古鷹さん好みのパフェを作るために、スーパーとかで食材を買いに行くことになった。
さっきから古鷹さんがソワソワしてるのが気になる。ああ、もしかして……、
「珍しいポケモンいました?」
「……は?」
「いえ、先程からソワソワしていたものですから」
「……………」
え、ちょっ、何その顔。虫を見る目っていうの?
「………福島さんって、割とバカなんですね」
「えっ、急になんですか?」
「ふんっ」
………なんか怒らせてしまったようだ。
そのまま不機嫌なまま、二人でスーパーを回る。ご機嫌斜めの人に質問するのは気が引けるが、元々古鷹さんのお好みのパフェを作らなければならないので、質問しなければならない。
「………あの、古鷹さん」
「………」
まだ怒ってるのか……。少し呼び方を変えてみよう。
「オールドホークさん」
「………」
「フルフル」
「…………」
「タカさん」
「…………」
「鷹の目さん」
「…………」
「ミホークさん」
「…………」
「はたまた秀徳のPGさん」
「怒りますよ?」
「すいませんでした!」
こ、怖い!そりゃ怒るよね!途中からボケに逃げたし!
「………あの、古鷹さん」
「何ですか?」
「そ、その……パフェに何入れたらいいかなーなんて……」
「……………」
どうしよう……。だんまりかよ……。うーん、何を言うべきか……。
「………クリーム」
「へっ?」
「チョコクリーム」
……ちゃっかりリクエストしてくれるところが可愛いなぁ。
「分かりました。甘いのと苦いのは?」
「………余りビターのチョコクリームって聞かないんですけど」
「いや、その辺も全部俺が作りますよ。だから買いに来たのは材料だけです」
「あのっ、そんな気合い入れていただかなくても……」
「いえいえ、古鷹さんのためですから」
「えっ?」
「えっ?」
な、なんでそんな不思議そうな顔するんですか。あ、もしかして自分の分のパフェだって知らなかったのかな。
「じ、じゃあ、あとバニラアイスとチョコレートソースと、あと……」
一生懸命、パフェに入れて欲しいものをリクエストする古鷹さんだった。よし、なんとか機嫌は直してくれたみたいだな。
1
しばらく、買い物を進めてる時だ。どっかで見た顔が見えた。
「んっ、あれは……」
「朝潮ちゃん、ですかね?」
買い物メモ的なものを持ってスーパーの中をキョロキョロと見回していた。どうやら、おつかいを頼まれているようだ。
「………なんか迷ってるっぽいな」
「声かけてあげましょうか」
と、いうわけで、俺と古鷹さんは朝潮に声を掛けた。
「えっと……あとはキュウリ、と……」
「沙悟浄かよお前は」
「不審者⁉︎……と、福島さんでしたか」
今ひどい間違い方されたんですけど……。って、古鷹さん何笑ってんですか。
「何してんの?」
「おつかいです」
やっぱりか。
「たくさん買うものがあるのですが……今はキュウリを探してまして……」
「ああ、聞いたよ。キュウリは野菜コーナーに決まってんだろ。こっち来い」
「いえ、結構です」
「あ?」
「これは私が頼まれたおつかいですので。私が一人でやります」
「………………」
め、面倒だなこのガキ……。俺はチラッと古鷹さんを見た。
古鷹さんは苦笑いを浮かべるばかりだ。まぁ、そうなるわな。
「や、でも……」
「とにかく、結構です」
「……わかったよ。余計な手を出して悪かったな」
「いえ。では、」
朝潮はパタパタと走り去った。肉コーナーに。
「じゃ、俺たちも行くか」
「そうですね」
二人して、朝潮と真逆のほうへ進んだ。お菓子売り場の列で曲がった。
直後、壁際に二人して身を隠し、朝潮の方を見た。
「「やっぱ不安ですよね……」」
考えることは同じだった。だって、キュウリ買いにお肉コーナーに行っちゃうんだもんあの子。後を追うしかないでしょこれ。
「………大丈夫ですかね……」
「駆逐艦の中ではしっかりしてる子だと思いますけど……」
「とにかく、後をつけるか」
「そうですね」
まるで初めてのお使いのような気分だった。