ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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今回は1章にもあった魔物サイドの会話を復活させました。今後も何回か出す予定です。


Episode126 激戦に向けて

俺が闇の戦士と戦い、闇の力の集合体が現れた日の午後、俺たちは砦の中で新しい設備が作れないかと考えていた。

これから現れるであろう強力な魔物には、今の設備では対処しきれないだろうからな。

だが、今の砦にある兵器より強力なものなど、俺にはなかなか思いつかなかった。

でもそんな時、アローインプのルミーラが一つの提案をしてきた。

 

「雄也、ひとつわたしから提案したいことがあるんだけど、いい?」

 

さっそく新しい設備について何か思いついたのだろうか?

俺はまだ何も思い浮かんでいないのに、早いな。

どんな提案なのかは分からないが、今は少しでも砦を強化しなければいけないので、俺はルミーラの提案を聞くことにする。

 

「ああ、何か新しい設備を思いついたのか?」

 

「わたしが考えたのは、襲撃してきた敵を砦に近づかれる前に倒すための、大型の弓。何体かを砦に近づかれる前に倒しておけば、砦の防衛が楽になると思う」

 

大型の弓か…そういえばリムルダールを復興している時、ヘルコンドルやマッドウルスを倒すために大弓という兵器を開発していたな。

サンデルジュに来てからは作っていなかったけど、遠距離から敵を狙い撃ち出来る、機械仕掛けの強力な兵器だったはずだ。

ルミーラが考えているのは、そのような兵器なのだろうか?

 

「俺たちもリムルダールという町を復興している時に大型の弓を開発したことがあるんだけど、ルミーラはどんな感じの弓を思いついたんだ?」

 

「わたしが思いついたのは、アローインプ式の弓を何倍もの大きさにしたもの。一度に5発の矢を放てるから、強敵にも致命傷を与えられると思うね」

 

一度に5発もの矢を放つことが出来るか…アローインプの弓にそんな力があるとは思えなかったぜ。

確かにそれなら、大型の魔物にも大きなダメージを与えることが出来そうだ。

俺がそんなことを考えていると、ルミーラは俺が昔作っていた大弓はどんなものなのかと聞いてきた。

 

「それで、雄也が昔作ってた弓は、どんな感じだった?」

 

「俺がリムルダールで作っていたのは、機械仕掛けの大弓だ。そこの町のみんなが考えてくれたものでな、リムルダールの魔物の親玉、ヘルコンドルを撃ち落とすほど強力だった」

 

俺はリムルダールを復興していた時のことを思い出して話す。

まだあの時からそんなに時間はたっていないので、はっきりと覚えている。

そのことを話すと、ルミーラは自分が考えていた兵器と俺が作っていた大弓を合わせようと言った。

 

「確かにそれは強そうだね。わたしが考えたアローインプ式の弓と、雄也が作っていた機械仕掛けの大弓を合体させた兵器を作ればもっと強力になりそうだね」

 

その二つの兵器を合体させると言うことは、機械仕掛けの大弓の威力の矢を、5発同時に放てる兵器になると言うことか。

あんな高威力の矢を5発同時に撃てるのなら、間違いなくこれからの砦の防衛にも役立ちそうだ。

 

「確かに強そうだな。それを作って、砦の前に配置するか」

 

「わたしが作り方を考えるから、雄也は昔作っていた大弓の形や作り方を教えて」

 

ルミーラの思いついた兵器に賛成すると、彼女は俺が昔作っていた大弓の形や作り方について聞いてくる。

ルミーラにはまだ機械仕掛けの大弓だとしか伝えていないので、新兵器を考えるのには情報が足りなさすぎるのだろう。

俺はルミーラにリムルダールで作った大弓の特徴を伝えると、近くでルミーラの考えがまとまるのを待っていた。

そして、しばらくすると、ルミーラは考えがまとまったらしく、俺に新たな大弓の作り方について教えてきた。

 

「少し時間がかかったけど、だいたいの作り方や見た目は決まったね」

 

「さっそく教えてくれ。今から作りに行ってくるぜ」

 

俺がそう言うと、ルミーラは新たな大弓の作り方について言い始める。

俺が考えていた通り、高威力の矢を5発同時に撃つことが出来る、機械仕掛けの大弓になったようだった。

作り方を聞き終えると、俺はビルダーの力で必要な素材を確認する。

 

アローインプ式大弓…木材10個、ひも8個、はがねインゴット5個 木の作業台

 

大弓よりもさらに大型かつ、複雑な作りになっているので、木材とひもの必要数が増えているな。

また、大弓ではさびた金属を使っていたが、それでは強度が足りないとルミーラが考えたようで、はがねインゴットを使うようだ。

必要数は多いが持っている素材ばかりなので、今から作りに行けそうだ。

木の作業台が必要だと出たが、ここには万能作業台があるので問題ないな。

 

「今持っている素材で作れそうだから、さっそく作ってくるぜ」

 

俺はルミーラに言ってから、万能作業台が置いてある工房に向かった。

工房に入ると、俺は万能作業台の前に立って必要な素材を取り出し、ビルダーの魔法を発動させていく。

すると、持っていた素材が次々に複雑に加工されていき、かなり大型な弓の形に変わっていった。

それは、ルミーラに言われた通り5つの矢を同時に放てる構造となっており、俺がリムルダールで作っていた大弓と同じような機械仕掛けの物となっていた。

 

「これがアローインプ式大弓か。とても強そうだし、今度魔物が来た時に使ってみるか」

 

アローインプ式大弓を作った後は、今度は敵に放つための矢を作っていく。

リムルダールでは鉄で作られた鉄の矢、銀で作られた聖なる矢の2種類の矢を作っていたけど、今は強力かつ大量に持っているはがねインゴットがあるので、それから矢を作ったほうが良さそうだな。

 

はがねの矢…はがねインゴット1個、木材1個 木の作業台

 

俺は必要な素材を調べると、さっそく目の前にある万能作業台で大量に作っていく。

一度に10個も作ることが出来るし、5発同時に撃っていればすぐになくなるだろうから、俺は次々に作っていき、200個のはがねの矢を用意しておいた。

 

「このくらいはがねの矢があればしばらくはなくならないだろうな。弓も矢も作れたし、アローインプ式大弓を設置しに行ってくるか」

 

俺は200個のはがねの矢をしまうと、今作ったアローインプ式大弓を砦の前に設置しにいく。

いつも魔物が襲撃してくる方向は決まっているので、魔物を狙い撃ちしやすいような位置に置くことにした。

アローインプ式大弓を設置した後は、それがうまく機能するか動かしてみる。

すると、大型の弓とは思えないほど軽く角度調整ができて、とても使いやすそうになっていた。

 

「これなら、強い魔物を狙い撃ちするだけじゃなくて、弱い魔物を薙ぎ払うように撃つことも出来そうだな」

 

強い魔物を集中攻撃するか、弱い魔物を薙ぎ払うか、2通りの使い方が出来るというのもとても便利だな。

次の魔物の襲撃がいつになるかは分からないが、これで勝てる可能性が上がったはずだ。

俺はアローインプ式大弓を完成させ、設置したことを伝えるために、ルミーラを呼ぶ。

 

「ルミーラ、新しい大弓を作って設置してきたぜ。とても使いやすそうだし、強そうだ」

 

それを聞いて、嬉しそうな顔をしたルミーラが部屋の中から出てきて、俺のところに走ってくる。

自分が考えた兵器が強そうだと言われて、喜んでいるのだろう。

 

「うまく考えられたか少し不安だったけど、強力な兵器になったのならよかった」

 

俺のいるところに近づくと、ルミーラはそう言う。

そういえばルミーラは俺たちの活動に加わってからそんなに時間がたっていないし、兵器を考えるのも初めてのはずだ。

初めてなのにこんな強力な兵器を考えるのは、かなりすごいことだろう。

俺はそんなことを考えながら、アローインプ式大弓を考えてくれたルミーラに感謝する。

 

「こんな強力な兵器を考えてくれてありがとうな。今度からの戦いはこれを役立てていくぜ」

 

「わたしももっと強力な設備を作れないか、みんなと話し合ってみるね」

 

ルミーラは今回だけでなく、これからも強力な設備を開発していこうと言う。

さっきみんなは今まで通り協力していけば大丈夫だと言っていたが、俺もそう思えてくるぜ。

俺とルミーラはしばらくアローインプ式大弓を見た後、次なる設備を考えに砦の中に戻っていった。

 

その日、俺達は魔物との戦いに向けてさらなる兵器を砦の中で考えていたが、思いつかないまま夜になってしまった。

アレフガルドの夜は暗くて不気味であり、明日からの活動に備えて俺達は寝ることにした。

 

 

 

その日の深夜、雄也達が寝静まった頃…

ラダトーム地方 岩山の城 玉座の間

 

雄也が闇の戦士と戦った日、闇の力の集合体が現れたことで、岩山の城にいる魔物たちはこれで人間を滅ぼすことが出来ると喜んでいた。

その騒ぎは夜になっても止むことはなく、闇の力の集合体が鎮座する玉座の間にも、多くの魔物たちが集まっていた。

だが、喜んでいる魔物たちの様子を見て、闇の力の集合体は快く思っていないようだった。

そして、魔物たちに向かって怒鳴りつける。

 

「貴様ら、何を喜んでいるのだ!貴様らには、人間を滅ぼす気がないのか」

 

これで人間を滅ぼせると思って喜んでいたのに、どういう事だ?と魔物たちは闇の力の集合体の方を向く。

闇の力の集合体の気迫は魔物にとっても恐ろしいものであり、騒いでいる魔物も黙り込んだ。

魔物全員が黙ったのを見て、闇の力の集合体は話す。

 

「確かに貴様らや、あの戦士のおかげで、我はこの姿で実体化することが出来た。だが、貴様らが我を生み出そうとしている間、人間どもも拠点を強化したはずだ。特にビルダーという男は、あの戦士に戦いを挑むほどの男だ。この城で喜んでいることが、本当に人間どもを滅ぼしたい者のすることか?」

 

闇の力の集合体は闇の戦士や魔物の話で、今までに起きたことは一通り知っていた。

人間が着実に力をつけていることも把握しており、魔物たちに命令を下した。

 

「人間どもがこれ以上力をつける前に、奴らの拠点を破壊し尽くせ。特にビルダーの男がいる、サンデルジュの砦が目障りだ。戦力を出来る限り集めて、あの砦を消せ」

 

「承知いたしました、すぐに向かいます!」

 

命令を聞き、闇の力の集合体の前に立っていたアローインプが言う。

闇の力の集合体も魔物たちもサンデルジュの砦は人間の拠点の中で最も強固だと認識していたので、相当な数の戦力を集めさせた。

そして明け方、サンデルジュに赴ける魔物が揃うと、岩山の城から出て、雄也のいる砦へ向かっていった。




5本の矢を同時に撃ち出すというのは、ドラクエビルダーズの2章やバトル島のアローインプが使う技から思いつきました。

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