ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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今回から新エリアのサンデルジュに入っていきます。

また、今回から出てくる万能作業台は原作のフリービルドモードに出てくる物とは性能が異なっています。


Episode107 魔に支配されし秘境の地

ラダトームの城の2回目の防衛戦の翌日、ラダトームに来て13日目の朝、俺はさっそく昨日手に入れた緑色の旅のとびらを設置した。

すると、いつものように旅のとびらからは光があふれ、新たな地へ移動できるようになる。

 

「これならサンデルジュへ行って、闇の戦士を探すことが出来そうだな」

 

今度こそアレフガルドの最後の地域に行くことになるだろうし、旅のとびらもこれで最後だろう。

旅のとびらを置くことが出来たので、朝食を食べたらムツヘタの言っていたアレフガルドの秘境、サンデルジュの地に向かうとするか。

 

「サンデルジュには何があるか分からないし、気を引き締めていかないとな」

俺はそう思いながら朝食を食べるためや、ムツヘタに旅のとびらを手に入れたことを知らせるために、みんなの集まっている教会に向かっていく。

すると、歩いている俺の頭の中に突然ルビスの声が聞こえてきた。

 

「雄也よ、これからサンデルジュの地に向かうのですね」

 

ルビスも俺がサンデルジュに向かおうとしているのは知っていたようだな。

サンデルジュの地について伝えたいことがあるのだろうか?

 

「そうだけど、それについて何か話があるのか?」

 

「はい。実はあなたにサンデルジュの地でしてほしいことがあるのです」

 

ルビスが直接頼み込んでくるなんて珍しいけど、何をしてほしいんだ?

「あの予言者も言っていましたが、近頃サンデルジュの方から恐ろしい闇の力が感じられるようになったのです。しかもそれだけではなく、強大な力を持つ魔物が次々にあの地へと集まっています」

 

サンデルジュには闇の戦士だけでなく、その手下と思われる魔物たちもいるということか。

やはり、今まで俺が復興させてきたどの地域よりも強力な魔物がいると見て間違いないな。

俺がそんなことを考えていると、ルビスはサンデルジュの地に砦を作ってほしいと言い始める。

 

「そこで、あなたにはサンデルジュの地へ赴いてもらい、魔物を倒すための砦を築いてほしいのです」

 

「つまり、サンデルジュに俺たちの拠点を作って魔物を迎え撃てってことだな」

確かにサンデルジュに拠点を作ればそこに生息する魔物と戦いやすくなる。

メルキドのはがねの守りのような防衛設備も作り上げれば、さらに勝てる可能性は高まるだろう。

 

「そう言うことです。このまま魔物たちが力をつければあなたたちが復興させてきた世界は再び危機に陥ることでしょう」

 

ルビスも言っているが、魔物たちを倒さなければせっかく光を取り戻した世界がまた闇に閉ざされるかもしれないので、サンデルジュに砦を作ってそこから魔物を迎撃するべきだろう。

今まで俺たちは3つの町とラダトーム城を復興させてきているので、今度もうまく行くはずだ。

でも、新たな拠点を作るとなれば当然仲間が必要になるので、みんなに話したほうが良さそうだ。

「分かった。みんなも協力してくれるかもしれないし、話してくるぜ」

 

「はい。必ずサンデルジュの地に住む魔物を倒して、真の平和を取り戻してください」

 

俺はそこでルビスとの話を終えて、みんなの待っている教会へ入っていく。

ピリンはさっき俺がルビスと話していたところを見ていたらしく、何があったか聞いてきた。

 

「雄也!さっきからぼうっとしてたけど、何かあったの?」

 

そう言えばルビスの声が聞こえている時は、まわりの人には口が半開きの状態でぼうっとしているように見えるんだったか。

それはともかく、ピリンを含めたみんなにサンデルジュに来てくれるか聞かないといけないな。

俺は教会にみんなが揃っているのを確認して、サンデルジュの話を始めた。

 

「さっきまた精霊の声が聞こえたんだけど、強力な魔物が集っているサンデルジュに砦を作って欲しいと言っていたんだ」

 

ムツヘタはサンデルジュに行けるようになったことを知って、嬉しそうな顔をしていた。

ゆきのへもサンデルジュのことを知っているようだったが、それ以外と全員はその地名を聞いて困惑していた。

 

「サンデルジュって?この世界にそんな場所があったの?」

 

「ワタシも聞いたことがないな。親方は知っているのか?」

 

ヘイザンに聞かれてゆきのへは一応答えるが、行ったことはないと言っていた。

「アレフガルドのどこかにある秘境らしいが、ワシも行ったことは一度もねえぜ」

 

俺はゆきのへの話の後、アレフガルドにサンデルジュという秘境の地があり、そこに強大な魔物が集まっていることを伝えた。

 

「ゆきのへの言う通り、サンデルジュは人がほとんど立ち入らない秘境なんだけど、そこに多くの魔物が集まっているらしいんだ」

 

「それで、その地に砦を作って魔物を迎え撃てと言われたのじゃな?」

 

俺が言いたかったことを先にムツヘタがみんなに伝える。

サンデルジュの魔物は強力なのでここにいる全員で砦を作りたいが、ラダトーム城も守る必要があるのでそれは出来ない。

俺はこれまで新しい地に旅だった時のように、一緒に来てくれる人はいないかと聞く。

 

「ああ。だからもしよければ、俺と一緒に来てサンデルジュに砦を作って、魔物と戦ってほしい」

 

今回は今までと違って自由に行き来が出来はするが、もし一人で行くことになれば魔物を食い止めるのに精一杯でみんなを呼びに行くことすら出来なくなる。

それに、早く砦を完成させるにはなるべく多くの人が一緒に住んでいたほうがいいだろう。

 

「私は行きたいところだが、ラダトームの兵士としてここを離れることは出来ない」

 

「僕にもここで姫様をお守りする役目があります」

 

「ワタシも、ココでおフタリと一緒ニお城ヲ守リたいデス!」

ラスタンとオーレン、チョビの3人は兵士としてここを離れることは出来ないようだ。

もともとは洞窟に潜んでいたドロルであるチョビも、今では立派なラダトームの兵士だ。

 

「ワシもまだ闇の戦士の居場所を突き止めた訳ではないし、占いの間があるここにいるつもりじゃ」

 

ムツヘタも、占いの間を使わなければいけないためラダトーム城に残ると言った。

サンデルジュでも占いの間が作れないとは限らないが、作るのにも時間がかかるのでこのままラダトーム城のものを使ったほうがいいだろう。

ラダトームの王女であるローラ姫もここを離れられないと言い、残ったのは今まで俺と一緒にアレフガルド全域を復興させてきたピリン、ゆきのへ、ヘイザンだけになった。

「あんたたちはどうするんだ?ここに残っても俺と一緒に来てもいいぞ」

 

俺はそう聞いたが、3人は迷うことなく俺と一緒にサンデルジュに来ると行ってきた。

 

「わたしはもちろん、雄也と一緒に行くよ!サンデルジュにも、楽しく暮らせる場所を作ろう!」

 

「ワシもここまで来たからには、雄也と最後まで一緒に戦うぜ」

 

「ワタシも、雄也や親方について行くつもりだぞ」

 

世界に真の平和が訪れる時まで一緒に戦ってくれるであろう3人は、本当に頼もしい仲間だな。

4人という少ない人数ではあるが、俺たちであればサンデルジュの魔物も必ず倒せそうだ。

何かあればすぐラダトームにも行ける訳だし、心配することはないだろう。

 

「じゃあ、朝食を食べたら旅のとびらに入って、サンデルジュに向かうぞ」

俺がそう言うと、3人はうなずいて朝食を食べ始める。

昨日のだいまどうが何故か落とした黒ヤモリ肉というもので、変わった味がするが元気が出そうだ。

そして、全員が食べ終わると俺たち4人はサンデルジュに行くため旅のとびらへ向かう。

 

「サンデルジュの魔物は強力だろうが、頑張るのじゃぞ」

 

「そっちこそ、新しく分かったことがあったり、魔物が襲いかかってきたりしたら知らせてくれ」

 

俺はラダトームのみんなにあいさつしてから緑色の旅のとびらに入っていく。

ピリンたちも俺に続いて旅のとびらに入っていき、秘境の地・ サンデルジュへ向かった。

 

目の前が一瞬真っ白になった後、俺たちは旅のとびらを抜けて見たこともない場所に移動する。

そこはまわりをとても高い岩山に囲まれており、手付かずの自然が残されている場所だった。

 

「ここがサンデルジュなのか。どの地域でも海を見ることが出来たけど、ここからは見えないな」

 

まわりを見渡すとそびえ立つ岩山に囲まれた中に、緑の森が広がっており、まさに人が立ち入らない秘境と言える場所のようだ。

ピリンたちも、手付かずの自然を見た感想をそれぞれ言っていた。

 

「ここがサンデルジュかあ。メルキドみたいにとっても空気がきれいだね」

 

「ワシの先祖から聞いたことはあったが、アレフガルドにこんな場所があったとはな」

「ここまで自然が残っている場所は初めて見たぞ」

 

地球にいたころはこんな秘境の地なんて見たことがなかったな。

俺たちはここに砦を作ることになるのだが、自然を破壊しないように気を付けないといけない。

しばらくサンデルジュの地を見回していると、再びルビスの声が聞こえてきた。

 

「その地はサンデルジュ。今までほとんど人の立ち入ることのなかった秘境の地です」

 

ルビスはいつも通り、その地域についての説明を始める。

ここまで高い岩山に囲まれているのであれば、人がほとんど来なかったのも納得が行くな。

俺がそう思っていると、ルビスはこの地域がとても強力な魔物に支配されていると話を続ける。

「ここには人間と魔物、どちらの影響も受けない自然が残されていましたが、あの忌まわしき戦士の影響なのか禍々しい気配が立ち込め、恐ろしいほどの力を持つ魔物が多く現れるようになってしまいました」

 

もともとサンデルジュは人間だけでなく、魔物もほとんど生息していなかったと言うことか。

でも、闇の戦士や魔物に支配されたとなればサンデルジュの自然も壊される可能性があるな。

 

「ルビスもムツヘタも言っているけど、どのくらい強力なモンスターが生息しているんだ?」

 

どのくらい強力な魔物なのか森の中を見てみると、生息しているのは弱い魔物でもリリパットの上位種であるアローインプで、強い者であればリムルダールの聖なる草の保管庫にもいたキースドラゴンだった。

また、森ではなく草原が広がっているところではおおきづちやブラウニーの上位種であり、白と黒の体にトゲつきのハンマーを持つブラックチャックがいた。

今の俺たちであればいずれも勝てない相手ではなさそうだが、サンデルジュの奥に行けばさらに強力なモンスターがいると見て間違いないだろう。

生息する魔物を見ていると、ルビスは俺に2つの物を渡そうとして来た。

 

「この地を支配する魔物を倒すために砦を作るあなたたちに、2つの物を渡しましょう。まず1つ目は、この地に立てる新たな希望のはたです」

 

やはり今回も希望のはたを使うようで、俺の目の前に新しい旗が現れた。

今回の希望のはたは布の色が銀色で、最初からきれいな形に整っていた。

「人々は既に力を取り戻しているので光の外でも物を作ることは出来ますが、これがあれば目印となるでしょう」

 

確かに希望のはたがあれば目印になるし、キメラのつばさを使ってすぐに帰れるようになるので、立てておいたほうが良さそうだな。ここから少し進んだところに森よりも地面が高くなっている高台があり、そこに光の柱が上がっていた。

 

「あの場所なら旅のとびらから近いし、大きな砦も作れそうだな」

 

俺が希望のはたを手に取ると、ルビスは2つ目の物を渡してくる。

それは、3メートル×3メートルの大きさもある、巨大な作業台であった。

木で作られているけど、いろいろな作業をすることが出来そうだな。

「何だ?このすごく大きな作業台は?」

 

「これが2つ目の渡したい物です。これは万能作業台と言われる物で、石、木、鉄の作業台の全ての機能を兼ね揃えているのです」

 

つまり、この万能作業台を使えば今までに作ってきた全ての物を作れると言うことか。

サンデルジュの魔物はとても強いが、たくさんの兵器の力を使えば勝ち目が上がるだろう。

俺は万能作業台も受けとると、サンデルジュの景色を見ているみんなに光の柱が上がっているところへ向かおうと言った。

 

「みんな、ルビスから新しい希望のはたをもらったから、立てに行くぞ」

 

「今度の希望のはたは銀色なんだね!さっそく立てに行こうよ」

「あの場所にワシらの砦を作るのか。どんな魔物が来ようと叩き潰してやるぜ」

 

「ワタシも出来ることがあれば何でも手伝うぞ」

 

俺たち4人は銀色の希望のはたを持って光の柱が立っている高台へ向かっていく。

強力な魔物に見つからないためにゆっくりと進んでいったのだが、5分くらいでたどり着いた。

その高台からは、さっき俺たちがいた場所やサンデルジュの森を眺めることが出来た。

 

「ここなら見晴らしがいいし、魔物が来てもすぐに見つけられそうだな」

 

魔物の姿をすぐに見つけることが出来るので、砦を作るのに適した場所だと言えるだろう。

しばらく手付かずの自然が残る草原や森を見渡した後、俺は銀色の希望のはたを光の柱へと突き立てに行く。

 

「必ずサンデルジュの魔物も闇の戦士も倒して、必ずアレフガルドに平和を取り戻す!」

 

そして、俺は必ず世界に平和を取り戻すと決意を固め、サンデルジュの地に希望のはたを立てた。


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