ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
最近更新頻度が非常に低いですが、春休み中に5章(エピソード122まで)は完成させたいと思います。
旅のとびらをくぐってラダトーム城に着くと、俺はさっそく大倉庫からビルダーハンマーを作るのに必要な素材を取りだし始める。
ハンマーを作るのに必要な素材はすぐに取り出せるので、俺はそれ以外にサンデルジュでの生活で必要になりそうな物も集めることにしていた。
「金とオリハルコンがあればビルダーハンマーは作れるけど、せっかくだから他の素材も取り出しておくか」
金を1個、オリハルコンを3個手に入れた後に、俺は明かりを作るのに必要なあおい油を取り出す。
サンデルジュにはスライムがいないのであおい油を集めることが出来ず、夜は真っ暗だったからな。
一応、ゲームと違って明かりがなくても部屋を作ることは出来るが、明かりがあるに越したことはないだろう。
「これで明かりが作れるようになったし、夜も明るい部屋で過ごせそうだな」
俺はあおい油を取り出すと、その次にひもなどさまざまな設備を作るのに必要な素材や、くすりの葉など傷を治すのに必要な物を取り出していく。
必要な素材を一通り手に入れた後は、兵士たちに魔物との戦いの状況について、ムツヘタに闇の戦士の居場所について聞きに行くことにした。
「これでサンデルジュの生活に必要な物は揃っただろうし、ラダトーム城のみんなと話しに行くか」
俺はみんなと話をするために、ラダトーム城の希望のはたの近くへと歩いていく。
すると、みんなを探している間に、城の一部に魔物の攻撃を受けたような跡が見かけられた。
もしかして魔物の襲撃を受けたのか?と思っていると、オーレンが俺を見つけて話しかけてきた。
「雄也さん、2日ぶりですね!今日も素材を集めに来ていたのですか?」
オーレンはいつもの口調で話しているが、どこか深刻そうな顔をしていた。
やはり何かあったのだと思い、俺は魔物の襲撃があったのかと尋ねる。
「ああ、素材を集めるついでにみんなに会いに来た。深刻そうな顔をしているけど、魔物の襲撃があったのか?」
「はい、昨日20体を越える魔物がこの城へと迫って来ました。僕たちが何とか倒しましたが、さらに魔物の活動は激しくなって来ています」
俺が質問すると、オーレンはうなずいてからそう話し始める。
外を眺めると、彼の言う通りラダトーム城付近の魔物の活動は竜王が生きていた頃より激しくなっており、いつ次の襲撃が来てもおかしくないような状況になっていた。
闇の戦士は竜王と違って人間を滅ぼすことが目的のようなので、魔物の活動もここまで激化しているのだろうな。
「昨日はサンデルジュにも襲撃があった。闇の戦士の捜索も急がないといけなさそうだな」
「はい。あれ以上の数の魔物が来れば、ラダトームもサンデルジュも危ないでしょうね」
サンデルジュへの襲撃のことも話すと、オーレンは不安そうな口調になってそう言う。
30体を越える数の強大な魔物が来るとなれば、これから作るビルダーハンマーを使っても厳しい戦いになりそうだ。
それに、オーレンは魔物が不穏な動きをしているという話もする。
「それに、昨日の戦いに負けてから魔物たちがラダトーム城の西の島に集まろうとしているのです」
ラダトーム城の西の島と言うのは、恐らくラダトームの仮拠点があった場所のことだろう。
そこで魔物たちが何をしているのかは分からないが、人間を滅ぼすための計画を立てているのは間違いなさそうだな。
「魔物にそんな動きがあったのか···やっぱり心配だし、それについてもムツヘタに聞くか」
「確かにムツヘタさんになら、何が起きているのか分かるかもしれないですね」
俺はそこでムツヘタに、闇の戦士の居場所だけでなく、魔物の不穏な動きについても聞くことにする。
復興したアレフガルドを再び滅ぼされる訳にはいかないので、魔物の状況を詳しく知っておきたいからな。
「兎に角俺はムツヘタに、闇の戦士の居場所や魔物の動きについて聞いて来るぜ」
俺はそう言ってオーレンと別れて、ムツヘタのいる占いの間に向かって行った。
占いの間の扉を開けると、ムツヘタも深刻な顔をしながらシャナク魔法台を見ていた。
俺はまずムツヘタに、闇の戦士の居場所について聞き始めることにする。
「ムツヘタ、素材集めのついでに聞きに来たんだけど、闇の戦士の居場所は分かったか?」
「雄也か···そなたがサンデルジュに戻った後に探してはみたのじゃが、昨日は魔物との戦いがあったりして、まだ居場所を特定出来てはおらぬ」
俺が聞くと、ムツヘタは首を横に振ってからそう言う。
もしかしたら昨日の魔物の襲撃は、闇の戦士の居場所探しを妨害する目的もあったのかもしれない。
ムツヘタは戦闘には参加しないものの、魔物の襲撃がある間は落ち着いて作業を行うことは出来ないだろうからな。
「そうか···じゃあ、さっきオーレンが魔物がラダトームの西に集まっているっていたけど、それについては何か分かるか?」
闇の戦士の居場所についてはもう少し時間がかかりそうなので、俺は魔物の不穏な動きについて聞く。
すると、ムツヘタは魔物の動きに対して何か嫌な予感がすると言い出した。
「これはまだわしの予測でしかないのじゃが、あの魔物たちの動きを放っておけば恐ろしいことが起こる予感がするのじゃ」
「恐ろしいこと···?どんなことが起こるんだ?」
ムツヘタは予言者なので、その嫌な予感が当たる可能性は高いと言えるだろう。
「詳しくは分からぬが、再び人の世に破滅が訪れるほどの災いが起こるかもしれぬ」
闇の戦士の配下の魔物がしていることなので、やはり人間を滅ぼすようなことなのか。
闇の戦士は配下の魔物が既に100体近く倒されている訳だし、単に拠点を襲うだけでは人間は倒せないと判断したのだろう。
「詳しいことは分からないけど、調べに行ったほうがよさそうだな」
「わしもそう思って、今日は闇の戦士の居場所と同時に魔物がラダトームの西のどの辺りに集まっているのかも調べておる」
ムツヘタは嫌な予感を感じてから、さっそく魔物の動きについても調べ始めているようだ。
だが、まだ闇の戦士の居場所と同じように正確な位置は分からないようだった。
「それで、魔物たちはどの辺りに集まっているんだ?」
「わしも早く知りたいのじゃが、今日探し始めたのだからまだ詳しくは分かっておらぬのじゃ」
俺は今すぐにでも行きたいが、闇の戦士の居場所と同じで詳しくは特定できていないのか。
俺は肩を落としたが、ムツヘタはラダトームの西はサンデルジュより狭いので早く見つかると言った。
「大丈夫じゃ、ラダトームの西は狭いからすぐに場所が特定できるはずじゃぞ」
それなら、世界が再び滅びる前に見つけられる可能性はあると言うことか。
「そうなのか。なら、闇の戦士の居場所についても、魔物の動きについてもなるべく早く調べてくれ」
今まで協力してラダトームを復興させてきたムツヘタが言うことなのできっと大丈夫だろう。
俺はムツヘタがうなずいたのを見てから占いの間を出て、旅のとびらのところへ向かった。
「魔物の動きは気になるけど、まずはビルダーハンマーを完成させるか」
オーレンやムツヘタと話をしていて、ゆきのへが待ちくたびれているかもしれないからな。
俺は旅のとびらがあるところに来ると、サンデルジュに繋がる緑のとびらに入り、砦へ戻っていった。
砦に近づいて来ると、ワクワクした顔で俺を待っているゆきのへの様子が見えてくる。
ビルダーハンマーが完成するのが待ち遠しいようで、俺が砦に入るとさっそくゆきのへに話しかけられた。
「雄也、戻ってきたのか!ビルダーハンマーの素材は集まったのか?」
「ああ、ラダトームの大倉庫から取ってきたぜ。これでビルダーハンマーが作れるはずだ」
魔物との戦いでの勝ち目が上がるので、ビルダーハンマーが出来ることは俺にとっても嬉しいことだが、ゆきのへにとっては俺以上に嬉しいことだろう。
俺が素材が集まったことを伝えると、さっそく作って見せてほしいとゆきのへは言う。
「良かった。ワシも先祖が考えた最強のハンマーを見てみたいし、さっそく作ってみてくれ」
「ああ、少し時間はかかるけど、出来上がるのを待っていてくれ」
俺もビルダーハンマーの形は書物で見たことがあるが、早く実物を見てみたいぜ。
俺はさっそく工房に入っていき、神鉄炉と金床の前に立って作業を始める。
最初に素材となる鉄のインゴット、はがねインゴット、金、オリハルコンを炉の中に入れて、それからビルダーの魔法を使ってビルダーハンマーの形にしていく。
ビルダーハンマーは最強の武器だからなのか分からないが、完成に時間がかかっていた。
「いつも武器を作る時よりも長く時間がかかっているな」
でも、しばらく魔法をかけ続けることで形が仕上がっていき、書物で見た通りのビルダーハンマーの形になる。
ビルダーハンマーが出来上がると、俺はさっそく手に取ってゆきのへのところに向かった。
「これがビルダーハンマーか···確かにすごく固くて強そうだな」
おおかなづちなどよりも大きくて重いが、その分全ての物を砕けるような威力がありそうだった。
これなら正気を取り戻した闇の戦士が相手でも勝てる可能性はあるだろう。
そんなことを思いながらゆきのへのところへ歩いていき、俺は完成したビルダーハンマーを見せた。
「ゆきのへ、いつもより時間はかかったけど無事にビルダーハンマーが完成したぞ!」
「おお!よくやったな、雄也!確かに書物に書かれていた通りのビルダーハンマーだ!」
ビルダーハンマーを見せると、ゆきのへはとても嬉しそうな顔になり、興奮した口調で話をする。
そして、これならどんな魔物でも倒せると、確証を持ったような言い方もした。
「これを使えば、どんな魔物にでも勝てないことはないはずだぜ!」
「ああ、これで今度こそ闇の戦士にとどめをさしてやるつもりだ」
砦の設備はまだ強化していかなければいけないし、魔物の不穏な動きを突き止める必要もあるが、最終決戦に使う武器はおうじゃのけんとビルダーハンマーで決まりだろう。
「ワシの家系に伝わる最強のハンマーなんだ、お前さんなら世界を裏切った勇者にでも勝てるだろう」
ただ、ビルダーハンマーにも一つだけ欠点があるとゆきのへは言った。
「ただ、最強のハンマーであるビルダーハンマーにも一つだけ欠点があるらしいんだ」
「それって、魔物との戦いに影響することでか?」
その欠点が魔物との戦いに影響を及ぼすのであれば改善しなければいけないが、ゆきのへは魔物との戦いには関係しないと話す。
「いや、魔物との戦いには関係ない。書物の記述によると、ビルダーハンマーで鉱脈を叩くと、鉱石ではなく鉱脈そのものを手に入れてしまうらしいんだ」
つまり、ビルダーハンマーでは鉱石を集めることが出来ないと言うことか。
ハンマーとしては大きな欠点であるが、鉱石なら今まで使っていたハンマーやまほうの玉で集められるし、攻撃力が最強なのであれば問題なさそうだ。
もともとビルダーハンマーは世界を救うための武器であり、採掘に使う物ではないので、ゆきのへの先祖も大丈夫だと判断したのだろう。
「確かにそのくらいの欠点なら大したことないな。採掘が出来なくても、戦闘に直接の影響はないからな」
「ああ、出来れば何とかしたかったが、今のままでも大丈夫だろうよ」
ゆきのへも先祖と同じで、採掘の機能は必ずしも必要ないと考えているようだ。
俺は少し不安ではあったが、伝説の鍛冶屋の家系が考えた武器なので心配ないだろう。
その後、俺はゆきのへともうしばらく話してから、ビルダーハンマーをポーチへとしまった。
ゆきのへとの話を終えるともう夕方になっており、俺は夜になる前にあおい油で部屋の明かりを作ることにする。
そして、明かりが出来上がった後は夕食を食べて、明日からに備えて早めに眠りについた。