ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

148 / 225
次回からメルキドの町に向かいます。

ドラクエビルダーズ2の発売までには完結させたい


Episode147 希望の小舟

ラダトームの防衛戦の3日後、アレフガルドの光が消えた6日後、俺たちは新しい武器や兵器について考え続けていた。

ラダトーム城を防衛する兵器だけでなく、エンダルゴを倒すための武器も考える。

エンダルゴを倒すのは、今のおうじゃのけんとビルダーハンマーでは難しいだろうからな。

伝説の武具を上回る力を持つ武器はなかなか思いつかないが、俺たちなら必ず作れるはずだ。

 

いろいろ考えながら城の中を歩いていると、悩んだ顔をしたロロンドに話しかけられる。

 

「雄也よ…お主に少し、相談したいことがあるのだ…」

 

新しい武器について、何か思いついたことがあるのだろうか。

どんなアイデアでもいいので、俺はロロンドの話を聞くことにした。

 

「もしかして、新しい武器を思いついたのか?」

 

「いや、実はメルキドのことが心配になっているのだ。先日のような強力な魔物が、我輩たちのメルキドにも襲ってくるのではないかとな…。我輩は一度、メルキドに戻りたいと思っておる」

 

だが、ロロンドは新しい武器の話ではなく、メルキドが心配だと言う話をして来る。

確かに、滅ぼしの騎士のような魔物が襲って来れば、メルキドは壊滅してしまう可能性が高いな。

メルキドの強固な防壁も、あれほどの力なら一瞬で壊されてしまうだろう。

滅ぼしの騎士は4人がかりで倒したが、今のメルキドに戦闘員はロッシとケッパーの二人しかいない。

ロロンドの話を聞くと、俺もメルキドが心配になって来るな。

 

「確かに、メルキドのことは心配だな…俺も一度様子を見に行きたい。メルキドのみんなとも協力すれば、新しい兵器も思いつくだろうからな」

 

メルキドの人たちとも協力すればより多くの新兵器を思いつくだろうし、そう言った点でも俺はメルキドに行きたい。

リムルダールやマイラにも、もう一度訪れてみたいな。

しかし、ルビスが死んだことで光のとびらは使えなくなったので、メルキドに戻るのは難しそうだ。

 

「でも、もう光のとびらは使えないぞ。どうやってメルキドに向かうんだ?」

 

「小舟を使って海を渡るつもりだ。お主には、小舟作りを頼みたい」

 

俺がそう聞くと、ロロンドは小舟を使うと言ってきた。

確かに、小舟があれば海を渡って、メルキドにたどり着くことが出来るだろう。

小舟は木材で作れるだろうし、木材はすぐに集めに行ける。

 

だが、俺たち二人がメルキドに向かえば、ラダトーム城を守る人が減ってしまうという問題もあった。

八人いても厳しい戦いだったので、二人も減ったら城が壊される可能性が高まってしまう。

俺たちの代わりに、ラダトーム城を守ってくれる人が必要になるだろう。

 

「小舟なら確かにメルキドに行けそうだな…でも、俺たちがメルキドに向かったら、ラダトーム城を守れる人が減ってしまう。誰かかわりに戦ってくれる人が必要だ」

 

ラダトームやサンデルジュの人間好きの魔物は、エンダルゴの部下の魔物に多くが殺され、生き残った者も隠れているので、協力を頼むことは出来ない。

俺がそう言うと、ロロンドも誰か協力してくれる人がいないかと考え始めた。

しばらく考え続け、ロロンドはおおきづちの里のおおきづちなら、助けてくれるかもしれないと話す。

 

「…お主におおきづちの作り方を教えてくれた、魔物のおおきづちたちなら助けてくれるかもしれん。彼らも、人間に友好的な魔物だからな」

 

おおきづちの里か…武器のおおきづちの作り方を聞いたのに、魔物のおおきづちの作り方を聞いたと勘違いされたのが懐かしいな。

魔物のおおきづちの作り方についても、今度は詳しく聞いてみたい。

おおきづちの長老ならかなり強いだろうし、人間にも友好的なので、一緒に戦ってくれそうだ。

でも、考えたくはないが、おおきづちが既に全滅していたり、長老を連れてくる前にラダトーム城が襲われる可能性もある。

 

「おおきづちの長老なら、ラダトームの魔物とも戦えるかもしれないな。でも、おおきづちたちが全滅していたり、連れてくる前にラダトーム城が襲われる可能性がある」

 

「だが、彼ら以外に協力を頼めそうな者はおらぬ。大丈夫であると、祈るしかない」

 

ロロンドの言う通りそれ以外に方法はなさそうので、祈るしかないか。

ラダトームへの援軍も決まると、俺は小舟の作り方をビルダーの魔法で調べようとする。

 

「…分かった。おおきづちたちの無事を祈って、メルキドに向かおう。小舟の作り方を調べてみるぜ」

 

「ああ、頼んだぞ」

 

ロロンドにそう言った後、俺は小舟と、小舟を漕ぐための櫂の作り方を調べた。

 

小舟…木材20個、鉄のインゴット5個 石の作業台

 

櫂…木材2個 石の作業台

 

小舟とは言え、かなりの数の木材が必要になるみたいだな。

鉄のインゴットは、木材を繋ぎ合わせるための釘になるのだろう。

俺とロロンドの二人で小舟を漕ぐことになるだろうから、櫂は2つ必要そうだ。

鉄のインゴットはたくさんあるので、24個の木材を用意して来れば良さそうだな。

俺が小舟と櫂の作り方を調べてそんなことを考えていると、ロロンドは作れそうかと聞いてくる。

 

「どうだ、作れそうか?」

 

「ああ、木材があれば、すぐに作れそうだ。ロロンドも手伝ってくれ」

 

ロロンドの力もあれば、木材の原料となるブナ原木はすぐに集まるだろう。

ラダトームの木は竜王の闇の力の影響で枯れ木になっていたので、俺はロロンドにいくつかせいすいを渡しておいた。

せいすいを枯れ木にかければ、葉が生い茂った木に変えることが出来る。

 

「このせいすいを使ったら、枯れ木を生きた木に変えられるはずだ」

 

せいすいを渡すと、ロロンドはさっそくラダトーム城の外にブナ原木を集めに行った。

俺もロロンドに続いて、城の外に出ていく。

ラダトーム城の南には枯れ木がたくさん生えている場所があるので、俺はそこを目指すことにした。

 

枯れ木の森に向かっている途中、俺は辺りをうろついている魔物の様子も見ていく。

スライムやスライムベス、ブラウニーと言った弱い魔物は数が減っており、かげのきしやまどうしと言った危険な魔物の数が増えていた。

かつては竜王の城にしかいなかったしにがみのきしも、何体か見かけられる。

 

「危険な魔物が多くて、進みにくいな…」

 

この前は枯れ木の森まで15分ほどでたどり着けたが、今回は20分くらいかかりそうだ。

魔物の様子を見ていて、もう一つ気づくことがあった。

 

「…おおきづちの姿が、一体も見かけられないな」

 

今までは人間の味方であるおおきづちもラダトーム平野を歩いていたが、今は全くいなくなっている。

看板に「おおきづちは人間の味方だ」と書いていたりしたし、エンダルゴの部下の魔物に人間の味方であることがバレてしまったのかもしれないな。

ラダトームのおおきづちがいなくなったのを見て、メルキドのおおきづちの里も滅ぼされているのではないかという不安が大きくなってしまう。

だが、それでもあのおおきづちの長老なら大丈夫なはずだと俺は思い続けながら、枯れ木の森に向かって行った。

 

不安を感じながらも20分ほど歩き続けて、俺は枯れ木の森にたどり着く。

 

「何とか見つからずにここまで来れたか…さっそくせいすいを使っていこう」

 

枯れ木の森に着くと、俺はポーチからせいすいを取り出して、辺りに振りまいていった。

枯れ木は葉が生い茂ったブナの木に変わっていき、俺はそれをビルダーハンマーで砕いていく。

10個くらいのブナ原木はすぐ集まったが、メルキドに行ってからも必要になるだろうから、俺はさらにたくさんの木を砕いていった。

 

「かなりの数が集まったな…ロロンドのところに戻るか」

 

十分な数のブナ原木が集まると、俺はポーチに入れてラダトーム城に戻っていく。

帰りも魔物に見つからないように進んでいったので、城に戻るのにはかなりの時間がかかってしまった。

 

ラダトーム城に入ると、ロロンドが待ちくたびれたような顔で俺を待っている。

ロロンドは城のすぐ近くでブナ原木を集めていたので、戻るのに時間がかからなかったようだ。

 

「ようやく戻ってきたか、雄也よ。木は集められたか?」

 

「もちろんだ。ロロンドが集めてきた物も使って、これから小舟を作って来るぜ」

 

ロロンドが集めてきてくれた木材も使えば、すぐに小舟を作れるだろう。

そう言うと、ロロンドは集めてきたブナ原木を俺に渡してくる。

 

「それなら良かった。小舟が出来たら、我輩に知らせてくれ」

 

ロロンドはブナ原木を20個くらい集めており、俺はそれらをポーチにしまって工房に向かっていった。

メルキドの現状はどうなっているか分からないが、早く向かったほうがいいだろう。

俺は工房の中に入ると、石の作業台の前に立ってビルダーの魔法を使い始める。

 

俺は最初に、ブナ原木を木材へと加工していった。

ブナ原木にビルダーの力を使うと、形が変わって木材として使いやすいものに変わっていく。

小舟と2本の櫂を作るのに必要な木材は24個だが、俺は持っている全てのブナ原木を木材へと変えていった。

原木のまま使うと言うのは、今のところ見たことがないからな。

 

「木材ができたな…これで鉄のインゴットも使えば小舟が作れるぜ」

 

全ての原木を木材に変えると、俺はいよいよ小舟を作り始めた。

20個の木材と5個の鉄のインゴットに魔法をかけると、それらが合わさって舟の形に変わっていく。

今まで俺が作ってきたどの道具よりも大きいので、加工にも時間がかかっていた。

だが、何分もビルダーの力をかけつづけていると、無事に小舟が完成していく。

メルキドに向かうのは俺とロロンドの二人の予定だが、もう何人か乗ることが出来そうだった。

 

「時間はかかったけど、小舟が完成したな。後は櫂を作ったら、ロロンドに教えよう」

 

小舟も魔法のポーチに入れることが出来たので、俺は完成した小舟を使って、2本の櫂を作っていく。

櫂は木材2個だけで作ることができ、あまり時間はかからない。

すぐに完成させることができ、俺は工房を出た。

 

工房を出ると、俺は小舟が完成したことを知らせにロロンドを呼ぶ。

 

「ロロンド、小舟が完成したぞ!これでメルキドに向かえそうだ」

 

この小舟を使ってメルキドやリムルダール、マイラの町に行き、アレフガルドのみんなと協力することが出来れば、エンダルゴを倒せる希望も強くなるだろう。

俺の声を聞くと、ロロンドは嬉しそうな顔で近づいて来る。

 

「おお、良くやったな雄也!これから共に、メルキドに行こうぞ!」

 

「ああ。まずはメルキドだけど、リムルダールやマイラにも行って、みんなでエンダルゴを倒すための兵器を考えるぞ」

 

ロロンドも早くメルキドに戻りたいようだし、今日のうちに出発したほうがいいだろうな。

だが、メルキドなどの町に行っている間、しばらくはラダトーム城に帰ってこないだろうから、みんなにも伝えたほうが良さそうだ。

 

「でも、しばらくラダトーム城を離れることになるから、みんなにも伝えておくぞ」

 

「分かった。連絡もなしにここを去るわけにはいかんからな」

 

俺がそう言うと、ロロンドもこれからメルキドに向かうことをみんなに伝えるために、希望のはたのところに向かった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。