ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode158 不落の壁と竜の闇炎

ピリンのうさまめバーガーを食べた後、俺たちは新たな防壁を考え続けていく。

美味しい物を食べた後で頭もよく働き、みんなさまざまな意見を出すことが出来ていた。

メルキドシールドをも超える防壁なんてどうやったら作れるんだ…?と最初はみんなも思っていたが、いよいよ考えがまとまってくる。

 

そして、夕方ごろになって、ついに俺たちは新たな防壁の形と作り方を決めることが出来た。

 

「ついに考えがまとまったな…雄也よ、メルキドウォールを作ることは出来そうか?」

 

俺たちが考えたのは究極の盾をも超える不落の黒壁、メルキドウォールだ。

ロロンドに聞かれて、俺はビルダーの魔法でメルキドウォールの作り方を調べていく。

 

メルキドウォール…黒よう岩8個、ダークハルコン10個 神鉄炉と金床

 

ダークハルコンというのが、この前まほうの光玉で採掘した黒いオリハルコンなのだろう。

黒よう岩も大量に集めているので、すぐに作りに行くことが出来そうだ。

 

「ああ。今ある素材で作れそうだから、今すぐ作って来るぜ」

 

「それは良かった。もういつ魔物が襲って来てもおかしくはない…速やかに設置するぞ」

 

メルキドウォールを設置し、残り2体の悠久の竜を倒せば、メルキドの2度目の復興を達成することが出来るだろう。

俺はみんなが集まっている調理室を出て、工房の方に向かっていく。

 

工房に入ると、俺は神鉄炉の前に立ってポーチから黒よう岩とダークハルコンを取り出し、ビルダーの魔法を発動させて行った。

神鉄炉の熱でダークハルコンを溶かし、黒よう岩と組み合わせていく。

巨大な物なので加工にも時間がかかったが、無事に防壁の形に変えることが出来た。

ビルダーの魔法を使い始めて10分くらい立って、メルキドウォールが完成する。

 

「これでメルキドウォールが出来たか…町全体を守るためには、もう二つくらい必要そうだな」

 

メルキドウォールは2×8メートルの大きさだ。

今のメルキドの町を守るのには、もう二つくらい必要になることだろう。

俺はポーチから他の黒よう岩とダークハルコンも取り出し、続けてメルキドウォールを作っていく。

工房に入って30分ほどたって、3つのメルキドウォールが出来上がると、俺は町の外へと設置しに行った。

 

「これでメルキドウォールも十分だな。町の西に設置して来よう」

 

魔物たちはいつもメルキドの西から襲って来るので、メルキドウォールも町の西に設置した方がいいだろう。

 

修復されたはがねの守りの横から町の外に出て、俺はメルキドウォールを並べていく。

これでメルキドウォール、メルキドシールド、はがねの守りの三重防壁が出来上がり、悠久の竜でもこれを破壊するのは容易ではないだろう。

設置されたメルキドウォールは黒く煌めき、何者にも打ち破られないという雰囲気を放っていた。

 

「これで戦いの準備は整った…みんなにも知らせよう」

 

絶対に壊されない保証もないが、これでメルキドの町を守れる可能性はまた大きく上がっただろう。

俺はメルキドウォールを設置したことを伝えるために、大声でみんなを呼んだ。

 

「みんな、メルキドウォールを作って設置しておいたぞ!」

 

俺の声を聞くと、調理室で待っていたみんなはロロンドを先頭に、町の外へとやって来る。

 

「おおお!ついに出来たか、雄也よ!魔物が襲って来る前に、何とか間に合ったな!」

 

町の外にいるドラゴンは数も増えており、いつ襲って来てもおかしくない状況が続いているが、戦いの前に防壁が出来て本当によかったな。

自分たちの考えた不落の壁が出来上がり、みんな嬉しそうな表情をしていた。

メルキドの大町長を名乗っていたロロンドは、中でも一番喜んでいる。

 

「一度は壊された我輩たちの町も、ここまで発展させることが出来た。必ずあのドラゴンたちから、この町を守り抜こうぞ」

 

「もちろんだ。一緒に戦おう、ロロンド」

 

大切な仲間たちが住むこの町を、必ず守り抜かなければいけない。

俺とロロンドはメルキドウォールを見て、そんな思いを強めていた。

 

メルキドウォールが出来た後も、すぐには魔物たちは襲って来なかった。

しかし、俺や衛兵のケッパー、ゴーレムはいつ奴らが来てもいいように、交代で町の外を見回っていた。

早めに魔物たちを発見すれば、町に近づけずに戦うことが出来るからな。

 

そして、その日の夕暮れに、ついにその時はやって来る。

ケッパーが町の西を見回し、俺は自分の部屋で休んでいる時のことだった。

町中に響くようなケッパーの大声が、俺の耳に聞こえてきた。

 

「みんなすぐに集まってきて、僕たちの町に魔物が近づいている!この前の闇のドラゴンも、2体いるよ!」

 

やっぱり残りの悠久の竜は2体同時に襲いかかってきたみたいだな。

俺はポーチからおうじゃのけんとビルダーハンマーを取り出し、個室の外に出ていく。

 

「ついに来たか…なんとしても勝たないとな…」

 

魔物たちはやはり町の西からやって来ているようで、ケッパーはそこで魔物の様子を見ていた。

俺も走って彼のところに向かい、襲って来る魔物たちを見る。

すると、ビッグハンマーとスターキメラが12体ずつ、てつのさそりとしりょうのきしが10体ずつ、あくまのきしとドラゴンが8体ずつ、悠久の竜が2体の、合計62体の魔物がいた。

 

「悠久の竜以外も、かなり数が多いな」

 

この前はいなかったしりょうのきしやてつのさそりが現れ、ドラゴンも数が増えている。

今回もラダトームと比べれば魔物の数は少ないが、苦戦は免れないだろう。

俺たちが魔物の様子を見ていると、ロロンドたちも剣を持って近づいてくる。

 

「あの黒いドラゴンが2体も…だが、我輩たちとゴーレムとメルキドウォールがあれば、勝てぬことはないはずだ!」

 

「ああ。この前は町の一部を壊されちまったが、今回はそうはさせねえ」

 

この前俺たちを苦戦させた悠久の竜が2体もいるので、ロロンドとロッシは驚いていたが、それで弱気になったりすることはなかった。

俺も決して怯えることなく、魔物たちに剣を向ける。

4人が魔物との戦いに備えていると、メルキドの新たな仲間たちもやって来た。

 

「私も、みんなと一緒に戦いましょう」

 

「この町を守るのが我の役目…襲い来る魔物を倒すため、お前たちに加勢しよう」

 

メルキドの守護者たるゴーレムの力があれば、弱い魔物は簡単に蹴散らすことが出来るだろう。

今までずっと峡谷地帯で生き残って来たエレカも、戦いは得意そうだ。

戦うことの出来る6人が揃うと、俺たちは魔物たちの群れへと近づいていった。

 

数百年世界を覆った闇の力は新たな魔物の王へと変わり、世界を作った精霊ルビスは死んだ。

そんな絶望的な状況になっても、俺たちはアレフガルドの復興を諦めなかった。

ここでメルキドの二度目の復興を成し遂げ、この後に向かうであろうリムルダールやマイラも必ず復興させてやるぜ。

強い復興の思いを持ちながら、俺たちは強大な魔物に立ち向かって行く。

俺が参戦する中では7回目の、メルキドの町の防衛戦が始まった。

 

俺たちが接近していくと、魔物たちも戦いの構えを取る。

奴らの後方にいる2体の悠久の竜はこの前と同じように、闇の火球で町を破壊しようとしていた。

悠久の竜の火球はメルキドシールドを数発で壊してしまう、非常に強力な攻撃だ。

だが、メルキドウォールは火球を受けてもびくともせず、町への被害を防いでいた。

 

「さっそくメルキドウォールが役に立ってるな…安心して他の魔物と戦えそうだぜ」

 

絶対に壊れないということはないだろうが、しばらくの間は耐えられそうだ。

これなら、他の魔物を急いで倒さなければいけないということはないだろう。

そう思っていた俺たちのところに、まずは前衛のあくまのきしが斬りかかって来る。

 

「また新しい防壁を作ったようだが、無駄なことだ!」

 

「お前たちもこの町も、今日で消し去ってやる!」

 

奴らはそう言いながら、斧を振り回して攻撃して来た。

俺たち5人は1体ずつ、巨体のゴーレムは3体のあくまのきしと戦うことになる。

奴らは戦い慣れた魔物なので、苦戦することはないだろう。

攻撃力はかなり高いので、俺は無理に斧を弾き返そうとはせず、回避しながら両腕の武器を振り下ろしていく。

伝説の武器ではあくまのきしの鎧を破壊するのも難しくはなく、次々にダメージを与えることが出来た。

 

「動きは今までの奴らと変わらないな…このまま倒してやるぜ」

 

「くっ、我が鎧まで突き破るとは…。だが、我も簡単に倒れる気はない!」

 

あくまのきしも力を込めて斧を叩きつけて来るが、攻撃の速度は変わらない。

回避しては攻撃するを繰り返し、俺は奴を確実に弱らせていく。

ロロンドたちもあくまのきしとは戦い慣れているので、特に苦戦している様子は見られなかった。

 

ゴーレムも3体の奴らに囲まれているが、今のところは大丈夫そうな様子だ。

 

「こんな岩の塊、粉々に打ち砕いてやる!」

 

「人間どもが作った守護者などに、我らは止められん!」

 

あくまのきしたちはゴーレムにそう言って、斧を叩きつけていく。

鉄で出来た斧の斬れ味はよく、岩で出来たゴーレムは少しはダメージを負ってしまった。

しかし、多少のダメージではゴーレムは怯まず、奴らに岩の拳を叩きつけていく。

 

「この町を壊すというのなら、容赦はせんぞ!」

 

ゴーレムの拳は動きが遅く、あくまのきしは盾を使って防御してしまった。

だが、ゴーレムの攻撃は防ぎきれるような威力ではなく、あくまのきしは盾を落として動きを止める。

 

「くそっ、なんて威力なんだ…!」

 

1体が盾を落とすと、他の2体の盾も落とそうと、ゴーレムは拳を振りかざしていった。

 

あくまのきしの軍団は、このまま全滅させることが出来そうだ。

俺と戦っていたあくまのきしはかなり弱っており、すぐに倒せるだろう。

そう思っていたところに、あくまのきしたちの後ろにいたしりょうのきしたちも斬りつけて来る。

 

「我らも相手だ、人間どもめ!」

 

「いつまで抵抗を続ける気なんだ!」

 

俺たち5人のところに、それぞれ2体ずつのしりょうのきしがやって来る。

でも、敵が増えたのは厄介だが、しりょうのきしくらいなら問題にはならなさそうだ。

奴らの攻撃力はあくまのきしより低いので、攻撃を弾き返して体勢を崩させることも十分可能だろう。

弱ったあくまのきしの斧を回避した後、俺は2体のしりょうのきしに近づき、両腕の武器を使って剣を受け止める。

 

「何体でかかって来たところで、俺たちの町は壊させないぞ」

 

奴らの攻撃を受け止めると、俺は両腕に全身の力を込めて剣を弾き落とそうとした。

しりょうのきしたちも少しは耐えようとするが、しばらく力を込め続けていると流石に力尽きて、剣を落としてしまう。

奴らが剣を落としたのを見ると、俺はまずは死にかけのあくまのきしにとどめをさしていった。

 

「剣を落としたな…体勢を立て直される前に、3体とも倒すぞ」

 

あくまのきしはまだ斧での攻撃を続けるが、俺はそれも避けて両腕の武器を振り回していく。

既に弱っていた俺の攻撃に耐えきれず、生命力を失い青い光に変わっていった。

 

「あくまのきしは倒れたし、次はしりょうのきしだな」

 

俺があくまのきしを倒した後、しりょうのきしたちは落とした剣を拾って、俺への攻撃を再開しようとする。

それを阻止するために、俺は走って奴らに近づいて行き、思い切り武器を叩きつけた。

起き上がった所に再び伝説の武器での攻撃を受けて、しりょうのきしたちは再び体勢を崩す。

奴らが体勢を崩したところを見て、俺は両腕に力を溜めていく。

 

「人間め…よくもここまで…!」

 

しりょうのきしたちは俺を睨みながら、今度こそ剣を取り戻そうと立ち上がろうとした。

だが、体勢を立て直される前に、俺は奴らを薙ぎ払っていく。

 

「回転斬り!」

 

二刀流での回転斬りを受けて、しりょうのきしたちも青い光へと変わっていった。

ロロンドたちはまだしりょうのきしを倒せてはいないが、弱らせることは出来ているようだ。

ゴーレムも3体のあくまのきしを追い詰め、戦いは順調に進んでいた。

 

だが、3体のあくまのきしに攻撃されても全く怯まないゴーレムを見て、悠久の竜はゴーレムの破壊を優先しようとする。

1体の悠久の竜はメルキドウォールへの攻撃を止めて、火球の標的をゴーレムに変えた。

あくまのきしを巻き込まないように、悠久の竜はゴーレムの頭を目掛けて闇の火球を吐く。

 

「ぐうっ…!」

 

ゴーレムはすぐに気づいて腕で頭を守ったが、ついに怯んで体勢を崩してしまった。

体勢を崩したのを見て、あくまのきしたちはゴーレムに力を溜めて斧を叩きつける。

斧1回でのダメージは小さい物だが、何十回も斬りつけられればゴーレムも弱ってしまうだろう。

 

「まずいな…このままだとゴーレムが…」

 

ゴーレムの足元には2体のビッグハンマーも迫って来て、より危険な状態になっていた。

ゴーレムは何とか魔物たちの攻撃に耐えて立ち上がるが、そうすると再び悠久の竜が火球を放って来る。

 

「我はこの地を守る者…そのくらいで我は倒せん…!」

 

今度は火球を受けても何とか耐えて、足元を狙う魔物たちへの攻撃を再開した。

しかし、悠久の竜は闇の火球を連続して吐くことも出来る。

何度も火球を受けてゴーレムは腕や体の一部が砕けてしまい、再び体勢を崩してしまった。

 

「早く悠久の竜を止めないとな…」

 

足元にいる魔物と悠久の竜の火球を止めなければ、ゴーレムはバラバラに砕け散り、ただの岩の塊と化してしまうだろう。

ゴーレムはメルキドの象徴にして守護者…そして、俺たちの新たな仲間だ。

そんなことになるのは絶対に避けたい。

 

メルキドウォールが出来て町への被害はなくなったが、悠久の竜の元へは急いでたどり着かなければいけなさそうだ。

俺の前にも、2体のビッグハンマーが襲いかかって来ている。

早く悠久の竜を止めようと、俺は奴らに斬りかかっていった。


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