ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode146 滅ぼしの魔斧

ゴールデンドラゴンたちはこの前の奴らのように、巨大な火球を吐いて俺たちを攻撃して来た。

俺たちはまたしても後退していき、魔物たちはさらにラダトーム城に近づいてしまう。

ダースドラゴンと同じで近づいて倒すのは難しそうなので、俺とロロンドは再びグレネードを使っていった。

 

「ゴールデンドラゴンにも、グレネードは効くだろうな」

 

ゴールデンドラゴンはグレネードを避けようともしていたが、奴らの移動速度はあまり早くないので、爆風をかわしきることは出来ていなかった。

奴らはダースドラゴンより生命力も高いが、何度かグレネードの爆発を受けるとかなりのダメージを受けたようで、大きく怯む。

まほうの玉を使えるような隙はなかなか生まれないが、このままグレネードを使っていれば、安心して倒すことが出来るだろう。

俺とロロンドがグレネードを投げ続けていると、ゆきのへも手伝いたいと言って来た。

 

「雄也、ワシにも手伝わせてくれねえか?」

 

「分かった。3人で攻撃して、あいつらを倒してやろう」

 

3人でグレネードを投げれば、より早く奴らを倒せるかもしれないな。

俺はそう返事をして、ゆきのへに数個グレネードを渡す。

ゆきのへはグレネードを使ったことが1度もないが、奴らにダメージを与えることは出来ていた。

3人での攻撃を受け続け、ゴールデンドラゴンはだんだん弱っていく。

追い詰められた奴らは火球を吐き出すことをやめて、魔物の軍団の後ろに下がろうとしていった。

 

「後ろに下がるつもりか…でも、ここで逃す気は無い」

 

今度はトロルキングとボストロールたちが、前に出てこようとして来る。

トロルキングとも戦わないといけないが、俺たちは先にゴールデンドラゴンを倒そうと、グレネードを投げ続けた。

そうしていると、奴らのうちの2体が力尽きて動けなくなり、動けなくなったところにさらなる爆発を受けて倒れる。

 

「2体は倒したな…残りの4体ももう少しで倒せそうだぜ」

 

生き残っている4体にも、俺たちはグレネードを投げる手を止めなかった。

グレネードも残り少しになっているが、奴らを全滅させることは出来るだろう。

 

だが、4体のゴールデンドラゴンが倒れる前に、トロルキングが前に出てきてしまう。

手下のボストロールたちも、棍棒を持って殴りかかってきた。

 

「ここまで我らを追いつめるとは…絶対に許さんぞ!」

 

「もうお前たちに希望はない…なのになぜ諦めない!」

 

トロルキングの棍棒には、ルビスが死んだ後も戦いを続けようとする俺たちへの怒りがこもっており、非常に威力が高い。

俺たちはトロルキングたちの攻撃をジャンプで回避して、奴らの足元に斬りかかった。

 

「もうこいつらが来てしまったか…動きは遅いから、近づいて戦えそうだな」

 

トロルキングは棍棒でしか攻撃出来ないし、動きも遅いので、近づいて戦うことが出来る。

グレネードはゴールデンドラゴンを倒すのにとっておきたいので、俺たちは剣とハンマーで戦うことにした。

トロルキングとボストロールは合わせて8体いる。

俺は2体のトロルキングと戦い、ゆきのへたち3人は2体ずつボストロールを相手していった。

バルダスや兵士たちは大きな傷を負っているので、後ろに下がっていた。

トロルキングの棍棒は当たると危険だが、攻撃を避けた後には隙が出来る。

 

「威力は高いけど、何とか避けられそうだな」

 

奴らの攻撃を確実に避けていき、次の攻撃までの間に両腕の武器を叩きつけた。

生命力がかなり高い魔物なので簡単には倒れないが、ダメージを与えられている。

足に傷をいくつか負うと、トロルキングたちはさっきよりも強い口調で俺に怒鳴って来た。

 

「我らを倒したところで無駄だ!人間の滅亡は避けられん!」

 

「人間どもはもう終わりだと言ってるだろ!」

 

確かにここでこいつらを倒せても、これからも城を守り続けられるかは分からない。

だが、それでも俺は戦い続けると決めたんだ。

奴らは棍棒を振り続けるが、俺もおうじゃのけんとビルダーハンマーでの攻撃を止めない。

トロルキングたちの足だけでなく、腹にも傷をつけることができ、少しは弱らせることが出来ていた。

 

「耐久力が高い奴らだけど、確実に弱ってきているな…」

 

俺も奴らの棍棒を避け続けて、かなり体力を消耗してしまうが、もう少しは戦い続けることが出来そうだ。

ゆきのへたちもそれぞれの武器で、ボストロールたちを弱らせることが出来ていた。

奴らが弱ってきたのを見て、さっき後ろに下がったゴールデンドラゴンたちも再び襲ってくる。

トロルキングたちを巻き込まないように火球は使わず、巨大な爪で俺たちを引き裂こうとしてきた。

 

「ゴールデンドラゴンも戻ってきたか…避けるのが難しくなるな」

 

やはりトロルキングたちが来る前に、ゴールデンドラゴンを倒せていればよかったな。

ゴールデンドラゴンは、俺たち4人のところに1体ずつ襲って来た。

3体もの巨大な魔物に囲まれ、俺は少し回避が難しくなってしまう。

 

「でも、ゴールデンドラゴンはすぐに倒せるはずだ」

 

しかし、ゴールデンドラゴンはさっきのグレネードでかなり弱っているので、もう少し攻撃すれば倒すことが出来るだろう。

俺はトロルキングたちの攻撃を避けながら、ゴールデンドラゴンを先に倒すことにする。

奴は攻撃の速度も遅くなっており、俺は爪を避けて奴の口に近づいた。

そして、次の攻撃までの隙に、奴の口におうじゃのけんを突き刺す。

体内を貫かれると、ゴールデンドラゴンは怯んで動きを止めた。

 

「動きが止まったな…今のうちに頭を叩き潰しておくか」

 

動きが止まったところで、俺はすぐにおうじゃのけんを抜き、奴の頭にビルダーハンマーを叩きつけられる。

弱っているところで頭をハンマーに潰され、ゴールデンドラゴンは死にかけになっていた。

みんなも襲ってきたゴールデンドラゴンと戦い、弱らせることが出来ている。

トロルキングたちも、俺たちはここで倒すことが出来るだろう。

 

だがそんな時、ゴールデンドラゴンと戦っていたロロンドのところに、暗黒の鎧を纏った騎士の魔物が斬りかかって来る。

 

「ここまで我らと戦うとは…決して生きて返すことはせん!ビルダーと手を組みし者め、まずは貴様から叩き斬ってやる!」

 

暗黒の魔物はしにがみのきしと同じくらいの攻撃速度であるが、体が大きく、異様なまでの闇の力を放っている。

そいつにも囲まれ、ロロンドは攻撃を避けきることがさらに難しくなっていた。

ボストロールたちにも囲まれ、彼は追い詰められてしまっている。

その様子を見て、後ろに下がっていたラスタンたちが前に出てきた。

 

「怪我をしていても、兵士として下がっている訳にはいかない…今すぐ援護に向かうぞ!」

 

ラスタンは残った力を腕に込めて、メタルのけんで暗黒の魔物に背後から斬りかかる。

背後から攻撃も受ければ、奴もかなりのダメージを受けるだろう。

メタルのけんはかなり硬いので、暗黒の魔物の鎧を斬り裂いていった。

だが、奴はほとんど怯んだ様子を見せず、斬りつけてきたラスタンに向かって斧を叩きつける。

 

「何も出来ない無力な兵士め…まだ生きていたか!斬り裂いてやる!」

 

弱っているラスタンは避けきることが出来ず、メタルのけんを弾き飛ばされてしまった。

体勢を崩したラスタンに暗黒の魔物はとどめを刺そうとするが、そこにオーレンやチョビ、バルダスも助けに入ろうとする。

だが、暗黒の魔物は彼らの武器も弾き飛ばそうとして来る。

 

「同じようなのが何人も来たところで同じだ!全員殺してやる!」

 

奴は普通のしにがみのきしより口調も強く、やはりただ者ではない。

このままでは4人とも殺されてしまうので、早く俺も助けにいかないといけないな。

 

「早くあの魔物のところに向かわないとな…」

 

俺は瀕死になっているゴールデンドラゴンに何度か攻撃を加えて、とどめを刺すことが出来た。

だが、2体のトロルキングも倒さなければ、みんなを助けにはいけそうになかった。

トロルキングたちも弱っているものの、倒すのにはもう少し時間がかかる。

しかし、戦っている間に、ラスタンたちは暗黒の魔物に殺されてしまうだろう。

 

「残ったグレネードを使って、こいつらを爆破してやるか」

 

みんなのところに急ぐために、俺は残ったグレネードを使ってトロルキングを爆破しようとする。

ゴールデンドラゴンを倒すためにとっておこうとしていたが、奴はさっき剣で斬り殺した。

今回の2体のトロルキングは、この前サンデルジュに来たトロルキングよりは体が小さく、グレネードを全て使えば倒すことが出来るかもしれない。

俺は持っている全てのグレネードをポーチから取り出し、トロルキングに向かって一斉に投げつけた。

ゆきのへとロロンドにも、トロルキングにグレネードを投げるように指示する。

暗黒の魔物はラスタンたちを攻撃しているので、ロロンドは一時的に危機を脱していた。

 

「ゆきのへ、ロロンド!トロルキングに全てのグレネードを投げてくれ!」

 

二人もそれぞれが戦っている魔物の攻撃を避けながら、トロルキングに向かってグレネードを投げつける。

俺は爆発に巻き込まれないように、大きくジャンプしてその場を離れた。

トロルキングたちは動きは遅いので、爆風を避けきることは出来ない。

足元で全てのグレネードが大爆発を起こし、奴らの体を吹き飛ばした。

周囲の地面が大規模に砕けるほどの爆発であり、トロルキングは大ダメージを受けて体勢を崩す。

トロルキングたちが体勢を崩したところを見て、俺はすぐに両腕に力を貯めて奴に近づいていった。

そして、力が最大にまで溜まると、俺は回転斬りで2体の体を引き裂く。

 

「終わりだ、回転斬り!」

 

大爆発で死にかけているところに二刀流での回転斬りを受けて、トロルキングたちは倒れ、大きな青い光となって消えていった。

 

「グレネードの力もあって、何とかトロルキングを倒せたな。ラスタンたちのところへ行こう」

 

トロルキングが倒れたのを見ると、俺はすぐに暗黒の魔物と戦っているラスタンのところに向かっていった。

暗黒の魔物は闇を纏った斧をみんなにも叩きつけ、オーレンたちのメタルのけんも弾き飛ばしている。

バルダスのトゲつき棍棒は、奴の攻撃の衝撃に耐えきれず、折れてしまっていた。

俺はおうじゃのけんを構えて、急いで奴に斬りかかっていく。

しかし、近づいて来たのを見て、暗黒の魔物は俺の方に向かって暗黒の斧を振り下ろした。

 

「ビルダーめ、お前もここで死ぬんだな!闇の力が屈するがいい!」

 

奴が斧を降った瞬間、斧から闇の刃が飛び出て、俺を斬り裂こうとして来る。

あの魔物は、闇の力を使って遠距離を攻撃することも出来るのか。

俺は突然飛んできた闇の刃をかわしきれず、両腕の武器で受け止めようとした。

闇の戦士ほどではないが非常に強力な一撃であり、俺は体勢を崩しそうになってしまう。

俺が体勢を崩している間に、暗黒の魔物はラスタンたち4人を斧で薙ぎ払おうとしていた。

 

「ビルダーはまだ生きているか…だが、貴様らはもう終わりだ!」

 

このままでは4人とも死んでしまう…そう思ったオーレンは、暗黒の魔物の前に立って後ろの3人をかばう。

暗黒の魔物は容赦なくオーレンを斬り裂き、彼は腹に大きな傷を負ってしまった。

俺は体勢を立て直し、暗黒の魔物のすぐそばにまで近づいていく。

奴が闇の刃を飛ばして来るのは分かっているので、今度はかわすことが出来た。

 

「今度はくらわないぞ!これ以上みんなを傷つけはさせない」

 

「そんなことを言っても、無駄だと知れ!」

 

暗黒の魔物に近づくと、俺は奴の鎧に向かっておうじゃのけんとビルダーハンマーを叩きつける。

思い切り攻撃したので、奴の鎧にも大きな傷がついた。

しかし、やはり奴は全く怯む気配を見せず、連続で大きな斧を振ってくる。

暗黒の魔物の耐久力は、サンデルジュに来たトロルキング以上かもしれないな。

だが、グレネードはもうないし、あったとしても奴は移動が速いので避けられるだろうから、剣とハンマーで倒すしかない。

暗黒の魔物との戦いは、かなり厳しいものになりそうだ。

 

「どうしたビルダー?その程度の力では、エンダルゴ様どころか、我を倒すことも出来んぞ!」

 

俺は暗黒の魔物の攻撃を避けながら、何度も剣とハンマーを叩きつけていく。

しかし、どれだけダメージを与えても、奴は弱る気配ほほとんど見せなかった。

奴は俺に向かってそんなことを言いながら、暗黒の斧を何度も振り下ろして来る。

 

「くそっ、思った以上に強い敵だな…!」

 

さっき暗黒の魔物の攻撃を受けたオーレンも、大量に出血して意識が朦朧としており、早く治療しなければいけなさそうだ。

 

今まで俺たちは魔物たちを城に近づけないように戦っていたが、この暗黒の魔物を倒すには城の設備を使ったほうがいいかもしれないな。

この前作った六連砲台を使えば、ボストロールやゴールデンドラゴンの軍団も壊滅させられるだろう。

城に入れば、オーレンも安全に治療を受けられるはずだ。

 

「城の設備を使って、こいつらを倒すか…」

 

奴らをラダトーム城に近づければ、城が壊される可能性も高まってしまうが、俺もみんなも体力をかなり消耗している。

俺は城の設備で暗黒の魔物を倒したいと、みんなに伝えた。

 

「みんな、聞いてくれ!こいつは強いし、オーレンも怪我を負ってしまった。だから、城の設備を使ってこいつらを倒す!」

 

「分かったぜ!ワシらの兵器なら、奴らを砕けるはずだ!」

 

ゆきのへはそう言い、みんなも戦いを一旦城に戻ろうと走り始めた。

重症を負って動けないオーレンは、ラスタンとチョビの二人が運んでくれている。

足に残った力を使って、俺たちは奴らより早くラダトーム城へと戻って行った。

 

「城の兵器を使おうが、我は倒せん!城ごと破壊し尽くしてやる!」

 

暗黒の魔物もそう言いながら、ボストロールやゴールデンドラゴンたちと共にラダトーム城へと向かっていく。

 

城に戻って来ると、俺はすぐに六連砲台の床用スイッチの前に立ち、発射準備をした。

ラスタンとチョビ、バルダスは、オーレンの治療をするために中に入っていく。

魔物たちが近づいて来ると、俺は床用スイッチを踏もうとした。

 

「あの魔物はかなり強力だったけど、これで倒せるはずだな」

 

俺がそう言いながらスイッチを踏んだ瞬間、二つの大砲から3つずつ大砲の弾が発射され、合計6発の砲弾が魔物の群れの中心で炸裂する。

さっきトロルキングたちを倒したグレネードの爆発より巨大な爆発が起こり、魔物の群れの大部分に爆風が広がった。

ボストロールたちも、棍棒で防ぎきることは出来ない。

爆発に巻き込まれた魔物たちは耐えきれず、光を放って消えていく。

残っているのは、爆発の範囲の外にいたボストロール2体と、ゴールデンドラゴン1体だけになると、俺は思っていた。

 

しかし、暗黒の魔物は6発の砲台を生き延びて、俺たちを睨みつけてくる。

 

「確かに人間とは思えぬほどの、強力な兵器だ…だが、我をそれで倒すことは出来ん!」

 

1発でも強力な砲台を6発受けても倒れないほど、あの暗黒の魔物は強力なのか…。

奴は俺に向かってそう言って、何か呪文のようなものを唱え始める。

すると、闇の力の爆発が起こり、俺が立っていた辺りを吹き飛ばしていった。

俺はすぐにジャンプして回避するが、六連砲台は壊されてしまう。

 

「こいつもドルモーアを唱えるのか…詠唱速度も、かなり早いな…」

 

エビルトレントや闇の戦士も使う、ドルモーアの呪文だな。

闇の戦士ほどではないがかなり発動が早く、詠唱時間は数秒しかないようだ。

ここまでの力を持つ暗黒の魔物は、一体何者なんだ…?と俺は思う。

だが、そんなことを思っている間にも、奴は闇の刃で攻撃してきた。

 

「砲台はもう使えないし、剣で倒すしかないか…」

 

俺は闇の刃を避けながら、暗黒の魔物にまた剣で斬りかかっていく。

倒すことは出来なくても、砲弾を受けたことで弱らせることは出来ただろう。

ゆきのへとロロンドはボストロールと、ルミーラはゴールデンドラゴンと戦っていく。

残った魔物は4体であり、もう少しで倒すことが出来そうだ。

俺が近づいていくと、暗黒の魔物は再び斧を振り回して攻撃して来る。

 

「まだ立ち向かってくるか…!エンダルゴ様の力で変異した我を、貴様が倒すことは不可能だと言ってるだろ!」

 

斧を扱いながら、暗黒の魔物はそんなことを言って来た。

エンダルゴの力で変異したというのは、どう言うことなんだ?

こいつの斧や鎧はしにがみのきしのものと似ているので、奴は今まではしにがみのきしだったのかもしれない。

 

「エンダルゴの力で変異したって、どう言うことだ?」

 

「エンダルゴ様は我に、強大な闇の力を与えてくださったのだ。そのおかげで我はこの姿に変異し、ここまでの力を手にした。エンダルゴ様は我のことを、滅ぼしの騎士と呼んでいる」

 

戦いながらこんな話が出来るとは、奴はまだ余裕のつもりのようだな。

闇の力で体が変異したと言うのは、闇の戦士が竜王の闇の力で人間の姿から今の姿に変わったのに似たようなことなのだろう。

こいつは元々の力も人間への憎しみも元勇者よりは弱いので、あれほどの力はないようだが、普通の魔物とは比較にならないほどの力は手に入れたようだ。

エンダルゴからは、滅ぼしの騎士と呼ばれていたのか。

話が終わった後も、滅ぼしの騎士は暗黒の斧を振り続ける。

 

「この闇の力は、人間には決して及ばぬ者だ。諦めて滅びを受け入れろ!」

 

「確かにあんたはかなり強いが、俺も戦いをやめる気はないぞ!」

 

俺も奴の攻撃を避け続け、鎧を何度も剣とハンマーで叩き割ろうとしていった。

滅ぼしの騎士も素早さはしにがみのきしと変わらないので、攻撃を当て続けることは出来る。

ビルダーハンマーの強力な一撃を受けて、鎧も何ヶ所か変形していた。

砲弾のおかげもあって、奴はかなり弱ってきているようだった。

こいつも倒せなければ、エンダルゴも倒すことはできない…俺はそう思いながら、滅ぼしの騎士への攻撃を続けた。

 

だが、さっきからの戦いもあって、俺の体力にも限界が訪れて来てしまう。

奴の攻撃速度も遅くなって来ているが、俺の動きも鈍って来ていた。

早く倒さなければ、俺も攻撃を避けられなくなるかもしれない…そう思って、俺は滅ぼしの騎士にとどめを刺そうとする。

だが、追い詰められているにも関わらず、奴の余裕の表情は変わらない。

滅ぼしの騎士は鎧を着ているので、防御力は闇の戦士より高いかもしれないな。

俺の動きが鈍って来ているのを見て、奴は思い切り斧を叩きつけて来る。

 

「動きが遅くなっているぞ…戦いを続ける気ではなかったのか?」

 

それでも回避を続けたが、ついに避けきれなくなり、俺は滅ぼしの騎士の斧をおうじゃのけんとビルダーハンマーで防ぐことになってしまった。

両腕なら奴の攻撃を受け止めることが出来るが、押し切られそうになってしまう。

 

「くそっ、このままだと押し切られるな…」

 

「もう抵抗も限界のようだな、ビルダー」

 

だがそんな時、ゆきのへとロロンドもボストロールを倒し、俺のところに向かって来た。

滅ぼしの騎士は俺を押し切り、2人を闇の刃で攻撃しようとする。

みんなも体力は限界だろうし、早く決着をつけなければいけない。

俺は残った腕の力で滅ぼしの騎士を止めて、二人が近づけるようにした。

竜王やこの前のトロルキングの時のような激しい衝撃が腕に加わり、すぐに倒れそうになってしまうが、ゆきのへたちはそんな俺の様子を見て急ぐ。

 

「ワシらが戦っていた奴らは倒した…お前さんを助けに来たぜ!」

 

「我輩の剣で、あやつも斬り裂いてやろう!」

 

ゆきのへとロロンドは腕に力を込めて、滅ぼしの騎士に武器を叩きつける。

一度だけでなく、何度も二人は攻撃を行い、奴は怯みこそしなかったものの、相当なダメージを受けたはずだ。

 

「何人来たところで無駄だ!まとめて殺してやる、人間ども!」

 

滅ぼしの騎士の力で、ついに俺は押し切られて、体勢を崩してしまう。

だが、ゆきのへとロロンドが二人同時に、奴の斧を受け止めてくれた。

二人もすぐに押し切られそうになってしまうが、そこにゴールデンドラゴンを倒したルミーラも来て、奴の頭を撃ち抜こうとする。

 

「みんなが大変みたいだね…わたしも弓で援護する!」

 

ルミーラの矢では防御力の高い滅ぼしの騎士にあまり傷を与えられないが、頭を狙うことで、ダメージを大きくしていた。

俺との戦いで弱っていたところをロロンドとゆきのへにも攻撃され、ルミーラにも頭を撃ち抜かれた。

俺はここで滅ぼしの騎士を倒そうと、何とかおうじゃのけんを持って立ち上がり、奴の心臓を目掛けて突き刺す。

 

「みんなのおかげでチャンスが出来た…今のうちに倒す!」

 

奴の頭も同時にビルダーハンマーで叩き潰した。

俺たち4人の攻撃を受けて、滅ぼしの騎士はついに倒れて、消え去っていく。

ラダトーム城を襲った135体の魔物たちは、これで全て倒せたはずだ。

 

ラダトーム城の防衛戦が終わると、体力の限界だった俺たちは足を引きずりながら城の中に戻っていく。

 

「何とか滅ぼしの騎士を倒せたな…みんなの助けがなければ、危なかった」

 

重症も負っていたオーレンも治療を受けて、安静にしているようだった。

今回はこの前のように、非戦闘員にまで危険が及ぶことはなかったな。

だが、今回の滅ぼしの騎士のような強力な魔物がこれからも現れる可能性はあるだろうし、そこは少し不安だ。

俺はそんなことを思いながら、教会の中で休んでいた。


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