ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode156 峡谷の輝岩

ゴーレムを完成させた2日後、メルキドに戻って来てから8日目の朝、俺は目が覚めるといつも通り、一日の活動のために朝食を食べに行く。

そのために調理室に入ると、ショーターとエレカが俺を待っていたようで、話しかけてきた。

 

「起きて来ましたか、雄也さん。あなたが来るのを待っていました」

 

ショーターたちは確か数日前から、黒いオリハルコンを採掘するために新たなまほうの玉を開発していたはずだ。

そんな二人が俺を待っていたと言うことは、新しいまほうの玉の作り方を、思いつくことが出来たのだろうか。

 

「もしかして、新しいまほうの玉を思いついたのか?」

 

「はい。ロロンドさんがゴーレムを作るために徹夜をしていたという話を聞いて、私たちも徹夜でまほうの玉について考えていたのです。そして今日の明け方に、考えがまとまりました」

 

俺がそう聞くと、ショーターはうなずく。

徹夜していたせいで、ショーターもエレカも眠そうな顔をしていた。

二人は大変だっただろうが、これでようやく黒いオリハルコンを採掘出来るようになるな。

メルキドの二度目の復活に、また近づくことが出来た。

俺はさっそく、新しいまほうの玉の作り方について聞き始める。

 

「早く黒いオリハルコンを採掘したいし、詳しく教えてくれ」

 

「私たちが考えた新たなまほうの玉…まほうの光玉は、虹色のばくだんいわから取れる素材で金色のオリハルコンを爆散させ、オリハルコンの破片で周辺を破壊するという物です。普通のオリハルコンでも鉄よりは硬いので、破壊力も高くなるでしょう」

 

確かにオーロラウンダーの素材とオリハルコンを使えば、今のまほうの玉よりも高い破壊力を得ることが出来るだろう。

だが、多くのオリハルコンは黒く変質しており、普通の金色のオリハルコンはまだ残っているのだろうか。

 

「確かにそれは良さそうだな。でも、まだ普通のオリハルコンって残っているのか?」

 

「それは私たちにも分かりませんね。そこはもう、残っていることに賭けるしかないでしょう…」

 

俺が聞くと、エレカは不安そうに、賭けるしかないと言った。

オリハルコンと同等の硬さを持つ金属はないので、確かにそうとしか言えないはずだ。

ショーターは他にも爆発力を高める工夫がしてあると、俺に伝える。

 

「オリハルコン以外にも、爆発力を高める工夫はあります。それについてもお教えしましょう」

 

爆発力を高める様々な工夫を聞きながら、俺は頭の中にまほうの光玉のイメージを浮かべた。

 

ショーターたちは、それでも黒いオリハルコンを採掘出来るかは分からないとも言う。

こちらについても、かなりの賭けになりそうだな。

まほうの光玉の作り方を聞き終えると、俺はビルダーの魔法を使って必要な素材を調べた。

 

まほうの光玉…オーロラストーン5個、オリハルコン5個、ひも3個 石の作業台

 

オーロラストーンと言うのが、オーロラウンダーからとれる素材みたいだな。

オーロラウンダーは峡谷地帯にいるので、今からそこに向かって倒して来よう。

 

「どうでしょう。作ることが出来そうですか?」

 

「ああ。今から素材を集めて来るぞ」

 

俺はショーターたちとの話を終えると、すぐにオーロラストーンとオリハルコンを集めに、緑の旅のとびらに向かった。

旅のとびらを抜けると、俺の体はメルキドの峡谷地帯に移動する。

 

峡谷地帯に入ると、俺はまずはオーロラストーンを集めに行った。

オーロラウンダーは目立つ色をしているので、すぐに見つけることが出来るだろう。

俺はいつも通り、他の魔物から隠れながらゆっくりと歩いていく。

しばらく奥の方まで進んでいくと、さっそく奴の姿が見かけられた。

 

「オーロラウンダーがいるな…。正面から戦ったら強いだろうし、後ろから襲うか」

 

オーロラウンダーはばくだんいわの上位種であり、戦闘力はかなり高いだろう。

正面から戦うと苦戦するかもしれないので、俺は奴の背後に迫っていく。

音を立てないように進んで行けば、気づかれることはなかった。

至近距離にまで近づくと、俺は両腕に力を溜める。

そして力が溜まり切ると、俺は垂直に大きく飛び上がり、両腕の武器を思い切り叩きつけた。

 

「飛天斬り!」

 

一対一の状態であれば、飛天斬りは非常に有用な技だ。

背後から二刀流での飛天斬りを受けて、オーロラウンダーは大きなダメージを受ける。

だが、一撃で倒れることはなく、奴は反撃の姿勢を取ってきた。

 

「一撃では倒れなかったか…でも、大きなダメージは与えられたはずだ」

 

起き上がったオーロラウンダーは、俺に体当たりで攻撃しようとする。

奴はかなりの巨体であり、当たったら危険だろうが、俺はジャンプで避けて横に回った。

そうして次の攻撃をして来る前に、俺は両腕の武器を叩きつけていく。

何度か攻撃を続けていくとオーロラウンダーは傷つき、今にも砕けそうになっていた。

 

「反撃はされたけど、もう少しで倒せそうだな」

 

追い詰められた奴に向かって、俺は攻撃を続けていく。

 

だが、オーロラウンダーもそう簡単に倒されようとはせず、俺を押し潰そうと回転して攻撃して来た。

ばくだんいわの回転攻撃よりも速度が早く、回避こそ出来るが攻撃する隙がなくなってしまう。

 

「今度は回転攻撃か…何とかして動きを止めないとまずいな…」

 

回転を続ければ疲れて動きが止まるかとも思ったが、奴はなかなか止まらない。

俺は回転攻撃を避けながら、オーロラウンダーを止める方法を考えた。

 

「…岩山に誘導すれば、黒い岩にぶつかって動きが止まるかもしれないな」

 

そこで俺は奴を岩山に誘導し、黒い岩とぶつけさせる方法を思いつく。

黒い岩はかなりの強度があるので、オーロラウンダーの動きも止まるかもしれないな。

俺はさっそく奴を引き付けながら、岩山へと近づいていった。

 

岩山の目の前にまで近づくと、オーロラウンダーは動きを止めようとするが、奴はかなりのスピードで転がっているのですぐには止まれない。

俺の思っていた通り、オーロラウンダーは岩山にぶつかり、その衝撃で動きを止める。

 

「動きが止まったし、今のうちに倒すぜ」

 

動けなくなった奴を見て、俺は次々に武器を振り回し、残った生命力を削り取っていった。

オーロラウンダーはまだ抵抗しようとしていたが、伝説の武器での連続攻撃には耐えられず、青い光に変わっていく。

奴が倒れたところには、オーロラ色に輝く綺麗な石が落ちていた。

 

「結構強かったけど、何とか倒せたな…これがオーロラストーンか」

 

これがまほうの光玉を作るのに必要な、オーロラストーンなのだろう。

俺はオーロラストーンを拾ってポーチに入れると、他のオーロラウンダーも倒しに行った。

 

他のオーロラウンダーも飛天斬りでは一撃では倒れず、体当たりや回転攻撃で俺に反撃して来る。

だが、俺はさっきのように回転攻撃を使われたら岩山に誘導し、動きが止まったところで止めをさしていく。

ばくだんいわのように自爆呪文のメガンテを唱えようとする奴もいたが、俺は発動前に倒すことが出来た。

オーロラストーンが5個集まると、俺は今度はオリハルコンを採掘しに行こうとする。

 

「これでオーロラストーンは集まったな。後はオリハルコンを探そう」

 

俺は辺りの岩山を見回して、黒くなっていないオリハルコンを探した。

しかし、この前は金色だったオリハルコンもみんな黒くなっており、採掘出来そうにない。

エレカは洞窟の中にも魔物が侵入したと言っていたし、洞窟のオリハルコンも黒く変質していることだろう。

 

「みんな黒くなってるな…どこかに変質していない奴はないのか…?」

 

変質していないオリハルコンがあるとしたらどこだろうか。

そう考えていると、この前行った石の心臓が隠されていた洞窟には、魔物がいなかったことを思い出す。

 

「海に面した崖なら、金色のオリハルコンも残っているかもしれないな…」

 

魔物が行きにくい海に面した崖…そこにあるオリハルコンは、まだ変質していないかもしれない。

さっそく俺は魔物から隠れながら海に面した崖に向かい、金色のオリハルコンを探した。

 

海に落ちないよう慎重に動きながら、オリハルコンがないか見ていく。

すると、そこにはやはり、まだ金色のままのオリハルコンの鉱脈があった。

 

「やっぱりここにはまだ残っていたか。さっそくまほうの玉で採掘して、まほうの光玉を作ろう」

 

放っておいたら、ここのオリハルコンも変質してしまうかもしれない。

俺はまほうの光玉をたくさん作れるよう、なるべく多くのオリハルコンを採掘しようとする。

ビルダーハンマーでは鉱脈ごと手に入れてしまうとゆきのへが言っていたので、俺はメルキドの大倉庫からまほうの玉を取り出した。

そしてオリハルコン鉱脈の前にまほうの玉を置き、爆発に巻き込まれないように離れる。

爆発の衝撃で鉱脈は砕け、俺はたくさんのオリハルコンを手に入れることが出来た。

 

「これでオリハルコンも手に入ったな。メルキドの町に戻ろう」

 

俺は手に入れたオリハルコンを全てポーチにしまうと、崖を歩きながらメルキドの町に戻っていく。

まほうの光玉が出来たら、黒いオリハルコンを採掘しにまた来よう。

 

メルキドの町に戻ってくると、俺はまほうの光玉を作りに工房に入っていった。

さっき手に入れたオーロラストーンとオリハルコンを取り出し、石の作業台の上に置く。

大倉庫から導火線となるひもも取り出すと、俺はビルダーの魔法を発動させた。

 

「これで黒いオリハルコンが採掘出来たらいいな…」

 

もしまほうの光玉でも黒いオリハルコンが採掘出来なかったら、もう黒いオリハルコンの利用は不可能と言う事だろう。

そうなればメルキドを守れる可能性は下がるし、採掘出来てほしいな。

まほうの光玉を作っている間、俺はそんなことを考えていた。

魔法をかけ始めてからしばらくして、作業台の上の素材が加工されていき、まほうの光玉が出来上がる。

 

「これがまほうの光玉か…まほうの玉と違って、一度に五個しか作れないのか」

 

まほうの玉は一度に10個作れたが、まほうの光玉は5個しか出来なかった。

光玉の方が複雑な仕組みをしているので、仕方のないことだろう。

 

「まほうの光玉は完成したし、ショーターたちに見せてこよう」

 

俺はまほうの光玉が出来上がると、考えてくれたショーターとエレカに見せに行こうとする。

二人はさっきと同じように、調理室で休んでいるようだった。

 

俺は調理室のわらのとびらを開けると、二人に話しかけた。

 

「ショーター、エレカ。まほうの光玉を作ってきたぞ!」

 

「本当ですか、雄也さん!普通のオリハルコンが残っているか心配でしたが、大丈夫だったみたいですね」

 

俺の声を聞くと、ショーターはそう言いながら近づいてくる。

エレカも俺のところに来たのを見て、まほうの光玉をポーチから取り出した。

 

「これがまほうの光玉だ。二人の言った通りに作ってきたぜ」

 

「おお!これならどんな鉱脈でも砕くことが出来そうです!」

 

「すごくきれいに出来ています。これで黒いオリハルコンが採掘出来ればいいですね」

 

このまほうの光玉は二人が数日もかけて考えてくれた物だ。

もし黒いオリハルコンが採掘出来なかったら、二人も悲しむことだろうな。

俺は完成したまほうの光玉を見て喜んでいる二人に、さっそく採掘に向かうと伝えた。

 

「俺はこれからこれを使って黒いオリハルコンを採掘して来る。もし成功したら、二人にも伝えるぜ」

 

「はい、お願いします!」

 

きっと採掘出来るだろうと、俺もショーターたちもまほうの光玉を信じている。

俺はまほうの光玉をポーチにしまって、再びメルキドの峡谷地帯に向かった。

 

峡谷地帯に来ると、俺はさっき見た黒いオリハルコンの鉱脈に向かっていった。

オリハルコンの鉱脈は結構多いので、魔物を避けながらでも数分でたどり着くことが出来る。

黒いオリハルコンの鉱脈に着くと、俺は近くにまほうの光玉を置き、爆発に巻き込まれないように離れた。

 

「採掘出来てくれよ…」

 

まほうの光玉は爆発範囲も広いだろうから、俺はまほうの玉を使うときよりも距離を大きく取る。

そして、設置してから5秒ほど経って、まほうの光玉は炸裂して周囲を破壊した。

爆風が収まった後、俺は黒いオリハルコンの鉱脈を確認しに行く。

 

「すごい爆発だったな…鉱脈はどうなったんだ?」

 

すると、鉱脈は砕け散り、黒いオリハルコンは入手可能な状態になっていた。

どうやら採掘は、成功したようだ。

俺は落ちている黒いオリハルコンを拾うと、全てポーチにしまっていく。

 

「無事に採掘出来たか…やったな。これで防壁を作ったら、どんな魔物でも壊せないだろうな」

 

魔物によって人間が採掘不可能なほどの硬度になったオリハルコン…俺たちはそれすらも手に入れ、町を守るのに使えるようになった。

この黒いオリハルコンで防壁を作れば、悠久の竜ですら打ち破ることの出来ない強固な城塞都市が出来上がるだろう。

俺はまほうの光玉を使って、他にも数十個の黒いオリハルコンを集めていく。

十分な数の黒いオリハルコンが集まると、俺はメルキドの町に戻って行った。


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