ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode106 魔物の再来

ラダトームに来て12日目、竜王を倒してから2日目の朝、俺は寝室から出た後ムツヘタに闇の戦士の居場所のことで分かったことがないか聞きに行くことにした。

占いの間の入り口を開けると、中で作業をしているムツヘタの姿が見えたので、さっそく話を始める。

 

「ムツヘタ、昨日おぞましい闇の気配が感じられたって言っていたけど、どの方向からなのか分かるか?」

 

詳しい居場所は分からなくても、だいたいの方向が分かれば自分の力で探しに行けるかもしれない。

今はアレフガルドの全域に行くことが出来るようになっているので、大まかな場所が分かればすぐに探索に向かおう。

 

「昨日から闇の戦士の居場所を探って、だいたいの位置は突き止めた。じゃが···」

どうやらもう場所は突き止められたようだが、何か問題があるのだろうか?

 

「何か問題があるのか?」

 

「実は、そなたらがまだ行くことが出来ぬ場所の可能性が高いのじゃ」

 

まだ行くことが出来ない場所···?アレフガルドにはメルキド、ドムドーラ、リムルダール、マイラ、ガライヤ、ラダトームの6つの地域があるが、その全ての地域に俺は行ったことがある。

もしかして、アレフガルドにはまだ俺が知らない地域があるのだろうか?

 

「俺は今までアレフガルドの全域をまわったはずなんだけどな、まだ行ったことのない場所があるのか?」

 

「わしも精霊ルビスから一度聞いただけなのじゃが、アレフガルドのどこかにサンデルジュという秘境の地があるらしいのだ」

俺が知っているところでは、サンデルジュなんて場所はアレフガルドになかったはずだ。

秘境の地なので、人間にはほとんど知られていないと言うことなのだろうか?

 

「そのサンデルジュって場所はどんなところなんだ?」

 

「そびえたつ高い岩山に囲まれた場所で、精霊ルビスがアレフガルドを創造してから今日まで、ほとんど人が立ち入ったことはないそうじゃ」

 

そう言えばドラクエ1には越えられない高い岩山がいくつかあったが、その内のどこかにあったということか。

人間がほとんど立ち入らないと言うことであれば、闇の戦士や魔物たちが潜んでいる可能性も高いな。

 

「確かにそんな場所なら、闇の戦士が新たな拠点を作っていたとしても不思議じゃないな」

今はまだ行くことが出来ないとしても、今度旅のとびらが手に入ったら必ず行ってみる必要があるな。

ムツヘタも、俺にサンデルジュに行ってほしいと頼んでくる。

 

「まだ闇の戦士がサンデルジュにいると決まった訳ではないが、もし行く方法が見つかったら調べてきてほしいのじゃ」

 

「ああ、今度こそ闇の戦士にとどめをささなければいけないからな」

 

俺はムツヘタにそう言って返事をする。

人間の立ち入らない場所であるサンデルジュには、ラダトーム以上に強力な魔物が生息している可能性があるが、そいつらにもうち勝って、世界に真の平和を取り戻さなければいけないな。

でも、今はサンデルジュに行く方法はないのでラダトームの復興を進めようかと思い、俺は占いの間から出た後ラスタンに次はどこを復興させればいいか聞きに行くことにした。

 

しかし、ラスタンはラダトーム城の外を見て驚いた顔をしており、魔物のものと思われる足音が聞こえてきていた。

まさかと思い話しかけると、彼はこの城に向かって多くの魔物が迫ってきていると言った。

 

「ラスタン、驚いた顔をしているけど何があったんだ?」

 

「雄也か。どうやらこの城に魔物の群れが迫ってきているようだ。竜王が倒れて倒されて2日しかたっていないのに、もう襲撃が来たと言うのか!?」

 

平和がまだ戻っていないことは昨日伝えたが、それでもこんな早く魔物が襲ってくるとは思っていなかったのだろう。

俺も1週間ほどは魔物の活動は穏やかになると思っていたから、襲撃が来たなんて信じられない。

だが、ラダトーム城の外を見ると、かげのきしが6体、だいまどうとスターキメラが4体ずつ、しにがみのきしが5体いて、合計19体の魔物たちが迫ってきていた。

しにがみのきしの中には他より体が大きい者が1体おり、そいつが隊長なのだろう。

竜王軍の残党なのかもしれないが、すでに魔物たちは闇の戦士という新たな統率者を得ている可能性があるな。

何故襲撃してきたかは分からないが、兎に角迎え撃たなければいけないので、俺は大声でみんなを呼び出す。

 

「みんな、魔物がラダトーム城に迫ってきているぞ!」

 

俺の声を聞くと城の中にいたオーレンとゆきのへが驚いた顔をして俺のところへ走ってくる。

それだけでなく、兵士に化けたドロルであるチョビもはがねのつるぎを構えて魔物と戦おうとしていた。

 

「魔物が襲撃してくると言うことは、やはり世界に平和は戻っていないようですね」

 

「竜王様ハ倒レタと言うノニ、シツコイ魔物タチデスね」

 

急な戦いではあるが、みんなラダトーム城を守り抜こうと魔物の群れへと向かっていく。

俺は竜王との戦いではがねのつるぎが壊されたので二刀流で戦うことは出来ないが、戦いなれた相手なので大丈夫だろう。

 

「何度城を潰しに来ようが、ワシらが守り抜いて見せるぜ!」

 

それでも気は抜かず、ゆきのへの言葉と同時に俺は前衛のかげのきしに斬りかかっていく。

そして、ラダトームの城の2回目の防衛戦が始まった。

 

いつも通りだいまどうはメラミの呪文を放って近づいてくるが、まだ距離があるので簡単に避けることが出来た。

みんなも同じように攻撃をかわしていき、かげのきしへと近づいていく。

 

「何度攻めてこようが、ラダトーム城を壊させはしないぜ!」

 

そして、俺は6体のかげのきしの内、一番先頭にいる奴におうじゃのけんを叩きつける。

ラダトームへの仮拠点へ襲撃してきた隊長のかげのきしと同じくらいの攻撃力はあったが、おうじゃのけんの力があれば押しきることは簡単だった。

俺は剣に力をこめてかげのきしの体勢を崩し、さらなる攻撃を与える。

まわりのかげのきしはみんなが押さえてくれていて、だいまどうのメラミに気をつけながら攻撃すれば安全に倒すことが出来そうだ。

 

「竜王を倒した今なら、お前らなんて簡単に倒せるぜ」

 

かげのきしが弱ってきているのを見ると、俺はそう言って奴にとどめをさす。

みんなもかげのきしをかなり弱らせていて、もう少しで倒せそうだった。

だが、その様子は隊長のしにがみのきしも知っていたようで、部下たちに命令をする。

 

「このままではかげのきしが全滅する。お前たちも人間どもに斬りかかれ!」

 

すると、後衛にいたスターキメラと部下のしにがみのきしたちが俺たちのところへ走ってくる。

最初にスターキメラが炎を吐き出し、かげのきしを攻撃しているみんなを焼き付くそうとしていた。

だいまどうのメラミとスターキメラの炎を同時に避けるのは難しく、このままではかげのきしに攻撃できないので、みんなは先にスターキメラを倒しに行くことになる。

 

「こんなに炎が来たら避けきれねえな。先にスターキメラを叩き潰してやるか」

 

そこで、俺はスターキメラの救援に向かおうとするかげのきしやしにがみのきしをおうじゃのけんで止める。

 

「お前らなんかにみんなの邪魔はさせないし、ラダトーム城を壊させもしないぜ!」

 

敵の数はかなり多いが、強力な武器であるおうじゃのけんを叩きつければ奴らは体勢を崩し、動きを止める。

その間にみんなはスターキメラを次々に攻撃して弱らせていった。

スターキメラもくちばしを使って抵抗しようとするが攻撃速度がそこまで早くはないので、みんなはかわしながらそれぞれの武器を叩き付けていく。

ゆきのへはおおかなづちで奴らの羽を叩き潰し、ラスタンたち兵士ははがねのつるぎで羽を斬り落としていった。

そして、飛べなくなったスターキメラに抵抗する力は残っておらず、4人にとどめをさされて青い光に変わって消えていった。

 

「これでスターキメラは全て倒したぞ!」

 

「今回は敵の数が多いですが、この調子で行けば勝てそうですね」

 

スターキメラを倒したラスタンたちは急いでかげのきしやしにがみのきしと戦っている俺の所へ来る。

体勢を立て直した奴らはスターキメラが倒されて怒り、俺に斧を降り下ろしてくる。

 

「くそっ、スターキメラがやられたか!人間め、どこまで我らの仲間を殺す気だ!」

 

「ビルダーの野郎も兵士共も、絶対に許すことはできん!」

 

さっきより威力が上がっていたが、かけつけてきたみんなに受け止められる。

4体のしにがみのきしは全員動きを止められているので今のうちにと思い、俺はかげのきしを倒していく。

かげのきしたちはさっきの戦いでかなり弱っており、動きがかなり鈍っていた。

俺は奴らの攻撃をかわしながら背中を斬り刻んでいき、かげのきしの数をどんどん減らしていった。

このままではかげのきしも全滅するので、ついに隊長であるしにがみのきしも俺にとびかかってきた。

 

「竜王様を倒したビルダーだろうが、我は恐れぬぞ!」

 

そして、しにがみのきしを援護するかのように4体のだいまどうは俺に集中してメラミを放ってくる。

 

「ビルダーを焼き尽くせ!メラミ!」

 

「全員で放てばビルダーもかわせないはずだ!」

 

4方向から飛んでくる大きな火球を走ってかわすことはさすがに出来ず、俺は大きくジャンプする。

このままでは隊長のしにがみのきしとかげのきしを同時に相手しなければいけなくなるので、俺はすぐに体勢を立て直してかげのきしを倒していった。

最後のかげのきしが倒れたと同時に隊長のしにがみのきしは俺に斧を降り下ろしてきた。

俺はかげのきしやだいまどうの攻撃をかわし続けて疲れていたが、すぐに反応して攻撃を受け止めた。

隊長のしにがみのきしの攻撃力はかなり高く、おうじゃのけんだけでは弾き返すことが出来ない。

 

「こいつ、竜王の城にいた奴と同じくらい攻撃力が高いな」

 

「竜王様や我の部下のかたきを取ってやる!だいまどうもビルダーを攻撃しろ!」

 

しにがみのきしは俺の攻撃を受け止めながら命令を下し、その命令を受けただいまどうは俺にメラミを撃ち続ける。さっきからメラミを使っているが、まだ魔力が尽きることはないようだ。

「奴らの攻撃も激しくなってきたけど、これくらいなら負けないぜ」

 

俺はメラミや斧をかわしながらしにがみのきしに側面にまわり、剣を降り下ろす。

おうじゃのけんはとても鋭いので、しにがみのきしの強固な鎧も簡単に貫くことが出来た。

そして、鎧を突き破られて肉体を斬り裂かれた奴は大きなダメージを受けて動きが止まった。

 

「ここで回転斬りを決めれば倒せそうだけど、だいまどうが邪魔だな」

 

回転斬りならしにがみのきしを倒せそうだが、溜める時間がないので俺はメラミをかわしながら奴の鎧を何度も斬りつける。

だが、もう少しで倒せると言うところでしにがみのきしは起き上がり、再び斧を降り下ろしてきた。

「くそっ、まだ倒しきれなかったか」

 

しにがみのきしはもう瀕死の状態であったが、高い威力の攻撃を連続で放ってくる。

俺はしにがみのきしの動きを避けながら攻撃が出来る隙を探していく。

そして、奴の攻撃とだいまどうのメラミを大きなジャンプでかわした直後に俺は奴の体におうじゃのけんを突き刺す。

 

「くっ、我が竜王様のかたきを取ることなく死ぬことなど···!」

 

そう言ってしにがみのきしは最後の抵抗をしてこようとしたので、俺は剣を降って奴の体を深くえぐってとどめをさした。

このしにがみのきしは強力な個体ではあったが、竜王に比べれば簡単に倒せる。

しにがみのきしを倒した俺は、さっきからメラミを撃ち続けていただいまどうのところへ向かった。

 

「隊長を倒したことだし、残った奴らも片付けるぜ」

 

みんなも手下のしにがみのきしを倒しており、全員で攻撃すればすぐに倒すことができるだろう。

だいまどうは残った魔力でまだメラミを放っていたが、さっきより威力が低下して簡単にかわせるようになっていた。

 

「あとはだいまどうだけだな。雄也、一緒に叩き潰すぜ!」

 

俺はゆきのへの言葉にうなずいて4体のだいまどうに接近し、剣でなぎはらっていく。

俺の攻撃をうけただいまどうの1体は反撃する暇も与えられずゆきのへに頭を砕かれて倒された。

残りのだいまどうもメラミを唱える前にラスタン、オーレン、チョビの3人の兵士に斬り刻まれていく。

 

「私たちのラダトーム城に攻めてくるからこうなるんだ」

 

「世界に平和が戻る時まで僕は戦い続けますよ」

 

「人間タチノお城を壊ソウトスル魔物は許しまセン!」

 

やがでだいまどうたちは全ての生命力を失い、光に変わって消滅した。

これで19体の魔物の群れは全滅したので、今回もラダトーム城を守り抜けたようだ。

 

「急な襲撃だったけど、勝つことが出来てよかったぜ」

 

城の中に戻る途中、隊長のしにがみのきしが倒れたところを見ると緑色の旅のとびらが落ちているのが見えた。

これでムツヘタの言っていたサンデルジュの地に行けるようになりそうだが、戦いで疲れた今日はもう休むことにした。




今回まではラダトームでの戦いでしたが、次回から新エリアが登場することになります。

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