ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode140 精霊の光と復讐の闇

剣を振り上げた闇の戦士はまず、さっきの攻撃で体勢を崩していたルビスに斬り掛かっていった。

彼女もすぐに起き上がって攻撃を避けようとしたが間に合わず、剣で受け止めるしかなくなってしまう。

直撃は避けられたが、奴の攻撃力は上がっており、ルビスは今までの戦いで疲れているので、すぐに押し切られてしまいそうになった。

 

「抵抗しても意味はないぞ、ルビス!」

 

ルビスは力をこめて耐えようとするが、かなり苦しそうな表情をしていた。

俺はルビスを援護するため、ビルダーハンマーとおうじゃのけんを構えて、闇の戦士の左側へと向かっていく。

左側から斬りつければロトのたてに防がれることもなく、両腕でダメージを与えることが出来るだろう。

奴の左側面にまわると、俺は両腕の武器を思い切り叩きつけようとする。

 

「お前が援護に来たところで同じだ!」

 

だが、闇の戦士は俺が攻撃してきたのを見て、腕により一層力をこめていった。

すると、ついにルビスは耐えきれなくなり、剣を弾き飛ばされてしまう。

ルビスが剣を手放したのを見て、奴は両腕で俺の攻撃を防ごうとしてきた。

ロトのつるぎで攻撃を防がれれば、間違いなく押し返されてしまうので、俺は攻撃を中断して後ろに下がる。

 

「くそっ、攻撃出来ると思ったんだけどな…」

 

「無駄だと言っただろ。ルビスが戻ってくる前に始末してやろう!」

 

後ろに下がっても、闇の戦士はルビスが剣を取り戻す前に俺を仕留めようと、連続で斬りつけて来た。

防ぐことは出来ないだろうから、俺はひたすら避け続けることになる。

だが、闇の戦士の攻撃力は上がっていても、攻撃速度はこの前と変わっていない。

非常に素早くはあるが、今まで多くの強敵と戦ってきた俺にとっては、避け続けるのは不可能ではなかった。

 

「まだ避け続けるか…でも、いつまで持つかな?」

 

しかし、回避こそ出来るものの、反撃する隙は全くと言っていいほどない。

このまま避け続けていたら、俺の体力が尽きてしまうな。

 

「何とか反撃しないと、俺の体力が尽きるな…」

 

でも、攻撃を避けている間に、ルビスが剣を取り返して闇の戦士に斬りかかっていく。

それを見て闇の戦士は、再びルビスの剣を弾き飛ばして、俺の二刀流での攻撃を両腕で防ごうとしてきた。

さっきのように右腕に力を溜めて、ロトのつるぎをルビスに叩きつけた。

 

「もう戻ってきたか…でも、またすぐに弾き飛ばしてやるさ!」

 

弱っているところに強力な攻撃を叩き込まれ、ルビスはまたすぐに剣を弾き飛ばされそうになってしまう。

だが、ルビスは何とか攻撃する隙を作ろうと、本来片手用の剣を両腕で握って攻撃に耐えようとした。

 

「くっ…!」

 

腕だけでなく全身に強い衝撃が走っているようだが、懸命に剣を弾き飛ばされないようにしている。

すると、闇の戦士は一瞬で剣を弾き飛ばすことが出来ず、俺に隙を晒してしまう。

ルビスが作ってくれた隙を無駄にしないように、俺はおうじゃのけんを奴の腹に深く突き刺し、ビルダーハンマーを頭に叩きつけた。

 

「今のうちに斬り裂いてやるぜ!」

 

二刀流での攻撃を受けて、闇の戦士はわずかに怯む。

その間に俺は突き刺したおうじゃのけんを使って、奴の体を斬り裂いていった。

 

「ルビスめ…一瞬とは言え、オレの攻撃に耐えるとはな…」

 

非常に強力な闇の戦士だが、これで少しはダメージを与えることが出来ただろう。

奴は体勢を立て直すと、俺たちから距離をとってそんなことを言う。

しかし、奴はまだ俺たちを倒せることを確信しているようだった。

 

「だが、無駄なことだ!闇の魔法を使ってお前たちを滅ぼしてやる、ドルモーア!」

 

闇の戦士は今度は剣で攻撃して来るのではなく、マッドウルスやエビルトレントも使ってきた闇の魔法、ドルモーアを唱えて来る。

奴は強力な闇の力を手に入れてから、闇の魔法も使えるようになったのか。

闇の戦士は剣の腕だけでなく、魔法に関しても非常に強力だ。

エビルトレントは詠唱にかなりの時間がかかっていたが、闇の戦士はわずかな時間で発動させてしまう。

俺たちはすぐに大きくジャンプして回避し、直撃は避けられたが、爆風で少し吹き飛ばされてしまった。

 

「いくら避けても、お前たちが倒れるまで唱え続けてやる!」

 

そんな時に、闇の戦士はもう一度ドルモーアを唱えようとして来る。

俺は立ち上がって再びジャンプするが、今度はさっきよりも強く爆風を受けてしまった。

地面に叩きつけられたのを見て、闇の戦士はベギラゴンで俺を焼き尽くそうとする。

 

「もう起き上がれないか…それなら焼き尽くしてやる、ベギラゴン!」

 

俺のところに、燃え上がる巨大な火球が飛んでくる。

立ち上がってもう一度ジャンプしようとしたが、俺は避けきれず、炎に焼き尽くされそうになってしまった。

だがそんな時、ルビスが俺の前に立ちはだかり、何か呪文のようなものを唱え始める。

何をしているのかと思っていると、ルビスと俺の前に光のバリアのような物が現れ、ベギラゴンの炎を防いだ。

 

「私の光の力を使って、ベギラゴンの炎を防ぎました。今のうちに立て直してください」

 

ルビスは世界を作るほどの力を持った精霊だし、こんなことも出来るみたいだな。

ルビスの力がなければ焼き尽くされていたかもしれないし、俺はルビスに感謝しながら体勢を立て直す。

 

「あのままだと焼かれていたかもしれないし、ありがとうな」

 

しかし、光の力でベギラゴンを防いでから、ルビスはかなり苦しそうな顔をしていた。

闇の戦士の魔法を防ぐにはかなりの魔力が必要だろうし、何回でも防げ続ける訳ではないのだろう。

今まで光の力を使わなかったのも、それが理由だろう。

戦いが長引けば、ルビスの力にも限界が訪れてしまう。

 

「オレのベギラゴンを防ぐとは、さすがはアレフガルドを作った精霊だな…だが、精霊の力など何の意味も持たないと言っただろ!」

 

闇の戦士はルビスを弱らせようと、ドルモーアやベギラゴンの詠唱を続けようとしていた。

俺はなるべくルビスに負担をかけないように、奴の魔法を止めようとする。

 

「また呪文を唱えるのか…サブマシンガンで止められないか?」

 

そこで、サブマシンガンなら遠距離からでも奴を攻撃出来ると思い、俺はサブマシンガンを構えて奴に向かってはがねの弾丸を撃ち放とうとした。

サブマシンガンはかなりの速度で弾を撃ち出すので、奴でも避けることは出来ないだろう。

闇の戦士は突然飛んできたはがねの弾丸に体を貫かれ、驚いて動きを止める。

 

「くっ!…遠距離を攻撃出来る武器か…雄也め、こんな物も作っていたのか」

 

奴の動きが止まったところで、俺はさらにたくさんの銃弾を撃ち込んでいった。

一発ごとの威力はそれほどでもないだろうが、何十発も当てればかなりのダメージを与えられるだろう。

だが、闇の戦士は銃弾で体を撃ち抜かれる痛みに耐えて、ドルモーアの呪文を再び唱え始めた。

 

「…強力な武器だが、そんな物でオレは止められない。闇の力で、必ずお前たちへの復讐を果たしてやる!」

 

奴がドルモーアを唱えている間にも、俺はサブマシンガンを撃ち続ける。

闇の戦士の体には銃弾によってかなりの傷がついており、少しは弱らせることが出来ているだろう。

しかし、どれだけ撃っても奴のドルモーアの詠唱は止まらず、俺たちがいたところで闇の力が再び爆発を起こそうとする。

ルビスはまた光のバリアを作ろうとしていたが、俺はその必要はないと言って、ジャンプで回避しようとした。

さっきと同じように直撃は免れたが、爆風を受けて地面に叩きつけられる。

 

「ドルモーアは止められなかったか…でも、かなりのダメージを与えられたはずだ」

 

何度も爆風で地面に叩きつけられて、俺の全身にはかなりの痛みが走っていた。

それでも俺は体勢を立て直し、次の呪文が来る前にサブマシンガンを撃っていく。

闇の戦士は少しは弱っているようで、呪文を発動させるのにさっきよりも時間がかかっていた。

このままサブマシンガンを撃っていけば、さらに弱らせることが出来るだろう。

でも、闇の戦士もこれ以上サブマシンガンを撃たせないために、強力な攻撃をして来ようとした。

 

「もう諦めろと言っているのに、まだ攻撃して来るのか…!なら、闇の爆炎でお前もルビスも焼き殺す!」

 

そう言うと、闇の戦士はベギラゴンとドルモーアの呪文を同時に唱え始める。

二つの呪文を同時に唱える…闇の戦士はそんなことも出来るのか。

ベギラゴンとドルモーアはどちらも強力な呪文であり、二つが合わさったら恐ろしいことになるのは間違いない。

ルビスでも防ぎきれないかもしれないので、俺は何とかして止められないかと思い、弾切れになるまでサブマシンガンを撃ち続けた。

100発以上はがねの弾丸を受けて、闇の戦士は苦しそうな顔になって来ている。

 

「間違いなく効いてるのに、呪文の詠唱が止まらないな…」

 

だが、奴の俺やルビスに対する復讐心は簡単に止めることは出来なかった。

サブマシンガンが弾切れになり、どうしようかと思っているうちに、ついにベギラゴンとドルモーアが同時に発動してしまう。

呪文が発動した瞬間、暗黒の闇に染まった灼熱の火球が大爆発を起こし、広範囲を焼き尽くしていった。

 

「焼け死ね!雄也、ルビス!」

 

俺がジャンプしても避けきることが出来ず、後ろに下がっていたローラ姫にも危険が及ぶ。

ルビスが再び光のバリアを張り、俺たちを守ろうとしてくれる。

しかし、彼女はかなり力を消耗したようで、倒れこみそうになってしまっていた。

 

「くそっ、これでも呪文は止められなかったか…ルビス、大丈夫か?」

 

「はい。ですが、彼はまだ向かってきます」

 

ルビスは大丈夫だと言って剣を構えるが、これ以上魔法を防ぐことは出来ないだろう。

剣を使うにしても、闇の戦士の攻撃で一瞬で弾き飛ばされるかもしれない。

闇の戦士はそれを好機と考えたようで、ロトのつるぎで俺たちに斬りかかって来た。

 

「闇の爆炎を受けても、まだ生きているのか…だが、抵抗ももう限界のはずだ」

 

俺は奴の攻撃を回避することはできるが、やはり反撃を与えることは出来ない。

ルビスも弱っているので、さっきのように隙を作ってもらうことも出来ないだろう。

しかし、何とかして奴に攻撃して倒さなければ、俺もルビスもここで死んでしまう。

闇の戦士の戦士の攻撃を避けながら、俺は何か状況を覆せる方法はないかと考えた。

 

「…隙は作れるかもしれないけど、成功率は低いな…」

 

一つ思いついた方法があったが、成功する確率は低いだろう。

俺がさっきのルビスのように闇の戦士の攻撃に耐えて、その間にルビスに攻撃してもらうという方法だ。

奴は弱ってきているとは言え、攻撃力が非常に高いのは変わりない。

おうじゃのけんとビルダーハンマーの両方を使っても、恐らく一瞬で弾き飛ばされるだろう。

だが、他の方法を考えているうちに俺の体力は尽きてしまうだろうから、この方法に賭けるしかない。

 

「でも他の方法はないし…俺が奴の攻撃を受け止めるしかない」

 

俺は闇に染まったロトのつるぎが叩きつけられた瞬間、両腕に全ての力を入れて奴の攻撃を止めようとした。

俺が攻撃を受け止めようとしたのを見て、闇の戦士も腕に力を溜める。

全身の骨が砕け散るほどの衝撃が走り、左手に持つビルダーハンマーは一瞬で弾き飛ばされてしまった。

だが、わずかな時間でもルビスが攻撃する隙を作ろうと、残ったおうじゃのけんに力を入れ続け、闇の戦士の攻撃を止める。

 

「今だルビス…奴を攻撃してくれ!」

 

俺は必死に声を出し、ルビスに攻撃の合図を送る。

俺はついに耐えきれず、おうじゃのけんも手放してしまったが、その瞬間、ルビスの剣も闇の戦士の体に刺さった。

ルビスは残った力で闇の戦士の体に深い傷を負わせて、動きを止める。

もう俺は武器を両方手放してしまっているので、今奴にとどめをさせなければ、終わりだ。

ルビスもそれは分かっているようで、闇の戦士の体を何度も深く斬り刻んでいく。

 

「ここであなたを倒して、世界の光を守り抜きましょう!」

 

ルビスの攻撃を何度も受けて、闇の戦士はかなり追い詰められていた。

 

しかし、奴はまだ倒れることはなく、闇のロトのつるぎを握りしめて立ち上がってしまう。

闇の戦士は体勢を立て直すと、ルビスの剣を一瞬で弾き飛した。

 

「…残念だったな。世界の光は、もう消えてなくなるんだよ!」

 

ルビスの剣を弾き飛ばすと、奴はまた連続で斬撃を放って来る。

俺たちにはもう攻撃手段がないし、さっき奴の剣を受け止めたことで俺の体力も限界であった。

 

「倒しきれなかったか…。くそっ、もうどうしようも出来ないのか…?」

 

俺はまだ諦めたくはないので、何とか奴に攻撃する方法はないのかと考えるが、その間に体力が尽きてしまう。

ついに奴の攻撃を避けられなくなり、俺は腹を斬りつけられてその場に倒れ込んでしまった。

ルビスは弾き飛ばされた剣を拾い、闇の戦士に立ち向かおうとしたが、奴は俺とルビスを殺すために、再びベギラゴンとドルモーアを同時に唱えようとする。

 

「終わりだな!雄也、ルビス!」

 

俺は体の痛みに耐えて立ち上がり、何とか闇の爆炎の範囲の外に出ようとする。

だが、闇の爆炎は非常に攻撃範囲が広いので、避けきることは出来なかった。

ルビスにももう、光のバリアを発動させる力はない。

闇の爆発の中心部にはいなかったものの、俺たちは体を焼き払われてしまった。


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