閉じ込められていた部屋から脱出したセリエズ達は、どちらへ向かえばいいか分からず立ち往生していた。
「いたぞ!」
不意に声が響き、基地の人間と思われる3人の兵がこちらに銃を向けていた。
部屋に置き去りにした連邦兵が発見されたのだろう。彼らの脱出は基地中の知るところとなっていた。
銃を構えている兵士達の射線から逃れるように通路へ身を隠す。
だが、彼らが隠れた通路の反対の突き当たりから、新たな兵が現れた。
「くっ・・・あっちにも・・・こっちにも!」
アレシアが叫ぶ。
「行くよ!」
ユイが、最初に現れた兵のほうへと駆け出した。
一度隠れたセリエズ達が、物陰から飛び出す。
それに驚いたのか、兵士達に一瞬の隙ができた。
ユイがその中の一人の腕を蹴り上げ、肘をみぞおちに叩き込む。
弾かれて宙に浮いた拳銃をリーシュがキャッチし、蹴られた兵の隣にいた連邦兵を打ち抜いた。
「どこ見てんだヨォっ!」
アレシアが叫びながら、呆気に取られているもう一人の連邦兵の顔に拳を叩き込み、よろけた所にすかさずユイがトドメを刺す。
殴られて意識を失った連邦兵からセリエズが銃を奪い、心臓に銃弾を撃ち込んだ。
銃を入手したセリエズとリーシュが、反対から来た兵にその銃を向ける。
構わず撃ってこようとする連邦兵に、ユイが極上の笑顔を向けた。
死体が転がる場に不似合いな美少女の笑顔に、連邦兵達が呆気に取られる。その中の一人が幸せに殺されたような表情をしたのを見て、ユイが冷徹に銃を向けた。
「ロリコンが・・・」
ユイが放った弾は彼の股間部を性格に撃ち抜いた。
それ以外の兵をセリエズとリーシュが撃ち殺す。
股間部を撃たれてもがいている兵をユイが踏みつけ、その頭部を撃ち抜いた。
この辺りが持ち場の兵は今殺した兵だけらしい。近くに足音は無くなった。
「こんな可愛い女の子を見て動きを止めないなんて男じゃないね♪」
ユイがそう言って、笑顔のまま背後に銃を向け、出てきた兵士を撃ち抜いた。
「自分で可愛いなんて言・・・なんでも無いっす」
アレシアが文句を言おうとして口をつぐんだ。
事実、美少女なのは確かだが、迂闊に手を出そうものなら気絶するまで叩きのめされる。
リーシュがPCを開き、基地のデータベースにハッキングを始める。
「構造図・・・基地の外に出るより管制室に行って味方の基地に通信を入れる方が早い、あとの事は管制室に着いてから」
そう言ってリーシュはメンバーに構造図を見せると、PCを閉じた。
駆け出した彼らの正面の曲がり角から、数人の連邦兵が姿を見せるのを撃ち抜き、角を曲がる。
「伏せて!」
とユイが叫び、リーシュとアレシアを両手で地面に押し付ける。セリエズはユイに言われずとも伏せていた。待ち受けていた兵達が銃を放つのがほぼ同時だった。
リーシュとアレシアを伏せさせた為、ユイだけが伏せきれず、とっさに上体を捻った。
その胸元を銃弾が掠めていく。
「巨乳だったら助からなかっ・・・何も言ってませんって!」
ユイが左手でアレシアを殴りながら、右手に持った銃で兵を撃っていく。
セリエズが素早く敵兵を撃ちつつ身体を起こし、兵の中に向かって突撃して行く。そちらに注意が向いた兵をリーシュ、アレシア、ユイが撃つ。
その向こうに階段があった。
「ここを最上階まで上がって、真正面の扉が管制室・・・!」
リーシュがそう言って階段を駆け上る。
ユイの衣服は、先ほどの攻撃で胸元が裂けており、そのおかげで連邦兵には必ず一瞬の隙が生まれた。
ヴァイス・トート隊にとっては、その隙で充分だった。
階段を駆け上ったセリエズ達が管制室にたどり着く。
扉を撃ち壊し、セリエズ達が管制室へ侵入し、そこにいたオペレーター達に銃を向ける。
「動くな!」
監視カメラで見えていたのだろう、銃を向けた者もいたが、リーシュが素早く撃ち抜いた。
「よし、できた」
ユイが管制室のメンバーを縛り、セリエズ達は管制室の占拠に成功した。