ドラゴンクエストビルダーズ メタルギアファンの復興日記   作:seven river

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Episode100 虹の雫

竜王の影を倒したところから30分くらい歩き続けて、俺はようやくラダトーム城に戻ってくることが出来た。

ものすごく疲れているけど、今日のうちに虹のしずくを作っておきたいぜ。

そのために、俺はまずムツヘタに魔力の結晶を手に入れたことを教えに占いの間へ向かう。

入り口のとびらを開けると、俺はさっそくそのことをムツヘタに話した。

 

「ムツヘタ、闇の戦士を倒して虹のしずくの原料を手に入れてきたぞ」

 

「おお、雄也よ!闇の戦士は強敵だったはずじゃが、よくがんばったな」

 

闇の戦士は元勇者なだけあって強かったけど、撃退することが出来てよかったぜ。

あいつとは再び戦って決着をつける必要があるだろうけど、いつになるかは分からないな。

俺がそう思っていると、ムツヘタはついにビルダーとしての最後の責務を果たす時が来たと言った。

 

「それで、手に入れた素材を使ってビルダーとしての最後の責務を果たすのじゃ」

 

「聖なるほこらを再建して、虹のしずくを作ればいいんだろ?」

 

ロロンドからも聞いたけど、ムツヘタも俺に竜王を倒す役割はないと思っているようだな。

でも、たとえビルダーの役目が終わったとしても、俺はこの世界に光を取り戻させるつもりだ。

そのためにも、今は虹のしずくを作らなければいけない。

ムツヘタは、聖なるほこらを再建させる方法はローラ姫が知っていると言った。

 

「その通りじゃ。聖なるほこらの作り方を姫から聞いて再建し、それを使って虹のしずくを作るのじゃ」

 

聖なるほこらは虹のしずくを作るための作業台のような物なのか。

ローラ姫から見た目や作り方を聞いたら、すぐにビルダーの魔法を使って作り上げよう。

 

「分かった。さっそく姫に聖なるほこらの作り方を聞いてくるぜ」

 

「戦いで疲れているじゃろうが、がんばるのじゃぞ」

 

俺はそこでムツヘタと別れて玉座の間にいるローラ姫に会いに行く。

中に入るといつも通りローラ姫は玉座のいすに座っていたが、俺の姿を見ると立ち上がって先に話しかけてきた。

 

「おお、雄也様···ルビスから聞きました。失われた聖なるほこらを再建し、虹のしずくを作り上げれば、あなたのビルダーとしての役割は終わると」

 

ローラ姫もビルダーの最後の役割について聞いていたようだな。

彼女の話し方から考えて、やはり次の勇者が竜王を倒すと言うルビスの話には納得できないようだ。

 

「ああ、ムツヘタもそんなことを言っていたぞ」

 

「彼らの言う通り、いつの日か竜王を倒せれば結果的にはそれでよいのでしょう」

 

確かに、何百年後に勇者が現れたとしても竜王が倒されるのには変わりないな。

しかし、それでは今生きているみんなは平和な世界を見ることが出来なくなってしまう。

それに、せっかくここまでアレフガルドを復興させてきたので、光を取り戻さすに終わるのは絶対に嫌だ。

俺がそんなことを考えていると、ローラ姫は光が戻った世界を見たいと強く訴えかけてきた。

 

「ですが私は、自分自信で澄みきった空を見上げたい。美しい雨に打たれたい、優しい風を感じたい!」

 

ここまで強く訴えてきたのは初めてだが、ローラ姫だけでなくこれまで復興させてきた町の全員が同じことを思っているだろう。

やはり何を言われたとしても俺が竜王や闇の戦士を倒さないといけないと、改めて思えたな。

 

「おお、申し訳ありません。一国の姫ともあろう私がこのような···」

「別に構わないぞ。俺は最初から自分の役割でなくても竜王を倒しにいくつもりだからな。それに、たとえルビスに何を言われてもその考えを変えるつもりはない」

 

誰にだって取り乱してしまうことはあるだろう。でも、ローラ姫は俺の竜王を倒しに行きたいという変わらない意思を見て安心している。

 

「雄也様はこの前もそうおっしゃっていましたが、お気持ちは変わらないようですね。何度も言いますが、本当にありがとうございます!」

 

それで、感謝の言葉を言った後にローラ姫は聖なるほこらの作り方を話し始めた。

 

「それでは、雄也様が竜王と戦いに行くためにも聖なるほこらと虹のしずくの作り方を教えますね」

「分かった。さっそく作り方を教えてくれ」

 

ローラ姫は聖なるほこらの見た目や作り方について詳しく教えてくる。

ルビスも言っていたけど、各地方の空の闇を晴らしてきた伝説のアイテムを全て使う必要があるようだ。

そして、最後にその聖なるほこらを使って魔力の結晶を虹のしずくに変化させればいいらしい。

他にも必要な素材があるかもしれないので、俺はビルダーの魔法を使って原料を確かめた。

聖なるほこら···たいようのいし1個、あまぐものつえ1個、いにしえのメダル1個、ブルーメタル3個、せいすい1個 シャナク魔法台

虹のしずく···魔力の結晶1個 聖なるほこら

聖なるほこらを作るにはブルーメタルとせいすいも必要みたいだな。

でも、どちらもたくさん持っているので集めに行かなくても作ることが出来そうだ。

 

「必要な素材は持っているから今すぐ作りに行ってくるぜ」

 

俺が聖なるほこらを作るためにシャナク魔法台がある占いの間に行こうとしていると、ローラ姫は何かの設計図を渡してきた。

その設計図には聖なるほこらが描かれていて、祭壇のような物だった。

 

「ムツヘタから預かった祭壇の設計図です。もしよければ、作ってみてくださいね」

 

あまり大きな物でもなく時間もたくさんあるので作っておいたほうが良さそうだな。

俺はローラ姫から受け取った祭壇の設計図を占いの間に向かう途中に詳しく見る。

すると、城のカベ・地が11個、ほこらの青床石が6個、城の大柱が4個、石のかいだんが3個、聖なるほこらが1個必要と書かれていた。

城のカベ・地は少しは持っているのであと1セット作ればいいし、城の大柱と石のかいだんも石材を多く持っているので作ることが出来るな。

 

「あとはほこらの青床石を作れれば完成するな」

 

聖なるほこらの真下に置くと書かれているほこらの青床石は作り方が分からないな。

見た目は設計図に書かれているので俺はそれを見てビルダーの力を使った。

ほこらの青床石···石材3個、せいすい1個、染料1個 シャナク魔法台

これも今ある素材で作れそうだし、聖なるほこらと同じでシャナク魔法台を使うのか。

なので、俺はまず聖なるほこらとほこらの青床石を作るために占いの間に入り、シャナク魔法台の前に立つ。

そこで俺はビルダーの魔法を発動させて、まずはほこらの青床石を作る。

石材やせいすい、染料が交わっていき祭壇にふさわしいきれいな色のブロックが10個出来上がった。

 

「これがほこらの青床石か。きれいな青色をしているな」

 

一度に10個作ることが出来たので、俺は今度は聖なるほこらを作ろうとする。

ビルダーの魔法を発動させると、伝説のアイテムとブルーメタルがせいすいによって清めれられた後合体して、聖なるほこらの形へと変化していった。

 

「これで聖なるほこらも作れたな。あとは城の大柱と城のカベ・地を作って祭壇を完成させるか」

聖なるほこらがあれば虹のしずくを作ることが出来るが、先に祭壇を完成させてからにしよう。

俺は占いの間を出た後石の作業台と神鉄炉と金床のところへ行って、城の大柱と城のカベ・地、石のかいだんを作る。

祭壇に必要な物が揃ったので、俺は城の空いている場所に行ってさっそく設計図通りに組み立てて行った。

最初に城のカベ・地を置いていき、その上に城の大柱や石のかいだん、ほこらの青床石を置く。

そして、最後にほこらの青床石の上に聖なるほこらを乗せて、祭壇を完成させることが出来た。

 

「これで設計図通りの祭壇が完成したな。あとはこれを使って虹のしずくを作ろう」

 

俺は完成した祭壇に登ってポーチから魔力の結晶を取り出して聖なるほこらの上に置く。

そこでビルダーの力を使うと、魔力の結晶は虹色の眩しい光を放っていき、やがてその光と同じくらい輝きを持つ虹のしずくが出来た。

俺はさっそく出来上がったことをローラ姫に知らせに行く。

 

「ローラ姫、聖なるほこらを再建して虹のしずくを作ってきたぞ」

 

俺の声を聞くと、ローラ姫はすぐに玉座の間を飛び出して俺のところに走ってきた。

 

「おお、雄也様!ついに、ついにビルダーとしての責務を果たされたのですね!」

 

アレフガルドに来てから2ヵ月くらい経ったけど、ついにビルダーの責務を全て終えたんだな。

ローラ姫も、これで竜王を倒しに行くことができるととても喜んでいる。

「虹のしずく、おうじゃのけん、ひかりのよろいがあれば必ず竜王を倒すことが出来るでしょう!」

 

「ああ、ついに竜王との戦いの時が来たみたいだな」

 

俺も竜王と今すぐ戦いに行って、ラダトームやアレフガルド全域に光を取り戻したいぜ。

でも、今日は闇の戦士や竜王の影との戦いで疲れているのでゆっくり休んだほうがいいな。

 

「でも、今日は疲れたから休んで、明日戦いに行くことにするぜ」

 

「分かりました。竜王は恐ろしく強いと聞くので、万全の状態で挑んでくださいね」

 

俺はそこでローラ姫と別れて教会に入り、木のベッドに横になろうとする。

すると、闇の戦士の城でも話しかけてきたルビスの声が再び聞こえてきた。

「雄也よ···私からも言いますが、本当によくやりましたね。これであなたは、ビルダーとしての責務を全て果たしたのです」

 

ルビスも俺がビルダーとしての責務を果たしたことを喜んでいるようだな。

最初はアレフガルドの復興なんて無理だと思っていたのに、自分でもここまでこれたことに驚きだ。

そんなことを思っていると、ルビスは次の話を始める。

 

「そもそもあなたは、ゲームが得意な地球の高校生。最初にも話しましたが、アレフガルドを復興させる適任者を探していた時見つけたのが、たくさんのゲームの知識を持つあなただったのです。そこで、あなたならその知識とビルダーの魔法でアレフガルドを復興させられると思いこの世界に呼びました。そんなあなたが、よくここまでかんばりましたね···」

 

最初はいきなりアレフガルドに呼び出されてパニックになっていたけど、今ならここに来て良かったとはっきり言うことが出来る。

それに、日本の高校生だった頃が遥か昔に感じられるようになってきた。

ルビスは日本に帰ることも出来ると言うが、俺はあまり帰りたいとは思わない。

 

「さあ、あなたの役割はここで終わりです。私に言って元の世界に帰るのもいいですし、この世界で暮らしていくのもよいでしょう」

 

そこでルビスの声は途切れて、俺は教会で眠りについた。

役割が終わったと言うのなら自由に生きられるということだから、竜王を倒しに行くのも別に構わないだろう。

必ず竜王と闇の戦士を倒して、アレフガルドに完全な光を、真の平和を取り戻してやるぜ。

俺がラダトームに来て10日目の朝、俺がおうじゃのけんとはがねのつるぎを用意し、竜王と戦う準備をしているとローラ姫が話しかけてきた。

 

「雄也様、いよいよこの時が来たのですね···」

 

「ああ、アレフガルドを支配する竜王との決戦の時だな」

 

闇の戦士がいるのでまだラストバトルではないが、竜王を倒せばアレフガルド全域の闇を晴らすことが出来るはずだ。

それに、ラダトームの城やその他の町を狙う魔物の襲撃もなくなるだろう。

そう思いながら準備を終えて、虹のしずくを使うために部屋の外に出る。

 

「これで準備は完了したし、そろそろ竜王と戦いに行くか」

俺が竜王の島に行くために虹のしずくを使おうとしていると、ローラ姫はこう言った。

 

「雄也様、最後に一つだけ言いますが、必ず生きて帰ってきてくださいね」

 

「ああ、もちろんだ!」

 

俺はローラ姫の言葉に対して、今までで一番大きな声でもちろんだと言った。

ローラ姫だけでなく、これまで共にアレフガルドを復興させてきた仲間全員のためにも、必ず勝って、生きて帰って来なければいけない。

そして、必ず生きて帰るという決意を固めた後、俺は虹のしずくを空にかかげる。

すると、俺の体は空高く飛び上がって竜王の島へ向かっていった。


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