ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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第5章ではサンデルジュだけでなく、ラダトームの方に出掛けたりすることもあります。

また、作者のアイテムのネーミングセンスがとても低いですが、どうかご了承ください。


Episode109 串刺しの罠

神鉄炉を使って砦のカベを作った俺は、さっそく寝室や工房などの最低限の設備を作ろうと思い、ピリンとヘイザンを呼びに行くことにする。

砦に何を作るかはまだ考えている途中だが、それらの建物は必ず必要になるからな。

ピリンたちはさっきのようにサンデルジュの地を眺めていたので、俺は後ろから声をかけた。

 

「みんな、ゆきのへの言ってた固い壁が出来たから、そろそろ建物を作り始めるぞ」

 

すると、ピリンは俺がもう砦のカベを作ったことに驚き、その後に何を作るのか聞いてきた。

 

「すごい、もうできたんだ!最初は何を作るつもりなの?」

 

「まずは寝室とか工房みたいな、必ず必要になる建物を作ろうと思っている」

 

寝室や工房を作ることを伝えると、ピリンだけでなく、隣にいたヘイザンも一緒に作りたいと言い始める。

 

「確かに寝室と工房はないと困るもんね。もちろんわたしも手伝うよ!」

 

「ワタシも鍛冶屋として工房は必要だからな、手伝わせてもらうよ」

 

みんなもサンデルジュに砦を作るために来たのだが、手伝うと言われるとやはりありがたく思えてくる。

今日はもう午後になっているが、俺たち4人で作れば夜までに完成させられるだろう。

それならさっそく作り始めようと、俺は2人にさっき作った砦のカベを渡した。

 

「それならすぐに作り始めるぞ。2人はこの砦のカベを使って壁を組み立ててくれ」

俺が砦のカベを手渡すと、さっそく2人は希望のはたの近くに寝室と工房を建て始める。

俺も二人に続いて砦のカベを積んでいき、次々に高さ2メートルの壁を作っていった。

 

作業は俺が思っているより早く進み、寝室や工房を作り始めてから10分くらい経つともう部屋の大部分が完成していた。

 

「まだ少ししか時間がたっていないけど、もう少しで完成させられそうだな」

 

俺はこのまま建物を作り終えようと、ブロックを積み続けていく。

そうしていると、隣で作業をしていたゆきのへが話しかけてくる声が聞こえた。

 

「なあ、雄也。一日に何度も悪いんだが、もう一つお前さんに話したいことがあるんだ」

さっきは固い壁について話していたが、今度は何の話をするのだろうか。

そう思っていると、ゆきのへは守りを固めるだけでなく、魔物を攻撃できる設備を作る必要もあると言ってきた。

 

「お前さんの考えた砦のカベで守りは充分固くなったんだけどな、ワシは魔物を攻撃するための設備も必要だと思っているんだ」

 

砦のカベも無敵な訳ではないし、壊されないためにはなるべく早く魔物を倒さなければならないだろう。

そうなれば、俺たちの攻撃たけでは対処しきれない可能性もあるので、ゆきのへの言う通り攻撃のための設備も必要になるかもしれないな。

 

「確かにそれがあったら魔物を早く倒せるし、砦を守れる可能性も上がりそうだな」

「お前さんもやっぱりそう思うか。それで、ワシはさっきからその設備を考えていたんだ」

 

俺はさっそくどんな兵器にするか悩み始めたけど、ゆきのへが既に考えていたのか。

ゆきのへは兵器などには詳しくなさそうだが、どんな物を思い付いたのだろうか?

 

「あんたが考えたのはどんな設備なんだ?」

 

「メルキドのはがねの守りに使われているトゲわなとマイラで使った床用スイッチの両方を使って、スイッチを踏んだら地面に隠されているトゲわなが飛び出して、敵を串刺しにするっていう装置を考えたんだ」

 

はがねのまもりのように地上にトゲわなを置いてその上を歩いた魔物にダメージを与えるのではなく、敵が来たときにだけトゲわなを地面から飛び出させるということか。

確かにそれならトゲわなに気づかれて避けられたり壊されたりすることがなくなるので、より魔物にダメージを与えやすいと言えるだろう。

 

「なかなかいいんじゃないか?突然トゲわなが飛び出してきたら魔物も避けられないだろうし」

 

いい設備だと言うと、ゆきのへは飛び出し式のトゲわなの作り方を俺に教えてくる。

 

「気に入ってもらえてよかった。作り方もワシが考えていたから、お前さんに教えるぜ」

 

ゆきのへは、マイラで敵を拠点から追い出すために作ったピストンバリアと同じようにばねの力を使ってトゲわなを飛び出させるといいと言ってくる。

大きな箱を押し出すほどの力を持つばねなので、必ずトゲわなも押し出せるだろう。

それと、上の部分には敵に気づかれないよう土を被せておくといいとも言っていた。

 

「こんな感じの仕組みなんだが、作れそうか?」

 

俺はゆきのへに作り方や見た目を聞き終えると、すぐにビルダーの力で作り方を調べる。

飛び出し式トゲわな···土5個、銅のインゴット5個、鉄のインゴット5個、ばね10個 マシンメーカー

かなり多くの素材が必要だが、普通のトゲわなが同時に10個作れたように、飛び出し式トゲわなも同時に10個作れるのだろう。

土、銅と鉄のインゴットは持っているし、ばねも鉄のインゴットから作れるが、マシンメーカーを使わないといけないようだ。

 

「素材は足りてるけど、まずはマシンメーカーを作らないといけないな」

 

「結構複雑な兵器だから炉では作れないようだな。マシンメーカーはすぐに作れるのか?」

 

マシンメーカーを作るにはマグマ岩やガラスが必要だったはずなので、ガラスの原料となる砂とマグマ岩を手に入れる必要があるな。

ラダトームの赤色の扉の先にある砂漠地帯や火山地帯に行けば集められるが、サンデルジュから一度ラダトーム城に戻って、そこから赤の扉に入らないといけないので往復で2時間以上かかるだろう。

でも、今はだいだい午後2時くらいなので、夕方には帰ってくることが出来そうだ。

 

「ラダトームまで戻って素材を集めないといけないから時間はかかるけど、夜になる前には戻ってくる」

「それなら兵器を作ったらすぐに寝られるように、寝室作りを進めておくぜ」

 

素材集めに行くことを伝えると、ゆきのへは寝室を完成させておくと言った。

まだ寝るためのベッドを作っていないが、みんなも物作りには慣れてきているので、近くに生えているじょうぶな草からベッドを作れるだろうから、心配することはなさそうだ。

 

「ああ、頼んだ。なるべく早く帰ってくるようにするぜ」

 

俺はそう言った後ゆきのへと別れてサンデルジュの高台から降りていき、まずはラダトームに行くためにさっきくぐった緑色の旅の扉があった場所に向かっていく。

草原にはブラックチャックが、森にはアローインプやキースドラゴンがうろついているが、姿勢を下げながらゆっくりと進んでいけば見つかることはなかった。

そして、10分くらいで旅の扉のところに着き、俺はラダトーム城に戻っていく。

 

ラダトーム城に着くと、外の様子を見ながら城の警備をしているラスタンたちの姿が見えてきた。

昨日魔物の襲撃があったので、再び闇の戦士の軍勢が来ないか警戒しているのだろう。

 

「そう言えば、闇の戦士の居場所探しは何か進展があったのか?」

 

俺はムツヘタに聞きに行こうかと思ったが、半日で何か変化があるとも思えないので、マシンメーカーの素材集めを優先することにした。

サンデルジュに繋がる緑の扉の横に置いてある赤の扉に入り、砂漠や火山がある場所へと移動する。

 

「砂漠のほうが近い場所にあるはずだから、先に砂を集めに行くか」

俺は旅の扉を抜けた後、最初に砂漠地帯を目指して歩いていく。

地面は相変わらず灰色の死の大地で、しりょうやトロルなどの魔物もたくさんいるのが見えた。

 

「やっぱりこの辺りでも、魔物の動きが活発になってきているみたいだな」

 

竜王を倒してからはこの地域に来たことはなかったが、ラダトーム城のまわりと同様、かなり活発に活動しているようだな。

闇の戦士が幽閉されていた城もあるので当然かもしれないが、ここの魔物も奴の配下なのだろう。

敵の数はなるべく減らしたほうがいいが、戦っていると夕方までに帰れなくなるかもしれないので、俺は魔物の視界に入らないよう動きながら砂漠地帯へ歩いていった。

30分くらい進んで砂漠地帯にたどり着くと、俺はさっそくおおかなづちを持って砂のブロックを集めていく。

ガラスを作るためには5個の砂で十分だが、俺は念のために10個ほど集めておいた。

 

「これで砂は手に入ったし、あとはマグマ岩を手に入れればマシンメーカーを作れるぜ」

 

俺は砂をポーチの中にしまった後、次にマグマ岩を集めるために火山地帯へ向かう。

火山地帯まではここから近い場所にあるので、たいして時間はかからないだろう。

さっきまでと同じように魔物に見つからないように進んだので時間はかかったが、20分ほどで火山地帯の近くまで来ていた。

 

「マグマ岩も他にも使い道がありそうだし、たくさん集めておくか」

マグマ岩はマシンメーカーを作るためだけではなく、大砲やその弾を作るのにも必要になる。

大砲も強力な兵器なので、俺はマグマに落ちないように慎重に動きながら大量のマグマ岩を集めていった。

 

「これでマグマ岩も集まったし、サンデルジュに戻るか」

 

さっき大量の鉱石を集めたのでポーチの容量にそろそろ限界が来そうだが、大倉庫にしまうとサンデルジュに持っていけないので俺は集めたマグマ岩を全てポーチにしまう。

そして、45分くらいかけて赤の旅のとびらのところまで歩き、ラダトーム城へと戻った。

 

ラダトーム城に着いたころには足もかなり疲れていて、日も暮れ始めていたが、いつ襲撃されても大丈夫なように今日中に飛び出し式トゲわなを作っておきたいな。

俺はすぐに隣に置かれている緑からサンデルジュに行き、みんなの待つ高台へと歩いていく。

 

「今日はサンデルジュに行ったりたくさんの素材を集めたりで大変だったけど、もうすぐ休めるぜ」

 

今までも大変な日はあったが、ここまで1日にいろいろなことが起きたのは久しぶりだ。

俺は疲れた足で歩きながら高台を登っていき、ゆきのへに素材を集めて来たと大声で言った。

 

「ゆきのへ、かなり時間がかかったけどマシンメーカーの素材を集めて来たぞ」

 

俺が戻ってきたことを知ると、ゆきのへはすぐに俺のところに走ってきた。

彼らは既に寝室や工房を完成させていたようで、ピリンたちは中で休んでいるようだった。

「結構遅かったな。それで、今日中に設備を作ることは出来そうか?」

 

「ああ、少し休んだらみんなが新しく作った工房で作ってくるつもりだ」

 

本当は今すぐ作りたいが、少し休まなければ体が動かなそうだ。

俺はそう言うと、しばらくの間地面に座って休み、その後新しく出来た工房へと入っていった。

 

「ここがみんなで完成させた新しい工房か」

 

メルキドの工房のように壁掛けや革ぶくろは置いていないが、十分立派な工房に見えてくる。

俺は工房の中を見回した後、さっそく飛び出し式トゲわなを作り始めた。

最初に砂からガラスを作り、鉄のインゴット、マグマ岩を会わせてマシンメーカーを作る。

作ったマシンメーカーは広い工房だったので、万能作業台のとなりに設置することにした。

 

「今は時間がないけど、マイラのマシン工房みたいな部屋があってもいいかもしれないな」

 

マシンメーカーを別室に置くことも俺は思い付いたが、今日はもうすぐ夜になるので、飛び出し式トゲわなを作ることを優先させることにした。

マシンメーカーが出来た後はそれを使って床用スイッチに使うのも含めて25個作り、銅も炉を使ってほとんどを銅のインゴットに変えることで、飛び出し式トゲわなの素材を全て揃える。

そして、今作ったばねと銅のインゴット、ポーチの中にあった土と鉄のインゴットの4つの素材にビルダーの魔法をかけて、飛び出し式トゲわなを完成させる。

飛び出し式トゲわなは俺の思っていた通り10個同時にでき、広範囲に設置できそうだった。

魔物を貫く鋭いトゲが入っているのに俺でも上からは普通の土ブロックにしか見えないので、魔物も気づくことはないだろう。

 

「これが飛び出し式トゲわなか。これなら魔物に気づかれないだろうし、強力な兵器になりそうだな」

 

あとは、飛び出し式トゲわなを発動させるための床用スイッチを作ればよさそうだな。

床用スイッチは一度に3個出来るため、10個丁度作ることは出来ないので、俺は12個作ることにする。

余った2個の使い道は決めていないが、何かに使うことはあるかもしれない。

 

「これで床用スイッチも作れたし、さっき下を見下ろしていた場所に設置するか」

 

俺は完成した飛び出し式トゲわなと床用スイッチを、ピリンたちがサンデルジュの地を眺めていた場所に設置することにする。

この高台の左右は崖になっているので、魔物が攻めてくるとしたらさっき俺たちが下を眺めていた方向からだろう。

俺は地面を掘って設置場所を確保し、それからトゲわなと飛び出し式トゲわなを配置していく。

設置するだけなのでそんなに時間はかからず、5分くらいで作業を終えることが出来た。

 

「これでゆきのへの言ってた設備が完成したし、さっそく教えるか」

 

俺は飛び出し式トゲわなを設置したことをゆきのへに教えに行く。

もう夜になっていたのでゆきのへは部屋で休んでいたが、完成した兵器を早く見ようと外に出てくる。

 

「これで攻撃も守りも整ってきたってことだな。雄也、さっそくスイッチを踏んでみてくれ」

 

「ああ、あんたの思い通りのトゲわなが出来てればいいんだけどな」

 

俺はゆきのへがトゲの当たらない安全な位置に移動したことを見て、スイッチを踏む。

すると、スイッチのまわりにある土から魔物を串刺しにする鋭いトゲが突き上がった。

突き上がる勢いも強く、鉄の鎧を来た魔物も貫くことが出来そうだ。

それを見ていたゆきのへは、これなら強力な魔物から砦を守れそうだと言ってくる。

「すごいぜ、これなら魔物に気付かれずに大きな傷を負わせられそうだな」

 

「ああ、勢いがあるからメルキドのトゲわなより威力が高そうだしな」

 

ゆきのへの言っていた魔物を攻撃するための設備も完成したし、これからはサンデルジュの魔物と本格的に戦っていくことになるかもしれないな。

 

でも、今日はもう真っ暗な夜になっているので、俺とゆきのへは飛び出し式トゲわなを見た後寝室へと戻っていく。

そして、俺たちは新たな兵器の完成を喜びながら、明日からの活動に備えて眠りについた。

 


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