東方家族録   作:さまりと

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おはこんばんにちは。さまりとです。
少し間が開いてしまいました。ごめんなさい。
では、ゆっくりどうぞ。


第20話【結果】

 

 

ピンポーン

 

「来たかな?」

 

戻ったあと昼飯を食べ、警察の人にする言い訳を考えていたら1時ぴったりにインターホンがなった。四つ子と三つ子が遊びに行き、恭助は部活で静は図書館に行っているため今家にいるのは信と真と愛だけとなっている。

 

「俺がいくよ。玄関でいきなり会うのはちょっと気まずいでしょ?」

「頼むよ。」

 

真が気を使ってくれたようで玄関に向かった。

足音がだんだんと近くなってくる。そしてその足音を発していた人物が表れた。

 

「今までどこにいってたんだ?信。」

春人(はると)伯父さん!」

「電話がきたときはビックリしたぞ。お前がいきなり失踪したってすげえ声色で真達が言うもんだから。」

『この人は誰だ?』

『明渡 春人。俺のお父さんの弟だよ。よく子供をつれて遊びに来るんだ』

「ご迷惑お掛けしました」

「まぁ、お前のことだから何かしらあったんだろ。そういえば兄貴も昔、1週間くらい失踪したことがあったんだよ。やっぱり親子だなぁ」

「父さんも?」

「おっと、この話はあんまり口外するなって言われてたんだった。今聞いたのは忘れてくれ。...そろそろ俺も仕事しないといけないからな。この1週間何があったか詳しく説明してほしい。」

「...これから話すのは本当の事なんだ。疑わないで聞いてほしい」

 

今まで起きたことを東方関連のことを除いて話した。

 

「...つまり異世界に行って、そこのお偉いさんに妨害されて1週間もいなくなってたと」

「そういうことなんだよ」

「マジか……。羨ましいなおい」

「信じてくれるの?」

「信じるさ、俺はな。俺に嘘が通じないこと知ってるだろ?……だけどこっちの上司になんと報告したものか...」

「それなら山籠りで修行してたことにするといいよ。この山は結構広いし、基本誰も入ってこない。1週間くらいなら見つからなくても不自然はないと思う。」

「ん~、とりあえずそれで報告しておこう。一応口裏は合わせておいてくれ。多分通ると思うけど。」

「よろしくおねがいします。あと異世界にいったっていうのは内緒で。」

「わかってるさ。今度失踪するときは事前に報告しろよ。」

「善処します。」

 

気持ちを楽にさせるためか軽い冗談をいって春人は署へ帰っていった。

 

「信にい。どうしても幻想郷のことを話さなかったの?」

「念のためさ。東方は相当広い範囲で知られているからな。悪気もなくどこかから情報がもれたら色々面倒だと思ったんだよ。」

「なるほど。」

「で、お前ら来るのが春人伯父さんって知ってただろ。」

「なんのことかなぁ~♪」

 

愛が面白そうにいっている。

 

「はあ、無駄に緊張した。フランたちと遊ぶ約束してるからいってくるよ」

「そういえば信にい、夏期講習とかはいかないの?」

「期末テストでの上位5名はでなくてもいいんだよ」

「ちなみに何位だったの?」

「1位」

「さすが」

「じゃあ行ってくるよ。多分5時くらいには帰ってくるから。」

「「いってらっしゃい。」」

 

能力で大妖精のところに移動する。

 

「わあっ!し、信さんっ!」

「よう、大ちゃん。今なにy「しーー。」」

 

悲鳴をあげた大妖精だったがはあわてて人差し指を口に当てて静かにするように示した。

 

「大ちゃんと信見つけたのかー!」

「かくれんぼか、ごめんな大ちゃん。」

「いえ、多分見つかってたと思いますし...」

「大ちゃんたちで最後なのかー。」

「終わり時みたいですし。」

 

ルーミアに見つかりみんなが待っていると言うところに向かった。

 

「そういえばチルノに変わった様子はないか?」

「はい。今はなにも問題は無さそうです。」

「それはよかった。」

「「おにいちゃんっ!」」「お兄さまっ!」「信っ!」

 

先に見つかってたやつらがいる場所についた。

 

「よう。用事終わったから遊びに来たぞ。」

「次はなにしようか。」

「ケードロやろう。」

「遅れてきた信が鬼ね。」

「いいだろう、すぐに全員捕まえてやる。」

「「逃げろーっ!」」

「わはー♪」

 

風人も華もみんなと仲良くなれてるようで何よりだ。

 

「28...29...30。よしっ、いくか。」

 

それから帰る時間までとにかく遊んだ。ここ最近楽しいことばかりだ。

 

 

 

「そろそろ帰んないとな。」

 

ひとしきり遊び時刻はすでに夕方の5時。夕飯の準備に大体2時間前後かかるのでそろそろ帰らなければいけない。

 

「もう帰っちゃうの?」

「さすがにいつまでも遊んでるわけにはいかないしな。」

「また明日みんなで遊びましょう。」

「あぁ。風人、華、帰るぞ。」

「「はーい。」」

「しばらく2人はこっちに通わせようと思ってるんだ。遅くなったが、みんな仲良くしてほしい。」

「もちろんですよ。」

「これからもよろしくね。」

「なのかー。」

「「うんっ!」」

「じゃあなみんな。また明日寺子屋で。」

「「バイバイっ!」」

 

信たちは玄関にいるコトの所へ移動した。

 

「「「ただいまー。」」」

真「おかえり。もうご飯の準備始めてるよ。」

信「悪いな。なんか手伝うか?」

愛「じゃあ信にいは洗い物やっといてちょうだい。」

信「了解。」

 

3人で夕飯の準備を始めた。学校のない日は7時に食べ始める。ゆっくり準備すれば丁度良さそうだ。

 

 

 

信「洗い物おわったぞー。」

 

あとは食べ終わった後のものしかない。

 

(でもなんか忘れてるような...。)

風人「お兄ちゃん。」

風人がズボンの裾を引っ張ってきた。

信「ん?どうした?」

風人「弁当箱。」

信「あぁ、それか。」

 

確かに昼に風人たちに渡した弁当箱はまだ洗っていない。

 

信「どこに置いてたか覚えてるか?」

風人「寺子屋にある切り株においてきた。」

 

寺子屋の周辺は少し林が切り開かれていて、いくつかの切り株がそのままにされてあった。

 

信「わかったわ。ちょっと向こうに取りに行ってくるから真たちにいっておいてくれ。」

(こんな時間だと慧音はもう家にいるだろうし...。チルノのところにいくか。)

 

一番近くにいるのがチルノだと予測しすぐに能力を使う。

 

「ん?」

 

移動した先では目の前に寺子屋がある。本当に近くにいてくれたようだ。

 

「いきなりごめんなチルノ。華たちの弁当箱知ら...な..いか?」

「あ……信。やっぱり……戻ってきたね。」

「チルノっ!!」

 

そこには明らかに顔色の悪いチルノがいた。華と風人の弁当箱をもって切り株に寝そべっている。

 

「おいっ大丈夫かっ!」

「なんかね、昨日くらいから体が暑くて寒くて……重くて…足もなんか…ふわふわするの。頭もぼーっとして。」

「妖精って風邪ひくのか?」

「カゼじゃないよ。妖精はカゼひかない。」

 

チルノの額にてをのせる。触れると一度は凍傷を起こしそうになったのが嘘のように熱い。

 

(ならなんだ。妖精は風邪をひかない。ならなんでこんなに熱いんだ。)

 

信は頭を回転させる。妖精が体調を崩さないことは大妖精から聞いていた。ならどうしてチルノがこんなに苦しそうなのか。最近なにか本当なら起こらないはずのことが起こったからだ。

ここまでの情報の中で導き出された答えはただひとつ。

 

「俺の...せいか。」

 

そしてそれは約1週間前に信がやったことにあてはまる。

 

「だったら...。」

 

チルノに使っていた能力を解除する。本当にこれでいいのか。そう思いながらチルノが回復するのを願うしかなかった。

 

「信...。」

 

祈りながら。願いながらただひたすらに待つしかなかった。

そして、チルノの顔から苦しさが消えた。

 

「チルノっ!大丈夫か。まだぼーっとするか?」

「なんか体が軽くなったみたい。暑くもないし寒くもない。」

「そうか、よかった...。」

「信、なにしたの?」

「お前には説明しなきゃいけないな。お前がさっきみたいになってたのは、俺が前にお前の体質を変えたからなんだ。...すまなかった。」

「どうして謝るの?」

「お前が辛くなった理由は俺の軽はずみな行動のせいなんだ。さっきみたいなことはちゃんと考えていればわかったことだ。」

「でもあたいは楽しかったよ。」

「っ!!」

「冷気を抑えてもらってからすごい楽しかったんだよ。みんなに触れられて、みんなに近寄れて。だから信は謝らなくてもいいんだよ。」

「...。体はもう平気なのか?」

「もう平気っ!だってあたいは最強なんだよっ!」

「敵わないな。だけど冷気はもう俺の能力ではおさえない方がいい。それはわかってるのか?」

「...うん。」

「...そうか。次はちゃんとした方法を考えてくる。」

「あたいにできることがあったら言ってね。あたいの体の問題なんだから。」

「わかった。」

「じゃあ、あたいもう行くね。大ちゃんも心配してるだろうから。」

「気を付けて帰れよ。」

 

チルノはいつもの調子に戻って去っていった。ただ、振り向く瞬間、一瞬だけ寂しそうな表情をして。

 

「...早く帰らないとな。」

 

静かに呟いた信は、風人と華の弁当箱を持って家に帰った。




最強の人はいても、完璧な人はいません。誰だって失敗します、人間なんだもの。

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