ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode173 邪毒の中心地

キースドラゴンは近づいて来ると、俺に向かって毒の息を吐き出して来る。

ゴールデンドラゴンや悠久の竜に比べれば威力の範囲も小さいが、くらうと危険だな。

俺は大きく横に飛び、毒の息を回避した。

息を回避すると、俺は奴の前足へと近づいていき、両腕の武器を叩きつける。

 

「攻撃範囲も肉質も、そんなに強くはないな」

 

キースドラゴンは肉質もそんなに固くはなく、伝説の武具で大きなダメージを与えることが出来た。

奴も爪を振り下ろして俺を斬り裂こうとするが、悠久の竜のような連続攻撃は使えない。

俺は爪での攻撃も確実にかわして、前足への攻撃を続けていく。

キースドラゴンが追い詰められると、俺はおうじゃのけんを思い切り振って、奴の足を切り落とした。

 

「足が斬れたな…今のうちにとどめをさそう」

 

キースドラゴンは足を失うと、体勢を崩してその場に倒れ込む。

もう弱っているので、起き上がるにも時間がかかりそうだった。

早くエルたちを助けにいきたいし、体勢を立て直される前に倒さないとな。

俺はキースドラゴンの頭に近づくと、おうじゃのけんを深く突き刺す。

 

「ビルダーめ、悠久の竜を倒しただけのことはあるな…だが、貴様に我らは止められん」

 

しかし、奴にとどめを刺そうとしているところに、だいまどうが杖で殴り掛かって来た。

メラミを使えばキースドラゴンを巻き込むので、近接攻撃を行って来たのだろう。

これではキースドラゴンを倒せないが、だいまどうは魔力に特化した魔物なので、近接戦闘は苦手なはずだ。

俺は左腕のビルダーハンマーを使って、奴を弾き返そうとした。

 

「このだいまどう…結構攻撃が重いな…」

 

だが、このだいまどうはかなり力も強いようで、なかなか弾き返せない。

キースドラゴンも剣を刺されながらも、起き上がろうとしていた。

起き上がられても倒すことは出来るだろうが、みんなを助けに行くのが遅くなってしまうな。

俺はだいまどうの動きを止めるために、左腕に残った全身の力をこめていく。

 

「でも、何とか押し返してやるぜ!」

 

それでもだいまどうはかなり耐えたが、だんだん苦しそうな顔に変わっていった。

そして、キースドラゴンが起き上がる前に、奴はついに力尽きて、地面に強く頭をぶつける。

そろそろ体力の限界なので、俺も一緒に倒れ込みそうになったが、何とか体勢を保って、キースドラゴンの体内をえぐっていった。

頭の中を斬り裂かれて、奴は生命力が尽きて倒れていく。

 

「キースドラゴンを倒せたな…だいまどうも一緒に倒しておこう」

 

キースドラゴンは倒れると、大きな竜の鱗のようなアクセサリーを落とした。

役立つかもしれないので拾っておきたいが、魔物たちを全て倒してからにしよう。

俺は崩れ落ちているだいまどうに近づき、両腕の武器を次々に叩きつけていく。

奴は防御力は低いので、すぐに体力を削っていくことが出来た。

だいまどうが倒れると、俺はグールと戦っているゲンローワの方を見る。

 

「グールも倒してから、ゲンローワと一緒にエルのところに向かうか」

 

グールはなかなか死なず、腕で殴ったり毒を吐いたりして攻撃していた。

ゲンローワも体力の限界が近いし、このままだと攻撃を受けてしまうかもしれないな。

エルたちを一緒に助けるためにも、俺はゲンローワと戦っているグールの背後に迫る。

そして、両腕に力を溜めながら飛び上がり、垂直に武器を叩きつけた。

 

「飛天斬り!ゲンローワ、こいつを倒して、一緒にエルたちを助けに行くぞ!」

 

「分かったのじゃ。二人がかりなら、こやつもすぐに倒れるはずじゃ」

 

二刀流での強力な一撃を受けて、グールはかなり弱ったはずだ。

奴は素早く腕を振り回して俺を殴ろうとして来るが、ゲンローワが両腕でメタルのけんを持って防ぎ、攻撃の隙を作る。

 

「わしが両腕で攻撃を防ぐから、お主が弱らせてくれ」

 

攻撃の隙が出来たところで、俺はグールにさらなる攻撃を叩きこんでいった。

ゾンビ系の魔物は耐久力が高いが、奴は次第に弱っていく。

瀕死になって来たのを見て、俺はもう一度飛天斬りを放った。

 

「もう一度だ、飛天斬り!」

 

飛天斬りを2度も受ければ、グールといえども耐えられない。

グールは倒れると、金色に輝く指輪のような物を落とした。

これも役立つかもしれないし、みんなを助けたら拾いに行こう。

みんなの中でも、やはりメタルのけんを持っていないエルが苦戦しているようだった。

 

「やっぱりエルは苦戦しているみたいだな…さっそく助けに行くぞ」

 

「もちろんじゃ…共に行こう!」

 

イルマたちは攻撃を受けながらも、キラークラブやまかいじゅを追い詰めている。

だが、やはり聖なるナイフでは硬い甲殻や樹皮を貫くことは難しいようで、エルは2体のキラークラブとまかいじゅに囲まれ、いくつもの傷を負っていた。

救援にいかなければ、魔物たちに殺されてしまうかもしれない。

エルはリムルダールの大事な仲間だし、ゲンローワにとってはたった1人の孫娘だ…必ず助け出してやらないとな。

 

「俺はキラークラブを倒すから、ゲンローワはまかいじゅと戦ってくれ」

 

俺はゲンローワにそう指示を出した後、エルと戦っているキラークラブたちの背後に近づき、また腕に力を溜めていく。

何度も攻撃を受け止めたりして、腕の力ももう残り少ないが、強力な一撃を与えてキラークラブの甲殻を砕けば、聖なるナイフでもダメージを与えられるようになるはずだ。

俺は力が溜まりきると、両腕で辺りを薙ぎ払い、奴らの甲殻を粉砕していった。

 

「回転斬り!…大丈夫だったか、エル?」

 

奴らの硬い甲殻に武器を叩きつけると、俺の腕だけでなく身体中に痛みが起こる。

しかし、それでも俺は動きを止めず、甲殻を打ち砕いていった。

ゲンローワもまかいじゅの樹皮にメタルのけんを突き刺し、体内を引き裂いていく。

 

「わしの孫娘を傷つけおって…お主、許さぬのじゃ!」

 

「助かりました!ありがとうございます、雄也様、ゲンローワ様!」

 

背後から突然強力な攻撃を受けて、キラークラブもまかいじゅも大きく怯んだ。

危機的状況を脱して、エルは俺たちに感謝の言葉を言う。

そして、体勢を立て直す前に倒そうと、俺とゲンローワは奴らへの攻撃を続けていった。

キラークラブは耐久力が高いので俺1人で早く倒すのは難しいが、甲殻が砕けたことで、エルの聖なるナイフも通るようになっている。

 

「殻が壊れたようですし、私もナイフで援護し続けますね」

 

エルは俺に当たらないようにしながら、正確にむき出しになった奴らの体内へ、聖なるナイフを投げつけていった。

リムルダールでもラダトームでも、本当にエルの投擲攻撃には助けられたな。

もろい内臓を次々でナイフで刺され、キラークラブはどんどん弱っていった。

奴らが追い詰められたところで俺も思い切り武器を叩きつけて、とどめを刺していく。

 

「弱っているし、これで終わりだな…!」

 

内臓をやられたところにさらなる攻撃を受け、奴らは青い光を放って消えていった。

ゲンローワもまかいじゅを弱らせており、もうすぐ魔物たちを全て倒すことが出来るな。

 

俺はエルを助けた後、まだ魔物と戦っているイルマのところに向かった。

イルマはメタルのけんで多くの魔物を倒しているが、まだ2体のまかいじゅが残っている。

でも、そのまかいじゅも弱っており、回転斬りを当てれば倒すことが出来そうだ。

俺は奴らの後ろから近づいていき、体中の力を両腕にこめていく。

 

「回転斬り!イルマ、助けに来たぞ!」

 

俺の力が限界だからか、回転斬りを当ててもまだまかいじゅたちは倒れなかったが、大きく怯んで動かなくなった。

瀕死なのは間違いないだろうし、二人でこのまま倒すことが出来そうだな。

 

「援護ありがとう、雄也さん!今のうちに、魔物たちを倒そう!」

 

「奴らも確実に弱ってるし、行くぞ!」

 

まかいじゅの動きが止まったのを見て、俺とイルマは奴らに連続攻撃を叩きこんでいく。

ゲンローワはもう戦っていたまかいじゅを倒し、ミノリも自分を囲んでいた魔物を全て倒し、エルと共にエディの救援に向かっていた。

かなりの数の魔物だったが、みんなで生きて町に帰ることが出来そうだ。

俺たちは力を出し尽くして、残っている魔物たちを斬り刻み、倒していった。

 

町を襲った魔物が全て倒れると、俺はさっきグールとキースドラゴンが落とした、アクセサリーを拾いに行こうとする。

 

「これで魔物は全部倒れたか…あいつらが落としたアクセサリーを拾ったら、暗黒魔導を倒しに行こう」

 

今回の戦いでかなり体力を消耗してしまったが、今日はまだ休む訳にはいかない。

暗黒魔導を倒しに行くために、俺はポーチから白花の秘薬を取り出し、歩きながら飲んだ。

白花の秘薬でもすぐに傷が回復する訳ではないが、痛みは治まり、戦いでも普段と同じくらいの力を出せるようになるだろう。

魔物たちが落としたアクセサリーを拾うと、俺はさっそく装備してみる。

 

「指輪をはめた瞬間、力が湧いてきたな…暗黒魔導との戦いにも役立ちそうだぜ」

 

すると、それぞれ攻撃力と防御力を高める効果のあるアクセサリーのようで、指輪を装備すると力が湧いてきて、大きな竜の鱗を装備すると体が頑丈になった気がした。

暗黒魔導はかなりの強敵だろうが、これで勝てる可能性が上がったな。

アクセサリーを装備している間には、イルマの心配そうな声も聞こえてきた。

 

「魔物には勝ったけど、昨日の夜、ザッコが別れを告げてくる夢が見えたな…」

 

日に日に弱っていく友達を見て、イルマはついにそんな夢を見るようになったのか。

ザッコの症状がこれ以上悪化しない為にも、暗黒魔導を倒しに行かないとな。

暗黒魔導を倒したら、ゲンローワが薬を考えるのを待とう。

だが、ゲンローワは俺に近づいて来て、薬の開発に行き詰まっていると言ってきた。

 

「実は雄也よ…わしは、邪毒の病の薬の開発に行き詰まっておるのじゃ…。決して不可能ではないのじゃが、少なくとも後1週間はかかりそうじゃ」

 

ノリンたちの症状を見ると、長くても数日しか持たないだろう。

1週間もかかれば、今日発症したコレスタたちも助けられるか分からないな。

何とかして、早く薬を作ることは出来ないのだろうか。

 

「一週間か…何とかして、それより早く作ることは出来ないのか?」

 

「邪毒の病を発生させている毒素の、詳しい成分が解析出来れば、すぐに薬を作れるはずじゃ。しかしのう、解析可能な量の毒素の塊など、暗黒魔導の拠点でもなければないはずじゃ…」

 

毒素の成分を解析出来れば薬が作れるのなら、なおさら暗黒魔導の拠点に行かなければいけなさそうだ。

暗黒魔導の奴を倒すついでに、毒素も探して来よう。

 

「それなら大丈夫だ。これから俺が暗黒魔導の拠点に行ってくる。マロアのおかげで、だいたいの場所も分かってるからな」

 

「じゃが、暗黒魔導は強力な魔物じゃ。竜王を倒したお主でも、苦戦は免れないはずじゃぞ」

 

俺が暗黒魔導の拠点に行くと言うと、ゲンローワは心配そうな顔でそう言った。

確かに奴は変異体の強力な魔物であり、厳しい戦いになるのは間違いないだろう。

だが、暗黒魔導を倒さなければリムルダールの2度目の復興は達成出来ないし、邪毒の病を治療することも出来ない。

 

「それは分かってる…でも、暗黒魔導を倒さないと、リムルダールはまた壊滅してしまう。必ず戻って来るから、心配しないでくれ」

 

「そこまで言うなら、分かった…必ず、生きて戻って来るのじゃぞ」

 

必ず生きて戻ってきて、リムルダールの町をこれからも発展させていきたい。

どんな攻撃を行って来るか分からないが、最大限に気をつけて戦わないとな。

俺はゲンローワと別れると、暗黒魔導の拠点に向かうために、小舟に乗りに行った。

いつも通り魔物から隠れながら、リムルダールの東の岩山を越えていく。

岩山を越えて崖を降り、海にたどり着くと、俺はポーチから小舟を取り出し、暗黒魔導の拠点がある水没した密林に向かっていった。

 

1時間くらい経って、俺の目の前に水没した密林の地域が見えて来た。

マロアのおかげで、暗黒魔導の拠点があるのは密林の近くの岩山だと分かっている。

だから、俺は世界地図を見ながら、岩山の下にある海に面した崖に上陸した。

 

「この辺りに、暗黒魔導の拠点があるはずなんだよな…まずは、海に面した崖を調べて行くか」

 

マロアはこの岩山一帯をまわったが、拠点の入り口を見つけることは出来なかった。

それなら入り口の場所としてまず考えられるのは、人間も魔物も来にくい海に面した崖だろう。

調べにくい場所なら、マロアが見落としてしまった可能性もあるからな。

俺は上陸した地点も含めて、海に面した崖を隅々まで探していく。

今まで幾度となく崖登りをしているので、簡単に崖っぷちを歩いていくことが出来た。

 

「岩山を1周したけど、入り口は見つからないな…」

 

だが、岩山を1周しても、海に面した崖に拠点の入り口を見つけることは出来なかった。

海に面した崖には洞窟らしき物もなく、俺は今度は岩山の上へと登っていく。

岩山の上は地形の凹凸が激しく、ここでもマロアが見落とした可能性はあるだろう。

 

「岩山の上も、隅々まで探してみるか…」

 

ウルスの研究所の近くから密林の近くまで、拠点の入り口やその手がかりがないか細かく探していく。

岩山の上にはたくさんのメイジキメラも生息していたが、隠れながら進んでいった。

今日はまだ午前中なので、ゆっくり探していても大丈夫だろう。

しかし、岩山の上もどれだけ探しても、入り口も手がかりも全く見つけることは出来なかった。

 

「岩山の上にもないのか…やっぱり魔法で隠しているのか…?」

 

ここまで探しても見つからないとなれば、やはり暗黒魔導が拠点の入り口を隠しているのかもしれないな。

奴ほど強力な魔物であれば、そのような魔法を使うことも容易だろう。

もしそうであれば、どうやって見つければ良いのだろうか?

 

だが、そう思いながら崖の下を眺めていると、1体のだいまどうが岩山に近づいているのが見えた。

俺が眺めていたのは、この前マロアを救出した建物の近くだ。

恐らくは暗黒魔導の手下だろうし、これから拠点に向かうのかもしれないな。

俺は尾行して拠点の位置を探ろうとして、奴の動きを観察する。

すると、だいまどうは岩山にある洞窟に入っていった。

 

「あの洞窟の中には、何もなかったはずだけどな…?」

 

この前マロアを探している時に俺も入った洞窟だが、あの時は特に何も見つけられなかった。

だが、だいまどうが中に入ったということは、洞窟内に拠点が隠されている可能性が高いだろう。

俺は崖を降りて洞窟の中に入り、拠点の隠された入り口を探していった。

 

「この洞窟のどこに、拠点の入り口が隠されているんだ?」

 

俺は洞窟の壁を触りもしながら、不自然な場所がないか探していく。

洞窟の入り口近くでは特に何もなく、拠点を見つけることは出来なかった。

しかし、洞窟の一番奥の壁を触った瞬間、俺の腕が壁をすり抜ける。

 

「腕が壁をすり抜けた…?もしかして、この先に暗黒魔導の拠点があるのか?」

 

この壁は魔法で作られた幻影で、本当はこの奥に空間があるようだ。

おそらくその場所が、暗黒魔導の拠点となっているのだろう。

よく調べると人間1人くらいなら余裕で通れるほどの通路があり、俺は幻影の壁を通り抜けて洞窟のさらに奥へと入っていった。

 

「やっぱり暗黒魔導の拠点は、魔法で隠されていたってことか…」

 

隠された通路をしばらく進んで行くと、広めの空間が見えてくる。

そこは魔物の集まり場となっているようで、3体のだいまどうがいた。

さらに奥に進む通路もあり、その先に暗黒魔導がいるのだろう。

だいまどうたちはまさかこの拠点に人間が入って来るとは思ってないのか、警戒心を持っていないようだった。

 

「後ろから襲いかかって、まず1体を倒すか…」

 

だいまどうは防御力は低いので、背後から奇襲すれば1体は簡単に倒すことが出来るだろう。

俺は奴らに気づかれないようにしながら、だいまどうたちの部屋に入っていった。


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