彼女は生き物に好かれやすい   作:彼岸花ノ丘

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異種族帝国8

 全長五十メートルはあろうかという巨大ロボットは、凡そ人型とは呼べない形をしていた。

 確かにそれには二本の腕があり、直立した二本の足で立っている。頭も存在するし、腰の括れだって確認出来た。人間のような特徴は幾つも見付けられるだろう。

 しかしその背中から生えているのは、四枚の黒い翅。お尻には胴体ほどの長さと太さがある尾……否、『腹』が付いている。頭は逆三角形をしていて、目のようなもの ― センサー類か ― は頭部の約四分の一を占めるほど巨大だ。頭から二本の触覚が生え、手先に付いている爪の数は二本。肩の辺りが大きく盛り上がり、頭の形とぴたりと重なって接合部が見えないようになっていた。腕や足には数本のトゲが生え、全身に広がる黄土色と黒のカラーリングが毒々しい。

 例えるなら、中途半端に擬人化し、より戦闘的な姿に変わったスズメバチ。世界有数の攻撃的な昆虫が、一層の攻撃性を纏っているように花中には見えた。

 ましてやそれが、人智を超えるテクノロジーで製造された代物なら……その戦闘力は察して知るべし。

【ヌゥッ!】

 花中がロボットの姿を一通り見終わったタイミングで、フィアは声を上げながら咄嗟といった速さで身構えた

 直後ロボット――――お母様が搭乗する機体が超高速で肉薄し、フィアにキックをお見舞いする! 体長三メートルのフィアに対し、ロボットの身長は約十六倍の五十メートル。足の裏だけで今のフィアと同じぐらいの大きさがあり、フィアの『身体』全体にくまなく衝撃が走った。

 フィアの内側で守られている花中の目には、最早何をされたのかすら分からない。ただ気付けば全身に強い負荷がのし掛かる。フィアの能力による細胞単位の補強を受けていなければ、余波だけで全身が潰れていたに違いない。

 フィアも踏ん張るが、ロボットの一撃はフィアの『身体』を軽々と浮かび上がらせた。浮いた身体は弾丸染みた速さまで加速し、何十メートルと吹き飛ばされ……やや黒みの薄い壁に叩き付けられる。

 お母様の部屋を形成していたものよりも、性能に劣るパネルの壁だ。一枚だけではフィアを止められず、二枚三枚とぶち抜き、四枚目がほぼ完全に崩壊しながらようやく受け止める。瓦礫がフィアを埋めようとし、フィアはそこから力強く這い出す。

 ロボットはその時、既にフィアの傍までやってきていた。

【嘗めるんじゃありませんよこの虫けらガァッ!】

 フィアは自らの『身体』をぶくりと膨らませた。三メートルという体躯で十万トンという質量を有するのは、あまりにも重い。水の圧縮に多大なエネルギーを費やす事となる。水分子そのものを固定出来るようになった今のフィアにとって、圧縮して強度を高める事さえも『リミッター』だ。

 姿は怪物状態のまま、フィアは全長五十メートルのロボットと同程度の体躯へと巨大化。そのままフィアはロボットに掴み掛かった! ロボットも即座に呼応し、フィアの腕を掴む!

 体格は互角。取っ組み合うには丁度良い相手だ――――が、生憎野生生物(フィア)の頭に公平さなどありはしない。

 ロボットが掴み掛かろうとしたフィアの腕は、どろりと溶けるようにして形を変える。ヘビのように細長い形になると機敏に蠢き、逆にロボットの腕に巻き付いた。そして容赦なく圧迫し、メキメキと締め上げる。

 捕まえるどころか逆に捕まったロボットは、しかし素直にやられはしない。フィアに巻き付かれた腕は強力な閃光を放出。するとどうした事か、ロボットに巻き付けたフィアの腕が爆散したではないか。ロボットの腕は未だ健在であり、自爆ではなくなんらかの現象によりフィアの腕だけを爆破したらしい。

 能力により水爆すら耐える液体が、呆気なく振り解かれてしまう。自由を取り戻したロボットは、反撃とばかりに巨大化したフィアの顔面を掴む。フィアは即座に太い尾を振り上げて叩き付けようとするが、ロボットの方が早い。

 ロボットの掌から放たれた光が、フィアの頭を粉砕した! ロボットが放った光は射程がごく短いのか、レーザーのように伸びるものはない。されどフィアの頭を易々と粉砕せしめるほどの、圧倒的な破壊力を有していた。

 尤も、粉砕されたのは作り物の頭だ。バラバラになろうがフィア本体は痛くも痒くもない。

 なんら問題なくフィアはその身を捻り、振り上げておいた尾をロボットにお見舞いした! 決して長くないそれは、棍棒のように重くロボットを殴り付ける。ロボットの機体はまるで人間のように腰の辺りから『く』の字に曲がり、大きく吹き飛ばされた。今度はロボットがパネルで出来た壁に叩き付けられ、二枚三枚とぶち抜いていく。

 それを悠々と眺めるほどフィアは甘くない。『身体』を傾けて四つん這いになり、頭が修復しきるよりも早くフィアは猛獣そのもののように駆ける!

 崩れる壁に半身が埋もれるロボットを、怪物姿のフィアは下から突き上げるような体当たりで追撃した! ロボットの巨体が宙に浮かび、天井の壁に突き刺さる!

 まだまだフィアの猛攻は終わらない。ロボットを捕まえようと今度は背中から無数の水触手を生やし、

 その水触手を瞬時に焼き払う赤色の光が、ロボットより放たれた!

 ロボットの分厚い胸部装甲が左右に開き、紅蓮のように輝く中身を露出している。赤色の光はそこから放たれていた。頭上から降り注ぐ光は、フィアの『身体』を全身くまなく照らし、焼いていく。

【グウウゥゥゥゥ……羽虫風情ガ小賢シイ……ッ!】

 フィアは唸りを上げ、天井に突き刺さったロボットを睨む。両腕を眼前で組んで光を遮ろうとするフィアだが、赤色の光はそんな努力を嘲笑うように全身を焼いていく。能力を用い熱への抵抗力は上げている筈だが、フィアの『身体』から昇る湯気は止まらない。

 守りに入っては負ける。高度な状況認識能力と好戦的性格の持ち主であるフィアが、防御体勢を解いて攻勢へと転じるのに、僅かな迷いすらなかった。

 フィアは両腕を広げながら跳躍。天井に張り付いたままのロボットに跳び掛かる! 無論接近するほど赤い光の効力は強くなり、フィアは『全身』から蒸気機関のように激しく湯気を吹かした。フィアと花中の身を守る水がどんどん失われていく。

 そして安全という対価を支払ったフィアは、ついにロボットの腕を掴んだ。ロボットは更に胸部の光を強めたが、フィアは構いもしない。それどころかニタリと笑みを浮かべ……ロボットの胸部目掛けて頭突き!

 装甲を開いていたロボットの胸部は、フィアが喰らわせた『打撃』によりぐしゃりと割れた。爆発も起こり、雷撃のようなスパークが走る。赤い発光は消え、焼けるような光の放射も止まった。どうやら完全に壊れたらしい。無論即座にナノマシンによるであろう自己修復が始まったが。

 故にフィアは治りかけの胸部目掛け、自らの豪腕を叩き込む!

 割れていたロボットの胸部は、フィアの拳を止められなかった。深々と腕を突き刺したフィアは、内部のパーツをしっかりと掴んだままロボットを引っ張り、床まで引きずり下ろす。否、それだけでは足りぬとばかりに、床にロボットを叩き付けた。

【クカカカカカカカ! コノママバラバラニシテヤリマスッ!】

 フィアは腕から水を浸透させ、ロボットを完膚なきまでに破壊するつもりのようだ。このまま決着か――――

 そう思ったのは、花中とフィアだけだったに違いない。

 ロボットは、あろう事かフィアの腕を掴んだ。水であるフィアの『身体』はその腕を逆に取り込んで固定。一層の逃げ道を塞ぐ。

 まるでその拘束を待っていたかのように、今度はロボットの頭部が、蕾が咲くように開いた。

 ぞわりと花中は震える。

 頭の中にあったのは、銃口のようなもの。何かしらの攻撃をするための武器だろうが……本能が訴えるのだ。「アレはヤバい」と。

 花中ですら感じるのだ。フィアが何も思わぬ筈がない。事実フィアはロボットの頭の中身を見た瞬間、折角『敵』に突き刺した腕を迷いなく引き抜き、身を仰け反らせるようにして後退りしようとした。

 が、叶わない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()。人間である花中には何が起きてるか分からない。フィアだけが、取り込んだロボットの腕から粉のようなもの……ナノマシンが放たれ、それが地面を掴む植物の根のように自分の腕を浸食していると気付く。

 ナノマシンといえども所詮は機械。フィアが操る水を使えば一機残らず潰すなど造作もない事。しかし数秒程度の時間が必要だ。

 フィアを捕まえ続けるロボットが、そんな長い猶予を与える訳もない。

 フィアの後退が失敗してから一秒も経たないうちに、ロボットの開かれた頭部から白色の閃光が放たれる!

 閃光は正しくレーザーの様相を呈し、フィアの頭を容易く貫いた。更には高熱によるものか、フィアの頭の一部が爆散。魚面であるフィアの顔を苦々しく歪めさせる。

 ロボットの攻撃はまだ止まらない。閃光は頭から、今度は掴まれていない方のフィアの腕へと移動する。腕は簡単に切断され、多量の水が辺りに飛び散った。

 ここでフィアが即座に、切断された方の腕を伸ばしてロボットの顔面に殴り掛かったのは流石と言えよう。自分の乗る『入れ物』の一部が壊され、パニックに陥らず反撃を行うというのは、並の人間に出来る事ではない。ぐちゃぐちゃの腕が、超音速でロボットの顔面へと飛ぶ。

 ロボットも迫る腕を迎撃しようとしてか閃光を撃ってきたが、腕は煙幕のように大量の煙を噴きながらも直撃した閃光を弾いた。密度を高めたのか、分子の配列を変えたのか。何かしらの『小技』で攻撃を凌いだフィアの腕部は、正確にロボットの顔面を捉える。

 しかしフィアの腕がロボットに届く事はない。

 接触寸前、金属にぶち当たるような音と共にフィアの手が空中で止まったのだ。

【……ああそうでしたねあなたバリアを張れるんでしたっけね】

 その答えをフィアは冷静な声色で、ぽつりとぼやく。

 正解――――まるでそう答えるかのように、ロボットの頭部が再度光り輝いた。

【ぐぬううゥッ!】

 閃光はフィアの腕部と胸部を焼き、フィアの唸りが周囲にこだまする。

 パワーの小さな反撃では防がれる。事実を淡々と受け入れられるフィアは、自分を拘束するナノマシンの破壊を優先。閃光が容赦なく『身体』を削り飛ばすのも無視して、片腕に侵入しているナノマシンを余さず壊す。

 ナノマシンさえなければ後は自由だ。フィアはロボットの腕を土産とばかりに破壊しておく。腕を一つ潰したが、されどロボットの主武装である頭部の閃光発射装置は健在。いや、破壊した腕も再生……というよりも変形していく。腕以外のパーツも、まるで柔らかい粘土のようにぐにゃぐにゃと独りでに形を変えていった。

 ナノマシンを用いて機体そのものを造り替えているのか――――ロボットに起きている変化を、花中はそのように理解する。ナノマシンで姿を変えられるのならば、武装も変形可能と考えるのが自然。つまりこれまで見てきた武装は、数あるバリエーションの一つでしかないという事だ。次はどんな攻撃が来るのか予想も付かない。

 ……訂正。此度に限れば簡単だと、花中は考えを改める。

 下半身をキャタピラ付きの戦車のように変形させ、全身から大小合わせて何十もの数の砲台を生やしているのだ。しかもその砲台全てがフィアの方を向き、赤やら青やら緑やら、カラフルな色彩の光を放っている有り様。どんな攻撃が来るのかなんて、分かりきったものである。

 攻撃される側からしたら、溜まったものではない。

【クソが冗談じゃありませんよ全く!】

 フィアが両腕を自身の『身体』の前で交叉させた、それに続くかの如く間髪入れずの出来事だった。

 ロボットから生えた砲台から、七色の光が撃ち出される!

 青く煌めく巨大な光、緑色のレーザー、赤い弾の弾幕、黄色くてゆらゆらと揺れる閃光、紫の高速光弾……砲台の数だけ撃ち出される多種多様な攻撃。傍目からして性質の違う攻撃は、フィアに一種の防御だけで防げないようにする対策か。

 青い光は接触するや炸裂し、爆弾の如く衝撃を与えてくる。レーザーは体表面を焼き、赤い弾幕はフィアの『身体』に突き刺さった。黄色い閃光はぐにゃりと曲がってフィアの背を撃ち、紫の光弾は高熱を撒き散らす。どれも苛烈な攻撃でフィアの『身体』を着実に削り、尚且つ途切れる事を知らない。

【この程度の攻撃でこのワタシが怯ムとでモォォ……!】

「ふぃ、フィアちゃん! 無理はしないで! 防御を、固めれば……」

【……………ちっ!】

 激昂して反撃に出ようとするフィアを、花中は宥めた。フィアは舌打ちしつつも、花中の言う通り防御を固めたのだろう。『身体』を襲う揺れは、一気に小さくなる。

 しかし揺れ自体は治まっていない。即ち少なからずダメージはあるという事だ。永遠に耐える事は出来ない。なんらかの打開策が必要だ。とはいえ迂闊に跳び込んでもロボットは距離を取るだけだろう。

 逆に考えれば、足さえ止めれば反撃のチャンスはある。どのみちこの弾幕相手では、如何にフィアでも遠距離戦は不利。近接戦に持ち込むしか勝ち目はない。

【ならばこれはどうですかっ!】

 花中の考えは、フィアの考えとも一致したのだろう。フィアは自らの腕を凄まじい速さでロボット目掛けて伸ばした! ロボットは伸びてくる腕をレーザーや青い光で攻撃してきたが、ボロボロになりながらもフィアの腕は伸び続ける。

 そしてフィアの手は、数十メートル先にいるロボットのタンク型下半身に巻き付いた

 瞬間、ロボットはなんの躊躇もなく自身の身体に青い光を撃ち込む!

 青い光は炸裂し、ロボットの下半身諸共フィアの腕を吹き飛ばす。光が晴れた時タンクのような下半身は黒焦げ、穴が空いていた……が、一秒ほどで治ってしまう。

 ナノマシン技術による修復だ。何度か肉弾戦を繰り広げた事で、ロボットに乗るお母様も近距離戦はしたくないと考えたのか。ナノマシン技術で修復出来るのを良い事に、自爆も厭わず振り払うつもりらしい。

 身動きを止めるには、一計案じなければならないようだ。フィアの『身体』がその一計を行える程度には健在なうちに。

「(考えろ、考えろ……あの子達は、スズメバチ。だから、あの機体、ううん、この辺りの部品は……)」

 頭が痛くなるほどに、花中は思考を巡らせる。何か弱点はないか、その弱点を突けば行動不能に出来ないか――――

 辿り着いた考えは、極めてシンプルなものだった。

「フィアちゃん! あの、多分だけど……」

 花中はフィアの内側で、自分の考えを伝える。その声はお母様には届かない。魚面の怪物と化しているフィアだけが、攻撃をその身に受けながら、頭をこくんこくんと上下に揺らす。

【なぁるほど……それならなんとかなりそうですねェッ!】

 次いでフィアは猛り狂った咆哮と共に、自身の足下にある床を踏み抜いた!

 途端、床を形成していたパネルが波打つ! 続いてパネルが()()()()()()、茶色い液体と化す。

 予想通りだ。花中はフィアの内側でガッツポーズを取った。

 スズメバチの巣の材料は何か?

 答えは『紙』である。正確には枯れ木などを噛み砕き、そこに自分の唾液を混ぜ込む事で作成する素材だ。これを巣の建材として利用する。

 そして彼女(スズメバチ)達が巣にマーブル模様を描くのは、模様で敵を脅かすとか、ましてやお洒落のためでもない……材料となる材木の種類がバラバラだからだ。一匹の働き蜂が持ち運べる材料は少量であるため、大量の働き蜂が各々集めに行くのだが……その集める材料は見付けたものを手当たり次第に、である。結果的に色々な材料を使う。そのため出来上がった素材の色が都度異なり、美しいマーブル模様が勝手に出来上がるのだ。

 つまり精錬した金属のような、均一な品質の材料を用いたのではマーブル模様は描けない。

 マーブル模様の発明品を用いるスズメバチ達は、ミュータント化しても製造物に用いている素材は変化していない可能性があったのだ。一体どんな技術を用いれば材木、もっといえば紙のような素材から超兵器が得られるかは不明だが、水で数万度の高温に耐えたり、タンパク質の身体で金属製の現代兵器を容易く打ち破るのがミュータント。紙から超兵器を作ったとしても今更だ。

 そして紙というのは水に弱い。程度の差はあるし、超科学を用いるスズメバチ達が防水加工を施していない筈もないが……相性は確かに存在する。水を操るミュータント(フィア)がその正体に気付いてしまえば、水爆すら通じぬ装甲を溶かしてしまう事など造作もなかった。

【……!】

 お母様を乗せたロボットも状況を理解したのか、攻撃を止めて後退しようとする。だがタンクのような足では機動力を確保出来ない。例え人間の目には捉えきれない速さでも、ミュータント達からすれば鈍足。

 一瞬にして広がるパネルの溶解から逃げきれず、ロボットはどろどろに溶けた紙の海に沈んだ! バリアを張れるからか、お母様が乗る機体は流石に溶けなかったが……フィアが操る液体に浸かったのだ。身動きなど取れまい。

【ふんっ!】

 フィアは一気に駆け、ロボットに接近。ロボットは無事な砲台の一つからフィア目掛けてレーザーを撃つが、直撃してもフィアの突進は止まらない。

 肉薄したフィアはロボットの頭を掴み、そのまま握り潰さんと力を込める。ロボットを固定している液化した床も、ロボット本体を締め上げているのかギチギチと音を立てた。どうやらフィアはこのままロボットごとお母様を潰すつもりのようだ。お母様は至近距離でのレーザー照射を行うが、一種類の攻撃ならば対応もシンプルで良い。フィアは『レーザー』を受け流し、殆どダメージを受けていなかった。

 フィアが勝ってくれるなら、花中としては嬉しい。けれども相手を殺してほしくはない。今が止めるタイミングではないかと思い始める。

 結論からいえば、全くの杞憂だった。

 ――――突如として、地震のような揺れがフィアと花中を襲う。

 決して大地震と呼べるほどではないが、それなりに強い揺れだった。しかし此処は浮遊する円盤の内部であり、地震など起こる筈もない。フィアは訝しげに辺りを見渡し、花中もおどおどしながら周囲を見渡す。

 答えはすぐに明らかとなった。

 フィアに浸食されていないパネルが、次々と解れる。床も、壁も、天井も関係ない。何もかもが形を変えていき、意思を持ったかのように集まり始めた。何処までも何処までも、何百メートル、いや、何キロにも渡ってパネルが崩壊・再構築されていく。

 そして変形したパネル達はあたかも雪崩れ込むかのように、フィアの操る液体に固定されたロボット目掛け集結してきた。フィアはこれを避けるように跳び退き、難を逃れたが……その顔は忌々しげに歪む。数十枚のパネルがナイフのように飛来し、ロボットを拘束していた水との接続を切ってしまったからだ。折角捕まえたお母様を逃がしてしまう。

 ロボットごとお母様を奪還してもパネル達の分解は止まらない。何キロにも渡って崩壊した円盤は、ついに夜空を写し、足下には地上の景色を見せる。パネル達の再構成は続き、何か巨大な、一つの構造物を作り上げていく。

 フィアは変形する足場に対応しながら跳び、足場を移っていくが、それも限界を迎えた。ついに近くの足場が一つ残らず解れてしまったのだ。空を飛べないフィアは重力に従って落ちていき、数百メートルも下にある地上に着陸。何処かの見知らぬ公園に、大きなクレーターを作り上げる。人間ならば即死するような衝撃が走るが、フィアの『身体』と能力は易々とその全てを受け止める。怪我一つどころか痛み一つなく、花中とフィアは無事大地に戻ってこられた。

 尤も帰還の喜びに浸る暇はない。フィアは頭上を見上げ、花中も同じ方角を見つめた。

 花中達が乗り込んでいた円盤は、既にその原形を留めていない。しかしぐにゃぐにゃとした不定形ではなく、全く別の姿に変貌していた。それは背中に四枚の翅を生やし、六本の足を持ち、括れた胴体と大きな頭、凶悪な目付きと大顎を携えた昆虫のような姿をしている。

 即ち、スズメバチ。

 巨大円盤は、スズメバチの姿に形を変えたのだ。無論巨大円盤を形成していたパネルを全て用いて出来たそれが、巨大円盤と比べ見劣りするほど小さい筈もない。推定体長五十キロオーバーの、超巨大スズメバチだ。

 そしてそんなとびきりの『大怪獣』が、明らかに花中達の方を睨み付けていた。

【……いくらなんでも大き過ぎやしませんかね。何時だかに出会ったヘビよりも何十倍もデカいですよアレ。下手をせずともあのヘビぐらい強そうです】

 呆れるようにぼやくフィアだったが、今の花中に答える余裕はない。身体がガタガタと震え、顔はすっかり青ざめてしまう。

 お母様の力を見くびっていた。

 勿論そんなつもりはなかった。しかしフィアの力なら、きっと互角の戦いが出来ると花中は考えていた……なんと甘い考えだったのか。スズメバチというコロニーにおいて、『母親』こそが中枢。『母親』が一つの社会の全てを生み出したもの。

 ならばお母様が社会を形成するもの全てをコントロール出来ても、おかしくはない。いや、むしろ扱えて当然だ。母親がいなければ働き蜂はやがて途絶え、社会は崩壊する。反面母親さえいれば、何度でも社会は蘇る。ならばどれほどの強権を持とうがなんの問題もない。巣を形成するパネルも、防衛装置である塔も、全てを自分のためだけに使える『権限』を有していて然るべきである。

 つまり直径五十キロを超える超巨大円盤、それを形成する小惑星クラスの大質量。そこから射出された、全人類を容易く根絶やしに出来る無数の科学兵器達……お母様はこの全てを、自在に操れるのだ。

【これだけデカいと流石に力じゃ勝てそうにありませんねぇ。というかその気になれば町一つ簡単に消し飛びそうです】

「ふぃ、フィアちゃん……」

【まぁなんとかやるだけやってみますかね。逃げるだけならなんとかなるでしょう多分】

 怯える花中にフィアはなんとも暢気な口振りで、されど明らかに警戒心を極限まで高めた声色で答える。作り物の『身体』に闘志を滾らせ、ケダモノの構えを取って巨大スズメバチと対峙した。

 フィアの体長は現在五十メートル。対する相手は推定五十キロメートルオーバー。

 身長差千倍の相手がゆっくりと、けれどもサイズを思えば明らかに音速を超える速さで前足の一本を振り上げた

 丁度、そんな時だった。

「おかーさまー、たいへーん」

 暢気な声が、花中達の下に届いたのは。

 フィアが鋭い勢いで振り返る。花中もまた、フィアに続く形で背後を見る。

 そこには、幼女もどき(働き蜂)達が居た。

 ただ居ただけではない。一体何時の間に集まったのか、何千、何万、何十万……地平線の彼方まで、幼女もどきに埋め尽くされている。思い返せば町に出現した幼女もどきは、政府の推定では総数三十万を超えていた。巨大円盤内で働いていた分を含めれば、更にその数倍の数が居たとしてもおかしくない。

 お母様だけでなく、百万を超えるかも知れない大軍勢。挟み撃ちにされたフィアは作り物の頭で歯ぎしりをし、今にも弾けそうなほどの力を全身に満たしていき――――

「フィアちゃん、待って」

 花中が制止しなければ、フィアはどちらかに殴り掛かっていただろう。

 花中に止められたフィアは僅かな躊躇いを顔に見せ、最後は構えていた腕を下ろす。お母様が操る巨大スズメバチもフィアを攻撃する事はなく、集結した我が子達に視線を向けていた。

【問い。その報告は外敵襲来を上回る危機か】

「うん、そーなのー」

「たいへんなのよー」

【命令。報告せよ】

 巨大スズメバチは未だ戦闘態勢なのか、極めて無機質な言葉を自分の子らに向ける。対する子供達はとても暢気な、無邪気な子供のような調子のまま。

「あのねー、きょうのごはん、ぜんぶなくなっちゃったー」

 それは報告の時でも変わらず。

【……え?】

 ついには巨大スズメバチことお母様も、ぽけーっとした声に変わった。

 すると巨大スズメバチの胸の辺りがパカッと開く。なんだろうと思い花中はそこをじっと見てみれば、開かれた場所から小さな陰が飛び出していた。

 出てきたナニモノかは地上に向かって飛行、いや、落ちてきた。段々と距離が縮まると、花中の目にもハッキリと見えるようになる。

 出てきたのはお母様だった。

 自由落下のスピードで落ちてきたお母様は、他の幼女もどき達と同じくデフォルメされた幼女の姿をしていて、捨てた筈の頭の王冠と背中のマントを着けていた。お尻から着地したお母様はぽよーんっと跳ね、幼女もどき達の前にすたっと立つ。

「えっと、ご、ごはんがないって、どゆこと?」

 それから自分の子供達にした質問は、明らかに動揺しきっていた。

「なんかねー、ごはんがぜんぶもえちゃったの」

「へんなういるすのせいだったよー」

「たいじしようとしたけどつよくて」

「ぜんぶやられちゃったー」

「「「ねぇ、どうしたらいい?」」」

「えっ、えっ。えと、えっ?」

 娘達に問い詰められ、お母様は狼狽え後退り。

 拙い言葉を解釈するに、彼女達の食糧が突如として焼失。そしてその原因は()()()()だという。撃退を試みたが失敗し、食糧は全て燃え尽きた……という事か。

 無論、花中には心当たりがある。いや、心当たりというのは正確な言い方ではないが。

「はなちゃーん、バッチリやれたわよー♪」

 何しろ花中こそが、今唐突に虚空から現れたミリオンに、スズメバチ達の食糧を焼き払うよう頼んだ『元凶』なのだから。

「あ、ミリオンさん。お帰りなさい。やっぱり、ありましたか?」

「ええ、たっぷりとね。まぁ、生態的に備蓄食糧じゃなくて、本当にその日限りの食べ物なんでしょうけど」

 フィアの内側から外へと送られる花中の言葉に、ミリオンはウインクと共に答える。

 スズメバチというのはミツバチと違い、食糧の備蓄を行わない。彼女達は獲物を捕らえると、すぐに幼虫に与えてしまう。もしも食糧が不足すれば、最終手段として弱った幼虫を()()して元気な幼虫に分け与えて対処する。

 そして成虫は幼虫が分泌するアミノ酸溶液を主な餌としている。自分で捕まえた獲物は決して食べない。戦闘に特化した身体は消化器官を圧迫し、固形物が通れないほど細くなっているからだ。ある意味、幼虫こそが成虫達にとっての『備蓄食糧』であるといえよう。

 しかしこの備蓄食糧、割と仕組みが面倒臭い。

 というのも幼虫は、まず成虫から餌をもらわねばアミノ酸溶液を出さないからだ。成虫がどれだけ飢えていても、あくまで餌と引き替え。この一連の流れを栄養交換と呼ぶ。成虫同士で行う事もあるが、幼虫から与えられるのが基本。餌を取れない無能な大人には食糧を与えないのである。中々シビアな世界だ。

 ……さて。

 ミリオンにより、スズメバチ達の成虫がせっせと集めた今日の食糧が燃えてしまった。これは一大事である。何しろ幼虫が飢えるという事は、成虫も餌に有り付けないという事なのだ。極めて優秀な『戦闘能力』を有するスズメバチだが、その力を発揮するが故に彼女達は生存に多くのエネルギーを必要とする。幼虫からのアミノ酸溶液供給がなければ、あっという間に餓死だ。花の蜜や樹液など、糖質の多い液体で当座を凌ぐという方法もあるが……真冬であるこの時期、たくさん集められるものではない。

 弱った幼虫を潰して他の幼虫の餌にするのは、本当に最後の手段だ。何しろ次代の労働力を潰して生き長らえる、巣そのものの寿命を削る行為なのだから。ましてやミュータント化したスズメバチは、医療技術のお陰か増えに増えた。養う幼虫の数も相当に多い。次代の労働力を減らせば、本当に巣の存続が危うい。

 何かしらの打開策が必要だ。

 必要なのだが……お母様だってこんな状況は想定外な訳で。

「……えっと……ど、どうしよう……?」

 顔を青くしながら、お母様はすっかり困り果ててしまった。

 それはとても正直な回答だったに違いない。正直は美徳だ……回答内容が質問者の意に添うのであれば。

 働き蜂達からすればこの答え、無能以外の何物でもない。

「……われわれはー、ちんぎんをー、よーきゅーするー」

「えっ」

「さいていちんぎんはらえー」

「えっ、えっ」

「あまいものよこせー、めしをくわせろー」

「あの、あっ、あっ、えっ」

 働き蜂の群れから上がる、数々の反発の声。我が子から告げられる無情な言葉に、お母様は気が動転した様子。戦闘中の無機質ぶりは何処へやら、おどおどわたわたするばかり。

 しかし働き蜂は困り果てる母に情けを掛けたりしない。いや、『困り果てる』というしょうもなさが、ますます彼女達の怒りを掻き立てる。

「「「「われわれは、すとらいきをするーっ!」」」」

「えええぇぇぇぇっ!?」

 お母様に告げられたのは、一斉蜂起の宣言だった。

「だいたい、いつもおもいつきでふりまわすし!」

「まえまえからむかついてたんだー!」

「というか、もっとはんしょくこたいをうめー!」

「なんのためにここまでてをかしたとおもってるんだー!」

 一体何処にしまっていたのか、働き蜂達はプラカードまで掲げ、わーわーと可愛らしい抗議の言葉をお母様にぶつける。お母様は右往左往し、目には涙まで浮かべたが、働き蜂達が止まる気配はない。

 そしてフィアと花中とミリオンは、全員に無視されていた。

【……なんですかコレ】

「いやー、思ってたよりも面白い反応になったわねぇ」

「……正直、ちょっと、話し合いの余地が出来れば、良いかなぁ、ぐらいの気持ちだったの、ですが……」

「所詮一日分の食糧だしねぇ。ミュータント化によって代謝が増加してるとしても、一日ぐらいなら絶食出来ると思うのだけど……どんだけ文化的生活に慣れていたのやら」

 放置され、攻撃される気配もない一人と二匹は、遠巻きに起こるなんとも間抜けな仲間割れを眺める。

 ある意味では、花中が予想した通りの展開だ。

 スズメバチのような社会性に対し、「母が娘を労働力として扱う社会が成り立つのは何故か」という疑問がある。何故なら進化論では、より多くの子孫を残せた個体が世界に広まると考えられているからだ。娘達は母親の労働力になるより、自分が直接子を産んだ方が、多くの『自分の子孫』を残せる筈。ましてや働き蜂の多くは不妊……子孫を残せない。母の労働力となるのは娘達にとって繁栄上不利益であり、これでは進化論と矛盾する。

 これを解決する考え方として、ハミルトンの法則というものがある。話すと少々長くなるので要約すると、社会性を持つハチの繁殖方式では母親よりも姉妹の方が()()()()()()のだ。そのため姉妹の繁殖を助ける、姉妹の数を増やす方が、自分の子という『半分だけのコピー』よりも『濃い遺伝子』を後世に伝えられる。確かに進化論では自分の子孫をより多く残せる個体が生き残るとされているが、大前提として子孫というのは『自分のコピー』を指す言葉だ。半分しかコピー出来ていない出来損ないより、より自分に近いコピーを残せる方が進化上好ましい。結果、彼女達は子ではなく姉妹を残す方が『得』となる。

 人間には極めて分かり辛い感覚だが、要するにスズメバチは我が子よりも姉妹の方が大事という繁殖体系なのだ。逆に母親は、勿論大切だが……それは『より完璧な()自分のコピー()』を産むからに過ぎない。

 彼女達が母親に従うのは、合理的で野性的な判断があるから。飢えで巣を壊滅させるような無能には、決して容赦しない。

 ましてや知能があれば、無能な母親への反発は当然の流れと言えよう。

 ……ここまで荒れるとは、流石に思わなかったが。抗議内容を聞くに、どうやらお母様はあまり新女王を産まなかったらしい。寿命を伸ばした事で娘達(新女王)がライバルとなる可能性が出たため、それを嫌がったのか。そして姉妹の繁栄を望む働き蜂はお母様の方針にフラストレーションを溜めていて、今回の事で爆発した、という事なのだろう。

「……で、どうする? このまま放置すると、それはそれで厄介な事になりそうだけど」

【あん? 面倒って?】

「さぁて、何が起きるかしら。食べ物求めて近隣の町を爆撃するとか」

【ふむ成程。確かにお腹が空いたのなら何をしてもおかしくありませんね】

 フィアはこくこくと頷き、ミリオンの過激な仮説に納得する。

 実際問題、これを放置すると由々しき事態を起こしかねない。何しろ相手は超科学の使い手なのだ。人間社会から食べ物を奪おうという困った ― しかし極めて『現実的』な ― 方針を定められたら、人間社会に打つ手はない。怪物による生産力壊滅と相まって、更なる文明衰退を招くだろう。

 加えてひもじい想いをするなんて、あまりにもスズメバチ達が可哀想だ。

 そして兵糧攻めを考案した花中には、ちゃんと『フォロー』の方法も考えてある。

「あ、あの、すみません。ちょっと、お話が……」

「な、なあに?」

 声を掛けると、お母様は涙を浮かべた顔を向けてくる。可愛さと可哀想さが合わさり、花中の心を揺さぶった。ここまでぐだぐだになるとは思ってなかっただけに、罪悪感が胸を締め付ける。

 だからこそ示すのだ。

「今日の分の、食べ物、でしたら、人間達に、もう攻撃しないって、約束すれば、多分、分けてくれる、筈です。だから、あまり心配しないでも、大丈夫です」

「ほ、ほんと?」

「え。ごはんたべられるの?」

「あかちゃん、おなかすかない?」

「わたしたちも、まんぷくたべられる?」

「えっと、た、多分」

「「「「「わーいっ!」」」」」

 花中が口約束すると、働き蜂達は手に持っていたプラカードを投げ捨て、諸手を挙げて喜んだ。いくら虫頭だからって単純過ぎる……という言葉をなんとか飲み込み、花中は引き攣った笑みを浮かべる。

 大体人間から食べ物を貰うのは、ただの一時凌ぎだ。彼女達の人間依存は変わらず、人間との距離は近いまま。もしかすると本能に突き動かされてまた人間への攻撃を始めるかも知れないし、或いはプレゼントと称してとんでも事態を引き起こすかも知れない。

 彼女達が問題を起こさなくても、今度は人間が問題を起こす可能性がある。彼女達の無邪気さを知って悪用を考えたり、或いは恐怖して過激な行動に出る事も考慮すべきだ。

 人間とスズメバチは、離れて暮らした方が良い。ただし排除ではなく、共存の形で。

「その、一つ、提案があります」

「ていあん?」

「なになにー?」

「あなた達は、ごはんが欲しくて、人間と接触したの、ですよね?」

「うんっ」

「そうだよー」

「にんげん、たべものたくさんもってるから、わけてくれるとおもったの」

「そうなのですか……あの、実は人間も、ちょっと今ごはんを作るのが、大変でして。今は分けて、あげていますけど、ずっとは、無理なんです」

「「「「「えっ」」」」」

 まじで? と言いたげな、スズメバチ達の反応。マジなんですよ、と答えるように花中は頷いた。

「えっと、ですから、あなた達も、安定してごはんを食べられるような、そういう仕組みが、必要だと思うんです」

「しくみ?」

「なんかつくるの?」

「ごはんつくるきかいをつくる?」

「たいきちゅうのにさんかたんそと、ちっそと、さんそをつかえば、あみのさんごうせいはかのうだけど……」

「ごうせいごはんは、ちょっとあじが……」

 ざわざわと、働き蜂達とお母様の間に困惑が広がる。

 なんやかんや、彼女達も人工食糧の製造は着手していたらしい。しかし味が良くなかった、と。確かに人間が作り出した人工甘味料も甘さばかりで風味が足りない。あれはあれで便利なのなものであり、使い方の問題なのだが、そればかりじゃ辛いというのは花中にも分かる。

 提案する方法はそんなものではない。科学技術が発達し過ぎて、恐らく彼女達の発想の外にあるだろうもの。一足跳びで文化を手にしてしまったがために、これまで必要としなかったであろう文明の根幹。

 即ち。

「皆さんで、農業を、やってみませんか?」

 一次産業の『発明』であった。




勝因:扇動
社会性生物にはこれが一番利く。人間にもよく利きます。
あとなんやかんやフィアはアナシスの事を覚えています。そのぐらい強かったのですよ、あの化け物ヘビ。

次回は明日投稿予定です。

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