東方家族録   作:さまりと

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おはこんばんにちは。さまりとです。

では、ゆっくりどうぞ


第8話【妖精の涙】

「ンン゛。よく寝た」

 

 朝4時起床した。一時間も早く起きたのは毎日に行う朝の鍛練をするためである。本当は昨日もやりたかったのだが、流石に色々ありすぎたためゆっくり寝たのだ。

 

「いつも通りやるか」

 

 まずは柔軟。そしてランニング。そのあとは型の確認をしてイメトレと、いつもやっている朝の鍛錬。今日は一緒に行う相手がいないため少々物足りなさも感じていたが、それ以上考えると家のことを思い出してしまいそうになり彼は考えるのを中止し、朝食の準備に取り掛かった。

 

「おはよー。信」

「おはよう。霊夢」

 

 昨日と同じタイミングで家主が目を覚ます。やはり目は半開きでよたよたと顔を洗いに行った。

 

「「いただきます。」」

「今日も寺子屋に行くの?」

「寺子屋は、3日でて1日休みだからその日以外は全部いくつもりだよ」

「そう……」

「悪いな、居候なのに昼飯作ってやれなくて」

「それくらいいいわよ。信のおかげで前より全然家事は楽になったわ」

「そう言ってもらえると助かるよ」

 

 

 

「「ごちそうさまでした」」

「今日は時間あるし、俺も後片付け手伝うよ」

「そう?じゃあお願いね」

 

 二人で洗い物を始める。

 

「そういえば昨日はアリスも魔理沙も来なかったけどどうしたんだ?」

「なにも毎日来るわけじゃないわよ」

「じゃあどうして一昨日は来るってわかったんだ?」

「勘よ」

「勘?」

「そう、勘。博麗の巫女の勘はよく当たるの」

「それも『程度の能力』なのか?」

「そう考える人もいるわね。どう取るかは任せるわ」

「それでいいのか?」

「いいのよ。興味ないから」

「そーなのかー」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「それじゃあ、いってくるよ」

「行ってらっしゃい」

 

 教室にはもうすでにほとんどの生徒が入っていた。が、少し少ない。

 

「ミスティアは休みか?まぁ待つわけにもいかないし授業始めr「すみません!屋台の後片付けしてたらいつの間にか時間になってて。」」

 

 慧音が授業を始めようとしたところで、羽の子が勢いよく教室の戸をあけた。

 

「ミスティア。商売繁盛は嬉しいことだが、時間は守ってもらわないと困るぞ。」

「すいません、気を付けます。」

「昨日はそんなに儲かったの?」

「最後のお客さんが泥酔しちゃって...」

「よし。全員揃ったし、今度こそ始めるぞ」

 

 今日は比較的昨日に比べ間違いが少ない。チルノは相変わらずだが、説明してやればちゃんとできた。

 

「よしっ!今日はこれでおしまいだ。みんなお疲れ」

「終わったか。午後はどうしようか」

「信!!」

 

 チルノが勢いよく声をかけてきた。

 

「今日こそあたいが最強だってことショーメーしてあげる」

「その前に飯だな。近くにいいところないか?」

「それなら少しあるいたところにある蕎麦屋がいいですよ」

「そうか。一緒に食うか?」

「食べる!!」

「大ちゃんもどうだ?」

「え、あっはい。よろしければ」

「じゃあ案内してくれ」

 

 蕎麦を食べ終えたらもちろんあの話題になる。

 

「今度こそ、アタイが最強だってことをを教えてあげるわ」

「そう簡単に返すわけにはいかないな」

「あの……信さん」

「どうした?大ちゃん」

「今回は弾幕ごっこじゃないんです」

「?じゃあ何のことなんだ?」

 

 そう聞くと大妖精は耳元でチルノに聞こえないようにいった。

 

(チルノちゃんは単純に信さんに遊んでもらいたいんです)

(あぁ、そういうこと)

「どうしたの?まさかオジケヅイタわけじゃないでしょうね?」

「まさか。今日もお前のその最強の称号を頂戴させていただこう!」

「フンッ!今日のあたいはひと味違うわよ。そう簡単にチョウダイできると思わないで!」

 

 そんなわけでチルノタチと遊ぶことになった。

 

「されで?なにするんだ?」

「えっ!?」

 

 どうやらなにも考えていなかったようである。

 

「おーい。チルノー。大ちゃーん」

 

 声の方を見てみると寺子屋にた羽の子と触角の子がいた。

 

「ミスチー!リグル!」

「先生もいる」

「先生はよしてくれ。信って呼んでほしい。二人は……ミスティアに、リグルでよかったかな?」

「」

「改めて、よろしくな」

「信さんはどうして二人と?」

「こいつと最強の座をかけてこれから勝負するところだったんだ」

 

 そう言いチルノの頭に手を置く。

 

「ちょっ!信さん!!手!!!」

 

 大妖精がなにか慌てた様子で訴えてくる。

 

「冷たっ!」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫かだけど、なんなんだ今?」

「あたいは常に冷気を出してるから、触ってるとトーショーになるよ」

 

 どこか寂しそうにチルノが言った。普段元気にしているこいつでも、悩みの1つや2つ普通にあるのだ。つまるところこいつは、人に触れられない。人懐こい性格のこいつが、気にしないわけない。

 

「体質みたいなもんか?」

「多分そうだと思いますけど」

「そうか。ならできるかな?」

 

 ちょっといいことを思い付いた。

 

「チルノ、ちょっと失礼。」

 

 もう一度チルノの頭に手を置く。

 

「ちょっと!そんな事したらまた……」

「大丈夫だよ。ほら」

 

 不思議そうにみんなが俺の手を見た。

 

「えっ。どうして?」

「俺の能力でな。チルノに体質を『共有』させたから、もう冷気で人を傷つけることはないと思うぞ」

「ホントに!?」

 

 真っ先に食い付いたのは勿論チルノだ。長年のどうしようもない悩みが解決するかもしれないのだから当然だろう。

 

「大ちゃん……いい?」

 

 チルノがおそるおそる手を出しながら確認する。

 

「いいよ。」

 

 大妖精がその手を両手で優しく包む。

 

「本当に冷たくない。チルノちゃん、冷たくないよ!!」

「ホントに?ホントのホントのホントに?」

「うん、冷たくない。温かいよ。」

 

 そう聞き、リグルとミスティアもチルノの体に触れる。

 

「すごいよ本当に冷たくない!」

「やったねチルノ。……チルノ?」

 

 チルノはうつむいて顔を上げない。体は小刻みに震えている。その体を大妖精が優しく包容した。

 

「チルノちゃん。これからはもっと近くにいられるね」

「……うん!」

 

 優しい雫がチルノの頬を伝う。それは大妖精にも同じだった。二人は親友の様だが、どうしても互いに気を使わなければならないところがあった。それがなくなり、これからはなにも気にせず付き合えるのだ。それでも他人の為に涙を流すのはなかなかできないことだ。

 

「あれー?みんな集まって何してるのかー?」

「おぉルーミア。これからみんなで遊ぶところなんだ。一緒にどうだ?」

「遊ぶのかー!」

「よしっ!人も増えたし、遊ぶぞ!!チルノ!」

 

顔を上げ、目元を腕でごしごし擦り、

 

「うんっ!!!」

 

 満面の笑みでその妖精は答えた。

 夕日が沈みかけるその時まで、全力で遊び続ける子供たちは影を伸ばし続けた。

 

 

 




今回の内容は、信の能力を思い付いたときからやりたかった話です。
チルノに悩みがあるならこれなんじゃないか?と思い、彼女の性格や行動から相当なやんでいることだと考え、このような内容になりました。
そして次回!!ついに初異変!!








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