ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode183 赤黒き魔法金属

ガロンたちの隠れ場所に着いてからしばらくの間、俺はここまで歩いて疲れている足を休めていた。

そして、隠れ場所に来てから20分くらい経って、足音と女性の声が聞こえてくる。

 

「帰って来たよ、みんな!少し困ったことになっちまった…」

 

「おかえり、アネゴ、ギエラ!実はな…雄也たちが戻って来たぜ!」

 

ミスリルを採掘しにいったアメルダとギエラが、ここに帰って来たみたいだな。

アメルダの声を聞いてすぐに、ガロンは俺たちがマイラに来ていることを教えた。

困ったことというのも気になるが、アメルダたちはその話を聞くと驚いた声を上げて、俺たちのいる空間に駆け込んで来る。

 

「本当かい、ガロン!?生きていたんだね、雄也…!」

 

こんな状況になったので、アメルダたちも俺がどうなっているのか不安だったのだろう。

俺もアメルダたちが生きているとは聞いていたが、実際に声を聞くと安心するな。

アメルダとギエラは隠れ場所の中に入って来ると、嬉しそうな顔で話しかけてくる。

 

「こんな状況になっちまったし、どうなったかと思っていたけど、無事で良かった…久しぶりだね、雄也!」

 

「光のとびらもなくなって、アタシたち心配してたのよ…また会えて嬉しいわ」

 

ギエラの特徴的な口調を聞くのも、かなり久しぶりだな。

荒くれマスクを被った男が女口調で喋り始めた時は、本当に驚いたぜ。

これからマイラの奪還のための話をしなければいけないが、まずは二人に会えたことを喜ぼうと、俺は再会の挨拶をする。

 

「こっちこそ、みんなが無事で良かった。またよろしくな」

 

「よろしくね、雄也。そう言えば、光のとびらがなくなったのに、どうやってマイラまで来たの?」

 

挨拶を交わした後、ギエラはどうやってマイラに来たのかと聞いてくる。

マイラではアメルダが舟を作ったようだが、俺たちも小舟を作ったとは思っていないのだろう。

この世界では今まで、海を渡る手段は旅のとびらか光のとびらしか思いつかなかった訳だしな。

 

「アメルダと同じで、小舟を作ったんだ。今までそれでメルキドとリムルダールをまわって、このマイラにも戻ってきた」

 

「そうだったのかい…ガロンから聞いてるかもしれないけど、アタシたちは見たこともないトロルに負けて、ここに逃げて来ちまった…。奴らが現れる前にも、マイラとガライヤには異変が起こっていたよ」

 

マイラとガライヤでの異変…それも、アレフの行動とルビスの死が原因だろう。

さっきガロンから聞いたこと以外のことも、起こったのかもしれないな。

そう思っていると、アメルダはこの地方で起きていた異変について話し始める。

 

「アタシがマイラに帰ってしばらくした後、急にマイラの火山活動とガライヤの降雪が収まったんだ。最初アタシたちは闇の戦士が倒されて、ひかりのたまが本来の効果を発揮したんだと思っていたけど、ある日突然希望のはたがしおれて、空が灰色になっちまったんだ。その日から、また火山活動と降雪が始まった」

 

マイラの火山活動とガライヤの降雪が収まったということは、アレフはエンダルゴを生み出す時、ようがんまじんとひょうがまじんが残した炎と氷の魔力も集めたのかもしれない。

闇の力だけでなく、炎と氷の力も持っているとなれば、エンダルゴとの戦いは思っている以上に厳しいことになりそうだ。

そんなことも考えながら、俺はアメルダたちにアレフガルドで何が起きているのかを説明した。

 

「もうすぐ平和が訪れると思っていたのに、こうなっちまった…この世界に、一体何が起きているんだい?」

 

「アレフ…闇の戦士がエンダルゴという強大な魔物を生み出して、ルビスを殺したんだ。ルビスの加護を失ったアレフガルドでは魔物の活動に歯止めがかからなくなって、マイラ以外の地域も危機に陥っていた」

 

状況を立て直すことが出来たが、あのままではメルキドもリムルダールも全滅していたことだろう。

エンダルゴとアレフを倒すために力をつけるために再びアレフガルドをまわっていることも、俺は伝える。

 

「それで、みんなが心配なのもあったし、俺はエンダルゴとアレフを倒す準備をするために、もう一度アレフガルドを復興させていたんだ」

 

「そんなことがあったのね…アレフたちを倒さなけれアタシたちに未来はなさそうだし、もちろん協力するわ」

 

マイラのみんながいれば、エンダルゴやアレフに大ダメージを与えられる兵器も開発出来るだろう。

その兵器を開発するためにも、まずはマイラの町を取り戻さなければいけない。

ギエラに感謝の言葉を言った後、俺はさっきアメルダが言っていた困ったことについて聞いた。

 

「ありがとう、ギエラ。そのためにもまずは、マイラの町を取り戻しに行かないとな…さっき困ったことになったと言っていたけど、何があったんだ?」

 

「アタシたちはガライヤにミスリルを採掘しに行ってたんだけど、ミスリルが赤黒い色に変色していてね…歯が立たないほどの硬さになっていたんだ」

 

「まじんのかなづちで思い切り叩いてもびくともしなかったわ…まほうインゴットがなかったら、アジトを取り返すのは無理だわ」

 

オリハルコンや赤い宝石と同様、ミスリルも変色、硬化してしまったということか。

でも、それならまほうの光玉を使えば、採掘できるはずだ。

メルキドでも強力な鉱石を硬化させるという魔物の作戦を逆に利用してメルキドウォールを作って、悠久の竜の攻撃を防いでいた。

硬化したミスリルを使えば、今まで以上に強力な魔法の武器を作ることが出来るだろう。

 

「それなら大丈夫だ…実はメルキドでもオリハルコンという鉱石が硬化していてな、それを採掘するための強力な爆弾を作ったんだ。赤黒いミスリルも、多分採掘出来るぜ」

 

「そうなのか?それなら、今から採掘に向かってくれるかい?アタシも、早くアジトを奪い返したいんだ」

 

マイラでは新たなまほうの光玉を作ることは出来ないが、ポーチの中にメルキドで作ったものがいくつか入っている。

今日はまだ暗くなるまでもう少し時間があるし、赤黒いミスリルを採掘しに行っても大丈夫だろう。

奪われたマイラの町では魔物たちがこちらの技術を利用していることだろうから、早めに奪い返しに行かないとな。

 

「ああ、もちろんだ。ここでしばらく休めたし、採掘に行って来るぜ」

 

「採掘出来たら、アタシが武器を考えるよ」

 

俺はアメルダたちにそう言って、赤黒いミスリルを採掘するために隠れ場所を出ていった。

隠れ場所が魔物たちに見つからないように、洞窟内に魔物がいないか警戒しながら、洞窟の入り口へと向かっていく。

幸い魔物に見つかることなく洞窟を出られたので、俺は慎重に歩きながら西にある海を目指していった。

 

ほしふるうでわをつけていて素早く動けるようになったので、俺は10分もかからずに海へとたどり着く。

地図によるとここからさらに西に進めば、ガライヤに行くことが出来るはずだ。

 

「全員の武器が作れるように、多く集めて来ないとな」

 

全員分の武器を作るためにはかなりの数の赤黒いミスリルが必要になるだろうが、まほうの光玉は広範囲を破壊出来るのですぐに集まるだろう。

俺はポーチの中から小舟を出して、西の方向へと漕ぎ出していった。

ガライヤには、一時間もかからずに着くだろうから、夜までには戻って来れるはずだ。

 

そうして小舟を漕ぎ始めて45分くらい経って、ガライヤの黒い岩山が見えてくる。

アメルダの言う通りガライヤには雪が降っており、かなり寒かった。

 

「ここら辺まで来ると結構寒いな…早めに採掘して戻ろう」

 

ひょうがまじんが残した氷の魔力は、エンダルゴを生み出す時にこの地からなくなったようだが、ルビスが死んだ今では、ひょうがまじんほどの力を持っていない魔物でも気候に影響を与えられるのであろう。

ひかりのたまももうないので、ガライヤはこの先ずっと雪国のままなのかもしれない。

そんなことを考えながら、俺はガライヤの黒い岩山に近づいていった。

そうすると、さっそく血のような赤黒い色に染まったミスリルを見つけることが出来る。

 

「これがアメルダの言ってた変色したミスリルか…メルキドとは違って、海に面した崖のミスリルも変化しているな」

 

メルキドでは海に面した崖のオリハルコンは変化していなかったが、ガライヤのミスリルは全て変化している。

ルビスが死んでからもうだいぶ経っているので、ここにも魔物が来たのだろう。

目に見える場所にあるミスリルは、もう全て変化したのかもしれないな。

俺は小舟を進めて海に面した崖に向かい、ポーチからまほうの光玉を取り出す。

 

「多くのミスリル鉱脈があるし、まほうの光玉で一気に砕こう」

 

そして、土ブロックを使って崖を登り、赤黒いミスリルの鉱脈の前に設置した。

爆発に巻き込まれないように距離をとって、ミスリル鉱脈の様子を眺める。

まほうの光玉は置いてから数秒後に爆発して、まわりの大量の黒い岩も破壊しながら、赤黒いミスリルの鉱脈を砕いていった。

 

「これで変色したミスリルも採掘できたな…新しい武器を作って、マイラを取り戻そう」

 

赤黒いミスリルは恐らくダークハルコンと同じくらいの硬さなのだろう…鉱脈が砕かれ、赤黒いミスリルがたくさん転がっていた。

俺は赤黒いミスリルを全て拾って、ポーチにしまっていく。

まほうの光玉は爆発範囲が広く、ここだけで10個以上集めることができた。

 

「早く戻らないと夜になるし、洞窟に戻るか」

 

恐らく全員分の武器を作れるだろうし、ここに長居していたら日暮れが来てしまう。

俺は再び小舟を漕ぎ始めて、マイラの荒野へと向かっていった。

また45分くらい小舟に乗り続け、降りてからは10分くらい歩いてみんなの隠れ場所に戻っていく。

 

洞窟の隠れ場所に戻ってきた時には、もう夕方になっていた。

マイラの町を奪還しに行くのは、明日以降になりそうだ。

また入り口の狭い通路を通っていき、みんなの待つ小部屋へと入っていく。

そこに戻って来ると、さっそくアメルダが嬉しそうな声で話しかけてきた。

 

「おお、雄也、戻って来たんだね。赤黒くなったミスリルは、採掘出来たかい?」

 

「まほうの光玉を使えば、壊せないことはなかった。これを使って武器を作れば、マイラの町を占拠している魔物も倒せると思うぜ」

 

これでまほうインゴットの上位版のような物を作れば、フレイムとブリザードが合体した魔物にもダメージを与えられるだろう。

非常に高い威力になるだろうから、巨人系の魔物にも大ダメージを与えられるはずだ。

赤黒いミスリルが採掘出来たことを伝えると、アメルダは一晩かけて新たな武器を考えると話した。

 

「よくやったね、雄也。アタシは明日までに新しい武器を考えるから、採掘したミスリルを見せておくれ」

 

「分かった。どんな武器になるかは分からないけど、楽しみにしてるぜ」

 

俺はポーチから赤黒いミスリルを一つ取り出して、アメルダに見せる。

アメルダが武器を思いついたら、俺のビルダーの力を使ってみんな分も作らないとな。

アメルダに赤黒いミスリルを渡した後は、俺は明日に備えて、小部屋の中で休んでいた。


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