ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode185 血色の魔法武具

バーベルとダンベルを作った後、俺はマイラの奪還戦に備えて、荒くれたちが集めていたぶあつい肉を食べていた。

腹が減ったままでは、十分な力を発揮出来ないからな。

肉を食べ終えてからしばらく休んでいると、マシンメーカーの前に立っていたアメルダが立ち上がり、話しかけてくる。

 

「待たせちまったけど、ついに出来たよ、雄也!」

 

「ああ、新しい武器を思いついたんだな。さっそく教えてくれ」

 

昨日から考え続けていた赤黒いミスリルを使った強力な武器を、作れるようになったんだな。

まだ昼頃なので、今日のうちにマイラの町を取り戻しに行くことが出来るだろう。

俺はアメルダに、新しい武器の詳しい作り方を聞いていく。

 

「まずは普通のミスリルと同じで、マシンメーカーを使ってエネルギー物質と反応させて、インゴットにするんだ。赤黒いミスリルは、普通のミスリルの時の2倍くらいのエネルギー物質を与えると、最も強くなるみたいだよ」

 

そう言えば、まほうインゴットを作るためにはエネルギー物質も使っていた。

エネルギー物質を作るには、ハンター回路とフレイムドロップ、ブリザードロップが必要だったな。

だが、アメルダは赤黒いミスリルとエネルギー物質の反応について調べていたようなので、すでにエネルギー物質を持っているようだ。

 

「エネルギー物質か…どれくらい持ってるんだ?」

 

「全員分の武器を作れるくらいにはあるはずだよ、アンタに渡しておくね」

 

アメルダは10個くらいのエネルギー物質を取り出し、俺に手渡す。

普通のミスリルを加工する時の2倍必要になるようだが、このくらいあれば足りるだろう。

エネルギー物質を受け取った後、俺は新しい剣とハンマーについて教えてもらった。

 

「結構持ってたんだな…ありがとう、アメルダ」

 

「それで、今回アタシが考えたのは、やみよのつるぎとブラッディハンマーって奴だ。本当はもう少しかっこいい名前をつけたかったんだけど、考える時間がなくてね」

 

確かにマイラの奪還に急がなければいけないし、名前までよく考える時間はなさそうだ。

やみよのつるぎは黒い刀身に赤い刃、ブラッディハンマーは全体的に赤黒いという見た目をしており、俺はアメルダの話を聞きながらビルダーの力で必要な素材を調べる。

どちらも不気味な色をしているが、強力な武器になるのは間違いないはずだ。

 

ブラッドインゴット…ブラッドミスリル3個、エネルギー物質2個 マシンメーカー

 

やみよのつるぎ…ブラッドインゴット1個 マシンメーカー

 

ブラッディハンマー…ブラッドインゴット2個 マシンメーカー

 

血のような赤黒い色をしているから、ブラッドミスリルという名前なのだろう。

他のインゴットと同様に、ブラッドインゴットも一度に5個出来ることになりそうだ。

俺、荒くれ3人、シェネリの分のブラッディハンマー、俺とアメルダの分のやみよのつるぎを作ることを考えると、ブラッドインゴットは12個必要になる。

昨日採掘したブラッドミスリルとアメルダからもらったエネルギー物質だけで作れそうなので、俺はさっそくマシンメーカーのところに向かおうとする。

 

「どうだい、全員分用意出来そうか?」

 

「ああ。完成したらみんなを呼ぶから、少し待っていてくれ」

 

全員分の武器が出来たら、これ以上魔物の強化が行われる前に、マイラの町に乗り込もう。

アメルダはさっき作った道具でトレーニングしている荒くれたちを見に行き、武器の完成を待っていた。

 

マシンメーカーの前に立つと、俺はブラッドミスリルとエネルギー物質を取り出し、ブラッドインゴットを合成していく。

やはり今までのインゴットと同じで、一度に5個作ることが出来た。

最初の5個を作るとまた別の素材を取り出し、次々に合成を進めていく。

 

「ブラッドインゴットは作れたし、次はいよいよ新しい武器だな」

 

15個のブラッドインゴットが出来ると、俺はまたマシンメーカーを使ってやみよのつるぎとブラッディハンマーを作っていく。

合計で7つの武器を作らないといけないが、そんなに時間はかからなかった。

まずは自分の分を作り、それからみんなの分も用意していく。

 

「余ったブラッドインゴットで、銃弾も作っておくか」

 

全員分の武器が完成すると、俺は残った3つのインゴットで、サブマシンガンの弾も作ろうとする。

非常に硬いブラッドインゴットから作った銃弾ならば、遠距離からでもかなりのダメージを与えられるだろう。

またビルダーの力を発動させて、俺はブラッドインゴットから作られる銃弾について調べる。

 

赤魔の弾丸…ブラッドインゴット1個 マシンメーカー

 

赤魔の弾丸も作ったら、アメルダたちに知らせよう。

俺は残ったインゴットに全て魔法をかけて、弾丸に変化させていった。

 

そして、赤魔の弾丸も用意することが出来ると、俺はまず自分用の剣とハンマーをポーチの中にしまい、みんなに呼びかけた。

 

「みんな、新しい武器が出来たぞ!これで、マイラの町を取り戻しに行ける」

 

その声を聞くと、荒くれたちもトレーニングの道具を下ろし、アメルダを先頭に俺のところに近づいてきた。

隠れ場所の部屋の隅で休んでいたシェネリも、武器を受け取りに歩いてくる。

自分の考えた武器が完成し、アメルダは嬉しそうな声で感謝の言葉を言ってきた。

 

「おお、よくやったね、雄也!ありがとうね、アタシが考えた武器を作ってくれて。さっそく見せておくれ」

 

「これがやみよのつるぎだ。荒くれたちとシェネリには、ブラッディハンマーを作った」

 

俺はアメルダにやみよのつるぎを、荒くれたちとシェネリにブラッディハンマーを手渡す。

新たな武器を受け取ったみんなは、それぞれの喜びの声を上げていた。

 

「へえ、うまく出来てるじゃないか。こいつなら、この前倒せなかった魔物にも勝てそうだね」

 

「さすがはアネゴが考えた武器だ…かなり強そうだぜ」

 

「今のわしらの筋肉でも、アジトを取り返せるかもしれぬな」

 

みんなにもマイラの町を取り戻す希望がわいてきたようだし、これから戦いに向かおう。

今日の間であれば、まだ魔物の数もそこまでは増えていないはずだ。

俺は新しい武器を受け取ったみんなに、マイラの町に向かうと言う。

 

「みんな、そろそろマイラの町を占拠した魔物と戦いに行こうと思う。準備は出来てるか?」

 

「もちろんよ!アジトを取り返したら、また温泉に入りましょう」

 

ギエラが最初にそう言って、みんなもそれに続いてうなずく。

確かに温泉はマイラの名物だし、町を取り返したらまた入りに行こう。

だが、俺たちが隠れ場所を出て、町の方向に向かおうとすると、さっきシェネリの隣に座っていたコルトが話しかけてきた。

 

「すいません、一つ聞きたいことがあるのですが。皆さんが戦っている間、僕たちはどこにいればいいですか?」

 

そう言えばコルトのように戦えない人をどうするかも、考えないといけないな。

一緒に戦ってくれと言いたいところだが、マイラを占拠しているのは強敵ばかりだ…無理をさせる訳にはいかない。

だが、だからと言ってここに残しておけば、後で迎えに行くのが大変だ。

 

「俺たちと一緒に町の近くまで来て、物陰に隠れていてくれ。戦いが終わったら呼びに行くぞ」

 

俺は少し考えこんだ後、そう答える。

町の近くには枯れ木や草がたくさんあるので、そこに隠れさせれば良いだろう。

魔物たちを倒したら呼んで、一緒に魔物が作った城の解体や町の再建を行おう。

 

「分かりました。では、一緒に行きましょう」

 

俺とコルトの会話を聞いて、ピリンとヘイザンもマイラに向かうため立ち上がる。

大人数を引き連れていくわけだから、ほしふるうでわの効果で素早く歩くことは出来ないし、より慎重に動かなければいけないな。

だが、それでも1時間くらいでマイラの町までたどり着くだろうから、大した問題ではない。

いよいよ出発しようと思っていると、アメルダが俺に渡したいものがあると言った。

 

「そうだ。忘れてたけど、アンタに渡したいものがあったんだ」

 

このタイミングで渡すということは、戦いに役立つものなのだろうか。

そう思っていると、アメルダは昔俺がマイラで作った持ち運び収納箱から、角のようなものが2本もついた、赤色の車を取り出す。

 

「これは、超げきとつマシンか」

 

「アンタがマイラを去った後、アタシたちも魔物と戦うために使ってたんだ。だけど、これに乗ってがったいまじんを倒したアンタが使うのが、一番ふさわしいと思ってね。魔物が隙を見せたら、こいつで貫いてやりな」

 

ようがんまじんとひょうがまじんを倒すための最終兵器として開発された自動車、超げきとつマシンだ。

そう言えばガロンも、アメルダがこれを使って魔物と戦ったと言っていたな。

マイラを占領した魔物にどのくらいの効果があるかは分からないが、隙があったら使ってみよう。

 

「ありがとうな。それじゃあ、一緒にマイラの町に向かおう」

 

超げきとつマシンを受け取ると、俺たちは置いてあるものを全て回収してポーチにしまい、洞窟の隠れ場所を去っていく。

洞窟から出ると、俺を先頭にしながら体勢を下げて、魔物に見つからないようにしながら北へと向かっていく。

予想通り1時間くらいで岩山のバリケードにまでたどり着き、そこからさらに進んで占拠された町へと歩いていった。


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