信「よし、役割を確認するぞ。まずは静と愛。お前たちは餅の運搬と準備。」
愛「りょーかい!」 静「了解しました。。」
信「次は真と恭助。ひたすらに餅をつけ!」
真「OK」 恭助「承知。」
信「で、俺は餅をかえす。それでは各員持ち場につけ!」
真&愛&恭助「「「イエッサー!」」」 静「はい。」
久々の餅つきでテンションが変になっている。だがこれくらいで丁度いい。
信「真、恭助、俺のことは気にしなくていいからな?」
真&恭助「「もちろん!」」
愛「もってきたよー。」
愛と静が蒸し上がったもち米を2つの臼にそれぞれいれた。
それらをまずある程度杵でこねて準備が終わる。
信「よし。始めるぞ。」
真「ぜあああああああああああああっ!!」
恭助「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」
信「ふんっふんっふんっふんっふんっふんっ!!」
明渡家の餅つきはとても単純。
1、餅を突く人は全力でつく。
2、それに合わせて餅を返す。
3、出来上がるタイミングで新しいもち米を持ってきて交換する。
4、これを繰り返す。
ちなみに餅を返す作業ができるのは信と父親だけである。
信「愛っ!静っ!次だっ!」
愛「はいよっと。」 静「よいしょっと。」
少しこねる。
真「ぜあああああああああああああっ!!」
恭助「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」
信「ふんっふんっふんっふんっふんっふんっ!!」
~~~1時間後~~~
信「一回目はこれで終わりだな。」
真&恭助「「はあ、はあ。」」
真も恭助も肩で息をしている。4キロ弱のものを1時間も全力で振り続けたらそりゃあ疲れる。
愛「おつかれ~。」
静「お茶持ってきました。」
真「すまん。」 恭助「助かる。」
静が持ってきた麦茶を2人は一瞬で飲み干す。
恭助「ぷはーっ。」 真「たまらん。」
静「お兄さんもどうぞ。」
信「ありがとう。ごきゅっごきゅっ、あ゛ああ。うまい。」
例年に比べて涼しいとはいえ今は真夏だ。そんな日に餅をついていたらどうなるかは用意に想像できるだろう。
信「次は5時半から始めるからな。」
そういいながら準備しておいたたわしで臼と杵を軽く洗い始める。
愛「信にいってさ、よくもち返せるよね。熱くないの?」
信「滅茶苦茶熱い。でもだんだん慣れるからあんまり苦ではないな。……やってみるか?」
愛「まあそのうちね」
静「全力の2人に合わせて餅を返すなんて怖くないんですか?」
信「まあ怖くなくはないけど、あいつらは絶対同じリズムでやってくれるからな。それがわかってるから平気だよ」
付着していた餅を洗い流し杵と臼を放置する。
信「それより付け合わせとか準備しなきゃな。俺はみたらし作るぞ。真、恭助、お前らはちょっと休んでろ。」
真「そうさせてもらうよ。」
愛「じゃあ私はゴマ用意するね。」
静「私はきな粉準備しますね。」
真と恭助を休ませて食べるための準備を始める。ついた餅はクーラーで涼しくした部屋においてある。
信「じゃあ第2段、始めるぞ。」
一同「「「「おーっ!」」」」
~~~約1時間後~~~
真「ぜあああああああああああああっ!!」
恭助「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」
信「ふんっふんっふんっふんっふんっふんっ!!」
始めてから約1時間、もうすぐ最後の餅もつき終わる。
真「はあ、はあ。」 恭助「ぜえ、ぜえ。」
(2人とも限界が近いな。)
休憩を挟んだとはいえこの重労働を疲れを感じずに行うのはさすがに無理がある。
その時
(しまった!)
限界が近くなった恭助が本来より早く杵を振り下ろしてしまった。このままいくと信の手もペっちゃんこだ。
恭助「信にいっ!」
すかさず手を引っ込めようとするが思考に体が追い付かない。
(このままだと入院だな。今まで通り...ならな。)
瞬間的に霊力を体に流す。
(だが!今の俺に不可能はないっ!!)
勢いをそのままにコンマ数秒の早さで餅を返す。返された餅はスパンッといい音をたてつかれる。
信「恭助っ、リズムを整えろ。」
恭助「っ!はいっ!」
信「真っ、気張れよ?もうすぐ完成だ!」
真「了解っ!」
信「さあ、ラストスパートだ。」
真「ぜあああああああああああああっ!!」
恭助「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」
信「はあああああああああああああっ!!」
そして大量にあった餅がついにすべてつき終わった。
真「終わったー。もうだめだ。腕上がんない。」
恭助「腕が...。」
倒れ込んだ2人の腕は他から見ても人目でわかるくらいぷるぷる震えていた。
信「みんなおつかれ。」
愛「ふぅー。終わったー。」
静「さすがに堪えますね。」
真と恭助だけではない。愛と静も相当の重量の餅をもって動き続けていたんだ。相当の疲れがたまっているはすだ。だが、
愛「やっとお餅食べれる。」
真「腹減った~。2キロぐらい食べてやる。」
恭助「何から食べようか...。」
静「早く食べたいです。」
もうすでに餅のことを考えている。
信「よしっ、じゃあ全員集まったら一緒に食おう。」
早速食べることにした。
信「全員集まったな。」
居間には兄弟全員がテーブルを囲んでいる。そしてその真ん中には大量の餅。
信「今日は真の勘違いで餅を食べることになりました。」
真「てへっ✨」
信「その上大量に作ったからな。好きなだけ食べよう。それではっ」
一同「「「いただきますっ!」」」
風人「わーいもちだー。」
華「おいしそー。」
海「陸、きな粉取って。」
空「私にも。」
陸「はいよ。」
強太「信にい、次大根おろしちょうだい。」
高太「餡子どこ?」
深太「はい餡子。」
広美「私にも頂戴。」
トモ&モモ「「ニャーン。」」
信「ん?お前たちも食うか?」
トモとモモも餅は大好きだ。
そしてやはり、みんな各々の好きな食べ方がある。だから必然と起こることがある。
真「やっぱり餅は海苔に醤油だな。」
愛「餅といったら餡子でしょ。ね?静ちゃん。」
静「私はみたらしですね。」
恭助「やっぱりおろしポン酢だろ。」
静「みたらし。」
恭助「おろしポン酢。」
静「みたらし。」
恭助「おろしポン酢。」
・・・・・・・・・・・・
恭助「やるか?」
静「覚悟はいい?」
真「ストップストップ。」
愛「落ち着いて。」
恭助「だって静がおろしポン酢よりみたらしがいいって。」
静「餅との付き合いが餡子やきな粉と同じくらい長いみたらしに何の不満があるの?」
恭助「なにおう!?」
静「なによ?」
仲のいい二人だがたまによくわからないことで喧嘩が始まる。
信「こういうときは多数決だ。どっちが多いかで決めればいいだろ。」
恭助「望むところ。」
静「同じ。」
信「決まりだな。じゃあまずは風人と華。2人はどっちが好きだ?」
風人「あんこっ!」 華「きなこっ!」
早速2択じゃなくなった。
恭助「そうじゃなくてだな。みたらしとおろしポン酢のどっちが好きかって...。」
風人「あんこっ!」 華「きなこっ!」
恭助「うぅ。」
静「どうする?」
信「いいじゃないか。全員自分の一番好きな食べ方を言って多い方の勝ちで。」
強太「じゃあ次俺。俺は海苔醤油。」
真「右に同じ。」
愛「私は風人とおんなじで餡子だね。」
広美「私はゴマだな~。」
深太「きな粉かな。」
高太「おろしポン酢。」
恭助「よしっ、まず1人。」
空「みたらしに1票。」
海「次いでもう1票。」
静「フフン♪」
恭助「ぐぬぬ...。」
陸「おろしポン酢かな~。」
静「なっ!」
恭助「同点か。」
静「まだよ。まだ1人いるわ。」
全員の視線がある人物に集まる。
静「お兄さん。何が好きですか?」
恭助「もちろんおろしポン酢だよな!」
静「みたらしですよね!」
真「いや海苔醤油だろ。」
愛「餡子だよねー。」
風人「ねー。」
深太「きな粉も美味しいよ。」
広美「ゴマもだよ。」
信「んー...。俺は...」
緊張感が走る。そして信が出した答えは...
信「俺は、納豆がいいな。」
ちなみに餅は50キロついてます。