東方家族録   作:さまりと

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おはこんばんにちは、さまりとです。
めっちゃ間が開きました。ごめんなさい。データが3回くらい消えたせいでやるきを完全に無くしました。
そのお詫びとして今回は少し長めです。
では、ゆっくりどうぞ






第47話【吹っ切れた】

コト「主、そろそろいきましょう。」

信「そうだな。風人、華、いくぞー。」

風&華「はーいっ!」

愛「今度こそお土産よろしくね。」

真「出来れば八目鰻食べてみたいな。」

恭助「俺も食べたい。」

静「怪我には気をつけてくださいね。」

信「心配してくれるのは静だけかよ。お兄ちゃん少し悲しいぞ。」

真「俺たちを残して先に逝っちゃうなんてことはしないでしょ?」

信「まあな。それじゃ、行ってきます。」

風&華「きまーすっ!」

一同「いってらっしゃい!」

 

なにも話は聞いていないがきっとやるに決まっている。なにせ昨日コトと合流した頃にはもう幻想郷の雪がほとんど溶けてしまっていたのだ。

 

信「よう、きたぞ。」

風&華「こんにちわー!」

霊「こんにちわ。やっぱり来てくれたわね。」

信「おう。」

魔「やっと来たか……ってなんなんだぜその傷は!!」

信「本気の紫を相手にしたらこうなった。」

ア「大丈夫なの?」

信「これくらいはどうってことないさ。それより準備するんだろ?」

霊「ええ、今回もよろしく。」

 

そう、長い冬が終わり春が来たのだ。春といったら何をするか。幻想郷ではもう決まっているようなものだ。

 

信「異変解決お疲れ。」

霊「そっちも1人で紫を相手にしてたじゃない。」

信「でも負けちまったからな~。……もしかして咲夜も勝ってたりする?」

魔「引き分けだったらしいのぜ。最後まで勝負がつかないまま。」

信「やっぱり負けたのは俺だけか~。てか咲夜は準備手伝ってくれないのか?」

ア「向こうは向こうで準備をするらしいわ。」

信「そうか。」

霊「それと藍が相当感謝してたわ。お礼がそれだそうよ。」

 

指差した先にはでかい鹿がいた。ご臨終してるやつ。

 

風「でっかいしかーっ!」

信「立派な鹿だな。身も締まってる。でもこれを藍が?」

ア「それと彼女から伝言。『例の約束は少し難しいかもしれない』だそうよ。なんの約束したの?」

信「ちょっとな。まあとりあえず準備を進めよう。お前たちは鹿捌けるか?」

霊「無理よ。」

魔「できないぜ。」

ア「できないわよ。」

信「じゃあ俺がやるよ。時間はいつも通り少ないし急ごう。」

 

~~~~少年少女奮闘中~~~~

 

魔「やっと終わったぜ。」

ア「早く運びましょう。華ちゃんと風人君も手伝ってくれる?」

風&華「やるっ!!」

 

~~~~少年少女運搬中~~~~

 

信「おお、みんな~!久しぶりだな。」

料理を持っていくと久しぶりの顔がたくさん見られた。

美「しんさ~ん!」

 

それと同時に美鈴の声も聞こえた。ということは紅魔館のメンバーが来たということだ。

 

(ん?ってこいことは……。)

フ「お兄いい様ああああああああ!!!」

信「フラごふっ!」

チ「しいいいいいいいいんっ!!!」

信「この声はチルノがふっ!」

 

正面からフランが突っ込んでき、その直後チルノが後ろから後頭部に抱きついてきたため信の体はくの字になりながら吹っ飛んだ。

 

信「ふ、フラン、チルノ、久しぶりだな。」

フ「お兄様だっ!やっと会えた!!」

チ「本当に信だっ!!」

美「大丈夫ですか?」

大「チルノちゃん、いきなり飛び付くのじゃ危ないって。」

信「大ちゃんも美鈴も久しぶりだな。……早速で悪いんだがフランを離すの手伝ってくれ。このままだと俺の背骨がまずい。」

 

力一杯ハグをされている信のからだからはメシメシと不気味な音をたてている。

 

美「わわわっ。フラン様、力を抜いてください。」

フ「ヤダッ!お兄様はもうどこにもいかせない!!」

信「行かないから!行っても2日以内に戻ってくるから!」

フ「……本当?」

信「最悪連絡は入れるから、な?」

フ「……うん。」

華「フランちゃん、チルノちゃん、大ちゃん。久しぶりっ!」

フ「風人、華っ!」

風「今日はいっぱいあそぼっ!!」

フ「うんっ!!」

 

2人に気づき笑顔になったフラン達は他の皆がいるところへと遊びにいった。

 

信「ふう。」

 

自分の背骨が正常であることを確認して1つ息をつく。

 

美「だ、大丈夫ですか?」

信「大丈夫大丈夫。久しぶりだな、元気にしてたか?」

美「はいっ!…と言いたいところですけどフラン様の相手をしていてもうくたくたですよ。」

信「フランにはもう少し落ち着きをもってほしいな。」

美「共さんがいなくなってからは大分落ち着いた方なんですが、信さんが絡むとどうしても……。」

信「兄貴分としては嬉しいような、心配なような……複雑だな。」

 

そうしていると背後から聞きなれた声が聞こえた。

 

ジ「久しぶりに顔を見せたと思ったらもう人の心配か?」

ギ「我が主ながら心配になるな。」

信「ギン!ジン!なんだ元気にしてたかお前ら!稽古はサボってないだろうな。」

ジ「全員皆勤賞だよ。」

ギ「俺が本能と話し合ってるときにお前らはずっと稽古だもんな。」

ジ「ボスの近くにいるためにはそれくらいはやんないとって、あいつらとの相談の結果だよ。」

美「?」

信「そういえば美鈴は知らなかったな。ケンだけじゃなくてギンの子分全員に稽古つけてやってるんだ。」

美「マジですか!?」

信「ああ。なんならたまに相手してやってくれ。……ジン、そういえばケンは?」

ジ「あいつはなんか家の用事が色々あって来れないかもって言ってたぞ?」

信「そうか……。まあ仕方ないか。今日は幻想郷初の花見だ、全力で楽しむぞ!!」

一同「おおおおっ!!!」

 

その掛け声と共に宴会が始まった。お預けされていた反動なのかその花見は異様な盛り上がりを見せていた。

 

文「あややややや。出遅れてしまったようですね。」

信「文か、ずいぶん遅かったな。」

文「妖怪の山でちょっと揉め事がありましてね。それでは信さん、早速取材させていただきます。あのときは置いていかれてしまいましたが今回はそういきませんよ。」

信「今回はなにも話す気はないぞ?」

文「あややっ!!どうして、前回は快く受けてくれたじゃないですか!!」

信「俺は今回いいとこ無しだったからな。他のやつらに頼んでくれ。」

文「……そうですか。でも次回はちゃんとお話を聞かせていただきますからね。」

信「いいとこがあったら取材受けてやるよ。」

(あんまりゆかりんのことは口外したくないしな。……ん?んん゛!?)

 

ふと目をやった先には恐ろしいスピードで料理を平らげていく女性がいて思わず二度見してしまった。その料理の入れ換えをやっている人物は会ったことがある。

 

信「昨日ぶりだな、妖夢。その人が幽々子か?」

妖「あなたはっ!」

幽「あら、あなたが信でいいのかしら?」

信「明度 信。信って呼んでほしい。」

幽「私は西行寺 幽々子。聞いたわよ、あなたが紫の相手をしたんですって?」

信「まあ負けちゃったけどな。……あんまりゆかりんを心配させない方がいい。」

幽「……ええ。」

信「それにしてもあんた良い食べっぷりだな。どんだけ食べるんだ?」

幽「この鹿肉の料理とか美味しいんだもの。やめられないわ♪」

信「気に入ってもらえたなら何よりだ。」

妖「これはあなたが作ったんですか!?」

信「藍が差し入れてくれたんだ。いやー大変だったよ。すげえ立派な鹿だったからな。」

妖「……。」

信「ん?どした?」

幽「この子ったらこの料理は誰が作ったのか気になってたみたいなのよ。『私のより美味しい』って。」

信「ほほう。」

妖「幽子様っ!大体、あなたが急にいなくなったせいであのメイドにすごいおちょくられたんですよ!!」

信&咲「「斬れぬものなど、あんまり無い!」」

幽「似てるわ~。」

妖「似てませんよっ!!ってあなたまでっ!」

信「グッドタイミングだ咲夜。」

咲「それほどでも。」

なにかを成し遂げたようなハイタッチを交わした。

妖「斬りますっ!」

咲「無理よ。彼、私の5倍は強いのよ?」

妖「そんなことは自分で確かめます!師匠が教えてくれました。真実は斬って知るものだと。」

信「絶対お前意味履き違えてるだろ!」

妖「問答無用っ!」

 

 

キィイイイン

 

 

藍「もう少し自制心を磨くべきではないか?」

 

振り下ろされた剣撃を受け止めたのは突然現れた藍だった。その方には橙も一緒にいる。

 

信「よう、藍。」

妖「しかしっ!!」

幽「妖夢、藍の言うとおりよ。もう少し落ち着きなさい。」

妖「……みょん。」

信「約束の件はどうだった?」

藍「やはり駄目だった。布団から出てきてくれないんだ。」

橙「どうしてもいきたくないって。」

信「……そうか。ま、多分来てるけどな。」

藍「どういうことだ?」

信「こういうことさっ!」

妖「っ!それは紫様のっ!」

 

突然信はスキマを開いてそのなかに入っていった。

 

「や……り…た。」

「なっ、………てわか………。」

妖「なかで一体何が……。」

 

なにやら言い争っているように聞こえる。

そして信がある人物の手をひいて出てきた。

 

信「スキマの中でずっと覗いてたみたいだぞ。」

藍「紫様っ!」

紫「………。」

信「ま、これでやっと全員集合な訳だ。それじゃっ、もっと盛り上がっていくぞおおっ!!」

一同「おおおおっ!!!」

信「プリズムリバー3姉妹、よろしくっ!!」

リ「待ってました!」

メ「いよいよね、姉さん。」

ル「うん。いくよ、2人とも。」」

 

それからはもうどんちゃん騒ぎ。

宴会が好きな幻想郷の住民はただでさえ大騒ぎなのに、3姉妹の演奏によってより盛り上がった。

 

紫「・・・・・。」

 

周りが馬鹿騒ぎしているなかで、八雲紫は1人静かに飲んでいた。

 

幽「紫がこういうのに来たくないっていうのも珍しい話よね。……何かあったの?」

紫「別になにもないわよ。」

幽「ふ~ん。……今回は大分迷惑をかけたみたいね。」

紫「藍から聞いたの?」

幽「ええ。……ごめんなさいね。」

紫「気にすることじゃないわよ。私は自分の意思で幽々子に協力するって決めたんだから。」

幽「ありがとう。……それで?紫は信のことをどう思ってるの?」

紫「ブフッ!!い、いきなり何をっ!」

幽「あら~?やっぱりそうなのね~(ニヤニヤ)。」

紫「そんなわけないでしょう!どうして私が人間の信をs「俺がどうかしたか?」ひゃうっ!」

 

必死で弁解する紫の背後に信が現れた。能力で飛んできたのだろう。

 

紫「な、なっなんでもないわよっ!」

信「なんでそんなに必死なんだ?……楽しんでるか?」

紫「まあ、ぼちぼちね。」

信「やっぱりどっか悪いのか?前の宴会の時と全然テンションが違うじゃないか。」

紫「私にだってそういうときくらいあるわよ。」

 

心配する信に紫は顔を向けようとしない。むしろ信が合わせようとするとそれにあわせて逸らしている。

 

信「なにもないならいいけど……。」

魔「おーい。信もこっちに来るんだぜー!!」

信「おう!……無理矢理連れてきておいてなんだけど、あんまり無理するなよ?昨日も色々あったんだから。」

紫「ええ。」

 

紫を心配しながらも信は魔理沙達の元へと行った。

 

紫「はぁあああああ。」

 

そして信が離れると同時に溜め込んでいたものを吐き出すように深く息をついた。

 

(目を会わせるどころか顔も見れないっ!!これじゃあ本当に私が信のことを………はっ!)

 

幽「ニヤニヤ」

紫「………。」

幽「ニヤニヤ」

紫「………。」

幽「ニヤニヤ」

紫「分かったわよっ!!」

幽「私はなにも言ってないわよ~♪」

紫「あの顔をしてよくもそんなことを……。」

幽「フフッ♪それで、何が分かったのかしら?」

紫「言わせるの?」

幽「ちゃんと言ってくれないと私わかんな~い。」

紫「………私は/////」

幽「え!?」

紫「私はっ/////!!」

 

幽々子に話すことで少しは胸の高鳴りがマシになると思った。幽々子はまさかここまで顔を真っ赤にして必死になると思っていなかったので逆に驚いている。そして、紫は顔を真っ赤にしながら言いはなった。

 

紫「私はかれg「信さああああああんっ!!」!?」

 

まあ、そんなこと本人の聞いてないところでさせるわけないのだが。

 

 

side change

 

 

信『ゆかりん、大丈夫かな?』

フェ『大丈夫って言うか…ねえ?』

ディ『本当に彼は分かっていないのですか?』

鬼『残念ながら分かってない。』

旦『そんなはずないだろう。』

ノ『ここまで来ると疑いたくなる気持ちも分かるけどねぇ~。』

信『分かるとか分かんないとかなに言ってんだ?』

フェ『なんでもないよ。』

 

不思議に思う信だったが、なにも分からないと悟り、考えるのをやめた。

 

魔「さあ、信!お前も飲むんだぜっ!!」

 

そして魔理沙達がいたところまで来た。そこには魔理沙の他に、霊夢、アリス、咲夜、レミリア、美鈴、そして妖夢がいた。

 

信「飲まないよ。」

魔「なんでだぜっ!!前回は飲んでたじゃないか!!」

信「あれは特例だよ。あくまで俺は未成年の外来人。そうポンポン規則を破ってちゃ弟達に示しがつかない。」

霊「諦めなさい魔理沙。」

ア「よっぽどじゃない限り信が決めたことを破らないことはわかってるでしょ?」

咲「意見の押し付けは嫌われる道の第一歩よ?」

レ「女たるもの、落ち着きがなくてわね。」

魔「くうううっ!」

妖「祝いの場で酒が飲めないとは……。やはり斬りますっ!」

美「二人とも落ち着いてください!」

信「『斬れぬものなど、あんまり無い!』」

妖「斬りますっ !!」

「信さあああああああん!」

 

今まさに信に斬りかかろうとしたところで声が聞こえた。

その声の主はなにかを抱き抱えるようにして信達のもとへと向かってくる。

 

信「ケンッ!来れたのか。」

ケ「はいっ!お母さんが信さんに挨拶してきなさいって。」

信「そうか。……もしかしてその子って」

 

ケンの腕には白い布でくるまれた小さな赤ん坊がいた。産まれてから半年もたっていないだろう。

 

ケ「僕の妹です。」

信「無事に産まれたみたいだな。」

ケ「はいっ!あの、この子を抱っこしてあげてくれませんか?」

信「俺にか?」

ケ「ええ。お母さんが信さんに抱っこしてもらったら縁起がいいからって。」

信「縁起がいいって…。俺ってなんかしたか?」

ケ「ギンさんの一味ですよ。約50の妖怪を従え、更にその妖怪には人里の手伝いをやらせてる。おかげで里は良くなったて皆感謝してますよ。」

信「………ん?俺が?」

ジ「悪いけど勝手に名前を使わせてもらった。」

ケ「稽古中に里の人に見つかりまして……。とっさに信さんの名前を出したら信じてもらえました。」

信「そんで安全な妖怪には村を守ってもらおうと。」

ジ「そのお陰で俺たちも飢えずにすんでるわけだ。給料がわりに食い物をもらってるからな。」

信「ちゃっかりしてるな。でもまあいい感じに収まってくれて嬉しいよ。」

ケ「では信さん。お願いします。」

信「ああ、喜んで。」

 

ケンから赤ん坊を受け取り優しく抱き抱える。その巨体もあって赤ん坊はより小さく見えた。

 

信「よしよし。元気に育つんでちゅよ~。」

霊「し、信っ!?」

信「赤ちゃん言葉ってのは結構馬鹿にできないんだぞ。使うか使わないかで赤ちゃんが言葉を話せるようになる速さが違う。」

ケ「そうなんですか。」

信「ああ。」

「キャハッ アー」

信「おっ、笑った。」

美「わ、私にも見せてほしいんだぜっ!」

ア「私にもっ!」

 

そういった感じでその場のみんなは赤ん坊を囲むように位置した。

 

美「可愛いですね~。」

レ「フランも昔はこうだったわね。懐かしいわ。」

妖「すごい。」

信「そういえばこの子の名前は何て言うんだ?」

ケ「サヤって言います。僕がつけたんですよ。」

信「サヤちゃんか。よしよ~し。」

咲「ねえ、ケン。私も抱いてみてもいいかしら?」

ケ「是非お願いします!色んな人に触れあってほしいですし。」

咲「ありがとう。信、いいかしら?」

信「ああ。首がまだ座ってないから気を…」

 

咲夜にサヤを預けようとしていた手が止まる。何かに気づいたかのように。

 

咲「信?」

信「すまん咲夜。やっぱりもうちょっと待ってくれるか?」

咲「え?あっ!」

 

咲夜の答えも聞かないまま信はその場から消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「きゃっ!」

信「なるほど。」

 

信が移動した先は紫のもと。さっきは紫の視線に気付いていたのである。

 

紫「はわ、あわわわわ。」

信「今日は調子が悪いんだと思ってたんだがそういうことか。」

(ばっ、バレたっ!?)

信「ゆかりんも抱っこしてみたいんだろ?」

紫「へっ?」

信「サヤちゃんが産まれるのは知ってたみたいだし、俺を通してできると思ってたのか。なのに肝心のケンとサヤがいないから心配してたと。」

幽「紫がそんなこと「ええ、そうよ!」」

 

幽々子の弁解を遮るように紫は答えた。少々必死すぎるようにもにも感じられるが。

 

紫「一度気になったら目が話せなくてね。」

信「やっぱりそうか。それじゃあ、ほら。」

紫「え、ええ。」

 

信からサヤを預り抱き抱えようとする。どうして自分がこんなことをしなければとも思っていたが今は仕方ないと割りきった。

 

ガクンッ!

 

紫「へっ?」

 

余計なことを考えていると腕に違和感を感じた。赤ん坊の重さが急に片寄ったような……

 

信「まだ首が座ってないから気を付けろよ。」

紫「遅いわよっ!」

「オギャアッ!ア゛ア゛!!!」

紫「ああっ!よしよし。」

「オギャアッ!ア゛ア゛!!!!!」

紫「幽々子、どうしたら…」

幽「知らないわよ。」

「オギャアッ!ア゛ア゛!!!!!!!」

信「ははっ!ゆかりんもそんなに焦ったりするんだな。」

紫「どうしたらいいのよっ!」

信「体にサヤをピッタリ引き寄せればいいさ。心臓の音が聞こえるようにな。」

紫「こ、こうかしら?」

「ア゛ア゛!!!アァ? キャハッ」

 

信に言われたままぎこちない手つきでやってみるとすぐに泣き止んだ。すると今度は笑って紫に手を伸ばしてきた。

 

信「指だしてみな。」

紫「え、ええ。」

 

伸ばされた手に指をだすとそのまま握られた。幼く弱い力だったが紫には力強く感じられた。

 

紫「フフッ♪」

信「可愛いもんだろ?」

紫「ええ、そうね。」

 

もうこのときには紫のなかに『仕方ない』という気持ちは無くなっていた。愛らしく、思わずほほが緩む。何とも言えない幸福感に満たされていた。

 

信「そろそろ戻んないと。いいか?」

紫「ええ。」

 

紫が信にサヤを預けるとそのまま信は消えた。咲夜達の元へと戻ったのが目にはいる。

 

幽「それにしても紫があんなに焦るなんてね~。」

紫「ねえ、幽々子。私、信が好き。」

幽「!?」

紫「あなたのその顔も滑稽ね。見せてあげたいわ。」

幽「むう。それにしても急に吹っ切れたわね。」

紫「隠すのも馬鹿らしくなってしまってね。それにこの気持ちがなんだか誇らしく思えるの。どうしてかしら。」

 

信がいる方向に顔を向けながらそう話す。その横顔はとても美しかった。

 

幽「応援するわ。」

紫「ありがとう。」

 

異変の首謀者である二人は、初めてその宴の場で酒を酌み交わした。




これにて春雪異変は終了です。
少しネタバレをしますと、今回を除いて信が負ける予定はないです。
信に唯一勝てたのが八雲 紫である。という事実で初登場時のあれを払拭したかったんですよね。
次回はあの人たちの事情が明らかに。
では、次回もゆっくりお願いします。





































タイトルで某動画を連想した人出てきなさい。
さまりと先生怒んないから。

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