

 

俺とロロンドはMP切れになったスターキメラに剣を振りかざす。スターキメラは何とか炎を出して攻撃してくるが、俺たちは走ってかわしながら、奴等の首を狙って斬り倒していった。外しても、何回も鋼の武器で斬られれば倒れる。だが、そのうちの一体が俺の体にもかなりの傷を負わせてきた。するどいくちばしで、俺をつついてきた。

 

「いてえな···でも負けられるか!」

 

俺はそのスターキメラの腹にはがねのつるぎを突き刺し、頭まで真っ二つに切り捨てた。ロロンドが1体、俺が3体を倒し、スターキメラを全て撃破する。

 

「おおさそりもてつのさそりもしりょうのきしもスターキメラも全滅だと!?だが、人間ごときにやられてたまるか!」

 

そしてついに前衛のよろいのきしやあくまのきしはゆきのへの攻撃を防ぎながらついに火をふく石像を破壊した。

 

「恐ろしく固いはずの火をふく石像が壊れただと!?」

 

それは俺たちにとって想定外の事態だったが、俺は火をふく石像を拾いに行った。この世界では壊されてもアイテム化するだけだからな、もう一度設置すればいいだけだ。しかし、やはりそれに気付き、6体のよろいのきしが俺の目の前に立ちふさがる。

 

「死ねビルダー!地獄に落ちろ!」

 

6体のよろいのきしが一斉に俺に斬りかかってくる。だが途中でかわされることに気付き、奴等は3度目の防衛戦の時のよろいのきしのように、斧を振り回しながら突進してきた。6方向からの攻撃だが途中まではかわせたが何度も突進を繰り返され遂に俺はよろいのきしの1体に突き飛ばされてしまう。そして、別のよろいのきしが俺のところへ迫っていた。

 

「うおおおおお!」

 

「回転斬り!」

 

そこへ、ロロンドとケッパーが援護に駆けつけた。俺は体勢を立て直し、ケッパーと二人同時に回転斬りを放つ。

 

「ここは僕に任せて!雄也はあくまのきしを頼むよ!」

 

「ああ、分かった!」

 

まだ生き残っていたよろいのきしは、ケッパーが戦ってくれた。俺が向かうと、ゆきのへは石垣に体を叩きつけられて動けなくなっており、あくまのきしはついにバリケードを破壊した。

俺はゆきのへを巻き込まないように火をふく石像を拾ってあくまのきしの後ろに置いた。

 

「焼け!」

 

俺はメタルギア5の終盤でカズがナパーム弾を落としていた時に言ったセリフを叫んだ。俺の声に反応するかのように、火をふく石像はあくまのきしを焼き尽くした。

 

「ビルダーめ、よくも···」

 

まだ生きていたので、俺は動かれる前にあくまのきしの首にはがねのつるぎを突き刺し、引き裂いた。もうあくまのきしを2体も喉切りで倒している。

それを見ていた後方のあくまのきしは、怒りが頂点に達した。

 

「ふざけるなよ人間ども!部隊を全滅させ、我が同族まで殺すとは!」

 

あくまのきしは、斧にオーラを纏うほど力をため、鋼の守りの所まで走り、凄まじい力で叩きつけた。俺もゆきのへもかわすことは出来たが、俺がさっき置いた火をふく石像、バリケード、石垣、それどころかはがねの大とびらまで破壊した。恐らくはドラクエの斧スキルの技、魔神斬りだろう。二分の一の確率で必ず会心の一撃が出る技だ。

 

「まずい、町に侵入される!」

 

俺はあくまのきしを止めにいく。ケッパーも全てのよろいのきしを倒して、あくまのきしの所へ来た。

 

「失せろ人間どもが!」

 

あくまのきしは渾身の回転斬りを放ってくる。俺も回転斬りを放って相殺するが、後ろにあった鋼の守りは壊滅した。

 

「自分の攻撃で壊してしまったか。だが後で直せばいい」

 

俺もあくまのきしも動きが止まっているときに、ケッパーがあくまのきしの鎧を切り裂く。胸部の鎧が破損したので、心臓を突き刺せば倒せそうだ。ゆきのへもウォーハンマーで頭を叩き潰す。

 

「おのれ!人間ごときが世界の支配者になってたまるか!」

 

あくまのきしはひたすらに、だが正確に斧を降り下ろす。俺たちは一度後ろに下がり、チャンスを待つ。だが、いつまでたっても攻撃のやむ気配がない。

 

「怒りで我を忘れて、肉体の限界を越えているな」

 

もう何としてでも止めるしかない。狂ったあくまのきしにケッパーは回転斬りを放ち、ロロンドは剣で切り上げ、ゆきのへはハンマーで頭を狙う。

 

「目障りなんだよ!」

 

あくまのきしは力ずくで3人を突き飛ばす。俺は3人が突き飛ばされた後奴が攻撃を再開するまでのわずかな時間にはがねのつるぎを思いきりあくまのきしの心臓に突き刺した。だが、狂った奴は心臓を刺されても10秒くらいは動けるらしい。その間に俺が攻撃を受けるのは確実なので、俺は動けないようにあくまのきしの体を真っ二つにしようとした。だがあくまのきしは斧を降り、俺はすぐに避けるが至近距離だったため、全身を切り裂かれ吹き飛ばされた。傷は深く、俺は意識が朦朧としていた。

 

「雄也よ!大丈夫か!?」

 

ロロンドたちが俺に駆け寄ってくる。あくまのきしは遂に力尽き、青い光になって倒れた。しかし、そこで俺は意識を失ってしまった。




本来は見張り台のところか鋼の守りのところまでエピソード17のつもりでしたが、事情により途中で投稿してしまいました。
そのため今回は前半が町の発展、後半が防衛戦という形になり、結構長くなっています。

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