ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
俺たちの立っているところに、まずはまだ生き残っている6体のエビルトレントと7体のキースドラゴンが襲いかかって来た。
今は囲まれていない状況だし、4人いるのでさっきよりは楽に戦えるだろう。
この前の防衛戦でもキースドラゴンを麻痺の矢で撃ち殺していたルミーラは、今回も奴らを倒すと言う。
「わたしは麻痺の矢でキースドラゴンたちを倒すから、雄也たちはエビルトレントたちを止めて」
ルミーラは囲まれないように、距離をとりながら奴らに矢を放っていった。
前の方にいるキースドラゴンは、麻痺の矢を何度も受けて、体が動かなくなる。
これならエビルトレントたちと戦っている間に、奴らの邪魔が入ることもなさそうだ。
「分かった。エビルトレントを倒したら、援護しに行くぜ」
俺たち3人は、それぞれの武器を持ってエビルトレントたちを攻撃していく。
エビルトレントは6体なので、それぞれ2体ずつ相手していくことになった。
俺は奴らの枝での攻撃を避けて、次の攻撃までの隙に両手に持っている武器をを叩きつけていく。
エビルトレントの樹皮はかなりの硬さだが、おうじゃのけんでは容易に斬り裂くことが出来て、ビルダーハンマーで変形させることが出来ていた。
「2体同時くらいなら、そんなに苦労することはないか」
俺は体力の限界が訪れているため回避の速度が遅くなっており、何度か攻撃を受けてしまうこともあったが、痛みに耐えて奴らへの攻撃を続ける。
エビルトレントたちは生命力が高い魔物だが、強力な武器での攻撃を何度も受けてかなり弱ってきていた。
「砦は守れなくても、お前たちのことは倒してやるぜ!」
「ボクはそんなに強くないけど、戦いの役に立ってやるんだ!」
ゆきのへもメタリックハンマーを力強く叩きつけて、エビルトレントたちを弱らせていく。
戦いが苦手なバルダスも、少しは奴らにダメージを与えることが出来ていた。
「せっかく砦を破壊したというのに、まだ抵抗して来るのか…!しつこい人間どもめ、仲間が倒される前に叩き潰してやる!」
だが、俺たちがエビルトレントたちを弱らせているのを見て、後ろのほうにいたトロルキングたちも再び殴りかかろうとして来る。
ビルダーである俺のところにトロルキングが、3人のところにボストロールたちが向かって来ているようだった。
「動きが遅くなっているところにトロルキングも来たら、かなり厳しいことになるしるな…その前に、エビルトレントを倒さないと」
体力が尽きて動きが遅くなっているところにトロルキングも来れば、攻撃が直撃してしまう可能性もある。
その前に、2体のエビルトレントを倒す必要があるな。
「回転斬りを使って、エビルトレント2体を薙ぎ払うか」
トロルキングたちが来る前にエビルトレントたちを倒すには、回転斬りを使うしかないだろう。
今は囲まれている状況ではないので、力を溜める隙もあるからな。
さっそく俺は奴らの攻撃を避けて、少し離れた場所で両腕に力を溜めていく。
回転斬りを使うことを知らないエビルトレントたちは、俺に近づいてまた枝を叩きつけようとしてきた。
力を溜め終えた俺は、奴らが攻撃してきた瞬間に力を解放する。
「今だ、回転斬り!」
回転斬りは久しぶりに使う気がするが、今までと変わらず高威力だ。
二刀流での回転斬りを受けて、エビルトレントたちは倒れはしなかったものの、大きく怯んで動きを止めた。
「まだ死ななかったか…でも、これで終わりだ!」
俺はエビルトレントが体勢を立て直す前に倒そうと、奴らの幹の部分にもう一度強力な攻撃を叩きこんでいった。
左の奴はビルダーハンマーの、右の奴はおうじゃのけんの一撃を受けて、生命力が尽きていく。
奴らは青い光に変わっていき、これで3体の魔物を同時に相手せずに済みそうだ。
「エビルトレントは倒せたな…これで安全にトロルキングと戦えるぜ」
トロルキングもさっきの火炎放射器での攻撃で弱っているので、あまり苦戦せずに倒せるだろう。
「人間のくせに、ここまで我の部隊を倒しやがって…!」
トロルキングは怒りのこもった声で俺に棍棒を叩きつけてくるが、さっきよりかなり攻撃速度が落ちていた。
俺は棍棒をジャンプして避けて、奴の足もとを攻撃していく。
トロルキングはやはり怯むような動きは見せなかったが、攻撃を続ければ倒すことが出来るだろう。
「厳しい戦いだったけど、生き残ることは出来そうだな」
砦に大きな被害を受け、俺も一度は追い詰められてしまったが、生きて戦いに勝つことが出来そうだ。
みんなもエビルトレントやキースドラゴンを弱らせて、ボストロールとの戦いに備える。
しかしそんな時、3人のところに向かっていたボストロールのうちの1体が砦の中を見て、あることを言った。
「隊長!砦の中にまだ人間の小娘が二人いるみたいだ。二人は戦う力はないみたいだが、どうしたらいい?」
寝室の壁が壊されてからも、ピリンとヘイザンは魔物たちに見つからないようにしていたが、隠れきることが出来なかったか…。
砦の中に人間がいることを聞いたトロルキングは、俺と戦いながらボストロールに指示を出す。
「戦う力はなくとも、ビルダーに協力しているに違いない!砦の中に攻め込んで、殺せ!」
非戦闘員だから見逃してくれるかもしれないと思ったが、エンダルゴの手下の魔物にはそんな情けはないようだな。
隊長の命令を聞いて3体のうち2体のボストロールが、ピリンたちを殺そうと砦の中に入っていく。
奴らは砦のカベを棍棒で叩き壊しながら、2人のいる寝室の奥に向かっていった。
ボストロールが砦に入ったのを見て、トロルキングはまたしても笑っているような顔で俺に言って来る。
「お前は生き残っても、小娘どもはもう終わりだ。何も出来ない無力な奴らが死んでいくのを見て、嘆き悲しむんだな!」
俺はトロルキングをかなり弱らせたが、奴は生命力がとても高いので、倒すにはもう少し時間がかかりそうだ。
だが、時間をかけていたら、ピリンたちはボストロールに殺されてしまうだろう…。
今までよりも力を入れてトロルキングに攻撃を続けるが、やはりなかなか倒れる気配はなかった。
「なかなか倒れないな…このままだと、ピリンたちが…」
「小娘たちの命が大事か?だが、もう何をしても無駄なんだよ」
懸命に攻撃を続ける俺に、トロルキングは棍棒を振りながら笑い続けた。
そしてついに、ボストロールたちが砦の奥にある寝室にたどり着き、ピリンたちへの攻撃を始める。
「消え失せるんだな!ビルダーに協力する者どもよ!」
「わたしは戦えないのに…どうしたらいいの…?」
「ワタシは…こんなところで死にたくはないんだ…」
ボストロールたちの攻撃は速度が遅いので、ピリンたちもすぐに殺されることはないようだ。
しかし、戦闘力を持たない二人では、やがて追い詰められてしまうだろう。
みんなもピリンたちが危険な状況ではあると気づいていたが、救援に迎える状況ではなかった。
「ワシの弟子が危ねえんだ…!さっさと倒れろ!」
「ボクもピリンたちを助けに行きたいんだ!」
ゆきのへとバルダスはそれぞれのハンマーで残り3体のエビルトレントたちと戦っているが、まだ倒しきることは出来ていない。
「キースドラゴンは倒したのに、ボストロールも来たみたいね…」
ルミーラもキースドラゴンを麻痺の矢で撃ち抜いていき、残り2体に減らしていたが、ピリンたちのところに向かわなかったボストロールにも襲われてしまっている。
「誰も救援に迎えないな…どうしたら二人を助けられるんだ?」
ピリンたちがだんだん追い詰められていく中、俺は何とか助けに迎えないか考える。
トロルキングを早く倒さなければ、ピリンたちの救援は間に合わないだろう。
「奴の棍棒を壊せば、無力化させて楽に倒せるようになるかもしれないな…」
俺はそこで、何とかしてトロルキングの棍棒を壊して、奴を弱体化させるしかないという結論に至った。
棍棒をなくせば、奴は回転斬りを防げなくなるだろうから、一気に倒すことが出来そうだ。
トロルキングの棍棒ははがねの矢ではびくともしない強度だが、さっき大砲を防いだことで傷がついている。
もしかしたら、もう一度強い衝撃を与えれば破壊できるかもしれないな。
「危ない方法だけど、こうしないとピリンたちは助からない…」
もう大砲やアローインプ式大弓は使えないので、ビルダーハンマーで棍棒を破壊するしかなさそうだ。
棍棒の威力は非常に高いので、左手に重症を負うことになるだろうが、もう他の方法を考えている時間はない。
トロルキングが攻撃してきた瞬間に、俺は左手に力を入れて、トロルキングの棍棒にビルダーハンマーを思い切り叩きつけた。
「くっ…!すごい衝撃だけど、押し切られる訳にはいかない…!」
俺の左腕を激しい痛みが襲い、衝撃で後ろに倒れ込んでしまいそうになってしまう。
これほどの痛みを感じたのは、竜王と戦った時以来だろう。
「我の攻撃を受け切ろうなど、人間のお前には不可能なんだよ!」
トロルキングも腕に力を入れて、俺のビルダーハンマーを押し返そうとして来る。
だが、俺も全身の力を左腕に集中させて、奴の棍棒を叩き壊そうとした。
しばらくすると、ついに奴の棍棒が衝撃に耐えられなくなったようで、砕け散っていく。
棍棒が砕け散った瞬間、俺は力尽きて倒れそうになるが、力を振り絞って立ち上がり、奴から少し離れて腕に再び力をため始める。
「これで棍棒を壊せたし、回転斬りで倒してやる…!」
弱っているトロルキングに二刀流での回転斬りを当てれば、倒せなくても瀕死にはなるはずだ。
トロルキングはさっき俺がエビルトレントに回転斬りを放ったところを見ているので、回転斬りから逃げようとするが、俺は力を溜めながら追いかける。
そして、最大まで力が溜まったところで、俺は奴の体を薙ぎ払うように斬り裂いた。
「回転斬り!」
高威力の二刀流での回転斬りを受けて、ついにトロルキングは怯んでしばらく動きを止める。
俺も回転斬りの後には隙が出来るが、その間に攻撃をされることはなかった。
早くピリンたちを助けに行こうと、俺は体勢を立て直すとすぐにトロルキングの腹におうじゃのけんを突き刺し、内臓を深くえぐっていく。
「これで終わりだ、トロルキング!俺たちの仲間を殺させはしないぞ!」
瀕死になっていたトロルキングは、体内を斬り裂かれて生命力が尽き、その場に倒れて消えていった。
トロルキングを倒すと、俺はさっき落とした火炎放射器を拾って、ピリンたちを襲っているボストロールたちを倒しに行く。
俺はまだ左腕に激痛が走っており、走るのもやっとの状態だが、火炎放射器があれば奴らを倒せるだろう。
俺は砦の中に入ると、火炎放射器を構えてボストロールたちに火炎放射器を向けた。
「ピリン、ヘイザン!大丈夫か!?」
ピリンはかろうじてまだ怪我をしていなかったが、ヘイザンは棍棒で足を殴られ、動けなくなっていた。
「早く助けて…!このままじゃ、二人ともやられちゃう!」
もう少し遅れていたら、二人とも死んでいたことだろう。
俺は二人を助けるために、ボストロールの腹に向かって火炎を放っていく。
奴らはピリンたちへの攻撃をやめて、俺に向かって棍棒を叩きつけてきた。
その間にピリンたちは、ボストロールたちから離れていった、。
「ビルダーめ、まだ生きていたか…!その火を吹く兵器ごと破壊してやる!」
俺にはもうジャンプをして回避をするほどの力は残ってないので、離れた位置からボストロールたちを焼き尽くしていく。
火炎放射器の射程距離はかなりあるので、少し離れていても問題なく攻撃することが出来ていた。
ボストロールたちの体にはさっきと同じように炎が燃え移っており、奴らは瀕死の状態にまで追い詰められていく。
「燃料ももう少ないけど、奴らを倒すまでは持ちそうだな」
火炎放射器の燃料が残り少なくなってきたが、ボストロールたちを倒すまでにはなくならないだろう。
燃料がなくなる度に新たな燃料を入れて、奴らが倒れるまで炎を放っていく。
最後には、ボストロールたちの全身に炎が燃え広がっていき、奴らは燃え尽きて死んでいった。
「これで終わったか…ボストロールたちを倒せてよかったぜ…」
非戦闘員であるピリンたちにまで危機が及んだのは今回が初めてだが、助けることが出来てよかったな。
一緒にアレフガルドを復興させてきた仲間が死んでしまうなんて、絶対に嫌だからな。
危機を逃れたピリンたちは、俺たちに感謝の言葉を言ってくる。
「ありがとう雄也!わたしは戦えないから、もうだめだと思ったよ」
「リムルダールでも命を救われたが、ここでも救われたな。本当にありがとう、雄也」
だが、ピリンはせっかくの砦がほとんど破壊されてしまったことを悲しんでもいた。
「でも、せっかくみんなと楽しく作った砦が、壊されちゃったね…」
砦は修理できるにしても、砦を容易に壊せるほど強力な魔物がまた襲って来れば、俺たちは生き残れるか不安だな。
ゆきのへとバルダスもエビルトレントを、ルミーラもキースドラゴンとボストロールを倒し、今回の戦いを生き残ることは出来たが、みんな明るい表情はしていなかった。
5章はかなり長かったですが、エピソード140で終わりの予定です