ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記 作:seven river
第5章では原作には登場していない新エリアやキャラクター、アイテムなども登場させる予定です。
章タイトルのサンデルジュというのは新エリアの名前です(今回は登場しませんが、エピソード107辺りから出てくる予定です)
Episode105 残る闇の元凶
俺は竜王を倒すことが出来たが、まだ世界には完全に平和が戻った訳ではない。
ゲームではこれでエンディングを迎えたのかもしれないが、魔物との戦いは続いていく。
これから、アレフガルド復興の第5章が始まっていくのだろう。
竜王を倒した翌日、ラダトームに来て11日目の朝、俺が目覚めると既に昼頃になっていた。
でも、昨日の宴で盛り上がりすぎたせいで、竜王と戦った時の疲れはまだとれていなかった。
今日は一日休みたいけど、まずはみんなに世界にまだ平和が戻っていないことを伝えないといけないな。
寝室の外に出るとみんなはもう起きていて、俺は大声を出してみんなを希望のはたのところへ呼んだ。
「みんな、大事な話があるから集まってくれ!」
俺の声を聞いて、みんなはすぐに希望のはたの近くへと走ってくる。
最初に俺の近くにいたロロンドが出てきて、その後にみんなが集まってきた。
「雄也よ、世界に平和が戻った次の日に大切な話とは···何があったのだ?」
ロロンドもやはり、竜王が倒れたことで世界に平和が戻ったと思っているようだった。
ラダトーム城にいる全員が集まったのを見て、俺はまだ闇の元凶である裏切り勇者が生きているということを話し始める。
「みんな驚くと思うけど、実は世界にまだ平和が戻ってはいないんだ」
案の定、そのことを聞くとみんなはとても驚いた表情をする。
今まで竜王を倒せば空の光が晴れるだけでなく、世界に平和が訪れると思っていたのだから無理もないだろう。
動揺しているみんなに、俺は話を続けた。
「この世界が荒廃したのは勇者が竜王の誘いに乗ってしまったからと言うのは知っているだろ?その人類を裏切った勇者···闇の戦士がまだ生きているんだ」
そいつを倒さなければアレフガルドに完全な平和を訪れないだろうと言おうとすると、ムツヘタが闇の戦士はもう倒れたはずではと聞いてくる。
「闇の戦士はそなたが虹のしずくの原料を手に入れるために倒したのではないか?」
「いや、もう少しのところまで追い詰めたんだけど、逃げられてしまった」
あの時は竜王を倒す準備を進めるのに忙しくて、そのことを伝えていなかったからな。
闇の戦士が倒れていないことを知ると、さっきまで明るかったみんなの顔が、一気に暗い表情へと変わっていった。
「では、まだ私たちは魔物と戦い続けなければならぬと言うのか?」
「このラダトームにも、再び魔物の軍勢が来ることもあるのでしょうか?」
みんなが暗い表情をしていると、ラスタンとオーレンが魔物との戦いもまだ続くのかと聞いてくる。
竜王という統率者を失ったことで、しばらくは魔物の行動も落ち着くだろう。
だが、もし狂っていた闇の戦士が正気を取り戻せば、新たな魔物の王となって城への攻撃を命令する可能性がある。
「ああ、闇の戦士の軍勢が城を狙ってくることもありえるはずだ」
「そうか···いつになったら私たちは、真の平和な世界を見られるのだろうな···」
魔物との戦いが続くことを聞くと、ラスタンはそう言った。
俺も早くアレフガルドが平和になってほしいが、闇の戦士の居場所が分からない今は、迫り来る魔物と戦い続けるしかない。
この前闇の戦士の居場所を見つけたムツヘタなら、今回も居場所を見つけられるかもしれないと思って聞いてみたが、分からないと言った。
「闇の戦士を倒せれば、今度こそ平和が戻るはずなんだけどな···ムツヘタ、奴の居場所は分からないか?」
「確かにおぞましい闇の力がどこかから感じられるのじゃが、詳しい場所を突き止めることは出来ぬ」
闇の力を感じられるのなら、いつかは見つけられるかもしれないな···でも、かなりの時間がかかることは間違いないので、やはりすぐに平和を取り戻すことは出来ないな。
俺がそんなことを考えていると、隣にいたロロンドがメルキドが心配だといい始める。
「雄也よ。闇の戦士がどこにいるか分からないと言うのであれば、我輩たちのメルキドが狙われる可能性もあるのではないか?」
ロロンドの言う通り、メルキドなどの他の地域に闇の戦士が移動している可能性もあるな。
今まで見てきた夢から考えて、奴はラダトームだけでなくアレフガルドに暮らす人間全てに絶望しているのだろうから、どこが襲撃されてもおかしい話ではない。
「確かに、闇の戦士がどこにいるか分からないと言うことは、どの町にも襲われる可能性があるってことだ」
その話を聞いて、エルとアメルダもリムルダールとマイラを心配し始める。
「では、リムルダールが狙われる可能性もあると言うことですね」
「マイラはアイツらに任せてきてるけど、ちょっと心配になってきたよ」
俺も今まで復興させてきた町が再び危機に陥るかもしれないと言うことを考えると不安になってくるな。
俺はまだラダトームにいるつもりだが、3人は一度帰ってそれぞれの町の防衛にあたったほうがいいかもしれない。
「なら、みんなはそれぞれの町に帰って魔物の襲撃に備えたらいいんじゃないか?」
「だが、雄也はここに残るのであろう?我輩たちだけ帰っていいのか?」
俺が提案すると、ロロンドはそう聞いてくる。
確かに、俺もみんなと一緒に暮らしていきたいとは思っている。
だが、俺にとっても復興させてきた町が壊されるのはとても悲しいことなので、出来るだけ多くの人数で町を防衛したほうがいい。
ここにいる3人はそれぞれの町のリーダーと言える人たちなので、彼らが帰ってこればみんなの士気も上がるだろう。
「町作りのリーダーだったあんたたちが帰れば、みんなの士気も上がって魔物に勝てる可能性も上がるはずだ。それに、協力できなくなる訳じゃない」
俺たちがマイラの光のとびらをくぐってたどり着いた、ラダトームの最初の場所の方向を見ると、光の柱が立っている。
ルビスは竜王の力が原因で光のとびらは自由に使うことが出来ないと言っていたので、奴が倒されたことによって自由に行き来が出来るようになったのだろう。
「竜王が倒されたて光のとびらが自由に使えるようになっているから、全ての町で協力することが出来るはずだ」
「では、何かあればすぐに雄也様に知らせられると言うことですね!」
「アタシたちが作った兵器を、他の町に持っていくことも出来ると言うことだね」
アレフガルドの全員が協力すれば、必ず闇の戦士を見つけて倒すことが出来るだろう。
俺が全ての町で協力することが出来ることを伝えると、3人は納得して帰る準備を始める。
俺はピリンとゆきのへ、ヘイザンにも帰りたくはないか聞いてみたが、まだ俺と一緒にラダトームの復興を手伝いたいと答えていた。
そして、準備が整うとロロンド、エル、アメルダの3人はラダトーム城を出て、光のとびらへと歩き始めた。
「雄也よ、来たくなったらいつでもメルキドに帰ってくるのだぞ!」
「リムルダールの町が協力できることがあれば、何でもいたしますね」
「もし魔物が襲ってきたら、すぐにアンタに知らせに行くよ!」
そう言って3人は手を振り、ラダトームの光のとびらがある地域へ繋がる旅のとびらへと歩いていく。
さっき言った通り光のとびらが自由に使えるようになったので、俺も今まで復興させてきた町に戻ることもあるのかもしれないな。
俺も3人の姿が見えなくなるまで手を振り続け、その後ラダトーム城の中へ戻っていこうとする。
その時に、俺はラダトーム城の近辺を彷徨く魔物の数が昨日より増えているのが見えた。
昨日はひかりのたまを使ってもドラクエ1の時のように魔物が封印されることはなかったが、それでも竜王という統率者を失って活動は穏やかになっていた。
だが、今日になって活動を再開した魔物がたくさんいると言うことは闇の戦士が新たな統率者になり始めているのかもしれないな。
「せっかく竜王を倒したけど、これからの戦いも厳しいものになっていきそうだな」
でも、竜王がいた頃に比べればまだ穏やかなものだった。
魔物の活動が再開したにしても、まだ城を襲撃したりする気配は感じられないな。
今日は俺は寝室で、竜王との戦いでの疲れを取り、新たな戦いに備えるためにゆっくり休むことにした。