ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode171 止まらない侵蝕

エルたちを救出した翌日、俺はメタルのけんといにしえの調合台の素材を集めるために、水没した密林に向かっていった。

しりょうのきしからさびた金属を集め、鉱脈から銀を採掘していく。

いにしえの調合台にはきれいな水もいるので、浄化のふんすいを作るために必要なじゃり石や密林の葉も集めていった。

一度町に戻って浄化のふんすいを作ると、もう一度密林へと向かっていく。

町にあった水場は黒い毒沼と化しており、きれいな水は入手できないからな。

密林できれいな水も集めると、俺は木の作業台でいにしえの調合台を作り、みんなの分のメタルのけんも作っていく。

これでまた一歩リムルダールの2度目の復活に近づいたと、俺は思っていた。

 

だが、いにしえの調合台を作り直した翌日、リムルダールに戻って来てから5日目、俺は町に異変が起きているのに気づく。

今日は何をしようかと思いながら町の中を歩いていると、コレスタが倒れているのが見えたのだ。

もしかして、邪毒の病に感染してしまったのだろうか。

俺はコレスタに駆け寄り、声をかけてみる。

 

「コレスタ、どうしたんだ…!?」

 

「体中が火のように熱くて、苦しいんだ…どうやら僕も、邪毒の病になったようだ…」

 

コレスタは体は黒紫色に変化してきており、やはり邪毒の病に感染したようだ。

昔はルビスの加護のおかげで、希望のはたの光の範囲にいれば病になる可能性は低かった。

だが、ルビスがいなくなった今、どこにいても感染する可能性がある。

ひとまず俺はコレスタを病室で休ませようと、背中にかついでいった。

 

「町の中でも、やっぱり感染は防げないのか…部屋の外は寒いだろうし、ひとまずベッドのところに連れていくぜ」

 

「ありがとう、雄也さん…」

 

俺は病室のとびらを開けると、余っていたベッドにコレスタを寝かせる。

これ以上感染者が増える前に、何とか治療薬を作らなければいけなさそうだな。

みんなもコレスタも、それまで生き延びていて欲しい。

 

「もうすぐ薬が出来るから、それまで頑張ってくれ…」

 

俺はコレスタにそう声をかけると、ゲンローワの作業がどのくらい進んだか、聞きに行こうとする。

ゲンローワは昨日俺が作り直した、調合室にいることだろう。

もし俺に手伝えることがあるのなら、精一杯取り組まないとな。

 

しかし、ゲンローワのところに向かう前に、寝室の方からエルの大声が聞こえて来た。

 

「ケーシー様、クロティム様!しっかりしてください!」

 

まさかケーシーとクロティムも、邪毒の病に感染してしまったのか?

二人とも昨日は元気であり、リムルダールの発展に役立ちそうな物を考えていた。

俺は二人のことが心配になり、エルたちのいる寝室に入っていった。

 

「エル、何があったんだ?」

 

寝室ではエルの大声によって、さっきまで寝ていたみんなも起きている。

エルが見つめている方向には、苦しそうな声を上げているケーシーとクロティムの姿があった。

 

「お二人も、雄也様の仰っていた病に感染したようなのです。ベッドの上で、苦しそうな声を上げておられました」

 

俺は寝室を出る時にみんなの様子は見ていなかったが、二人がこんなことになっていたとはな。

ケーシーたちも体が変色して来ており、邪毒の病にかかってしまったようだ。

一日に3人も病を発症するなんて、思ってもいなかった事態だな。

 

「ケーシーたちもか…実はさっきコレスタも、邪毒の病に感染していたんだ。1度に3人も、患者が増えるとはな…」

 

「昨日は皆さん元気だったのに、どうしてこのようなことに…」

 

恐らくは俺たちが町を立て直しているのを見て、暗黒魔導が町に集中して毒素を振りまいたのだろう。

暗黒魔導を早く倒さなければ、リムルダールの町は全滅してしまうかもしれないな。

 

「多分、俺たちが町を立て直すのを止めるために、暗黒魔導が町に集中して病を振り撒いたんだと思う」

 

「暗黒魔導…そこまで私たちを苦しめるなんて…!」

 

俺たちを苦しめ続ける暗黒魔導に対して、エルは今まで以上に強く怒る。

マロアのおかげで大体の居場所は分かっているので、今から出かけて探して来よう。

リムルダールの町を壊滅させるほどの強敵だが、おうじゃのけんとビルダーハンマーの力があれば、決して倒せない相手ではないはずだ。

だが、今はとりあえず、ケーシーたちを病室に運ぶのが先だな。

 

「暗黒魔導の大体の居場所は分かってるから、後で探して、倒しに行ってくる。今はとりあえず、二人を病室に運ぼう」

 

「はい。私は、ケーシー様を連れて行きますね」

 

「ああ。頼んだぞ」

 

エルは返事をすると、ケーシーをかついで病室の方に連れていく。

俺はクロティムを連れて行きたいが、キラーリカントである彼を1人で運ぶのは無理なので、近くにいたエディとミノリに手伝いを求めた。

 

「クロティムは1人では運べない。エディ、ミノリ、手伝ってくれ」

 

「分かった。一緒に行こう」

 

兵士である2人の力もあれば、クロティムを病室まで連れて行けるはずだ。

3人で彼の体を持ち上げて、ノリンたちの寝ている病室に向かっていく。

 

3人ががりでもクロティムの体はかなり重かったが、何とか病室のベッドに寝かせることが出来た。

 

「負担をかけて、すまないな…」

 

「気にしないでいい。薬が出来るまで、今はゆっくり休んでくれ」

 

クロティムは負担をかけたと謝るが、俺たちは気にしていない。

最近町に来たとは言え、大事な仲間なんだし、ゆっくり休んで欲しいな。

クロティムを寝かせたのを見ると、エルは病室の奥の方で寝ていた、ノリンたちの様子について話してくれた。

 

「クロティム様を寝かせられましたか。私はみなさまの様子も見ていたのですが、ノリン様、セリューナ様、ザッコ様は衰弱が激しいようでした…オラフト様とマロア様も、症状が悪化し続けています」

 

5日以上前から邪毒の病に感染しているノリンたちは、もう限界が近いのだろう。

3人とももう、息をするのですらやっとの状態になっていた。

リリパットの中でも力強いオラフトも、このままでは長くは持たなさそうだ。

だが、昨日見た時はここまで症状は悪化していなかったので、これも暗黒魔導が毒素を町に集中させた影響かもしれないな。

 

「そうか…やっぱり、薬の開発と暗黒魔導の討伐を急がないといけないな」

 

ノリンたちのためにも暗黒魔導を倒し、症状の進行を遅らせないといけないな。

俺はこれから密林に向かい、岩山で奴の拠点を見つけに行こうとする。

 

だが、そう思っていたところに、外からゲンローワの大声が聞こえてきた。

 

「お主たち、大変じゃ!わしらの町に、多くの魔物が近づいて来ておる」

 

これから出発しようとしていたところなのに、魔物が襲って来たのか…。

邪毒の病にかからなかった俺たちを、暗黒魔導は始末しようとしているのかもな。

 

「こんな時に襲撃か…何とか倒して、暗黒魔導のところに行かないとな」

 

「はい。患者様を治すためにも、町を壊される訳にはいきません。戦いに向かいましょう!」

 

エルの言う通り、ノリンたちを治療するためにも、この町を壊される訳にはいかない。

俺はポーチからおうじゃのけんとビルダーハンマーを取り出すと、ゲンローワの待っている町の外へと飛び出していった。

エルも敵に投げつけるための、聖なるナイフを持っていく。

魔物が襲って来る方向である町の東に行くと、もう戦えるみんなが集まっていた。

 

「クロティムたちが倒れたから、戦えるのは6人か…」

 

クロティムたちが病に倒れたので、戦いに参加出来るのは俺、エル、ゲンローワ、ミノリ、エディ、イルマの6人だ。

この前の時よりは人数が多いが、その分敵もかなりの数だった。

しりょうのきしとメトロゴーストが16体ずつ、キラークラブとヘルゴーストが12体ずつ、まかいじゅが8体、巨大グールとキースドラゴンとだいまどうが1体ずつの、合計59体もいる。

この前はいなかった魔物もおり、気をつけなければならないだろう。

 

「あのグールとキースドラゴンは、緑の旅のとびらの先にいた奴みたいだな」

 

巨大グールが緑の旅のとびらの先からいなくなっていたのは気になっていたが、やはり暗黒魔導の手下となったようだ。

キースドラゴンも、聖なる草の保管庫にいた個体だろう。

世界中を巡って来た俺からしたら強敵ではないだろうが、油断はしないようにしないとな。

 

「暗黒魔導はいないみたいだけど、後で必ず倒しに行ってやる…」

 

もし今暗黒魔導が襲って来ていたのなら、ここで倒していただろうが、奴はこの町に邪毒の病を振りまくのに忙しいのだろう。

今すぐ戦えないのは残念だが、後で必ず倒しに行ってくる。

戦いの前に、ゲンローワはこう言った。

 

「暗黒魔導はおらぬが、かなりの魔物じゃ。じゃが、お主たちとなら、必ず勝てると思っておる」

 

「ああ、行くぞ!」

 

せっかくリムルダールの2度目の復興を進めて来たのだから、ここで負ける訳にはいかない。

ゲンローワに返事をしている間に、魔物たちはリムルダールの町にどんどん近づいて来る。

俺が参戦する中では6回目の、リムルダールの町の防衛戦が始まった。

 

魔物の群れの中でまず、16体のメトロゴーストたちが俺たちに迫って来る。

奴らはリムルダールの町に近づいて来ると、メラの魔法を唱えて攻撃してきた。

俺たちは奴らの詠唱の動きを見ながら、火球をかわしていく。

メトロゴーストは防御力は高くなさそうなので、剣で斬って倒そうと、だんだん近づいていった。

 

「メラは詠唱時間があるし、避けるのはそんなに難しくないな」

 

メラの火球はあまり大きくなく、詠唱時間もあるので、避けるのは簡単だ。

この前のドロルリッチの時より近づきやすく、俺たちはすぐに距離を詰めていった。

その上奴らはエルの投擲攻撃により、何体かが動きを止めている。

 

「私が動きを止めますから、皆さんはその間に攻撃してください!」

 

「聖なるナイフでは、ゴースト系の魔物も麻痺するのか」

 

聖なるナイフでゾンビの魔物が麻痺することは知っていたが、ゴーストにも効果があったとはな。

メトロゴーストの後ろにいるヘルゴーストやしりょうのきしの動きも止められそうだし、エルが聖なるナイフを持っていてよかったぜ。

多くのメトロゴーストの動きが止まると、両腕の武器を振り上げていく。

そして、動けなくなった奴らを、俺たちは次々に斬り裂き、叩き潰していった。

 

「数は多いけど、動きを止めれば苦戦しないな」

 

まだ麻痺していないメトロゴーストは、俺たちを殴って攻撃して来ようとする。

攻撃速度は少し早かったが、武器を持っての攻撃ではないので、そんなに威力は高くない。

そこで俺は攻撃を両腕の武器で弾き返し、空中に浮いている奴らを地面に叩き落とした。

 

「攻撃もそんなに高くないし、このまま倒せそうだぜ」

 

地面に叩き落とされた衝撃で、メトロゴーストたちは動きを止める。

奴らもすぐに起き上がろうとするが、俺はその前に連続で斬りつけた後、思い切りおうじゃのけんを突き刺し、とどめをさしていった。

みんなも、俺が昨日作ったメタルのけんを使い、メトロゴーストたちを倒していく。

数が減って来たメトロゴーストは、後衛に撤退しようとしていた。

 

「逃がしません!」

 

だが、エルは逃げようとしていたメトロゴーストにも聖なるナイフを投げつけ、体を麻痺させる。

ゲンローワたちの近くにいた奴に対しても、みんなに当たらないようにしながら、正確にナイフを投げつけていった。

俺たちは体が麻痺したメトロゴーストに近づき、追撃を加えていく。

3体の奴らには後衛にまわられてしまったが、だいたいは倒すことが出来た。

 

「13体メトロゴーストを倒せたか…次はキラークラブだな」

 

3体のメトロゴーストが撤退した後、俺たちの前にキラークラブが出てくる。

奴らは攻撃力も防御力も高いので、より気をつけないといけないだろう。

慎重になりながら、俺はキラークラブたちに近づいていった。


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