鎮守府の食堂で働く   作:アルティメットサンダー信雄

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ぬいぬい

 

 

鎮守府ライフが始まって3日。艦娘の数も二桁目に突入し、より一層賑やかになった。非番の艦娘もチラホラと食堂で暇潰ししてるのが見える。学生時代から思ってたけど、女子……いや男子もだけど暇になったら食堂行くよな。食堂でどうやって暇潰ししてんの?ここ飯食う場所だよ?

 

「寝よう」

 

今は昼を回っている。この時間になると暇なのだ。間宮さんはもう片方の喫茶店みたいな奴の方にいるし、この時間に飯を食いに来る奴もいない。

俺はカウンターの裏で寝る事にした。万が一にも人が来た時のために一応、ここにいるだけだ。椅子と椅子を並べ、簡易的なベッドを作ると、その上に寝転がった。

 

「……5時には起きるか」

 

目覚ましをセットして寝た。

 

 

1

 

 

スマホにセットした目覚ましによって目が覚めた。……うーん、よく寝た。気がする。

 

「首と肩と腰がダルイ……」

 

無理な姿勢で寝てたからか……?さて、そろそろ晩飯も近いし、飯作り始めるか。提督、間宮さん、俺、大淀さん、明石さん、川内さん、五十鈴さん、古鷹さん、叢雲、電、島風、吹雪、皐月、神通さん、それと今日の新入りで羽黒さん、北上さん、陽炎、不知火様、大本営から送られてきた白雪、赤城さんの20人。というか、不知火様、あの子眼光がヤバイ。思わず土下座して謝りそうになっちゃったよ。

 

「20人前かぁ……」

 

「すみません。お待たせしました」

 

間宮さんが厨房に戻って来た。

 

「いえ、俺も今起きたとこですから」

 

「へ?起きた?」

 

「あーいや何でもないです。こっちの話」

 

あっぶね。流石に仕事中に爆睡してましたなんて言えない。

 

「それより、そろそろ飯作ります?」

 

「そうですね。……そういえば、今赤城さんがいらっしゃるんですよね?」

 

「はい。それが?」

 

「あー……30人前は必要ですね」

 

「は?さ、30……?」

 

この人、数を数えることができないのか?今日のメンツは20人なんですけど?

 

「その……赤城さんはすごく食べる方なんですよ。他の鎮守府の赤城さんもそうみたいで……」

 

「いやでも一人で10人前は流石に……」

 

「例えば、見てくださいこの写真」

 

間宮さんはスマホからツイッターを見せてきた。

 

「………間宮さんってTwitterとかやるんですね。というかスマホ扱えるんですね」

 

「………バカにしてます?」

 

「いえいえめっそうもない」

 

だって、なんかイメージ的にスマホ弄ればとりあえず金かかると思ってるお年寄りのイメージが強くて。いや若く見えるけど。オッパイ以外。

 

「今、失礼なこと考えてるでしょう?」

 

す、鋭い!

 

「いえ、そのっ、何も考えてないです」

 

「………まぁいいです。それで、この横須賀鎮守府の映像の様子なんですけど……ほら、鎮守府大食い大会の赤城さん」

 

「うーわ……、何このカレーの量。山?」

 

「これ完食してますからね」

 

マジカヨ。こいつの胃はブラックホールか何かなの?

 

「まぁ、言いたいことは分かりました。とりあえず大量に作れる簡単なものと」

 

「はい。そういう事です」

 

「ならバイキング形式にしちゃえば良いんじゃないですか?それなら作り過ぎということはありませんし、赤城さんがいれば全部残ることもないでしょう」

 

「なるほど。それ良いですね」

 

「料理はどれも2人前ずつ作ればいいでしょう。それを……そうですね。10品出せば20人前で済みます。普通に全員分の皿で作ると29人前なのに、あら不思議、9人前分も減りました」

 

「目的は手抜きなんですね……」

 

呆れられたが、思い付いたもんは仕方ない。そんなわけで、飯を作り始めた。

 

 

2

 

 

晩飯。作った料理は唐揚げだのフライドポテトだの、なんかそういう感じのもの。しかしあれだ。自分で作ったバイキングを取るのってなんか恥ずかしいな。なんか、こう……恥ずかしい。そんな気にするようなことじゃないんだろうけど、なんか恥ずかしいもんは仕方ない。まぁ、気にするな。気にしたら負けだ。

 

「あの、お隣良いですか?」

 

隣に来たのは不知火様だ。

 

「は、はいっ!どうぞ!」

 

「? 何を怯えているのですか?」

 

「怯えてないッス」

 

「………?」

 

不思議なものを見る目で見られてしまった……。でも怖いんだよお前の目。

 

「この料理、福島さんが作られてるんですよね?」

 

「はい。僭越ながら、私が作らせていただいています」

 

「あの、そんな丁寧な言葉を使わなくでいいですよ」

 

「おーい、不知火……と福島さん?」

 

後ろから陽炎が来た。不知火の反対側に座る。

 

「おう、陽炎」

 

「陽炎にはタメ口なんですね」

 

「? 何故?」

 

「陽炎は不知火の姉です」

 

あら、そうなの。

 

「………逆じゃね?」

 

「ちょっと!どういう意味よ!」

 

噛み付いてくる陽炎。いやーそう言われてもなぁ。

 

「なんつーか……陽炎がガキっぽいんじゃなくて、不知火様が落ち着いてるんだよね」

 

「様?今、様って言いました?」

 

「まぁ、分かるけど……」

 

「陽炎、分からないでください」

 

まぁいいや。さっさと飯を取って来よう。とりあえず唐揚げとポテトと白米で良いか。

俺は飯を取りに行った。

 

 


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