ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode174 病毒の大魔導師

俺はだいまどうたちに気づかれないようにしながら、暗黒魔導の拠点の広間に入っていき、一番近くにいただいまどうの背後に迫る。

やはり奴らは幻影で隠されたこの場所に人間が来るとは思っていないようで、警戒はしておらず、静かに近づけば見つかることはなかった。

確かにさっきだいまどうを見つけていなければ、この場所の発見は困難を極めただろう。

 

俺はだいまどうの真後ろに近づくと、背中に向かって思い切りおうじゃのけんを突き刺す。

突然背後から攻撃を受けて、奴は大きく怯んだ。

 

「突然どうしたんだ?」

 

「何者だ!?」

 

他の2体のだいまどうも、拠点に敵が入ってきたことに驚いている。

だが、俺はだいまどうの後ろに隠れているので、まだ姿を見られていない。

戦闘になる前に1体でも倒しておこうと、俺は怯んだ奴に左腕のビルダーハンマーも叩きつけた。

それでもまだ倒れないが、俺はだいまどうを連続で攻撃していく。

そして、奴が倒れて青い光に変わると、他の2体が俺の姿を見て睨みつけて来た。

 

「貴様は、ビルダー…なぜここに…!?」

 

「ここは人間ごときが入っていい場所ではない!」

 

こいつらも一目見て気づくほど、俺のことを知っているようだな。

 

「リムルダールの町を復興させるために、暗黒魔導を倒しに来た。この先に、奴がいるんだろ?」

 

「その通りだ。だが、貴様を通す訳にはいかない!」

 

この奥にいる暗黒魔導を倒して、リムルダールの2度目の復興を成し遂げたい。

だが、やはりこの2体のだいまどうを倒さなければ、そこまでたどり着けなさそうだ。

だいまどうたちは杖を構えて、俺に魔法で攻撃しようとして来る。

 

「暗黒魔導様の元に着く前に、貴様は焼き尽くされるのだ、メラミ!」

 

奴らはメラミの呪文を唱えて、大きな火球を放って来た。

かなりの近距離だったが、俺は大きくジャンプして火球をかわす。

ジャンプした後俺はすぐに立ち上がって、片方のだいまどうに近づいていった。

 

「近づきさえすれば、簡単に倒せるはずだぜ」

 

メラミを詠唱している間に近づかれ、だいまどうは杖で俺の攻撃を防いで来る。

だが、このだいまどうはさっき町を襲った奴より力は弱く、押し返すことが出来そうだった。

おそらくはだいまどうの中でも強力な個体が、町を潰しに行ったのだろう。

俺は両腕で奴の杖を弾き返し、体勢を崩させようとする。

 

「くっ…ビルダーめ!」

 

「あんたたちも倒して、暗黒魔導も倒しにいってやるぞ!」

 

だいまどうも少しは耐えたが、俺はさっきの指輪の効果でいつも以上の力が出せる。

腕に力をこめていくと、奴はついに耐えきれなくなり、倒れて動けなくなった。

動きが止まったところを、俺は何度も斬り裂いていく。

もう片方のだいまどうも殴りかかって来たが、俺はそちらの杖も弾き返していった。

 

「貴様、まだ絶望に屈さないとは…!」

 

2体ともが体勢を崩すと、俺は両腕に力を溜めていく。

攻撃力上昇の指輪のおかげで、回転斬りの威力もいつも以上になりそうだった。

 

「回転斬り!」

 

高威力の一撃を受けて、だいまどうたちは青い光に変わっていく。

これで3体ともだいまどうを倒せたし、暗黒魔導を倒しに行けるな。

 

「だいまどうたちは倒れたか…暗黒魔導を倒して、町に生きて帰らないとな」

 

暗黒魔導を倒し、邪毒の病の病原体を解析出来れば、邪毒の病の薬を作れるし、リムルダールの2度目の復興に大きく近づくだろう。

俺は武器を構えたまま、拠点のさらに奥へと進んでいく。

通路は一本道であり、すぐに最深部の空間にたどり着くことが出来た。

 

最深部の空間はかなりの広さがあり、奥には宝箱と邪毒の病の病原体と思われる黒い塊があった。

そして、黒い塊の前には黒紫の布を纏い、先端に大きな紫色の宝玉が埋め込まれた杖を持った、禍々しいだいまどうがいる。

おそらくこいつが、リムルダール壊滅の元凶、暗黒魔導なのだろう。

暗黒魔導は黒い塊に魔法を唱え、リムルダール中に邪毒の病を振り撒いているようだった。

 

「まさかリムルダールの惨状を見てまで、我らに抗い続けるとはな…」

 

広い空間に入って行くと、暗黒魔導は魔法の詠唱を止めて、俺の方を振り向く。

奴の顔は普通のだいまどうと変わらないが、禍々しい雰囲気がするな。

 

「あんたが暗黒魔導か。確かにリムルダールが壊滅していたのには驚いたけど、俺はアレフガルドの復興をやめる気はないぞ」

 

「いかにも、我は暗黒魔導。エンダルゴ様より力を授かった、かつてだいまどうだった者だ。それが不可能だと、分かっているのにか?」

 

1度はリムルダールの全滅も考えてしまったけど、各地をまわって探し続け、みんなを助けることが出来た。

それに、メルキドの2度目の復興は達成出来たんだし、リムルダールの復興を成し遂げること不可能ではないはずだ。

 

「メルキドの悠久の竜も倒せたんだ。あんたを倒して、邪毒の病の薬を開発することも出来るはずだ」

 

「ルビスもひかりのたまももうない…もう2度と、貴様らの望む平和な世界など訪れないのだぞ」

 

確かにルビスとひかりのたまが消えたことで、かつて俺たちが望んでいた平和な世界が訪れる可能性は消えてしまった。

だがそれでも、このまま人々が死んでいくのを見過ごす訳にはいかない。

 

「例え平和な世界が訪れないにしても、このまま町が滅ぼされるのを見過ごしたくはない」

 

「そうか…、やはりビルダーは厄介だな。…ならば、我が手で葬ってくれよう」

 

俺がアレフガルドの復興を続ける意志を示すと、暗黒魔導は杖を構えてそう言う。

俺も奴に両腕の武器を向けて、戦いに備えた。

 

「こっちこそ、あんたを倒してリムルダールに生きて帰ってやるぜ」

 

「来い、ビルダー!貴様を焼き尽くし、灰をエンダルゴ様に献上しよう!」

 

暗黒魔導は元がだいまどうであり、攻撃力や防御力は滅ぼしの騎士や悠久の竜より低いだろう。

さらに、邪毒の病を振り撒くのに魔力も消耗したので、魔法も十分には使えないはずだ。

しかし、それでも強敵には変わりないので、注意して戦おう。

岩山の洞窟の最深部で、俺と暗黒魔導の戦いが始まった。

 

俺と暗黒魔導の間には、まだかなりの距離があった。

奴は遠くにいる俺を焼き尽くすために、魔法を詠唱し始める。

普通のだいまどうよりはるかに大きな火球を、俺に向けて放って来た。

 

「これがかわしきれるか!?メラゾーマ!」

 

こいつも竜王と同じで、メラゾーマの呪文を使えるようだ。

竜王の物よりも威力が高そうであり、防御力上昇のアクセサリーがあるとは言え絶対にくらってはいけないな。

まだ暗黒魔導とは距離があるので、俺は走りながら避けていった。

詠唱している間に、俺はだんだん奴に近づいていく。

 

「さすがはビルダー、1度は避けたようだな…だが、連続で放たれればかわしきれまい!」

 

暗黒魔導は闇の戦士ほどではないとは言え、詠唱速度が早いので、少しずつしか近づいて行くことが出来ない。

走って火球をかわしきれないほど近づくと、ジャンプも使っていった。

体力を消耗しないように、1度の詠唱時間に出来るだけ近づいていく。

奴の至近距離に入ると、俺はおうじゃのけんとビルダーハンマーを振り上げて、思い切り叩きつけた。

 

「結構強力な魔法だったけど、何とか近づけたな」

 

「近づいたところで、貴様が我に勝つことは出来ない!」

 

暗黒魔導も俺の動きを見て呪文の詠唱を止め、すぐに杖で受け止める。

だが、攻撃力はそこまで高くはないだろうし、両腕の力で押し切れるはずだ。

俺は両腕の力をこめて、奴の杖を弾き落とそうとしていった。

 

「くっ、結構重いな…!押し切れないか…」

 

しかし、暗黒魔導は俺の攻撃に耐えて、逆に俺を弾き返そうとする。

 

「これがエンダルゴ様から賜った力だ。我に触れることも出来ずに、灰になるがいい!」

 

滅ぼしの騎士などよりは低くても、かなりの攻撃力はあるようだな。

攻撃力上昇の指輪があっても、押し切るのは結構難しそうだ。

今は無理に力を入れようとはせず、ジャンプして奴の側面にまわろうとした。

変異体は攻撃力や耐久力は上がっても、素早さは変わらないので、杖を避けた後に暗黒魔導の横腹に攻撃を当てることが出来る。

 

「押し切れなくても、何とか攻撃してやるさ…!」

 

振り下ろされる杖をかわして、一瞬の隙に俺は奴の横に動いて、おうじゃのけんを叩きつける。

次の攻撃も確実にかわして、ビルダーハンマーで頭を殴りつけた。

 

「素早さも大したものだな…しかし、その程度の攻撃で我は倒せん!」

 

暗黒魔導も全く怯まず、杖での攻撃を続けてくる。

確かに変異体である奴にとっては、伝説の武器とは言え2発の攻撃くらい痛くも痒くもないだろう。

しかし、数十回攻撃を当てれば、確実にダメージを与えられるはずだ。

俺は暗黒魔導の杖を見ながら動いていき、何度も攻撃を叩きつけていった。

 

「まだ避けられるのか…ビルダーめ…!だが、いい加減己の無力さを知れ!」

 

連続で攻撃を受けると、暗黒魔導も少しは弱って来る。

俺の体力もまだあるので、このまま攻撃を続けられそうだと思っていると、奴はそう言ってきた。

奴は俺への攻撃を1度やめて、全身に力を溜め始める。

呪文を唱えている訳ではないようだが、何をして来るのだろうか。

 

「呪文じゃないな…何を使って来るんだ?」

 

暗黒魔導には大きな隙が出来ているが、俺は奴から少し距離を取る。

おそらくこの後に、強力な攻撃を放って来るのだろう。

そして、力が最大まで溜まりきると、暗黒魔導は力を解放し、辺りを薙ぎ払った。

 

「滅ぼしてくれる!」

 

俺の回転斬りとほぼ同じ動きであり、広範囲に闇の刃が放たれる。

闇の刃は俺の立っていたところまで到達し、俺は両腕の武器で受け止めた。

だが、離れていてもとても攻撃力が高く、直撃は防げたものの尻もちをついてしまう。

 

「くっ…かなりの範囲だな…これは、回転斬り…?」

 

「アレフ様から聞いた、貴様の大技だ。この体になってからは、こんな技も使えるようになったのだ」

 

アレフというのは、闇の戦士の事だろう。

あいつは俺やルビスと戦った後、魔物たちにそのことを教えていたのか。

強力な攻撃である回転斬りを、まさか暗黒魔導が使うとは思っていなかったな。

体勢を崩した俺に向かって、奴はさらなる追撃を加えようとする。

 

「さあ、灰にしてやる!ベギラゴン!」

 

今度は広範囲のベギラゴンの呪文で、俺を焼き払おうとして来た。

闇の戦士よりも詠唱時間は長いが、早く避けなければ助かっても火傷は免れないだろう。

俺は痛む体で立ち上がり、大きくジャンプする。

それでも避けきれるか分からないので、俺は着地した後、さらに遠くへと動いた。

 

「いくら回避しても無駄だ、もう諦めろ!」

 

すると、何とかぎりぎりのところで、ベギラゴンの炎に焼かれずに済んだ。

だが、暗黒魔導は攻撃の手を緩めず、近づいてきて杖で殴りかかって来る。

3連続で大ジャンプすることも出来ず、俺は両腕の武器で杖を受け止めた。

 

「杖も魔法も結構強いけど、俺も負けるつもりはないぜ…!」

 

飛びかかって来る攻撃なのでさっきより重く、肩が外れそうになってしまう。

弾き返すことは出来そうにないので、俺は力をこめて耐えた後、さっきのように横にまわって斬りかかっていった。

俺も少しは体力を消耗しているが、まだ奴の動きに対応出来る。

暗黒魔導はやはり耐久力は他の変異体より低いようで、確実に弱らせることが出来ていた。

 

「我をここまで…!ならば、もう1度大技を受けるがいい!」

 

奴の攻撃速度も、少しは落ちて来ている。

攻撃を受け続けた暗黒魔導は、もう一度回転斬りを放って俺を倒そうとして来た。

さっきよりも強い力を腕に溜めていき、俺の体を引き裂こうとして来る。

溜め時間も長いが、範囲はものすごく広いものになりそうだ。

 

「遠くまで離れないと、まずいな…」

 

俺は全速力で走って、この暗黒魔導の間に入る時に通った通路に向かっていく。

奴が回転斬りを放とうとした瞬間、俺はさらに大ジャンプして、闇の刃を避けようとした。

 

暗黒魔導が放った闇の刃は、大きな空間の全てを薙ぎ払うほどの広範囲の攻撃だった。

だが、俺は通路に逃げることで回避し、すぐに立ち上がることが出来た。

 

「なんとか避けられたか…今のうちに、また奴に近づこう」

 

回転斬りの後には隙が出来る…それは暗黒魔導であっても例外ではないようだ。

俺は今のうちに奴に再び近づこうと、大きな空間の中に走っていった。

暗黒魔導はかなりの力を消耗したようで、体勢を立て直すのにも時間がかかっている。

 

「まさか避けきるとは…だが、我の手に入れた力は、これだけではないぞ!ドルモーア!」

 

しかし、俺が至近距離にまで近づく前に暗黒魔導は動きを再開し、今度はドルモーアの呪文を唱え始めた。

さっきのメラゾーマのようにジャンプで避けるが、俺の体力も減って来ている。

直撃は避けられたものの1度闇の爆風に当たり、背中に激痛が走った。

でも、防御力上昇の竜の鱗のアクセサリーのおかげか、倒れ込むほどの衝撃にはならなかった。

 

「これも厄介な攻撃だけど、俺もまだ倒れないぜ」

 

暗黒魔導と戦いに来る前に、指輪と竜の鱗を手に入れられてよかったぜ。

近づいていくと、暗黒魔導はまた回転斬りを使って、俺を薙ぎ払おうとして来る。

広範囲の攻撃を何度も避けていれば、俺の体力もさすがに尽きてしまうな。

 

「何度近づいたところで無駄だ!」

 

だが、さっきまでの攻撃で暗黒魔導も確実に弱ってはいるはずだ。

ここで飛天斬りを当てれば奴を怯ませて、回転斬りを止められるかもしれない。

 

「飛天斬りを使ったら、止められるかもしれないな」

 

俺は暗黒魔導の至近距離に接近し、両腕に全身の力を溜めていく。

奴の攻撃は強力だが、力を溜めるのにかかる時間は俺の方が短かった。

おそらく、回転斬りを使った回数が少なく、まだ慣れていないからだろう。

そして、俺は奴が攻撃を放つ直前に大きく飛び上がり、垂直に両腕の武器を叩きつける。

 

「これはあんたが知らない技…飛天斬り!」

 

渾身の一撃を受けて、暗黒魔導は大きく怯んだ。

奴が体勢を崩したところで、俺はもう回転攻撃が使えないように杖を弾き飛ばし、遠くに投げ捨てる。

杖を飛ばした後、俺は動きを止めている暗黒魔導に次々に攻撃していった。

変異することで得た高い生命力を、残らず削りとっていく。

 

「おのれ…ビルダーめ…!何が何でも、貴様は焼き尽くしてくれる…!」

 

奴も生命力が尽きる前に立ち上がり、俺に反撃しようとして来た。

杖を失った暗黒魔導は自分を巻き込んでまで俺を倒そうと、炎の魔力を集中させ始める。

そして、自身の目の前に立っている俺に向かって、超巨大な火柱を叩きつけた。

 

「消え去れ!メラガイアー!」

 

メラ系の最上級呪文、メラガイアーだ。

暗黒魔導も弱っているとは言え非常に強力であり、何とか回避しようと残った力で大きくジャンプする。

だが、洞窟の天井を突き破るほどの威力であり、俺も完全にはかわしきれなかった。

足に大きな火傷を負い、激しい痛みに襲われる。

でも、暗黒魔導自身も火柱に巻き込まれて、動けなくなっていた。

 

「まだ仕留めきれなかったか…しぶとい奴め…!」

 

「くそっ、最後にこんな大技を撃って来るなんてな…」

 

暗黒魔導は何とか体勢を立て直し、俺が投げ捨てた杖を拾いに行こうとする。

杖を拾われてまた回転攻撃でも放たれれば、今度こそ避けられない。

俺は奴の動きを止めるために焼けた足で立ち上がり、背後から斬り裂いていった。

今までの戦いで、傷んだ足で動くことには慣れている。

 

「強敵だったけど、これで終わりだ、暗黒魔導!」

 

もう瀕死になっていた暗黒魔導は背後から攻撃に対応出来ず、また大きく怯む。

怯んだところで俺は、おうじゃのけんで奴の体内を深く斬り裂き、ビルダーハンマーで頭を叩き潰していった。

そして、リムルダールを壊滅させ、邪毒の病を振りまいた暗黒魔導は、ついに青い光に変わっていく。

 

「我を倒したところで、もうリムルダールに未来はない…」

 

奴は死に際に、そう言い残して消えていった。

 

暗黒魔導を倒すと、俺は両腕の武器をポーチにしまう。

痛みを和らげるためにまた白花の秘薬を飲んだ後、俺は邪毒の病原体と宝箱を調べにいった。

 

「魔力を消耗していたはずなのに、かなりの強敵だったな」

 

今までの変異体と同様強敵であったが、何とか倒すことが出来た。

これで邪毒の病の治療薬も見つけることが出来れば、リムルダールの2度目の復興は達成だな。

俺は邪毒の病原体を手に入れると、ポーチにしまう。

 

「これをゲンローワに見せて、解析してもらおう」

 

邪毒の病の原因となる毒素の塊とは言え、暗黒魔導の魔力がなければ周囲に広がることはないので、町に持ち込んでも大丈夫そうだ。

俺は邪毒の病原体を手に入れると、奥の宝箱も開けに行く。

そこには、かつてリムルダールで使っていた、3つの旅のとびらがあった。

 

「旅のとびらか…これがあったら移動が便利だし、持ち帰ろう」

 

便利な道具だから、魔物たちは破壊せずに回収したのだろう。

今は小舟があるので旅のとびらがなくてもアレフガルドのどこにでも行けるが、あった方が時間の短縮になるな。

素材集めがしやすくなるし、また町の中に設置しておこう。

俺は3つの旅のとびらも手に入れると、洞窟を出て海に向かい、小舟を漕ぎ出していった。

 

1時間半くらい小舟を漕いで俺はリムルダールの町の東の岩山にたどり着き、そこから岩山を登って町に帰っていく。

町に戻って来た頃には、もう午後の3時くらいになっていた。

明日までに、邪毒の病の治療薬が出来るといいな。

俺はそう思いながらゲンローワに邪毒の病原体を見せに行くために、調合室に入っていった。

 

「ゲンローワ、邪毒の病の病原体を手に入れて来たぞ。暗黒魔導も、そこで倒してきた」

 

「おお、よくやったのじゃ、雄也よ!これでもう町は壊されないじゃろうし、薬の開発も早まるじゃろう。本当に、本当によくやったのじゃ…!」

 

俺はそう言いながら邪毒の病原体を取り出し、ゲンローワに見せる。

暗黒魔導が倒れたこと、邪毒の病の薬が作れること、俺が生きて戻って来たこと、たくさんの嬉しい出来事が起こり、彼はとても嬉しそうな顔をしていた。

みんなを悲しませずに済んだし、生きて帰って来ることが出来て良かったな。

後どのくらいで、邪毒の病の薬を作れるのだろうか?

 

「これならどのくらいで、薬を作れるんだ?」

 

「遅くても明日には、薬が作れるようになるはずじゃ。薬の作り方を思いつけたら、すぐに教えに行くぞ」

 

明日に出来るのなら、ノリンたちが助かる可能性も高いな。

今日は暗黒魔導との戦いを癒して、明日邪毒の病の薬を作ろう。

 

「分かった。頼んだぞ、ゲンローワ」

 

俺はゲンローワにそう言うと、町の中に3つの旅のとびらを置いた後、寝室に戻っていった。

寝室で休んでいる間、リムルダールの2度目の復興を達成したら、今度はマイラにも行こうと考えていた。


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