東方家族録   作:さまりと

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おはこんばんにちは。さまりとです。
これから戦闘の回が続きます。信くんのスペカもどんどん増えていきます。
それでは、ゆっくりどうぞ


第10話 【紅魔館】

 

 

「なんだ……あれ?もしかしてあれがここにでる霧か?」

「いえ、あんなの初めてみました。」

 

 背後に突如現れた紅い霧は不気味な雰囲気を漂わせている。とりあえずで確認した事もあっさり否定されてしまった。なれば、残った可能性はただ一つ。

 

「『異変』か」

 

 誰かによって起こされた、本来起こるはずのない事象。初めて目にしたそれは、普段感じる事のない圧があった。太陽を隠し、幻想郷をまるで夜のように暗転させる紅い霧は、人間にいい影響をもたらすとは到底思えない。

 

「にしても気味の悪いっていうか……なんか気持ち悪い霧だな」

「信さん。多分この霧妖力が混じってます」

「妖力?そんなのこんな風に撒き散らされて大丈夫なのか?」

「信さんみたいに霊力を操れたり、私達の様に妖力を持っていれば問題ないと思います。ただ……人里の皆さんには……」

「なら止めさせないとな。ちょっと行ってくる」

「アタイも行く!」

「ダメだ。危険かもしれない」

「でも……」

「大丈夫だ。俺を誰だと思ってる?」

 

 不安と怯えに表情が染まっているチルノは自分が力不足だと感じているのだろう。それでも自分を心配してくれるのだ。何より、この霧が今後変化し妖精や妖怪に影響を与えないとも限らない。ならば、止めなければならない。

 

「それより、お前達は人里の皆にこの事を伝えてくれ。出来れば最初は慧音にな。霧の広がる早さからそんなに時間はかからないで人里まで届くはずだ」

「でもっ!」

「大丈夫だって。さっさと終わらせて戻ってくる。信用できないか?」

「ううん。ちゃんと帰ってきてね」

 

 少しずるいが方法ではあるが今は時間が惜しい。後でちゃんと謝らなければ。

 

「おう!そっちも人里のこと頼んだぞ」

「うん。行こう、大ちゃん」

「信さん、気を付けて」

 

 飛び立った二人に背を向け、不安を抑え任せてくれたのその気持ちに応えるためにも、自分の頬を叩いて気合を入れ直した。

 

「よし、いくか」

 

 ただまっすぐ、異変の首謀者がいるであろう中心部に歩き出す。 

 

 

 

 

「なんだここ。前に上から見たときこんな建物あったか?」

 

 湖から森に入り、霧をたどってきてみるとまったく見覚えのない洋風の舘が森の中にあった。舘はとても立派でその周りから霧が発生しているように見える。

 

「あそこが正門か?門番っぽい人いるけど。」 

 

 周囲を回ってみると門の横にチャイナドレスの様なものを来ている女性がいた。その人に聞くのが一番手っ取り早いだろう。

 

「すいませーん」

「ん?どうしましたか?」 

「あの、この霧ってもしかしてこn!!」

 

 突然、その女性はハイキックを放った。驚きこそするが信もしっかりとそれを防ぎ、次の攻撃を警戒しながら質問の内容を変更した。

 

「どういうつもりだ?」

「すいません、ちょっとした好奇心です。貴方があまりにも隙がなかったのでちょっとたm!!」

 

 最後まで言えなかったのは信がハイキックをかましたからだ。まさかやり返してくるとは思っていなかったのか、先ほどの信以上に驚いている。

 

「これでお相子だな。じゃ、改めて聞こう。この霧ってもしかしてこの舘の人が出してる?」

「はい。この紅魔館の主、レミリア様がこの霧を出しました」

「単刀直入にお願いしよう。そのレミリアにこの霧を消すようにいってくれないか?」

 

 お互いの挨拶が終わった所でさっそく本題に入る。これで了承を得ることが出来、すぐさま霧が消えてなくなれば万事解決なのだが……

 

「それは無理ですね」

「どうして?」

「この霧はレミリア様達に必要なものだからです。だから、そのお願は聞くことは出来ません」

「なら直接お願いしよう。会わせてくれ」

 

 ならば作戦その2。題した本人に交渉して止めてもらえるように言いくるめる。

 

「それもできません。中には誰もいれるなと命令されているので」

 

 悲しい。ならば作戦その3。一番荒っぽく、人里に影響が出ないよう短時間で済ませるためにはここが限界。

 

「レミリアさんに交渉するためには、あんたをここで倒さなければならなと」

「そうですね。出来ればの話ですが」 

 

 不敵に笑う。やりたがり戦闘狂が二人、敵同士で出会ってしまったらこうならざるを得ないのだ。二人とも距離をとり、戦闘体制に入る。

 

「そういえば自己紹介がまだでしたね。紅魔館の門番を任されています、紅 美鈴です」

「博麗神社の居候、明渡 信。あんたとはその内ちゃんとした試合がやりたいな」

「奇遇ですね。同じ事を考えてました。ですが、今は我が主のため、何人たりともここを通しません!」

「こっちも早く終わらせないと人里の人達があぶないんだ。負けるわけにはいかない!」

 

 タイミングを見計らい、両者同時に動き出した。

 美鈴の基本弾幕は暗い黄色をしていた。霊力や魔力とは違う特有の色。この一週間で何度か見たことがある。

 

「その弾幕……あんた妖怪か?」

 

 二人の動きは根本的には似たものだった。放った弾幕で相手の動きを制限し、隙があると判断したら肉弾戦に持ち込む。弾幕ごっことは少し違うかもしれないが二人は当たり前のように今回の勝負をこの形に持ち込んだ。

 

「えぇ。ですからさっきの蹴りも防がれるとは思ってませんでした」

「最近霊力のコントロールができるようになったもんでな」

 

 皮膚の下に流れている霊力を体のより内側に流すことで、肉体が強化されることを少し前に霊夢に習ったのだ。これで妖怪たちを相手にしてもフィジカル面で後れを取る事は無い。

 

「なら遠慮はいらないですね。『華符』〈芳華絢爛〉!」

「綺麗な技だなってうおっ!!」

 

 どうやらそのスペカは体術も一部とされているようで、タイミングよく弾幕の展開の直後、美鈴が突っ込んできた。

 

「油断とは感心しませんね」

「油断じゃなくて純粋な感心さ」

「それはどうも。ですがまだまだいきますよ」

「こっちも急がなくちゃいけないからな。悪いが終わらせてもらう。『武刃』〈秋水〉、『迷惑めいわく』〈刃やいばの舞まい〉!」

 

 ジャパニーズライトセイバーの出現と同時に桃色の手裏剣が大量に放たれる。どれがどこに向かうかは完全にランダムで美鈴に向かうものは全体の一部だ。

 

「さあ、避けきれるかな?」

「これ位なら!」

 

 美鈴は自分に向かってきた手裏剣を余裕をもって避ける。その避けられた手裏剣は門にぶつかり、二つに増え再び美鈴に襲い掛かった。

 

「え!?これってまさか」

「その通り。ぶつかる毎に倍になって跳ね返る。最終的には32倍だぞ」

「でも、飛んでいく方向によっては数が減るはず」

「俺を中心に一定のところで勝手に跳ね返ってくるぞ。その考えは少し甘い!」

 

 そしてこのスペカは迷惑なことに何にでも当たり、それはもちろん本人にもだ。秋水で方向をコントロールしながらそこら中に散らばる刃の舞を美鈴に撃ち込む。刃の舞同士もぶつかりあい増殖を繰り返す為、弾いたそれもすぐ数を増やして戻ってくる。

 美鈴の周りはガッシャンガッシャン騒がしいことになっていた。

 

「これはちょっと多すぎないですか!?」

「だから『迷惑』なんだ。ほら『怪符』〈破壊光線〉!!」

「しまっ!!」

 

 大量の手裏剣の対処に追われていた彼女に容赦なく極太レーザーをぶつける。なす術もなく飲み込まれ、ばたりとその場に倒れこんだ。

 

 




もし既存のキャラのスペカがまったく検討外れの可能性もあります。ご注意下さい。
次回もゆっくりお願いします

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