ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode12 鎧の騎士

俺は石の守りを完成させ、少し休憩していた。地球より物はとても軽いのだが、石垣を何個も積み上げていくのはさすがに疲れた。

 

「この防壁があれば、並の魔物は入って来れないな」

 

俺が出来上がった石の守りを眺めていると、俺が気に入らない奴、ロッシが話しかけてきた。そこまで悪い関係ではないので、普通に話せるが。

 

「お前、こんな防壁を作っていたのか。順調そうじゃねえか」

 

一瞬、ロッシもこの町の発展を喜んでいるように見えたが、急に真面目な顔をし、こんなことを言ってきた。

 

「だが、俺はこれ以上町を大きくしてり、武器を作って魔物に対抗したりするのは反対だ」

 

ケッパーがこの町にやってきた時も、そんなことを言っていたな。真面目な顔をして言っているので、何らかの理由がありそうだ。それでも、協力が必要なのに、こんなみんなの意思にそぐわない者がいるのは困るのだが。

 

「別に、気に入らないのなら出ていけばいい。お前は最初、長居するつもりはないって言ってたよな?そろそろ出ていく時なんじゃないのか?」

 

俺は町を去るべきではないかと提案した。もちろん、外には魔物がいて危険なので、無理に追放するつもりはないが。

 

「まあ、そうなんだけどよ、みんなと一緒に暮らしたり、素材から物を作るってのは、楽しくない訳でもなくわねえ」

 

ないわけでもなくわねえ?複雑な文でよく分からんくなってきたが、ロッシはこの町が嫌いな訳ではないようだ。

 

「町の仲間になりたいって言うんだったら、俺は別に断らないけどな」

 

「ピリンたちと物を作るのは楽しいからそれも良いけど、今この町にある作業部屋は、地味すぎてなんとなくやる気が出ねえんだ」

 

それにしても、地味だとか失礼なことを言う奴だな。そこまで派手にする必要もないと思うし。

 

「そこまで派手にしなくても良いだろ。」

 

「オレもスゴいものにしろとは言ってない。例えば、作業部屋の目印になりそうな壁掛けあったりしたら、少しは違うと思うんだけどな」

 

壁掛けか···。確かにドラクエの道具屋とか武器屋には、大体看板が貼ってあるよな。あれを作ればいいか。

 

「壁掛けなら簡単に作れる。すぐに作れるぞ」

 

「そうか。出来たら、作業部屋の入り口に着けてくれ」

 

俺は、ドラクエシリーズで見たことのある武器屋、防具屋、道具屋の壁掛けの作り方をそれぞれ調べた。

武器屋のカベかけ···鉄のインゴット1個、染料1個 炉と金床

防具屋のカベかけ···鉄のインゴット1個、染料1個 炉と金床

道具屋のカベかけ···木材1個、染料1個 石の作業台、木の作業台、鉄の作業台

鉄のインゴットという素材は、鉄が無いと作れなさそうなので、今作れるのは道具屋のカベかけだけだな。この木の作業台とか鉄の作業台とか言うのが気になるけど、今は石の作業台でも作れるから別にいいな。

 

「道具屋のカベかけなら、在庫がある素材で作れるな」

 

特に用事のない日は、俺たちはスライムを狩ったり、木材を取りに行ったりしているので、素材はかなりあった。じょうぶな草などに比べれば少ないが。

俺は石の作業台で道具屋のカベかけを作り、作業部屋の入り口につけた。ちょうど、ロッシが作業部屋の近くにいたので、道具屋のカベかけを見に来た。

 

「これがカベかけか。なかなか良さそうだ。これで、ここが作業部屋ってことがはっきり分かるな」

 

だが、ロッシはまた真面目な表情に戻った。

 

「ロッシ、どうしたんだ?」

 

「ちょっとお前に大事な話がある。ロロンドに聞かれるとマズイから、オレの個室に来てくれ」

 

ロロンドに聞かれたくない話だと?俺はとりあえずロッシの部屋に入った。

 

「ここなら、他の人に聞かれないな。」

 

「それで、大事な話って何だ?」

 

「さっきも言ったかもしれないけど、何度でも言うぜ。ロロンドにいくらそそのかされても、これ以上町を発展させるのはやめておいたほうがいい」

 

またその話だったのかよ。だから、絶対に町を発展させて見せると言ってるロロンドの前では話せないと。だけど、何でロロンドと協力している俺に言うんだ。それに、何を言われても町の復興をやめるつもりはない。

 

「何でみんなの意思にそぐわないことを言う?ピリンもロロンドもケッパーも俺も、町の発展のために頑張っている。発展を止めるつもりもない。さっきも言った。気に入らないのなら出ていけばいい」

 

さっきまで壁掛けを作る話で仲良くなれたかと思ったが、俺とロッシの関係は、再び、いやこれまで以上に険悪なものとなった。

 

「そう言われると思ってたぜ。だがな、ほどほどに目を付けられて、必ず潰されちまう」

 

俺たちは魔物に立ち向かおうとしているのに、ロッシは諦めている様子だった。メタルギアソリッド5で、マザーベースが滅びたのは力を持ちすぎたからだなんて言われてたけど、結局はスカルフェイスの独断と、裏切り者の存在が原因だったんだよな。

それにしてもロッシは、必死に魔物に立ち向かっている俺たちを否定しているのだろうか。

 

「だからこそ、町を発展させ、強い武器を作ってるんだ!何で分からないんだ!?」

 

俺は、ケッパーが来たときと同様に、ロッシを怒鳴っていた。すると、ロッシは訳の分からないことを言った。

 

「わ、分かるけどよ。町を発展させすぎると、あの化け物が必ずやってくるんだ。その昔メルキドの町を滅ぼした、巨大なゴーレムがな!」

 

聞いた瞬間、は?と思った。ゴーレムはメルキドの守り神だったはずだ。それが何で町を滅ぼすんだ?竜王とかに操られた可能性もあるが。しかし、ロッシの言い方から考えて、操られたとは考えにくい。もしそうだったら、操られたゴーレムがメルキドを滅ぼしたって言い方になるはずだ。

 

「おい、ゴーレムはメルキドの守り神のはずだぞ?何でゴーレムが町を滅ぼすことになる?」

 

俺は問い詰めたが、ロッシはそれ以上は話さなかった。俺がロッシの個室から出ると、今度はロロンドに話しかけられた。

 

「ここにいたか、雄也よ。実は、メルキド録の解読が進んでまた新しいことを発見したのだ。」

 

最近、メルキド録を解読するスピードが早いな。毎晩徹夜でやっているからだろう。

 

「お主には、とある人物を探しに行って欲しいのだ。」

 

「ある人物?」

 

「メルキド録によると、このメルキドには伝説の鍛冶屋、ゆきのふなる人物がおり、その遠い子孫が、今もどこかで生きているようなのだ。強力な武器を作って、このメルキドを支配する魔物の親玉を倒すためにも、なんとか鍛冶屋の子孫を見つけ、仲間にしたい」

 

ゆきのふか···。確かドラクエ3で伝説の剣を作った鍛冶屋だったな。彼の遺伝子を引き継ぐ者がいれば、強力な武器も作れそうだ。

 

「その男の情報があつまったら、彼をこの町に連れてくるのだ。」

 

「何か分かったら言ってくれ」

 

伝説の鍛冶屋のことは分かったが、俺もロロンド相談しないといけないことがあったな。

 

「俺もロロンドに相談したいことがある。ロッシの奴が、これ以上町を発展させないほうがいいとか、メルキドの町はゴーレムが滅ぼしたとか言ってたんだ」

 

「何を言っている?ゴーレムはメルキドの守り神なのだぞ!何があったか知らぬが、ゴーレムが人間を滅ぼすことがなかろう。お主、こんな話を真に受けてはないだろうな?」

 

ロロンドも、ゴーレムがメルキドの守り神だと言うことは知っているようだ。ロロンドも、ロッシのことを悪く思い始めた。

 

「もちろん真に受けてはいない。でもそんなことを俺に言ってきたんだ。どうすればいいと思う」

 

「そう言う根拠のない噂で人々を不安させたり、町の発展に文句を言う奴は、町にとって邪魔な人間になる」

 

ケッパーが来たときの話で、俺もそんな予感がしたけど、本当だったようだ。

 

「いずれ、対処を考えなければならないかもしれん」

 

やっぱりそうだよな。追放するのは気が引けるが、町の発展を考えれば、そんなことを言ってはいられない。

その時だった、俺たちの耳に、ケッパーの大声が聞こえた。

 

「みんな、魔物がこの町に近づいて来ているよ!」

 

「な、何だと?またしても魔物の軍勢が迫ってきているのか」

 

もう襲撃は来ないで欲しいと思っていたが、やはり思い通りにはならなかったようだ。町の西を見ると、がいこつ6体、ブラウニー6体、そして隊長と思われる初めて見る、青い鎧を身にまとい、斧をもった魔物、よろいのきしがいた。合計13体で、これまでで一番多い。

 

「今の我々には、石の守りもある。しかし、油断してはならんぞ!」

 

「分かってる。こいつらを倒すぞ!」

 

俺とロロンドとケッパーは、どうのつるぎを手に持つ。メルキドの町の、三度目の防衛戦が始まった。

 

「同族のかたきを討つぞ!」

 

「人間め、切り刻んでやる」

 

ブラウニーとがいこつは、この前の防衛戦などで俺たちが倒した奴らの仲間らしい。仇討ちに来たってところか。だが、俺たちも負けるわけにはいかない。

 

「なんか壁が出来てるぞ?まあいい、ぶっこわす!」

 

ブラウニーは石の守りを見つけ、叩き壊しに来る。だが、ブラウニーごときには石垣を壊すことはできない。シェルターの前の時と同じように、ブラウニーはトゲわなに刺さり始める。

 

「なんて固いんだ。それに地面にトゲが!」

 

石の守りで侵攻を妨げられたのを見て、よろいのきしは指示を出す。

 

「その防壁は俺が壊す!ブラウニーたちは横にある建物を壊して侵入しろ!」

 

「了解だ、隊長!」

 

よろいのきしは固い鎧があるため、トゲわなでもダメージを受けない。よろいのきしは石の守りに突撃し、6体のブラウニーは町の西にある着替え部屋に向かった。中には誰もいないとはいえ、せっかくピリンが作った部屋だ、壊される訳にはいかない。

 

「僕と雄也で倒そう。ロロンドは石の守りが壊された時に奴らを止めてくれ」

 

「壊されるとは思えんが、一応のためだな、分かったぞ」

 

ケッパーと俺は、着替え部屋を壊そうとするブラウニーに斬りかかった。

 

「な、何をするんだ人間!」

 

ブラウニーはすぐに俺たちに反撃に出る。6体もいるので倒すのが難しい。でも俺とケッパーにはあの技があるからな。

 

「ケッパー、特技を使おう」

 

「分かった。お互いを巻き込まないように離れてから使うぞ!」

 

「特技か何だか知らねえけど、お前らをぶっつぶすって言ってんだ!」

 

俺はブラウニーのうち三体を切りつけ、その後2メートルほど移動する。ケッパーや石の守りを巻き込まない位置にきたら、ブラウニーを挑発する。

 

「お前らなんてハンマーもうまく使えない雑魚だろ(笑)」

 

俺もうまくはないが、これは挑発だからな。ブラウニーは俺の発言に怒り狂い、ハンマーを振り回してくる。

 

「人間のくせに生意気なこと言ってんじゃねえよ!」

 

「うるせえ!低レベルの生物が!」

 

俺とケッパーでうまくブラウニーを分断できた。奴らの攻撃をかわしながら、俺たちは同時に叫んだ。

 

「回転斬り!」

 

俺は剣を一回転させ、ブラウニーの腹を切り裂く。トゲわなでのダメージもあってだろうが、一撃で倒れるブラウニーもいた。

 

「まだ残ってるやつもいるが、瀕死だろうな」

 

生きているブラウニーも、立っているのがやっとの状態だった。俺は奴らにとどめを指していく。ケッパーも無事にブラウニーを殲滅できたようだ。

 

「何っ!ブラウニーが!」

 

石の守りの破壊に手こずっているよろいのきしは、ブラウニーたちが倒されたことを知ってショックを受けた。

 

「くそっ!あいつらの人間への仕返しを成功させるって言ったのによ!ふざけんなよ貴様ら!」

 

よろいのきしは渾身の攻撃を鎧に叩きつけ、ついに石垣を破壊した。ドラクエ本編で言う、痛恨の一撃って奴だろう。よろいのきしの壊した石垣の穴からがいこつたちが次々と町の中に入って行く。

 

「この町を壊させはせんぞ!」

 

ロロンドががいこつたちと交戦する。俺とケッパーは救援に向かった。だが、俺たちの行動を見たよろいのきしはロロンドに斧を振り上げる。

 

「まずは貴様を殺す!」

 

よろいのきしの行動に気付いた俺は、がいこつとの戦いに集中しているロロンドに言った。

 

「危ない!避けろ!」

 

「何っ!?」

 

しかし、ロロンドが気付いたときはもう遅く、よろいのきしの斧はロロンドを切りつけた。

 

「まだ死んではないな。次でとどめだ!」

 

よろいのきしはもう一度ロロンドに斧を振り上げる。

 

「させるかよっ!」

 

俺は立ちふさがるがいこつを回転斬りで一掃し、よろいのきしに剣を突き刺そうとした。。首を狙ったがうまく当たらなかった。しかし、鎧にヒビをいれ、攻撃を止めることができた。

 

「ぐっ、貴様!邪魔をするな!」

 

回転斬りで死ななかったがいこつが俺を狙ってきたが、ケッパーが倒してくれた。

 

「こっちは僕に任せて!ロロンドを安全なところに避難させてくれ!」

 

ケッパーがよろいのきしを引き付けている間に、俺はロロンドを作業部屋に移動させた。ロロンドは命に別状はなさそうだが、戦える状態ではない。ロロンドを避難させた後、俺はよろいのきしとの戦いに戻る。

 

「雄也、ロロンドは大丈夫そうか?」

 

「なんとかな。今はこいつを倒そう。」

 

ケッパーの攻撃で、よろいのきしの鎧の耐久力は減って来ていた。

 

「おのれ人間ども!我が軍団を壊滅させ、俺自身もここまで追い詰めるとは!」

 

残り1体だけになり、追い詰められたよろいのきしは斧を降りながら突進してくる。よろいのきしの前方にいた俺とケッパーは避けられないと思い、剣で受け流す。てつのさそりと同じかそれ以上のパワーで、俺はまたしても吹き飛ばされた。そして、ロロンドのいる作業部屋の壁に穴が開く。

 

「くそっ、ロロンドが危ない!」

 

ケッパーは吹き飛ばされなかったが、かなり腕は痛そうだった。だが、ケッパーは痛みになんとか耐えて、突進の反動で動きの止まったよろいのきしに回転斬りを放つ。

 

「回転斬り!」

 

「ぐっ!まだ戦えたのか!?」

 

回転斬りのせいで、作業部屋の壁はさらに壊れたが人命が優先だから仕方ない。俺は立ち上がって、耐久力が切れそうであろう鎧を全力で叩き割り、よろいのきしの内臓をどうのつるぎでえぐった。

 

「ぐ、ぐああああああっ!」

 

内臓をえぐられるすさまじい痛みに、よろいのきしは悲鳴をあげる。俺はそのまま心臓なども切り裂き、よろいのきしを倒した。

 

「た、倒せたみたいだね」

 

ケッパーも俺も、かなりキツイ戦いだった。よろいのきしを倒すことが出来たが、アイツは魔物の親玉どころか、その半分の力もないのだろう。もっと力をつけないとな。

俺はロロンドを個室に運びきずぐすりを5個使って寝かせた。ここまで傷をうければきずぐすりをぬっても1日では直らなそうだが、命に別状がなくて良かった。

 

「キツイ戦いだったぜ。そうだ、よろいのきしは何を落としたんだ?」

 

よろいのきしが倒した所を見ると、なんと新しい旅のとびらが落ちていた。この前の物と違い最初から完成しており、縁の紋様が赤色だった。

 

「これでまた新しい場所に行けるってことか」

 

俺は赤の旅のとびらを設置し、個室に入った。もう夕方であり、戦闘後なので、ベッドで休むことにした。明日からは、新しい場所の探索が始まるだろう。


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