「忙しいな」
信は今博霊神社の台所で色々作っている。どうしてそんなことをしているかと言うと……
「しーんっ!まだ飯が足りないのぜっ!」
「おうっ!もうちょっと待ってろっ!」
「やっぱり宴会には信の料理が必須なんだぜ」
そう、宴会だ。最初で最後の花見から3日おきに人や妖怪がドンチャン騒ぎしているのだ。妖怪の方が圧倒的に多いが…
ほぼ毎日幻想郷に通っている信は、必然的にその準備を手伝うことになっている
「しっかしこう頻繁に宴会が開いて誰もなにも言わないなんて……。さすが幻想郷ってところだな」
「信、もうできた?」
「アリスか。丁度今色々仕上げたところだから持ってくの手伝ってくれ」
「ええ。……大変じゃない?やっぱり私も手伝った方が……」
「いんや。これも修行の1つみたいに思ってるんだ。出来れば任せてほしい」
「そう。ならまだまだ作ってもらわないとね。皆あなたの料理を取り合うくらい楽しみにしてるんだから」
「そいつは嬉しい限りだ」
アリスと協力して料理を運びながら嬉しい情報を聞いた。料理を作る者として、美味いと言われて悪い気のする者はいないだろう
「おまたせー」
「持ってきたぞ。今度は魚系にしてみた。酒にも合うぞ」
「おっ!美味そうなんだぜ」
魔理沙は言うまでもなく、持ってきたとたんに皆がその料理に集まる
「美味いっ!」「たまんねえ!」「太っちゃう!」
「どうひてこんなに美味しいんれふか?」
「妖夢……またそんなに酔っ払って……」
「酔ってまへん!それよりどうひて……やはり斬らなければ!」
「通り魔じゃねえか!……あんまり飲みすぎるなよ?」
ここ数日で妖夢ともある程度打ち解けてきた。まあ、酔っぱらっているときに限るのだが…
そんなことを思いながらまた台所に戻る
「それにしてもよくこんな同時に作れるわね」
「どうした咲夜?もう料理無くなったのか?」
「いえ、1人であの量を作るなんて何か仕掛けがあるんじゃないかと思ってね」
「残念ながらそんなものは無いな」
「それにそんなに作り続けて疲れない?料理って結構体力いるでしょ?」
「こっちは育ち盛りの弟妹10人以上を毎日相手にしてるんだ。これくらいできなきゃ困る。それに毎日鍛えてるしな」
「そう…。もう少し見てていい?」
「もちろん」
流れるような作業で次々と料理を仕上げていく。その姿に思わず咲夜は見とれてしまう
「うし。これで全部完成っと。咲夜、運ぶの手伝ってくれるか?」
「え?あ、ええ。もちろんよ」
「それじゃあ頼む」
再び運んだ料理もすぐに箸がのばされる。こんなにすぐに無くなると逆に面白くなってくる
「霊夢?」
だがその料理を食べながらも霊夢は難しそうな顔をしている
「口に合わなかったか?」
「美味しいわよ。……ねえ、信は何か感じない?」
「……この妖霧のことか?」
「ええ。害はあんまり無いみたいだけど……。それに3日おきに宴会なんて流石に異常だし」
「これも異変か?」
「多分ね」
「検討はついてるのか?」
「全然よ。だから明日から本格的に調べるつもりよ。次の宴会まで3日しかないし……」
「そんな霊夢のために酒にぴったりのおつまみを作ってきました!」
「気が利くじゃない。ありがとう」
「どういたしまして。頑張れよ」
霊夢につまみを渡して料理をつくりにいく
「よう。楽しんでるか?」
しばらく料理を作り続け一段落したところで信はある人物に話しかけた。その人物も信の料理を美味そうに頬張りながら酒を楽しんでいる
「おうよっ!ごくっごくっ……ぷはーっ!!信の料理は本当に酒に合うねぇ~」
「それは良かった。……で」
今更だが描写しよう。信が話しかけた人物は、見た目は幼く、頭部の両サイドから特徴的な角を生やしている。両手には鎖がつけられていて、その先には鉄球がつけられている
さて、勘のいい人ならもうお分かりだろう。
「いつまで宴会をさせ続けるつもりだ?萃香」
「そいつを聞くのは野暮じゃないかい?」
名を伊吹 萃香。今回の異変の首謀者である
「ん~~~誰かが止めに来たらね。ま、止めれたらの話だけど」
「俺が止めようか?」
「遠慮してほしいね。にしてもよく一瞬で気づいたね?他はまだ何にもわかってないって言うのに」
「妖霧が出て、誰も出してるように思えなかったから妖霧その物が本体なのかと思ったら当たってただけさ。萃香の姿は何となく見えてはいたし」
「紫以外にも私を見ることができるやついたのか」
「ここにいたな。ま、明日以降いろんなやつが異変解決を目指してくるぞ。退治されないように気を付けろよ」
「私は鬼だよ?簡単に負けないさ」
「俺には負けたじゃないか」
「言わないでよ。」
「悪い悪い。でも気を付けろよ。解決者達は強いぞ」
「グビッグビッぷはーっ!!そうかい。誰が最初に来るか楽しみだねぇ」
次回からは戦闘パートが多くなります。いろんな人とやりますよ