提督LOVEな艦娘たちの短編集   作:あーふぁ

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2.磯風『妻と宣言した磯風の日々』

 司令官としての仕事を午後5時で終え、それからは職業身分の関係なく11月最後の宴会に参加させられた。

 35歳にもなると若い奴らの食欲や元気の良さにはついていけず、年配の人相手には話をよく聞いて嫌なことでも笑わねばいけない。

 それほど食事も会話も楽しめず、胃にストレスがかかるばかり。

 さらに精神的苦痛を加速させたのは、俺が肉を食べないのと酒を飲まない主義のせいだ。偉い人から食べるのを強くすすめられると断ることなんてできなかった。

 午後11時になってようやく宴会がお開きになるも、まだ気を緩めることはできない。店を出てから悪口を言ってしまったりすると後々の評判につながるからだ。

 だから俺は皆がまとまって帰宅する流れになっても、早く一人になりたかったために執務室へ戻ることにした。執務室は半自室として改装してあるから、そこで夜を過ごすこともできる。

 冬用の黒い軍服と帽子にコートを身に付け、店から出て寒い空の下、月明かりを浴びながら歩き出す。

 向かった先はいくつもの執務室が並ぶひとけのない建物。その中に入り、1階の暗い廊下をすすむと突き当りに俺の執務室がある。

 寒さで震える手で鍵を開けて扉を開くと、暗く寒いはずの部屋は暖かく明るかった。

 扉を開けて見えるのは一面畳張りの床に執務机、それとちゃぶ台とタンス。けれど、その中で見たくないものも見つけてしまう。

 

「おかえりだ、司令」

 

 部屋の中に入って扉を閉めると、正座をした若い女の子に迎えられた。

 誰かが自分を待っている、というのは心が暖かくなって独身である俺にはぐっとくるシチュエーションだ。

 俺を待っていたのは艦娘の駆逐艦『磯風』。

 彼女のまっすぐ輝くような美しい黒髪は腰のあたりまであり、顔の横にある髪を左右それぞれを紐で結わえて肩の前へ持ってきている。

 顔立ちは中学生のようで、色白の肌はすべすべとしている。

 切れ長の目はルビーのように赤く輝いてるみたいで、心を惹かれてしまいそうだ。

 服装は白字に赤い花柄の和服な寝巻。駆逐艦娘にしては大きい胸が寝巻のおかげで強調してみえてしまい、中々に印象深い格好となっている。

 

「今日は戻ってこない可能性もあったんだがな?」

「宴会のあとに寄ることはわかっていたさ」

 

 若い外見の割りには少し低めだが澄んでいる声で言い、満足そうに微笑んだ。

 苦笑しか浮かばない俺に、磯風はすぅっと立ち上がる。

 磯風の身長は180cmの俺よりも頭ひとつぶんちょいは小さい。

 靴を脱いで部屋に上がると、常に世話を焼きたがる彼女は、ぴょんぴょんと小さい体で跳びはねながら手を伸ばして帽子とコートを強引に脱がせては丁寧に折りたたんで畳の上へ置く。

 コートと帽子がなくなって今日の仕事は終わったと感じた俺の体と心は、疲れた溜息を深くつきながら畳の上に力なく倒れた。部下である磯風の前でも気にしない。彼女と俺との関係は少し変わっている。

 秘書でもない彼女は、執務室の合鍵をよこせと強引に迫ってくるほどの性格。

 以前、上司という立場を使って脅したものの全く気にする風ではなかった。

 そんなに強気で上司も怖くないなら、すごい目的があるのかと思えば実際は違う。

 俺の世話をやりたいとのことだ。戦闘以外にも色々とできることを増やしたいそうだ。まぁ、少々熱心すぎるところもある。今だってそうだ。本当なら誰もいるはずのない部屋で磯風が待っていた。別に待っているようお願いしたわけでもない。

 世話という名目で、俺のあとを追いかけてくるという面白くもないことはすぐに飽きると思ってもう4か月。

 出会ってからまだ6か月しか経ってないがかなり気に入られてしまっている。

 本人から聞いたところ「戦艦、空母、駆逐の艦娘に対する差別や偏見を持っていないこと」が気に入られたキッカケらしい。

 

「そのまま寝てしまうとこの磯風、欲望を抑えきれなくなるぞ?」

「それはよくないな……」

 

 俺の顔を覗き込んで嬉しさを抑えている声で言われると、このまま倒れたままではいられない。

 もし磯風と『夜の営み』をしてしまったら悪い噂がたつ。小さい子に欲情する変態、ロリコンというのが。

 それに周りからの視線を痛く感じてしまうだろう。

 少し考えれば、俺に対して積極的に行動する磯風だがよくない噂が出るような真似は今まで一度もしたこともない。秘書でもないのに一日中くっつてきたり食事をいつも一緒しているのに誰からも変なことを言われていないことで証明されている。

 気合いを入れ。畳の上であぐらをかく。

 段々と落ちついてきて、腹が空いていることに気付く。宴会では食べたくないものを食べ、トイレにいってはそれらを戻していた。

 食堂はしまっているし、執務室には食べ物は置いていない。さて、どうしようと悩んでいるときだ。

 磯風が、失礼するぞ、と言ってきてはあぐらをしている俺に座って背中を預けてくる。

 自然、俺は磯風を抱きしめるかたちになってしまう。

 背中を俺の胸へすりすりと体をこすりつけてくる姿は普段なら怒ってすぐにどかすが、今はその気力さえもない。

 疲れもあるが目の前にある、寝巻から見える白いうなじと寝巻の感触にドキドキしていたせいもある。

 そうして磯風が俺の体を触ったり匂いを嗅いだりして、少しの時間がたったころだ。唐突に磯風がこちらを見上げてくる。

 

「なにかして欲しいことはあるか?」

「……腹が減ったな」

「そうか。では、この磯風に任せてくれ」

 

 元気な返事を聞き、無意識に答えてしまった事の重大さに気付いたときはもう遅かった。

 彼女は元気よく俺から立ち上がり、畳の上に置いてある俺のコートを寝巻の上から着て執務室の外に出て行く。

 けど、俺は部屋から出るのを止めるために磯風の手を掴む。

 

「面倒なことまでやらなくていいよ」

「なに、この磯風はお前の妻だからな。これくらいはやって当然だ」

 

 俺の行動を勘違いし、掴んだ手をそっとほどいては微笑んで部屋から出て行った。

 料理の腕が絶望的に低い磯風のことを思うとストレスで胸が痛い。

 たとえ、飯がまずくても食べることにしている。

 その上でマズいとしっかり感想を言っているのだが、磯風の努力する方向性はなぜかずれている。材料や食器の質ばかりがあがる一方だ。

 味が悪くてもせめて食べやすいものを、と願いながら畳の上で仰向けに倒れて待つことにする。

 そうだ、あとで妻じゃないって言わないと。いつも事あるごとに言ってくるのでそのたびに否定しないと、他の艦娘たちから近いうちに夫婦認定されてしまいかねない。

 磯風のことで頭を悩ませていると、段々気分が気持ちよくなってきて、意識が落ちていった。

 ……。

 …………ふと、眠い頭に食べ物のいい香りがやってくる。

 目を開けると、いつのまにか戻ってきた磯風に膝枕をされ優しい目で俺を見ていた。

 磯風はコートを脱いでいて、薄着の寝巻越しに感じる太ももの柔らかさはまだ寝ていたい誘惑に駆られる。

 

「司令、腹が減ったまま寝ると夜中に目が覚めてしまうぞ。ああ、食べるのが面倒なら―――」

「遠慮する」

 

 口を挟まないと食べさせてこようとするので起き上がり、ちゃぶ台に置かれている料理を見る。

 そこには大きなお椀にお茶漬けが入っていた。湯気を出し、食欲を誘う匂い。

 料理に独特な味付けをする磯風でも、お茶漬けなら変なことはやらなかったか。警戒しすぎた自分に少し反省をする。

 安心してちゃぶ台の前に座ると、反対側に磯風がちょっと不機嫌そうに正座をして座ってきた。

 

「いただきます」

 

 磯風の表情が気がかりだが、恐る恐る木のスプーンで熱々のお茶漬けを口にする。が、いたって普通の味だった。

 普通の味付けを喜ぶべきか、個性的なアレを懐かしむべきか一瞬悩んでしまう。

 黙々と食べていると、磯風が眉をしかめていた。

 

「どうした?」

「いやな、それは浦風に作ってもらったのだが、こうも熱心に食べられると複雑な気持ちになる。『磯風の味付けはとても個性的』と言われているものだから、今回は遠慮したのだが……。本当ならこの磯風が作ったものを出したかったんだ」

 

 いじけた顔でつまらなそうに言う様子がちょっとばかり可愛く見える。

 磯風は普段、俺に積極的に料理を食べさせてくるが俺が弱っているときには気を使ってくれる。

 今回もそうだ。自分の飯がマズいことを理解していて、相手を気遣うことのできる良い子だから俺も信頼している。

 合いカギを強く要求されたときも、普段は真面目で色々と助けてくれるご褒美として渡した。

 合いカギを欲しがったときの理由は「司令の世話をしたいから」だった。

 自分がやりたいことよりも、俺のことを考えて行動してくれるのはありがたい。

 

「上達するのを待っているよ」

「そ、そうか。わかった、きっと司令がうまいと言ってしまう料理を作るからな」

 

 言葉でなぐさめると磯風は興奮しながら喋ってくる。それを聞きながらお茶漬けを食べ終わった俺に強い眠気が襲ってくる。

 まだ意識が残る中、立ち上がって部屋の隅に折りたたんである布団を敷こうとする。

 

「そういうのは磯風に任せてくれ」

「大丈夫だ、もう帰っていいぞ。今日は世話になった」

 

 布団を敷く手伝いをしてこようとした磯風に、強い眠気のあまりに冷たく返事をしてしまう。

 それを聞いて落ち込んだ磯風は「わかった」と小さな声で返事をして部屋から出ていった。

 返事の失敗に気付くが、今から追いかけて謝るには頭がうまく動いていなくまた失敗をするかもしれない。明日、謝っておこう

 そして気持ちを切り替え、早く布団を敷いて寝てしまおうとするも布団を持ちあげたところで力尽きて布団に突っ伏してしまう。自然、意識は真っ暗な闇へと落ちていった。

 

 ◇

 

 顔には秋の朝らしい肌寒さを、体は布団の柔らかさと暖かさを感じる。

 温度差に震えながら、カーテン越しに窓から光が入ってきて目を覚ます。そして目にうつるのは執務室の天井。

 いつのまにか寝てしまったみたいだ。あの状態から布団を敷いて寝るだなんて。

 頭にはまだ眠気が残り、シャンプーのいい匂いがするなと思いながら寝がえりをするとすぐ目の前には磯風の可愛い寝顔があった。

 一瞬にして頭が冴えわたり、状況を確認しはじめる。

 昨日、磯風と別れたのは覚えてる。布団を敷こうとして……そこからは記憶がない。酒で強く酔っ払っていたわけではないから記憶が混乱してるわけじゃない。ただ単に眠気で倒れただけなはず。

 じゃあ、布団が敷かれているのは? 敷いた記憶は全くない。

 ああ、くそったれめ。いつのまにか服が脱がされてパジャマになっている。これらの犯人は磯風か? 

 混乱が強くなる頭が頭痛を覚え、俺は考えるのをやめた。

 今の状況を受け入れることにして心の余裕を持った俺は、磯風の寝顔を眺める。その時に寝巻がはだけて下着をつけていない胸元が見えかけていたので直す。

 まだ子供っぽい体つきとはいえ、胸を見てしまうことはちょっとだけ興奮しかけてしまった。

 深呼吸をし、落ちついた精神で改めて見たその顔はなんとも可愛らしい。

 いつも真面目でクール。笑顔もよく見せてくれるが、それは今と違う。寝顔は自然な表情で計算されていないもの。

 初めて見たせいか、妙に可愛く思えてつい頭を撫でる。黒髪を撫でるさらさらとした感触は気持ちよく、何度も繰り返してしまう。

 そのうちに心が暖かくなって優しい気持ちになる。

 

「磯風には感謝しているよ」

「そう言ってもらえるのはありがたい」

 

 小さく独り言を言うと、磯風の目がぱっちりと開いた。

 それに驚き、撫でている手を引っ込めようとしたが磯風に強く掴まれて動かすことができない。

 いい獲物を見つけたとばかりの清々しい笑みをする磯風。俺はあまりの出来事にとても恥ずかしくなって顔が真っ赤になるのを自覚する。

 混乱する頭に『舐められたままではまずい!』という考えが浮かんだので実行する。

 俺は磯風に掴まれたままの手を、逆に磯風の手を強く握って反対側の手でおでこにかかっている髪をよける。

 そうしてから目を閉じ、素早くだけれど優しくおでこへキスをした。

 

「調子に乗ったことをしているといつか俺に襲われ―――」

 

 目を開けて喋るも、磯風の顔がすごく真っ赤になってうるんでいる目を見て言葉が止まる。

 なんだか物凄くいけないことをした気持ちになる。

 やりすぎたかと後悔していると、磯風は顔が真っ赤になったまま俺の胸をポカポカと可愛らしく叩いてくる。

 

「これは今までの嫌がらせか。なんてことをしてくれたんだ。こういうのはもっとムードがあるときにやりたかった。それがなんで今……いや、おでことはいえ司令からのキスは嬉しいのだがもう少しタイミングというものをだな。くっ、こうなったらもう正式に妻になるしかないな。ああ本当に仕方ない、仕方ないな」

 

 混乱している様子から次第に自分が有利になるよう考え始めた磯風を見て、危機感を覚える。

 ちょっかいを出して、俺を追っかけすぎると痛い目になるぞと教えたつもりが、なぜか追い込まれかけている。

 顔を赤くしながらも素敵な笑顔を向けて抱きつこうとしてくる磯風の顔に手を突き出しては近づいてくるのを止め、足で体にかけられた布団を吹き飛ばして急いで起き上がる。

 

「遠慮することはない。磯風は磯風の全てを提供する用意がある。なぜなら、司令は磯風にとって生きる意味そのものだからな」

 

 磯風は布団の上で正座をし、胸を張って力強く言う。その言い方に俺はときめきを覚えてしまう。

 が、心を強く持って磯風のペースに巻き込まれないようにする。

 気を取り直し、今の状況を変えるべき行動をする。

 執務机に置いてある時計の時刻は午前7時過ぎ。8時になれば秘書である重巡洋艦の艦娘『摩耶』が来るので、それまでに磯風を追い出して軍服に着替えないといけない。それから摩耶と食堂で朝飯を食う予定だ。

 

「早く着替えて出て行ってくれ」

「磯風は捨てられるのか」

「そういうセリフは色っぽくなってから言えっての。ほれ」

 

 寂しそうに演技する声を聞き流し、部屋の隅に置いてある磯風の制服を布団の上へ放り投げる。

 

「司令」

「なんだ」

「朝起きて、好きな男の部屋で着替えるというのは恋人みたいだな」

 

 恥ずかしげに言う磯風の言葉を聞き流し、俺はちゃぶ台を横に倒して着替えるための体を隠す場所を作

る。

 俺は離れてからちゃぶ台を指さすと磯風は舌打ちをし、不満げな表情で布団の上に置かれた服を持つ。

 

「さっさと着替えろ」

「……司令がそう言うのなら仕方ない」

 

 ちょっとだけ頬を赤くして磯風は立ち上がり俺の前へ歩いてくると、止める間もなく腰ひもをほどいてすぐに寝巻を脱ぐ。そうすると全身がしっかりと見えてしまう。下着は黒のショーツしか身につけてないため、可愛い胸があらわになる。

 俺の考えが足りなかった。そういう行動に出るなんて。それに和服の寝巻姿の女性なんて今までいなかったから、脱ぐ仕草が色っぽくて頭の思考が鈍くなる。

 

「全てを提供するとは言ったが……そうじっくり見られるとさすがに恥ずかしい。この貧相な体は自信がなくてな」

「そこまで貧相ということでもないと思うが。あー……」

 

 しっかりと見てしまったことに気まずさを感じて、目をそらす。目をそらしたさききは執務室唯一の出入り口である扉。 

 そこには、開いていた扉の隙間から秘書の摩耶が口をあんぐりと開けて部屋をのぞいていた。

 今の状況は、磯風が布団の上で裸になってから着替えをしている。一方の俺はパジャマのまま。そうしたなかで俺と摩耶はお互いに目が合い、動きがとれない。

 どうしようか悩んで動けなかったが、ちゃぶ台で摩耶から姿を隠して着替えを終えた磯風が俺の隣に来て事態は動きだす。

 

「ああ、摩耶さん。司令を昨日の夜から今まで借りていたが仕事に支障はない。まだ疲れているようだが、後は摩耶さんに任せてもいいか?」

「う、うわあぁぁぁぁん! 提督のばかぁぁぁぁ!!」

 

 磯風の余裕のある声が摩耶にかけられると、摩耶は涙目になり大きな声で叫びながら廊下を全力で走っていった。

 言い訳するまもなく、深刻な事態になってしまった気がする俺はストレスで胃が痛くなってくる。

 摩耶がいなくなった扉から磯風へ振り返るとと、恨みがこもった俺の目から彼女は俺から目をそらす。

 

「どういうわけか扉が開いてしまっていたようだ。寝る前に戸締りはしっかりしたのだが、ほら、ここは色々と古いからな」 

 

 棒読みの声を聞いて思う。確信犯だ、こいつ。

 過ぎてしまったことはしかたないと、深い溜息をつく。摩耶を含め、多くの人からロリコンと言われるかもしれないと思うと気が重くなる。

 そんな落ち込んだ俺を見てか、先ほどまでの落ちついた様子はなく、無駄に手足や頭を動かしていた。

 が、それも少しの時間が経つと何かがひらめいたらしく両手で手を打った。

 俺の前へとやってきた磯風は、くるりと一回転をして美しい黒髪をなびかせながら腰に手を当て、堂々と仁王立ちのポーズを取る。

 

「磯風は司令の妻だ。だから夫である司令を守ってやろう」

「じゃあ摩耶の誤解を解いてくれ。わかったな?」

 

 妻じゃないと否定する元気もない俺は注意もせず、お願いだけを言う。俺の言葉を聞いた磯風は自信たっぷりに頷き、部屋から出ていこうとする。

 その背中を見て急に寂しさを覚え、俺はつい呼びとめてしまう。

 

「磯風」

「どうした?」

「……あー、色々と世話してくれてありがとうな」

「妻として当然」

 

 グッとガッツポーズをして、静かだが自信あふれる言葉を言って部屋から出ていく。

 磯風がいなくなった部屋は、やけに静かすぎる気がした。それほど磯風という存在は俺にとって大きいのだろう。

 普段はうっとうしいが、落ち込んでいるときは何も言わずにそばにいてくれて一緒の時間を過ごしてくれる。

 磯風にくっつかれるようになってから数えきれないほど苦労し、多くの幸せを分けられ、素敵な笑顔をもらった。心が暖かくなる感情と共にもう何度ともしれない溜息を磯風のためにつく。

 どんなに苦労しても、これからも磯風とは仲良くやっていきたいと思う。部屋に帰ったとき、誰かが自分を待っていてくれるというのは中々に素敵なことだとおもうから。

 ただ、妻にするのはまだまだ早いから、そこだけは流されないように注意しようと頭の片隅にメモしておこう。

 


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