ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

111 / 225
Episode110 黒兎の女王

サンデルジュに来て2日目の朝、目が覚めた俺は朝食を食べる前に工房へ向かうことにした。

 

「今日も新しい設備を作ることになるかもしれないけど、まずはマシンメーカーで作れる兵器を一通り作っておくか」

 

大砲やサブマシンガンといったマシンメーカーで作れる兵器も、魔物に勝てる可能性を高めるためになるべく早く作っておいだほうがいいからな。

大砲を作るのには木材がいるので、俺は砦の近くにある木をおおかなづちで集めてから工房の中に入っていった。

中に入ると、さっそくマシンメーカーの前に立って作業を始めていく。

 

「大砲とサブマシンガンを使うのはマイラの時以来になるな」

そう思いながら、俺はまずは作るのに時間がかからないサブマシンガンを作り始める。

昨日作ったばねは全て飛び出し式トゲわなを作るのに使ってしまったので、俺は新しくばねを作り、それを他の鉄のインゴットと組み合わせることでサブマシンガンに変えていく。

サブマシンガンは威力もそれなりに高く、連射も出来るので、サンデルジュの軍勢にも有効な武器となるだろう。

 

「これで銃身が出来たから、あとは弾を作ればいいな」

 

サブマシンガンの銃身が出来た後は、はがねインゴットを加工してはがねの弾丸を作っていく。

昨日はがねインゴットはたくさん用意していたので、俺はそれを加工してはがねの弾丸を100個ほど作っておいた。

この後もっと必要になるかもしれないが、今はこのくらいで大丈夫だろう。

 

「弾丸も作ったから、あとは大砲だな」

 

銃と弾丸が出来た後、今度は砦のすぐそばにまで近づいてきた魔物をまとめて吹き飛ばす大砲も作り始める。

ポーチに入っているマグマ岩を加工してマグマ電池に、さっき手に入れた原木を木材に加工して、その2つと鉄のインゴットを組み合わせて大砲の形にしていく。

大砲の弾もいくつか必要になるだろうから、残ったマグマ岩と鉄のインゴットで5個作っておいた。

 

「これで大砲も完成したし、さっそく設置しに行ってくるか」

 

大砲が出来上がると、俺はサブマシンガンをポーチに入れてから大砲を持って工房から出て、砦の前に設置しに行った。

大砲の爆風で飛び出し式トゲわなが壊れないように、すこし場所をずらして置いておく。

 

こうして大砲を設置した後、俺は今日は何をするか考えようと一旦寝室に戻ろうとする。

だがその時、俺のところへゆきのへが走ってくるのが見えてきた。

 

「ゆきのへがあんなに急いでいるってことは、まさか魔物が来たのか?」

 

案の定魔物の襲撃が来たらしく、彼は焦った声で俺に話しかけてくる。

 

「おい雄也、すぐに来てくれ!大量の魔物が近づいて来ているぜ」

 

どうやら、闇の戦士やその配下の魔物も、俺たちが砦を作ろうとしているのに気づいたみたいだな。

今日来たと言うことは、さらに強力な設備を作られる前に潰しておこうということなのだろう。

 

「やっぱり魔物が襲って来たのか。今回はどんな奴らなんだ?」

 

ゆきのへが指差した方向を見ると、ブラックチャックとアルミラージが8体ずつと、大きな体を持つブラバニクイーンが1体いて、合計17体の魔物が襲いかかって来ていた。

アルミラージが襲撃してくるのは始めてだが、恐らくは女王であるブラバニクイーンの家来と言うことなのだろう。

相手はおおきづちの色違いやウサギの魔物だが、強力な魔物であることは間違いなさそうだ。

 

「分かった。魔物としては砦が出来上がる前に俺たちを潰したいんだろうけど、そうはさせない」

 

こちらには大砲と飛び出し式トゲわなと言う兵器があるが、数が多いので近づかれる前に迎え撃つ必要があるだろう。

俺がそう言うと、ゆきのへも魔物たちを迎え撃ちに行こうと言い始める。

 

「ああ、2人だけしか戦える人間がいねえが、ワシらなら負けることはないはずだぜ」

 

俺もゆきのへの言葉にうなずき、おうじゃのけんとおおかなづちを構えて魔物の群れに向かっていく。

俺たちが魔物の群れに近づいた頃には、前衛のブラックチャックは既に高台に登り始めていた。

 

「もうここまで来ていたのか。でも、これ以上は俺たちの拠点には近づけさせないぜ」

 

そこで斬りかかろうとすると、奴らも俺たちに気づいてトゲつきの棍棒で叩きつけようとしてくる。

そして、サンデルジュの砦の1回目の防衛戦が始まった。

俺とゆきのへが近づいていくと、ブラックチャックは4体ずつに分かれて殴りかかってくる。

奴らが持っているトゲつき棍棒はブラウニーなどが持つハンマーより軽いので、攻撃の速度もかなり速かった。

普通ならかわせない速度ではないのだが、4体に囲まれているので全てを避けきることは出来ず、最初に2体の攻撃をジャンプで避けた後、俺は両腕に持つ武器で残りの2体の攻撃を受け止めることにする。

 

「ぐぬぬ···人間の作った武器などに負ける訳にはいかない!」

 

おおきづち同様言葉を話せるらしいブラックチャックはそう言いながら俺を押しきろうとする。

だが、小柄なブラックチャックの攻撃はそこまで重くないので、俺は腕に力をこめて奴らを押し返す。

ブラックチャックの武器は一撃の威力を上げることよりも素早く殴り付けることを重視しているようなので、動きに対応することが出来ればすぐに倒すことが出来そうだ。

 

「何体同時に殴りかかって来ても、俺たちの拠点を潰すことは絶対にさせないぞ」

 

俺は2体のブラックチャックの攻撃を弾き返して体勢を崩した後、そう言いながら追撃を加える。

丈夫な毛皮でもおうじゃのけんの一撃を防ぐことは出来ず、奴らは大きなダメージを負った。

他のブラックチャックも攻撃を続けてくるが、俺は同じようにして傷を与えていく。

俺のとなりで戦っているゆきのへも奴らの動きをとめた後に頭を叩き潰し、次々に弱らせていた。

「これでブラックチャックは弱ってきたし、ブラバニクイーンが来る前にとどめをさすか」

 

俺も何度もブラックチャックの体を斬りつけていき、瀕死の状態にまで弱らせていく。

だが、奴らを弱らせた後後衛にいるブラバニクイーンやアルミラージを見ると、ブラックチャックたちを援護するために突進を始めようとしているのが見えた。

混戦になるとさすがに対応することが難しくなるので、俺はその前にブラックチャックを倒そうとする。

 

「ビルダーの野郎め···これ以上砦が出来上がる前に倒してやる」

 

だが、追い詰められたブラックチャックは今まで以上の力を出して俺の攻撃を受け止める。

押しきることは可能なのだが、その間にブラバニクイーンたちの突進を喰らってしまう可能性が高い。

こうなったら奴らを誘導して、飛び出し式トゲわなで敵全体にダメージを与えたほうがよさそうだな。

俺は大きく後ろに下がって、奴らを飛び出し式トゲわなの近くに誘導する。

 

「怯えているのかビルダーめ!だが、ここで生きて帰すことはしない!」

 

「ビルダーも砦も、ここでまとめて全部壊す!」

 

飛び出し式トゲわなの存在に気づいていないブラックチャックたちは、俺が逃げようとしているのだと思い込んでいるようだ。

ブラバニクイーンたちも同じのようで、飛び出し式トゲわながあることも知らずに砦に突進していく。

そして、俺は奴らがトゲわなの上に登った丁度いいタイミングに床用スイッチを踏む。

 

「やっぱり魔物たちも、この設備には気付けなかったみたいだな」

 

俺がスイッチを踏んだ瞬間土に隠されたトゲわなが突き上がっていき、魔物たちを貫いていく。

素早く動いていたブラックチャックもまさか下からトゲが出てくるとは思っておらず、かわすことは出来ていなかった。

 

「ぐっ···!いきなりトゲが出てくるなんてどうなっているんだ···?」

 

そして、あまりの痛みでブラックチャックは棍棒を落とし、ウサギの魔物たちも動きを止めていた。

ここで大きな隙が出来たので、俺は魔物たちの背後へとまわり腕に力を溜めていく。

そして、奴らの動きを再開する前に力を解き放ち、思いきりなぎはらって行く。

 

「回転斬り!」

 

おうじゃのけんとおおかなづちの二刀流での回転斬りを行い、俺は魔物たちに特大ダメージを与える。

すでに弱っている4体のブラックチャックは今度こそ生命力が尽き、消えていった。

 

「動きを止めて回転斬りを当てられたし、飛び出し式トゲわなを作って正解だったな」

 

魔物に大きな傷を与えられ、隙も作れるので本当に飛び出し式トゲわなは強力な兵器だな。

アルミラージたちはまだ生き残っているものの、もう一撃を与えれば倒せるくらいの状態だろう。

その様子を見たブラバニクイーンは、俺を倒すために呪文を唱えるような行動を始める。

ブラバニクイーンはドラクエ10ではギガデインを使っていたので、こいつも恐らく使えるのだろう。

ギカデインは強力な呪文なので何とか阻止したいが、女王を守る兵士のようにアルミラージたちは俺の動きを止めようと突進してくる。

 

「くそっ、アルミラージが邪魔であいつに近づけないな」

 

アルミラージの突進はかなりの威力だが、俺はおうじゃのけんを使うことで動きを止めていく。

しかし、なかなかブラバニクイーンに近づくことは出来ず、ついにギカデインの魔法が放たれてしまった。

そして、魔法が放たれた瞬間俺がいた場所の近くに巨大な雷が落ちてくる。俺は大きくジャンプをすることで回避することは出来たが、飛び出し式トゲわなやその周りの地面が大きく破壊された。

「くっ、ギガデインは阻止出来なかったか···砦の中にいるピリンたちは無事なのか?」

 

もしかして砦のカベも破壊されたのではないかと思って見てみたが、辛うじて無事だったようだ。

これなら中にいるピリンたちは無事だろうし、安心して戦いを続けられるな。

だが、安心したのもつかの間で、ブラバニクイーンは非常に強い勢いで俺に向かって突進し始めていた。

大きくジャンプをしてギガデインを避けた俺はすぐに体勢を立て直すことは出来ず、両腕に持つ武器を使って受け止めようとする。

しかし、ブラバニクイーンの突進は見た目からは想像も出来ないほど威力が高く、おおかなづちが砕けそうになるほどだった。

「くっ、女王だとはいえ、ウサギの魔物がここまでの攻撃力を持っているのか···!?」

 

俺は必死に押しかえそうとするが、その俺に向かって周りのアルミラージが突進して角で突き刺そうとしていた。

魔物の立場から考えればチャンスなのだろうが、このままだとまずいな。

 

「雄也、こっちの小さいウサギはワシに任せてくれ!」

 

そう思っていると、アルミラージたちの前にゆきのへがたち塞がった。

どうやらゆきのへもブラックチャックを全滅させて、アルミラージたちと戦いに来たようだ。

ゆきのへの力ならアルミラージの動きを止められそうなので、俺も何とかブラバニクイーンの動きを止めないとな。

俺は回転斬りを放つ時と同じくらい力を溜めて、ブラバニクイーンの突進を何とか食い止め続ける。

すると、ブラバニクイーンの力が尽きたのか、奴の動きが少しの間止まった。

 

「これで動きが止まったから、今のうちに斬り刻まないとな」

 

そこでわずかな隙か出来たので、俺はおうじゃのけんをブラバニクイーンに突き刺す。

体の奥まで突き刺されては奴もただではすまないようで、かなり大きく怯んでいた。

そこで俺は左手に持つおおかなづちを振り上げて、ブラバニクイーンの頭へ叩きつける。

 

「これでブラバニクイーンの奴も、もうすぐで倒せそうだな」

 

奴はまだ死ななかったが、弱ってきているのは間違いないだろう。

体勢を立て直したブラバニクイーンは鳴き声を上げて、再びギガデインの魔法を唱え始める。

それと同時にアルミラージたちは俺に向かって突進を始めようとしていたが、ゆきのへによって動きを止められ、次々に倒されていった。

 

「ブラバニクイーンへの攻撃を邪魔する奴はいないから、今度は阻止出来そうだな」

 

邪魔が入らないので、俺はギガデインを阻止するために腕に力を溜めていく。

そして、ギガデインの魔法が放たれる寸前に力を溜め終えて、俺は力を解放した。

 

「もう一度喰らえ、回転斬り!」

 

二度も二刀流での回転斬りを受けたブラバニクイーンは、さすがに耐えきれず倒れこむ。

ゆきのへはもうアルミラージを倒し終えていたので、奴にとどめをさせば今回の防衛戦は勝ちだ。

 

「今度こそ終わりだ、ブラバニクイーン!」

 

俺はそう言って倒れこんでいるブラバニクイーンを斬り裂き、とどめをさす。

 

「やっぱり厳しい戦いになったけど、なんとか勝てたか」

 

サンデルジュではこれからも厳しい戦いが続くだろうが、今回は拠点を守り抜けたようだな。

闇の戦士にとどめをさせば今度こそ魔物との戦いは終わるだろうが、まだ居場所を見つけるには時間がかかるので、しばらくの間は砦の強化を行って行ったほうがいいだろう。

でも、戦いが終わって砦の中に戻った後もまだ腕が痛むので、今日はこの後休むことにした。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。