ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
日に日に激しさを増していく魔物の活動を見て、俺だけでなくみんなも落とし穴だけではまだ砦を守れるか不安になり、砦を守る新たな設備について考え続けていた。
そして、ラダトームに監視塔を建てた2日後、サンデルジュに来てから20日目の日、ゆきのへが新しい設備を思いついたらしく、砦の中を歩いていた俺に話しかけてきた。
「雄也。新しい設備について、一つ思いついたことがあるんだ。砦を守るだけじゃなく、エンダルゴの城を攻める時にも使えそうな兵器だ」
エンダルゴの城を攻めるか…俺たちは今はサンデルジュの砦を強化するのに精一杯で、エンダルゴを倒すための武器を作ることが出来ていない。
砦が強固でなければ、武器を作ろうとしている間に壊されてしまうからな。
ゆきのへの言う砦を守るためにも、エンダルゴの城を攻めるためにも使える兵器を作れば、早めにエンダルゴに挑みに行くことが出来そうだ。
「エンダルゴの城を攻めるのに役立つのなら、絶対に作ったほうがいいな。どんな感じの兵器なんだ?」
さっそく作ろうと思い、俺はゆきのへにその兵器について聞く。
すると、ゆきのへはメルキドの火をふく石像のように、火で魔物を攻撃するものだという。
「火で魔物を焼き尽くす兵器だ。ただ、メルキドにあった火をふく石像と違って、手に持って使うんだ。サンデルジュの魔物は強力だから、石像ではすぐに壊されると思ってな」
手に持って使う火をふく兵器…地球で言うところの、火炎放射器ってことか。
ゆきのへの言う通り火をふく石像は、サンデルジュの魔物には簡単に壊されてしまうだろう。
火炎放射器なら移動しながら使えるので、壊される心配もないし、確かにエンダルゴの城を攻めるのにも使えそうだ。
「それなら、砦に近づいてきた魔物もエンダルゴの城にいる魔物も倒せそうだな。さっそく必要な素材を調べて、作って来るぞ」
「ワシは他にも作れそうな兵器がないか考えてるぜ。完成したら見せてくれ」
火炎放射器を作りに行こうとすると、ゆきのへも何か別の設備も作れないかと考えるために部屋の中に戻っていった。
ゆきのへたちと協力してこのまま兵器の開発を続けていけば、エンダルゴや闇の戦士を倒して世界に完全な光が戻る日も遠くなさそうだ。
俺はそんなことを思いながらビルダーの魔法を発動させて、火炎放射器を頭の中に思い浮かべて、作るために必要な素材を調べる。
火炎放射器…はがねインゴット4個、マグマ岩2個 マシンメーカー
はがねインゴットで火炎放射器の形を作り、マグマ岩で火を放つための熱を作るということみたいだな。
マグマ岩はマシンメーカーを作る時にたくさん集めてきたので在庫があるが、はがねインゴットの原料である鉄はほぼなくなっているので、集めに行かないといけないな。
「火を放つためには、燃料も必要になりそうだな」
俺は火炎放射器の作り方を調べた後、燃料の作り方も調べる。
サブマシンガンや大砲を撃つのに弾が必要なように、火炎を放つのには燃料が必要になるだろう。
燃料…あおい油1個、あかい油1個、石炭1個 石の作業台
油や石炭といった、燃えやすい物が必要になってきたな。
石炭はたくさん持っているし、すぐに集められるが、サンデルジュにはスライムやスライムベスが生息していないので、ラダトームから持ってくるしかないな。
「岩山で鉄を集めてから、ラダトームに油を取りに行ってくるか。魔物の活動は激しいし、気をつけて行かないとな」
魔物の活動が激化している砦の外に出るのは危険だが、火炎放射器を作るためにはそうするしかない。
俺はまず、この前鉄や石炭を見つけた鉱脈に向かっていき、はがねインゴットを作るための鉄を集めに向かっていく。
この前と同じで鉱脈の近くには何体かのブラバニクイーンが生息しており、他の魔物と同じように辺りを監視するような動きをしていた。
「こいつらは倒せる相手だけど、いつも通り隠れながら進んでいこう」
まだ人間の味方をしている魔物が生き残っているかは分からないが、この監視態勢は終わらないみたいだな。
ブラバニクイーンに見つからないようにして鉱脈に近づくのはかなり大変だが、なるべく戦いを避けようと体勢を下げながら慎重に進んでいった。
近くには石材がとれる大型の石もあったので、俺はその後ろに隠れたりしながら、鉄と石炭の鉱脈に向かっていく。
かなり時間がかかり、砦を出て20分くらいたって鉄と石炭の鉱脈にたどり着いた。
「魔物に見つからずに鉱脈に着いたか…鉄はこれからも必要になるはずだし、可能な限りの数の鉄を集めておかないとな」
鉱脈に着くと、俺はさっそくおおかなづちを使って大量の鉄を採掘していく。
ビルダーハンマーは使うと何故か鉱脈ごと手に入れてしまうので、採掘には向いていない。
はがねインゴットはこれからも必要になるだろうから、いくらあっても多すぎということにはならなさそうだ。
200個以上の鉄を集めると、俺は油を手に入れるためにラダトームに向かおうとする。
「あとはラダトームで油を手に入れれば、火炎放射器も燃料も作れるな」
さっき通ったブラバニクイーンのいる場所を戻っていき、ラダトーム城に繋がる旅の扉へ足を進めていく。
2日前チョビと一緒にラダトーム城に向かった時より魔物の数が増えており、その時のようにドロルの姿に戻ったチョビの後ろに隠れて進むこともできない。
何度も魔物に見つかりそうになり、40分かけてようやく旅のとびらのところに着くことが出来た。
「時間がかかったけど、何とかラダトーム城に無事に着いたか。大倉庫から油を取り出したら、火炎放射器を作りに戻ろう」
行ったり来たりで大変だが、早めに強力な兵器である火炎放射器を作ったほうが良いと思うので、ラダトームで油を手に入れたら、サンデルジュの砦に戻ろう。
俺は旅のとびらをくぐって、ラダトーム城の中に入った。
ラダトームの大倉庫に入っている油をポーチに移す前に、俺は修復活動が行われているラダトーム城の中を眺めてみる。
すると、城の大部分はきれいに戻っており、俺が作った監視塔の上ではラスタンが魔物の様子を見ていた。
「気になっていたけど、無事にラダトーム城は元通りになったみたいだな」
次の防衛戦ではどうなるか分からないが、ラダトーム城がこれ以上の被害を受けなければいいな。
俺はラダトーム城の様子をしばらく眺めた後、大倉庫に入っているあかい油とあおい油を取り出す。
ラダトーム城で作らなければいけない物もなさそうなので、俺は予定通り火炎放射器を作りにサンデルジュの砦に戻ることにした。
緑の旅のとびらを抜けてから、俺は30分くらいサンデルジュの砦に向かって歩き続ける。
帰りも慎重に進んでいったので、魔物に見つかることはなかった。
だが、砦までもう少しというところで、砦に向かって歩いている魔物の大軍が見えた。
「何か…大量の魔物が砦の報告に向かっているな…。もしかして、俺たちの砦を襲おうとしているのか!?」
その魔物の大軍は、ブラバニクイーンとエンダルゴの城にいたメーダの上位種、コスモアイが16体ずつ、エビルトレントとキースドラゴンが10体ずつ、ゴールデンドラゴンとボストロールが6体ずつおり、最後尾にはボストロールのさらに上位種、トロルキングが1体いた。
合計65体であり、この前に比べて魔物の総数は少ないが、強力な魔物が増えている。
ブラックチャックやアローインプといった弱めの魔物は戦力外の扱いを受けたのか、その大軍の中にはいなかった。
俺は歩きながら魔物の様子を見ていたが、やはり奴らはサンデルジュの砦に向かっているようだった。
「やっぱり俺たちの砦に向かっているな…早くみんなに知らせて、迎え撃たないとな…勝ち目を上げるために、火炎放射器もすぐに作らないといけない」
俺は魔物のことをみんなに知らせたり、火炎放射器を作ったりするため、奴らに見つからないようにしながら急いで砦がある高台に登っていく。
砦に入ると、俺は魔物が近づいてきていると大声でみんなを呼んだ。
「みんな、急いで戦いの準備をしてくれ!この前みたいに、かなりの数の魔物がこの砦に近づいているんだ!」
俺の声を聞いて、それぞれの武器を持ったゆきのへ、ルミーラ、バルダスの3人が部屋の中から飛び出してくる。
急な魔物の襲撃に驚いているようだが、この砦を守らなければいけないという思いで砦の前に向かっていった。
「まだ兵器を考えてる途中だってのに、もう魔物が来ちまったのか」
「魔物の数が増えて来てるし、今日も大変な戦いになりそうだね」
「ボクもみんなの砦を守るために、この棍棒で戦ってやる!」
3人はそう言った後、サンデルジュの砦に近づいてきている魔物を見下ろす。
みんな、厳しい戦いになりそうだという表情をしていた。
俺はすぐに火炎放射器を作るために、急いで工房の中に入っていく。
「俺は急いで火をふく兵器を作ってくる!兵器が出来たら、俺もすぐに向かうぞ」
「魔物が来るまでもう時間はねえ、出来るだけ早くしてくれ!」
俺は工房に入るとすぐにポーチから鉄を取り出し、まずは鉄のインゴットを作る。
鉄のインゴットが出来ると、それをさらに加熱してはがねインゴットに変えた。
はがねインゴットは大量に作っておきたいが、今は時間がないので火炎放射器を作るために必要な分だけにしておいた。
「はがねインゴットが出来たから、マグマ岩と合わせれば火炎放射器を作れるな」
出来たはがねインゴットをマシンメーカーの上に置き、マグマ岩と合わせて火炎放射器を作っていく。
今は急いで作らないといけないので、いつもビルダーの魔法を発動させる時よりも強く念じていた。
そのおかげか、いつもより早くはがねインゴットやマグマ岩が加工されていく。
俺が考えていた通り、はがねインゴットが火炎放射器の形を作っていき、マグマ岩が内部で熱を発生させるという仕組みだ。
「あとは燃料を作ったら、ゆきのへたちと一緒に戦いに行こう」
火炎放射器が完成すると、俺は炎を放つための燃料を作り始める。
石の作業台を使ってあかい油、あおい油、石炭を混ぜ合わせていき、たくさんの燃料を作っていった。
10個くらいの燃料が出来ると、俺はそれらをポーチにしまって工房を飛び出す。
「みんな、火をふく兵器が出来たぞ!これを使って魔物を迎え撃ってやる」
俺がそう言ってみんながいる砦の前に行くと、魔物の大軍の前衛にいるブラバニクイーンはもう砦のかなり近くまで来ていた。
強力な魔物だらけだが、落とし穴や火炎放射器の力も使って必ず勝たないといけない。
「無事に火を吹く兵器が出来たか…だが、油断は決して出来ねえ。大変な戦いになるだろうが、必ず倒しに行くぞ」
ゆきのへはそう言って、メタリックハンマーを構える。
砦のすぐそばまで来ていたブラバニクイーンたちも、俺たちをにらむような顔をしていた。
サンデルジュの砦の4回目の防衛戦が始まった。