機動戦士ガンダム0084 ―砲撃戦線―   作:リゼルC型

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ここまでGoogle+で既に書いていたもの
今後はノーマルのペースになります。
といってもしばらくは訳あって投稿できないのですが。


第10話「荒れ狂う戦火の中で」

ワッパの射撃によって割れた窓から、砂塵を含む風が舞いこんだ。

「飛び乗って!脱出する!」

ワッパのパイロットが、窓の外からそう叫ぶ。女性の声だった。

セリエズは、はっと我に返った。

「ワッパに4人も乗せられない!」

「大丈夫、もう一台来る!」

その言葉と同時に、もう一台のワッパが来た。それを見てセリエズはリーシュ達に指示を出した。

「リーシュとアレシアは一台目に!ユイと俺で二台目に乗る!」

その言葉に従い、リーシュとアレシアは、窓に近づく。

だが、強風が吹いているせいか、窓とワッパの距離は安定しない。

アレシアが息を吞み、そして歯を食いしばる。

「落ちるなよ・・・!」

そう言ってアレシアがワッパに飛び乗った。

追いかけてきた兵をユイが引きつけ、その隙にリーシュも飛び乗る。

だが、運が悪く、特に強い風が吹きつけ、リーシュが足を踏み外す。

「・・・っ!」

落下しそうになるリーシュ。その手をアレシアがしっかり掴んだ。

「握ってろ!」

ワッパのパイロットが機体のバランスを建て直し、リーシュとアレシアはワッパに飛び乗ることに成功した。

そしてユイとセリエズが二台目に飛び乗ろうとした時、ワッパに基地の砲台から放たれた機関銃の銃弾が浴びせられた。

「がっ・・・」

二台目のワッパのパイロットが、頭に直撃を受ける。

頭部は一発で消し飛び、首の動脈から血が吹き出る。そのままパイロットはバランスを崩し、ワッパから落ちていった。

操縦者が無くなったワッパもバランスを崩しかける。

ここは最上階で、階段は敵兵に占拠されている。

そこまで一瞬で考えたセリエズは、バランスを崩しかけたワッパに飛び乗った。

急いで操縦桿を握り、姿勢を立て直す。

「ユイ、乗って!」

セリエズが窓に向かって手をのばす。

その手をユイが握り、ユイがワッパに飛び乗った。

「後部ローターが損傷してる・・・さっきの被弾か!」

セリエズは歯ぎしりした。このままでは長くは飛べない。

加えて、先ほどの砲台が再び機関砲を撃ち始めた。

一時攻撃が止んだのは、仕留めたと思ったからだろうか。

ワッパの小回りと最大限に活かしそれを回避するが、またしても後部ローターに被弾した。

今までバランスを保っていたワッパがついにバランスを崩す。

「ち・・・くしょっ!」

「ひゃ・・・!」

地上に落下していくワッパを、出来る限りバランスを保つようにする。

だが、落下を食い止めることは出来ず、ワッパは地面に擦り付けられるように墜落した。

 

「カティスのワッパより通信。ヴァイス・トート隊の二人は確保、残りの二人は行方不明だそうです」

ガンスはそれを聞き、むぅ・・・と唸った。

本来、MS隊が基地を攻撃、囮になっている隙に二機のワッパによってヴァイス・トート隊のメンバーを回収、という流れになる予定だったのだが、ここに来て流れが狂ってしまった。

少し考えた後、ガンスは指示を出す。

「MS隊はそのまま戦闘続行だ」

「よろしいので?」

「しばらく待っても音沙汰無しなら、二人は戦死したものとする。だが、待てるだけ待とう」

ガンスは、砲撃仕様のザクタンクの中で指示を出しながら、援護射撃を続行した。

 

「戦闘続行だ!」

グフカスタムが、ジム改のコクピットにヒート・ソードを突き立てながら、他のパイロットに指示を伝える。

突き立てた瞬間、オイルとも血ともつかない液体が噴き出し、グフカスタムに付着する。

ザク・デザートタイプの一機が、ミサイルポッドが弾切れになった事で、ヒートホークを構えて突っ込む。

「バカ、やめろ!」

ドワッジのパイロットが叫ぶ。

突っ込んでいったザク・デザートタイプは、ジム・キャノンの砲撃によって脚部を撃ちぬかれる。バランスを崩したまま、不自由な姿勢でザク・マシンガンに持ち替えようとするが、目の前に量産型ガンキャノンの100mmマシンガンが突きつけられる。

「ひっ・・・」

それが最後の声になった。

100mmマシンガンを胴体に集中的に食らい、ザク・デザートタイプは鉄屑と化した。


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