それから数日が経った。あれから、古鷹さんとは話すどころか会うこともない。避けられてるのか、偶然なのか、まぁ顔を合わせても気まずいだけだから、会いたいというわけじゃないんだけど……。まぁ、仲良くできたのはほんの数日だし、むしろその間がラッキーだっただけだ。また、元の学園生活に戻っただけ、いや学園じゃなくて鎮守府だな、うん。
そんなことを考えながら、俺は食堂の裏口から、食材の受け取りをした。
「ふぅ……今日は魚かな」
「お疲れ様です、福島さん」
間宮さんが顔を出した。
「ああ、どうも。今日の日替わり定食は刺身でいいですかね。魚めっちゃ入ったし」
「そうですね……」
何故か、間宮さんは浮かない顔をしている。
「どうしました?下痢ですか?」
「殴り殺しますよ。最近、福島さん元気なさそうで心配してあげてたんです」
「えっ、殴り殺されちゃうの?」
「大丈夫ですか?」
「いや、殺されるのに大丈夫も何もないでしょ」
「そうではなくて……」
え、なんだよ。
「何かあったのなら、相談してくださいね」
「なんもねーですから大丈夫です。元気がないのはあれだ。鉄血がいつまで経っても非戦闘回ばかりだからです」
「ちょっと何言ってるか分からないです。この前、モビルアーマー動き出したじゃないですか」
「見てんのかよ……」
「まぁ、無理に相談しろとは言いませんけど、一人で抱え込まないで下さいね」
悩みなんてないんだがな……まぁ、返事をしておこうか。
「分かりましたよ……」
返事をしながら仕込みを始めた。
1
昼飯の時、全員分の食事が終わり、余った食材で俺と間宮さんの昼飯を作った。
食堂に出て食べようとすると、前の先に不知火様が座った。
「お疲れ様です、福島さん」
「お疲れ様です、不知火伯爵」
「不知火です」
相変わらず死神の目より恐ろしい眼光だ。
「あの、何の御用でしょうか不知火女帝」
「不知火です。あの、本当にタメ口で全然構わないので敬語はやめてください」
「不知火皇帝閣下」
「あの、呼び方も不知火でお願いします。そんなに不知火、怖いですか?」
「シーラヌイ・藍那・バーンスタイン」
「怖がってないですね、ナメてますね」
すみませんでした、冗談です。
「それで、なんか用ですか不知火様」
「………まぁ、いいです。その、最近元気がないように見えましたので。何かあったのですか?」
えっ、また?そんな俺元気ないように見える?
「いえ、そんなことはありませんが」
「いえ、元気ないです。見れば分かります」
なんで本人差し置いてあなたが察せるんですかね。
「や、でもホント気にしないで下さい。なんでもないんで」
「そうですか……不知火ではお力になれませんか」
「や、そういうことじゃなくてですね……」
どう説明したものか……。というか、どいつもこいつもそんなに元気なさそうに見えますかね……。
「とにかく、大丈夫なんで、マジ気にしないで下さい」
「分かりました。でも、無理はしないでくださいね」
「ありがたきお言葉、感謝致します。不知火将軍」
「不知火です」
何処かに去ってしまった。うーん、そんなに元気なさそうに見えるか、俺。