いつもどうりの駄文でしか表現できておりませんが、良かったら読んでくださいませ。
加えて、こんな文しか書けなくてこんにゃく四季風先生すみませんm(__)m
なお、『東方怨崎録』を未読の方も読めるような仕様にしております。
『東方怨崎録』→https://novel.syosetu.org/84083/
上話 勝利と憎悪の邂逅
怨み、とは何だろうか?
憎み・怨嗟・憤り遺恨・憎しみ・憤慨・忿怒・怨恨・激憤・憤懣・憤怒・忿懣・欝憤・恨み――
類語ならいくらでも思いつくが、俺にはその感性が理解できない。恐らく切裂き魔や壊神、詐欺師ですらも分からないだろう。
ある意味では『怨みすぎてそれに気づいてない』のかもしれないな。『憎悪の感情を抱かないほど壊れている』可能性も否定できないが。
ある少年は親から愛されなかった。
小さな会社をしていた少年の家は、二年前に少年の祖父――資産家だった祖父が亡くなり、その金が少年の父親に遺された。
父親は会社を大きくし少年の兄に継がせ――そして少年と妹は
現代日本で稀に聞く『DV』というやつだ。
悲劇と言えば悲劇なのだろう。
全くもって素晴らしく――救いのない話。
俺には『親に捨てられた』ことはないから、少年の心境など理解できないだろう。いや、理解したくない。
その想いは少年だけのものだし、第三者が関与するべき問題でもない。放っておくのが賢い選択だ。
さて――この章は『親に捨てられた悲劇の少年』と『記憶のない策士な少年』が
『親に捨てられて怨みを募らせた少年』
『怨みという感情すら日常化してた俺』
果たして――
――どちらが『マシ』なのだろうね?
♦♦♦
side 紫苑
春雪異変――幽々の起こした異変から数日経った後の話。
『異変が終わったから春がやって来るぜ!』なんてご都合主義が存在するはずもなく、今も博霊神社には雪が積もっている。妖怪退治に出勤中の霊夢に代わって、俺と未来はその雪掻きをしている最中だった。
少なくとも冬が終わったのも確かだし、春が来るのも時間の問題だ。春には白玉楼で宴会するらしいし、楽しみだね。
「ふぅ……こんな感じか?」
「もうさ、紫苑の『白馬』で雪溶かそうよ」
「オマケとして博霊神社が溶けるぞ」
そんな雑談をしていた。
いつも通りとなりつつある日々。
ただ――今日は違った。
「家帰って茶でも飲むか」
「賛成ー」
「その後香霖堂にバイトでもしに行――ん?」
家に帰ろうと神社の鳥居を見て――その
神社の鳥居の中に波紋が浮かび上がり、空間そのものが水のように揺れ動いている。幻想的な初めての現象に、訝しげな表情を浮かべる未来。俺も同じような表情をしているだろう。
「……なんだろうな、あれ」
「……さぁ?」
俺は妖刀村正を、未来はコンバットナイフを、それぞれ構える。
博霊神社は外の世界と幻想郷の境界。
もしかしたら忘れ去られた者が来る予兆なのかもしれないが、それを知ってそうな奴がココにはいない。警戒しておいて損はないはず。
警戒すること数十秒。
歪んだ空間から弾き出されるように表れる2つの影。
それは受け身もせずに投げ出されたような状態で、素晴らしい雪掻きのお陰で雪のない地面に転がる。
「い、痛ぇ!」
「なんだこれ!? 雪!?」
転がっている少年2人は現状を把握していないらしい。
神主袴を着た少年と、黒の中折れ帽をかぶりYシャツを着て、黒のタキシードのズボンをはいている少年。そして2人は同じような茶髪で同じような顔。双子ではないかと疑うレベルだ。
とりあえず、そのままにしておくのも何なので、俺は妖刀を仕舞って2人に声をかける。
「えーと、ちょっといいか?」
「……誰だ、あんた」
神主袴の少年にめっちゃ睨まれたんですけど。
凄く目付きが鋭いな。
「俺の名前は夜刀神紫苑、ここは博霊神社なんだけど……もしかして外の世界から来たのか?」
「ん? ここは幻想郷なのか?」
タキシードの少年は驚いた顔をする。
「あぁ、ここは幻想郷だ」
「さ、早苗は!? フランは!?」
「早苗って誰だか分からんけど、フランなら紅魔館でスカーレット姉とホラゲでもしてるんじゃねーかな。この間PC貸したし」
「「……は?」」
神主袴に、なに言ってんだコイツって顔をされた。
俺は間違ったこと言ったかな?と未来に助けを求めたが、このアホは肩をすくめただけだった。
「フランはレミリアに監禁されてないのか?」
「んなわけねーだろ。数か月前ならまだしも、今では俺の家で晩飯を食いに来るくらいだぞ? 姉と一緒に」
なんだろう、会話が噛み合ってない気がする。
この場にいる4人が疑問や不安を心に抱く中、マイペースさに関しては他の追随を許さない切裂き魔が提案する。
「とりあえず、紫苑の家に行かない? 寒いし」
確かにその通りだった。
神主袴のほうが
しかも双子じゃないとか。
世界には3人くらい同じ顔した自分がいる――って聞いたことがあるが、幻想郷で会うなんてどんな確率だよ。
彼らは博霊神社の横に堂々と建っている俺の家を見て驚いていたが、外の世界の住人だったことに変わりはないので、なんの苦もなく家に入ってきた。
紅魔館勢のように土足で入ろうとしてこないだけマシ。
リビングに入ろうとした紅が俺に尋ねてくる。
「あ、銃を6丁携帯してるけど大丈夫か?」
「俺も刀を所持してる」
「別に俺の家で『銃刀法』が適用されてる訳じゃないから、持っていてもOKだぜ? このアホみたいに家を真っ二つにしなければ問題ない」
「「は?」」
リビングにいたのは藍さんだった。
俺が帰ってきたことに笑みを浮かべて、後ろにいる2人の存在を確認して首をかしげていた。
「藍さん、お茶を用意してもらえないかな? 4人分」
「は、はぁ……」
理由は後で話すと藍さんに耳打ちして、4人はリビングのカーペットに胡坐をかいて座った。
~少年説明中~
「並行世界だな」
「だね」
説明を聞き終わった俺と未来はそう結論付け、離して喉が渇いてしまったので藍さんが淹れてくれた茶で喉を潤す。
その結論に紅が顔を引きつらせながら再度問う。
「へ、並行世界?」
「そう、並行世界。分かりやすく言うのであれば、『この現実とは別に、もう1つの現実が存在する』っていう別世界みたいなもんだな。ライトノベルとかSF小説とかの舞台として取り上げられることが多いだろ? あれだ」
並行世界は現代世界において夢物語ととらえるものが多いだろうが、実際に物理学の世界でも理論的な可能性というものが語られている。例を挙げるとすれば、量子力学の多世界解釈や、宇宙論の『ベビーユニバース』仮説などがあるだろう。ただ前者は並行世界を俺たちがが観測することは不可能であり、その存在を否定することも肯定することも出来ないってことで懐疑的な意見も存在するがな。
現在の宇宙は主に正物質、陽子や電子などで構成されているけど、反物質の存在が微量確認されていて、それがビッグバンによって均衡化してしまったが、一部不完全なものがあるらしい。ビッグバンの過程で、この宇宙以外にも他の宇宙が無数に存在していて、他の平行宇宙では逆に反物質のみから構成される世界が存在するんじゃないの?という仮説も提示されている。
凄い科学的な話になったな。
要は『並行世界は科学的に存在していると説明できるが、実証できる根拠がない』ということだ。
まぁ、上の説明を台無しにする話になるかもしれないけど、紫が「並行世界? ありますよ」って言ってたから実証は容易いんだけどね!
「けど別世界の幻想郷、か……。俺たち元の世界に戻れるのか?」
「紫がいれば大丈夫だろ」
信が不安そうにしているが、幻想郷の賢者がいれば問題ない。
仕方ないから俺は藍さんにお願いする。
「ちょっと紫に伝えといてくれないか? 怨崎信と望月紅って少年がこっちの幻想郷に来ちまったから、明日中には返す準備をしてくれないか?って」
「分かりました」
藍さんは頭を下げると、スキマの中に消えていった。
「明日、か」
「どうせ会ったのも何かの縁だ、晩飯食って行けよ」
俺は晩飯を用意するために台所へと移動した。
……カレーでも作るか。
♦♦♦
side 未来
「災難だったね~」
「いつの間にかここに来たからな……」
紅っちは苦笑いをしていたが、信ちゃんは難しい顔をしていた。
なんというか……思いつめたような顔とでもいうべきかな?
「けど記憶喪失にDVかぁ、大変だったね」
「……同情はいらないぞ」
「一般論の感想を述べただけさ。
こういうものは同情するとかえって惨めになってしまうと本で読んだことがある。
冷たい言い方になってしまうけど、今日明日だけの関係の相手に余計な感情移入は避けるべきだと僕は考える。紫苑はまた違った考え方だろうが、僕としてはそこまでのお節介をする気はない。
しかし――と僕は言葉を続ける。
「羨ましいって、思うよね」
「『怨み』の感情が羨ましいのか?」
「紅っちの疑問はもっともなんだけど、僕たちの住んでいた外の世界の街ってのは少々特殊でね。斬った死んだなんて当たり前、昨日会話していた相手が次の日には亡くなってるなんて日常風景だったのさ。退屈しない街なのは確かなんだけどねぇ」
「し、紫苑も未来も厳しい環境で生きてきたんだな。なんとなく体格や筋肉量から、相当鍛えていることは予測できたけどよ」
紅っちは鋭いね。
僕は意識して腕とか脚に筋肉がつかないように鍛えてたはずなのにさ。
「まぁ、そんな環境だったから僕も紫苑も『怨み』って感情を抱く暇がなかったね。怒りもするし報復もする。けど僕は『他人を怨む』ことはないかな」
うーん、こんなシリアスは僕好みじゃないんだよなぁ。
「しかも〔怨みを糧とする程度の能力〕なんて能力に昇華させるほど強いなんて、僕はそこに驚きだよ。怨みの力は強いって聞くし、よっぽど強いんだろうな~」
「俺としては未来の〔全てを切り裂く程度の能力〕もチートだとは思うぜ?」
紅っちの〔幻を呼ぶ程度の能力〕は……なんというか詐欺師を連想させるな~。
詐欺師は〔万物を欺く程度の能力〕で、ギリシャ神話の知恵の神がベースになってる能力だったし、紅っちも詐欺師みたいにドラゴンとかア○トースとか呼び出せるのかな? けど紅っちは詐欺師みたいに『ゆかりんの数百倍は胡散臭い雰囲気』を醸し出してないよね。
同じ『幻』を操るとは言っても、性質までは似ないのか。
「あ、そうだ! 明日は弾幕ごっこしよう!」
「唐突だな」
信ちゃんは呆れているけれど、マイペースさならだれにも負けないと自負している。
これは幻想郷でも健在だ。
「せっかく他の世界の住人と出会ったんだ。弾幕ごっこしないと勿体ない!」
「それもそうだな!」
「僕としては紅っちと鈍感女たらしのカードが見てみたい!」
僕はスペルカードを持ってないから、紫苑と紅っちのバトルを観戦したい。
紅っちも面白そうだと張り切っている。
「どうなっても知らないぞ……」
無駄にハイテンションな二人に、信ちゃんは肩をすくめた。
紫苑「初コラボじゃああああああ!!」
信「テンション高いな」
紫苑「作者は『情報少なくて紫苑たちを怨崎録の幻想郷に送れなかった……』とか泣いていたけど、あの作者だし情報あってもかけなかったと思うぜ」
信「そう、なのか」
紫苑「まぁ、せっかくのコラボだし楽しもうぜ」
信「そうだな」
霊夢「美味っ! カレー美味っ!」
魔理沙「その福神漬けは私のものだああああああ!」
紅「渡すかああああああああああ!」
アリス「ちょ、お行儀悪いでしょ!?」
未来「あはははっ」
紫苑「あれは楽しみすぎだな」
信「Σ(゜Д゜)」