遊戯王GX+   作:sura

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時は昨夜、拓磨が部屋を出た時に遡る。

相手は準か、あいつ変なことしなきゃいいが

拓磨の脳裏には以前みた万丈目の表情が浮かんでいた。(TURNー12参照)

「まさか、な」

流石にあいつでもそこまで馬鹿なことはしないよな・・・・・ん?

ブルー寮へ帰る途中の森でふと視線を感じ振り返るがそこには何も居なかった。

「誰だ?」

茂みが少し揺れるが人の気配はしない、一般人が見ると風で揺れた、と感じるだろう。
しかし拓磨は思った「幽鬼に似た気配、精霊の気配がする」と

『あたしに気づくなんて流石はあの方が選んだ方だねー!』

「お前・・・精霊か?」

拓磨の目の前には白い和服を着た狐耳のある少女が目の前の茂みからあの出てくる。

『うん!』

「なぁ、1つ聞きたいんだが、幽鬼うさぎって知ってるか?お前に似た精霊なんだが」

『幽鬼うさぎ?・・・あー、幽鬼うさぎ(あいつ)もやっぱりこっちに来てるんだ!』

この様子だと知り合いみたいだな

「あぁ、俺の名前は拓磨だ、お前名前は?」

『あたし?あたしの名前は灰流うらら、灰流でいいよ!』

灰流は胸を張りそういった。

「灰流か、よろしくな」

『うん!よろしくね!マスター!』

「ま、マスター!?」

『私の事はエンシェント・フェアリー様から聞いてない?』

エンシェント・フェアリーが?

「いや、何も聞いてないな」

『そっか!あたしはエンシェント・フェアリー様から拓磨様のサポートを行うように命を受けたんだ!』

「そうか、でも灰流うららなんてモンスター聞いたことがないな、データベースにもなっかった気がしたし」

『精霊界にはまだカードになってない子もいっぱ居るんだよ?』

「って事はお前もその1人、幽鬼なんかもそうってことか?」

『そゆこと!って事でハイこれ』

灰流はパンッ!と手を叩くと一冊の本と羽のペンを拓磨に差し出した。

「これは?」

『あたしとの契約書!これにサインしてくれればあたしは拓磨様の精霊になるんだよ!』

「そうか」

エンシェント・フェアリーの事だ、灰流(こいつ)には何らかの意味があるって事だよな

拓磨はそう思い本へサインをする。

「これでいいか?」

『はい!これで契約は完了ですよ!それではこれを!』

灰流は本を叩くと本は一枚のカードになり拓磨に渡した。

「これが、お前か?」

『はい!よろしくお願いしますね!マスター!』

そう言うと灰流の精霊体は消えた。

「さてと、改めて寮に帰るか......ん?」

拓磨は改めてブルー寮の方へ向かうと1人の人影が港の方へ向かうのが見えた。

「あれは....準?」

拓磨は息を忍ばせ万丈目の後を追うと、港にたどり着くと何かをばら撒いた。

何だ?あれは......ってあれジャンク・ウォリアーか!?

一瞬、チラッと見えたのはジャンク・ウォリアー、だがそれ以外のシンクロモンスターもちらほらと見える。

アイツまさか!

拓磨は咄嗟に海へ飛び込むとその音に反応してか万丈目は去っていった。

やはりコレは真二のシンクロモンスター達じゃ無いか。

拓磨は全てのカードを拾うとカードを確認し、そう確証した。

『大丈夫?マスター』

「あぁ、これを真二に返さないとエライことになるな」

ペガサスさん辺りから凄く怒られるだろうし。

「ハックション!」

うぅ、結構寒いな

拓磨は沖に上がるとイエロー寮へ向かった。

真二の部屋に入るとそこには気持ちよさそうに眠る真二がいた。

「ったく人がこんなに頑張ったのに気持ちよさそうに寝やがって」
 
『まぁ、あたしの力で真二さんには眠ってもらいましたからね、仮に目が覚めたとしても意識しかないのではっきりは見えないですよ!』
 
拓磨のデッキケースから灰流が出てきてそう言った。
 
「お前そんな力持ってたのかよ」
 
『うん!精霊だもん』

それを聞き拓磨は真二の部屋を出ていく。

「さてと部屋へ帰って服乾かすか、こんなに濡れてちゃ風邪を引きそうだ」


TURNー25 〜怒れる猿人類〜

オベリスク・ブルー寮(拓磨の部屋)

 

「って言うのが昨日起こった事実だ」

 

拓磨は部屋に来ていた藍にそう言う。

 

「あれ回想だったんだ」

 

「おいおい、お前が部屋に押しかけて来て昨日何があったか教えろって言ったんだろ?」

 

「いや〜そうなんだけどさ、なんか回想っぽく無かったから」

 

藍がそう言うと拓磨はため息を吐く。

 

「それで準の方はどうしてんだ?」

 

「男に二言はない、ここを出て行くって言って会場を出て行ったんだけど、ここに来てないの?」

 

「あぁ、顔は見せてないな」

 

アイツそう言う所は男気あるからな......って

 

「出て行くって言ったのか!?」

 

「う、うん......どうしたの?珍しく声を荒げたりして」

 

「あっ、いや何でもない」

 

「???変な拓磨〜」

 

「それで真二はもうブルーに来たのか?」

 

「いや〜それが」

 

一方その頃真二は三沢とのデュエルを終えて、イエロー寮で談笑をしていた。

 

「三沢、何でよりによってライロとデュエルしたがってたんだ?」

 

真二と三沢のデュエルは真二の圧勝に終わった

 

「すまん、そのデッキに興味が湧いてつい」

 

「あー、そう」

 

そう言えば入試の時もシンクロモンスターを見に来たっけ

 

「にしてもあれからもう半年か」

 

「あれからって入試からか?」

 

「あぁ」

 

「俺からすれば半年が濃すぎてなんか2年間くらいに感じたよ、急にテスターに選ばれたり拓磨と仲直りしたり......藍と拓磨が付き合ったり」

 

「確かにな、でも俺たちもう3年間の6分の1が終わったんだ、残されてる時間は長いようで短い、お互い悔いのないように過ごそう」

 

「そうだな!三沢も頑張れよ!」

 

「あぁ、ブルーへの一番乗りは抜かれてしまったけどな!」

 

そう言うと三沢は自分の部屋へと移動していった。

 

なんかアイツと久しぶりに喋った気がするな。

 

「さてと!俺も引越しの準備しないとな!」

 

真二は自分の部屋に戻ると、部屋の隅に収納していたこの部屋に越して来たときに使った段ボール箱を組み立てると、部屋にあった物たちを床に全て置いた。

 

「幽鬼、これ仕分けするからお前は詰め込み頼む」

 

『わっかりました!』

 

そしてそれから2時間後。

 

「よし、これで最後だな!」

 

『ふぅ!やっと終わりですか!』

 

「お疲れ様、幽鬼!今度たい焼き奢ってやるわ」

 

『ほほう!それは楽しみです!それでは!』

 

幽鬼は目を輝かせながらそう言うと消えた。

 

さてと、明日は休日だし、あとはこれを持ってくだけだな!

 

一方その頃拓磨は港に来ていた。

 

港には1人の生徒の影があった、様子を見るに朝の定期船に乗るつもりなのだろう。

 

「待てよ準」

 

「拓磨、お前に止める義理はない!これは俺自身が決めたことだ」

 

「はぁ、まあそれなら止めはしない、ただ……辞めんなよ?」

 

「当たり前だ!」

 

「それを聞いて安心したよ、まぁお前はその程度じゃないもんな」

 

「ふん、そんなの当然だ!」

 

それを聞き拓磨はニヤリと笑い港を去った。

 

アイツは絶対に戻って来る、俺はそう信じてるさ、だから準が戻って来たとき用の居場所を用意しといてやる。

 

そして翌朝

 

拓磨はPDAの着信音で目が醒める。

 

何だ真二か……って真二から!?

 

「どうしたんだ?お前からとは珍しいじゃないか」

 

「拓磨大変なんだ!万丈目が居なくて探してたら藍が!」

 

「藍がどうしたんだ?またなんかやらかしたのか?」

 

「違うんだよ!えーっと!とにかく現在位置の情報送るからバナナ持ってこっちに来てくれ!」

 

「バナナ?言ってる意味がさっきから......切りやがった」

 

『ふぁ〜、どうしたの?』

 

「なぁ灰流、バナナ持ってるか?」

 

『へ?何でバナナ?』

 

「なんか必要なんだとさ」

 

場所はえーっと森?何でこんな所にいるんだよあいつら

 

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購買でバナナ売ってて良かった、でも何でバナナなんだ?猿じゃあるまいし

 

『ここって猿出るの?』

 

「まぁ、居るとは思うが」

 

灰流と会話しながらシンジの元へ着くとそこには崖があり、その付近にある木の上に拉致されたアイとジュンコがいた。

 

アレは確か天上院の取り巻きだったか?何であそこに?

 

「ったく病み上がりの人間を呼び出して、何があったんだ?どうしてアイツらがあんな所に?ってかなんで十代たちまで居るんだよ」

 

「一緒に万丈目を探しててさ!それで例の物はあるか?」

 

「例の物……?あぁ、これか?」

 

拓磨はバナナを十代に見せると真二は勢いよく奪い取り木の方へ向ける。

 

「おーい猿!バナナだぞー!欲しくないのかー?」

 

真二は握ったバナナを振りながら崖とは反対側にある森に向かって叫ぶ。

 

『これが盾の守護者?なんかすごくバカっぽい』

 

言ってやるな聞こえてると気の毒だ

 

真二がずっと叫んで居ると森の方から1匹の機械をつけた猿が現れる。

 

「何だあいつ」

 

「今回の件の犯人だぜ?」

 

「はぁ!?猿が人攫いってド◯キーコングとかキングコ◯グじゃあないんだから!」

 

『マスター、それゴリラ』

 

「ってかあれデュエルディスクだろ?何でつけてんだよ!」

 

「良いじゃねぇか!なぁ!デュエルしようぜ!」

 

「十代、お前はお前で何言ってんだ!出来るわけないだろ!猿だぞ猿!」

 

「そいつはただの猿ではない!」

 

「あっ!お前はあの時の!」

 

聞き覚えのある声のする方を向くと1人の研究員と見られる男性とその雇い主と思われる男性が立っていた。

 

「そいつの名前は Super(スーパー)Aanimal(アニマル) Learning(ラーニング)、略して SAL(サル)だ」

 

「まんまじゃん」

 

サルの略称に思わず翔はそうツッコミを入れる。

 

「もちろんデュエルも出来るがアレはうちの研究所脱走者でね、麻酔銃を」

 

「ダメです!生徒が邪魔で打てません!」

 

その言葉を聞くと十代はより一層目を輝かせデュエルディスクを構える。

 

「それならさ、俺とデュエルしようぜ!俺が勝ったらそいつらを返してもらう!」

 

十代はそう言うとそれに承諾したかのように SALもデュエルディスクを構えた。

 

「君何を!」

 

「構わん、 予想外の結果が出るかもしれん、やらせろ」

 

「「デュエル!!」」

 

「なぁ、今あのサル喋らさなかったか?」

 

目が点になりつつも真二は驚きの表情を隠せないまま拓磨の方を向く

 

「あ、あぁ……良かった、俺の空耳じゃないのか」

 

「SALは流石に話せないから頭部につけている機械が脳波を受け取り、その脳波を言語化しているんだ」

 

と言うことは擬似的に喋っているってことか。

 

「なるほどな」

 

「どう言う事だ?拓磨」

 

「あのSALが考えてることを機械が翻訳して擬似的に喋ってるって事だよ」

 

「へぇ、ってかお前の後ろのやつ誰だ?初めて見るけど」

 

真二は拓磨の後ろにいた灰流に気づきそう言った。

 

「こいつの名前は灰流、俺の精霊だ」

 

『はじめまして!私は灰流うらら!灰流って呼んでね!』

 

灰流は目の前にピースを作りポーズを作り挨拶をする。

 

『な、何ですかこの私とキャラが丸かぶりな精霊は!』

 

「いや、被ってねぇだろ」

 

目の前に幽鬼が現れると真二はそう言いながら幽鬼を退ける。

 

「ってか十代の方は見なくて良いのか?」

 

「あっ!忘れてた」

 

拓磨に指摘され真二は十代の方を向く。

 

十代 LP 4000

手札 5枚

モンスター

E・HERO スパークマン(ATK 1600)

魔法・罠

なし

 

「私のターン、ドロー!」

 

そう機械から声を発するとSALはカードを引く。

 

すげぇ!ホントにデュエルしてる!

 

「私は怒れる類人類(バーサークゴリラ)を召喚!」

 

怒れる類人類(バーサークゴリラ)

Level 4 獣族 地

ATK 2000/DEF 2000

 

「バトル!怒れる類人類(バーサークゴリラ)でE・HERO スパークマンを攻撃!」

 

「くっ!」

 

十代

LP 4000 → 3600

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドウッキー!」

 

「「あ、猿の部分が出た」」

 

突然機械からウッキーと声が聞こえ翔と真二は同時にそう言う。

 

SAL LP 4000

手札 4枚

モンスター

怒れる類人類(バーサークゴリラ)(ATK 2000)

魔法・罠

伏せ1枚

 

「俺のターン、ドロー!」

 

十代 LP 3600

手札 5→6枚

 

「俺は魔法カード、融合を発動!手札のフェザーマンとバーストレディを融合!現れろ!マイフェイバリットカード!E・HERO フレイム・ウィングマン!」

 

<E・HERO フレイム・ウィングマン>

Level 6 戦士族 風

ATK 2100/DEF 1200

 

「バトル!フレイム・ウィングマンで怒れる類人類(バーサークゴリラ)を攻撃!フレイム・シュート!」

 

SAL

LP 4000 → 3900

 

「さらにフレイム・ウィングマンの効果発動!戦闘により破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」

 

SAL

LP 3900 → 1900

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

十代 LP 3600

手札 2枚

モンスター

E・HERO フレイム・ウィングマン(ATK 2100)

魔法・罠

伏せ1枚

 

「私のターン、ドロー!」

 

SAL LP 1900

手札 4 → 5枚

 

「私はアクロバットモンキーを召喚ウッキー!」

 

<アクロバットモンキー>

Level 3 地属性 機械族

ATK 1000/DEF 1800

 

「そしてトラップ発動!DNA改造手術!」

 

<DNA改造手術>

永続罠

 

「私は獣族を宣言するッキー!」

 

SALはそう言うとアクロバットモンキーの機械の骨格部分が外れ、中から獣のような毛が生える。

 

「そして野性解放を発動!」

 

<野性解放>

通常魔法

 

「アクロバットモンキーの守備力分攻撃力をアップする!」

 

アクロバットモンキー

ATK 1000 → 2800

 

「アクロバットモンキーでフレイム・ウィングマンを攻撃!アクロバットウッキー!」

 

十代

LP 3600 → 2900

 

「くっ!」

 

「私はこれでターンエンド!」

 

「この勝負、十代の勝ちだな」

 

唐突に拓磨はそう言い放つ。

 

「え?」

 

その言葉を聞き翔はそう言った。

 

「野性解放にはデメリットがあるんだ」

 

拓磨がそう言うとアクロバットモンキーは破壊された。

 

「野性解放の効果を受けたモンスターはエンドフェイズに破壊されるんだよ」

 

「じゃあなんであんな事を?」

 

「さぁな、猿の知能がそこまでだったのかそれとも別の理由があるか、だな」

 

拓磨にそう言われ真二は周りを見るとある光景を見つけた。

 

「あそこ!」

 

真二は指を指しながらそう言うと周りに居たみんなは真二の指差す方を見るとそこには野生の猿達がデュエルを見て居た。

 

「仲間……か?」

 

「お前、仲間の元に帰りたいのか?」

 

十代はそう言うとSAL は激しく動揺する。

 

「だってさ、研究所のお偉いさん!」

 

真二は研究所の所長に向かってそう言う。

 

「だから何だ!そいつは我々の研究材料だ、離す訳がなかろう!」

 

「なんだと!」

 

「やめろ真二」

 

掴みかかろうとした真二を拓磨は止める。

 

「離せ拓磨!」

 

「俺に考えがある」

 

拓磨は真二に耳打ちをし所長の元へ向かう。

 

「所長さん、貴方達は誰の命令でここへ?」

 

「そんなの学園長に決まっとるじゃろ」

 

(学園長か、面倒だな)

 

「そうですか、でも研究する目的とあの猿は無関係のように見えますが?」

 

「そんな事無い!我々の目的は……」

 

所長はそう言いかけ、途中でハッと気づき口を閉じる。

 

「じゃあ猿を解放してもらいましょう」

 

「断ると言ったら?」

 

「今あなた方が言った発言を世間に公開します」

 

そう言うと拓磨はデュエルディスクのボタンを押すと先ほど所長の言った猿が研究材料だと言ったセリフが流れる。

 

「もしこれを公表したらどうなるでしょうね?」

 

「くっ、分かった、おいスイッチを押せ」

 

「しかし!」

 

所長の発言に隣にいた研究員はそう言う。

 

「構わん、押せ」

 

「は、はい!」

 

研究員はボタンを押すとSALの機械が外れ、それを見ると研究員達は帰っていった。

 

(って事はそんなに大事なのか、あの人たちの目的は)

 

「良かったな!お前自由だぞ!」

 

SALはお辞儀をすると仲間の元へ帰って行く。

 

「なぁ、拓磨!万丈目知らないか?」

 

十代はふと気づき拓磨にそう聞く。

 

「あぁ、あいつならもう出て行ったぞ」

 

「「「出て行った!?」」」

 

「だがあいつは戻ってくるさ、絶対にな」

 

拓磨は驚く皆を横目にそう言った。


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