やはり俺の福引旅行はまちがっている。   作:EPIPHANEIA

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俺ガイル二次小説第7話です。

八幡と沙希が迷子の家族を探す話になります。

宜しかったら、是非閲覧のほう、お願い致します。

いつも、閲覧して下さる皆様、感想を書いて下さる皆様、お気にいり登録して下さった皆様、ありがとうございます。


第7話

~商店街の入口付近(沙希side)~

 

八幡「なあ、川崎……。」

 

沙希「……何、比企谷?」

 

八幡「お前、携帯をホテルに忘れてきたって、どういう事だよ!?そのせいで、アイツらに人探しするって言えねぇじゃねぇか!」

 

沙希「はあっ!?自分の事を棚にあげて、そんな事言ってるの!?アンタと違って、アタシは『ついうっかり』なんだよ!アンタは『確信犯で置いてきた』んだろ!?」

 

八幡「お、俺はエリートぼっちだからいいんだよ!家族との連絡は小町がやってくれるし、俺が誰かと連絡する必要なんて無いんだからな!」

 

沙希「威張って言う事か!このシスコン!」

 

八幡「うるせえ!このブラコン&シスコン!」

 

本当に呆れた……。自分に対してもコイツに対しても……。

 

アタシ達が失念していた事、それは2人とも携帯を持っていなかった事だった。アタシは本当に『ついうっかり』忘れてしまい、比企谷は『誰かと連絡取る必要がない』ということで置いてきてしまったのだ。

 

イ○ヤ「あの……ハチマン、サキ……。」

 

しかし、アタシ達の間で不安そうな顔をしておろおろしているイ○ヤを見て、アタシ達はすぐに口喧嘩をやめる。

 

八幡「あっ……!わ、悪い、イ○ヤ……。」

 

沙希「ごめんね、イ○ヤ。みっともないところ、見せちゃって……。」

 

イ○ヤ「ううん、大丈夫。それより、お兄ちゃん達が何処に行くかって思い出したの。」

 

八幡「本当か!?何処に行くって言ってた!?」

 

イ○ヤ「確か、公園に行くって言ってた気がするよ。ちょっと名前までは思い出せないんだけど……。」

 

沙希「公園……?」

 

イ○ヤが話してくれた手掛かりの言葉に、アタシはこの近辺の公園が何処なのかを思い出していた。

 

沙希「ねぇ、比企谷。」

 

比企谷「あん?どうした?川崎。」

 

沙希「ここら辺の公園って――――――」

 

アタシが比企谷にここら辺の公園の事を話そうとした時だった。

 

璃夢「あー!!いたいたー!!どうされたんですかー!?」

 

沙希「あっ、璃夢さん……。」

 

アタシ達がいつまでも合流しないので、迎えに来てたのだろうか、璃夢さんがアタシ達の所まで駆け付けてきた。

 

璃夢「ハァ……ハァ……。心配しましたよー。少し離れただけなのに、もしかしたら八幡君と沙希ちゃんが、何か事件か事故に巻き込まれたのかと思って……。」

 

八幡「す、すんません。」

 

沙希「……すみません。」

 

アタシ達の事を心から心配してくれてるのが、その言葉と泣きそうになるくらいの顔で、充分伝わってくる。だからこそ、息を切らすくらい走って、アタシ達の事を探していたのだろうなと思う。

 

璃夢「あれ?その子は……?」

 

そう思っている時に、璃夢さんがイ○ヤを見て、アタシ達に尋ねてくる。

 

沙希「あっ、この子観光客なんですけど、ここら辺で家族の人達とはぐれて迷子になっちゃったみたいなんです。アタシと比企谷がそれを聞いて、この子の家族を探そうとしてるんですけど……。」

 

璃夢「えっ!?そうなんですか!?それなら、どうして連絡を……?」

 

八幡「俺達、たまたま携帯を持ってなかったんです。その時、この子が家族が公園に向かうって言ってたのを思い出して……。あっ、璃夢さん、携帯持っていますか?」

 

璃夢「ええ、勿論です。私の携帯で連絡をするんですか?」

 

八幡「そうです。まず、奈呼さん経由で、アイツらに俺と川崎が人探しするから少し離れる事を伝えてほしいんです。ついでに、この子の写真を撮って、メールに添付してもらいたい。」

 

璃夢「はっ、はい。でも、何故この子の写真まで……?」

 

八幡「もしかしたら、この子の家族も商店街付近にいて、奈呼さんやアイツらに尋ねてくる可能性もあるからです。迷子になった場所で探しているのは、迷子探しのセオリーですから。」

 

璃夢「そういう事ですね、分かりました。でしたら、写真撮っていい?お嬢ちゃん。」

 

イ○ヤ「うん、いいよ。」

 

成程……。比企谷の言う通り、確かに家族の人達もここら辺にいる可能性は高い。だからこそ、イ○ヤの写真を奈呼さんのメールで送って、迷子で尋ねてきた人にそのメールを見せるわけだ。

 

そして、その比企谷の読みは、結果的に言えば『ある意味正解』ではあったのだ。しかし………。

 

 

 

 

 

~同時刻・商店街中心部~

 

結衣「遅いね、ヒッキーと沙希。2人とも電話にも出ないし……。」

 

いろは「本当ですね。少しお手洗い行っただけなのに、なんで私達と合流出来ないんですかね?」

 

奈呼「すみません、皆様。今、璃夢がお迎えに行ってますから。」

 

小町「奈呼さん達のせいじゃないですよ。悪いのは、ウチのゴミぃちゃんですから。」

 

雪乃「そうね。遅くなる連絡もしてこないなんて、言語道断ね。そんなに私達からいろいろ言われたいのかしら?あのマゾ谷君は。」

 

陽乃「案外、抜け駆けして2人きりでデートしてるのかもね。沙希ちゃんが誘って。」

 

めぐり「えっ!?川崎さんがですか!?」

 

留美「そんな事するような人には見えないのに……。もしそうだったら、ちょっと許せないかも……。」

 

商店街の中心部で八幡と沙希を待っている他のメンツが、それぞれ八幡と沙希が何をしているかと話しながら、待ちぼうけしていた。

 

結衣「あれ……?」

 

すると、結衣が数メートル先にいる人物達に注目する。

 

いろは「どうしました?結衣先輩。」

 

結衣「いや、あの人達、なんか凄い焦っているみたいだから、どうしたのかなって……。」

 

小町「えっ?あの人達……って、あれ……?」

 

結衣や小町達が注目したその先には、4人組の男女が焦燥しきった表情で話しあっている。彼等の会話も注目した結衣達の耳に入ってきた。

 

?「ハァ……ハァ……。アイツ、見つかったか?」

 

??「駄目ね……。何処に行ったのよ……あの白い小悪魔は……。」

 

???「この商店街辺りではぐれてしまったから、この近くにいるとは思ったんですけど……。」

 

????「申し訳ありません……。私が目を離さなければ……。」

 

?「いや、それは俺の責任だ。あんまり、自分を責めるんじゃない。」

 

??「とんだ旅行になっちゃったわね。アンタが、来月から私達全員で倫敦に住むから、思い出作りで行こうって言うから……。」

 

???「姉さん、あまり先輩を責めないでください。先輩もですよ。私達全員の責任みたいなものですから。」

 

????「兎に角、捜索を続けましょう。銀色の髪で紫のコートと帽子を身に付けた外国人の女の子なんて、そうそういませんから。」

 

?「そうだな。もしかしたら、アイツに公園に行くって言ったから、そっちに行ってるかもしれない。急ぐぞ。」

 

金色の髪の少女と亜麻色の髪の少年の言葉に、彼等は結衣達の近くを離れる。

 

陽乃「迷子探しでもしてるのかな?あの子達。」

 

めぐり「そうみたいですね。見た感じ、私達と同い年ぐらいみたいですけど、あの子達も観光客なのですかね?」

 

雪乃「話を聞く限り、そんな感じだと思います。しかも、女の子達全員、とても綺麗な子達でしたね。城廻先輩。」

 

結衣「そうだよね、ゆきのん!みんな、スッゴく可愛かった!!それに、あの男の子も何気に格好良かったよね。強いて言えば、沙希の弟の大志君っぽいけど、アタシ達の周りにいないタイプかも。」

 

いろは「あれ?結衣先輩、浮気ですか?でしたら、先輩の事は諦めるって事で♪」

 

結衣「だ、誰が諦めるんだし!?あたしはヒッキー一筋なんだから、浮気なんてあり得ないし!!…………って、あっ…………!!」

 

結衣の言葉に、結衣自身が顔を真っ赤になったり、他のメンツは呆れたり、ジト目で結衣を見たり、苦笑いしたり、ニヤニヤしたりなど、様々な反応を示していた。

 

小町「う~ん…………。」

 

そんな中、1人小町がさっきの4人組を見てから、ずっと顎に手をあてて唸っていた。

 

留美「どうしたの、小町さん?あの人達を見てから、ずっと難しい顔をして、唸っているみたいだけど……?」

 

小町「あっ、ごめんね、留美ちゃん。さっきの人達、小町どっかで見た事あるような気がするなって思って……。」

 

留美「えっ?そうなの?」

 

小町はさっきの4人組を見た刹那、何か引っ掛かるものを感じていた。

 

小町「(おにいちゃんや小町の親戚や知りあいって訳でもないけど、なんでだろう?おにいちゃんを通じて、確かに見た覚えが……?)」

 

無論、小町の親戚や知りあいという訳ではないが、明確に思い出せていないものの、八幡経由で確かに『見た』気がするのだ。

 

ピリリリ……

 

小町がそう考えている時、奈呼の携帯の着信音が鳴り響く。

 

奈呼「っ!璃夢!?皆様、お2人をお迎えに行った璃夢からです!」

 

雪乃・結衣・いろは・陽乃・めぐり・小町・留美『えっ!?』

 

奈呼が彼女達に、八幡と沙希を迎えに行った璃夢からの着信だと伝え、彼女達は奈呼の方に注目する。

 

奈呼「あっ、璃夢?八幡さんと沙希さんは……。えっ!?」

 

小町「ど、どうしたんですか!?奈呼さん!」

 

奈呼「ええ……。ええ……。分かったわ。一応、そうお伝えするから……。」ピッ

 

璃夢からの電話を切り、心底申し訳なさそうな表情で彼女達に電話の内容を報告する。

 

奈呼「あの……皆様には大変申しにくい事なのですが……。」

 

結衣「ヒッキーと沙希に何かあったんですか!?」

 

奈呼「ええ……。お2人が迷子の子供を保護されたみたいで、今からその子の家族を探しに行かれると伝えてほしいと……。お2人とも現在携帯を持っていなくて、連絡出来なかったとの事です。」

 

雪乃「えっ!?迷子の子供ですか!?」

 

奈呼「はい。因みに、今から璃夢が私達にも心当たりがあるかどうかという事で、メールでその子の写真を送ってくれます。」ピロリロリン♪

 

奈呼が説明すると同時に、メールの着信音が入る。

 

奈呼「あっ、来たみたいですね……えっ!?」

 

メールを見た奈呼が、驚いた表情を見せる。

 

めぐり「どうしたんですか?」

 

奈呼「……皆様、この子が迷子の子供です。」

 

奈呼が彼女達に自分のメールに添付されたイ○ヤの写真を見せる。

 

めぐり「えっ!?この子って……!?」

 

いろは「もしかして、さっきの人達が話してた子じゃないんですか!?」

 

結衣「そ、そうだよね!?金髪の子が話してた特徴と、一致してるし!」

 

雪乃「銀色の髪に紫のコートと帽子を身に付けた外国人の女の子……。成程、確かにそうそういないわね。」

 

陽乃「そうだね。ましてや、こんな可愛い子が目立たないなんて、あり得ないと思うよ。見つけられない方がおかしいぐらいなんじゃない?」

 

留美「うん、凄く可愛い……。八幡達、この子と一緒にいるの?奈呼さん。」

 

奈呼「そうです。あの方々、確か公園に行くって仰ってましたよね?」

 

雪乃「ええ。私達もそう聞きました。」

 

いろは「この付近の公園って、何処なんですか?」

 

奈呼「少し離れた場所に、大○公園という観光スポットがあります。さっぽろ雪まつりも開催される有名な所ですから、おそらくそこになるかと……。」

 

結衣「それだったら、ヒッキーと沙希に教えてあげましょうよ!あの男の子や女の子達も向かってるかもって!」

 

奈呼「分かりました。璃夢に連絡します。」

 

プルルル……

 

奈呼「璃夢?私達の方で、その子の家族らしき人達を見てるの。その人達は……えっ!?」

 

璃夢と電話で会話している奈呼が、再び驚きをみせる。

 

奈呼「……そう、分かったわ。その人達、おそらく大○公園に行かれた可能性が高いと思うの。皆様にもお伝えするから、少し待っててね。」

 

奈呼が気まずそうな表情で受話器から耳を離し、彼女達に報告する。

 

奈呼「……皆様、お2人はもう璃夢の所にいないとの事です。その写真の子も。」

 

雪乃・結衣・いろは・陽乃・めぐり・留美『えっ!?』

 

奈呼の報告に、彼女達は驚きを隠せない。

 

めぐり「ど、どうしてですか!?」

 

奈呼「……璃夢が電話している間、沙希さんとその子が何かを話していたら、その子が、走って何処かに行ってしまい、八幡さんと沙希さんも、その子を追ってしまったらしいのです……。」

 

いろは「えっ!?それじゃ、先輩達は……!?」

 

奈呼「はい。残念ですが、何処に向かわれたのか、手掛かりがない状態です……。」

 

結衣「そ、そんな~。せっかく、教えられそうだったのに~……。」

 

奈呼「……本当に申し訳ございません。私達が至らないばかりに、皆様の旅行が……。」

 

陽乃「謝らないでください、奈呼さん。奈呼さんと璃夢さんが悪い訳じゃないのは、分かってますから。」

 

雪乃「まずは璃夢さんと合流して、私達も大○公園に向かいましょう。もしかしたら、比企谷君達もいるかもしれませんから。」

 

陽乃「そうだね。仮に比企谷君達がいなくても、あの子達に伝えるべきだと思う。勿論、その逆のパターンもあるかもしれないけどね。」

 

こうして、彼女達は大○公園に向かう為に、まずは璃夢がいる商店街の入口付近へと向かうのであった。

 

小町「この子も何かで見たような……?なんでだろう?あの人達もこの子も、小町、確かに見た覚えが……。う~ん……。」

 

留美「こ、小町さん……。独り言が増えてるよ……。」

 

ただ1人、小町はイ○ヤの写真を見て、ますます独り言を言いながら思い悩んでいた。

 

 

 

 

~大○公園近く(沙希side)~

 

沙希「ハァ……ハァ……!まさか、こんな事になるなんて……!」

 

迂闊だった……。まさか、イ○ヤがこんな突発的な行動をするなんて……!

 

璃夢さんが電話をしている間に、アタシがイ○ヤに話してしまったのが発端だった。

 

沙希『ねぇ、イ○ヤ。』

 

イ○ヤ『何?サキ。』

 

沙希『イ○ヤのお兄ちゃん達、もしかしたら大○公園っていう所にいるかもしれないって思ったんだけど……。』

 

イ○ヤ『大○公園?何処なの!?そこ!』

 

沙希『ここら辺の近くにある観光スポットだよ。あそこの交差点を――――――』

 

イ○ヤに大○公園の場所を案内した刹那、そこに向かって走り出してしまったのだ。

 

アタシは慌てて追いかけて、比企谷も少し遅れて追いかけてきている。

 

璃夢さんが、『ちょっ、ちょっと待って~~!!八幡君~~!!沙希ちゃ~~ん!!』って泣きそうな声で叫んでいたが、今はイ○ヤの方を優先するべきだと思った。あの人には、また後で比企谷と一緒に謝らないとね……。

 

八幡「ハァ……ハァ……!おい、川崎!!」

 

後ろを走っている比企谷が、アタシに叫ぶように呼びかける。

 

沙希「何!?比企谷!!」

 

八幡「ハァ……ハァ……!悪い……!アイツ、意外と足が早いから……!ゼェ……ゼェ……俺、お前らについてけそうに無い…………。」ガクッ

 

沙希「えっ!?」

 

比企谷はそう言うと同時に、走るのをやめて両手をついて膝から座り込んでしまう。

 

沙希「ひ、比企谷!?」

 

アタシが止まってしまった比企谷が心配になり、比企谷の所に向かおうとする。しかし、

 

八幡「お前はイ○ヤを追いかけろ、川崎!」

 

沙希「えっ!?」

 

比企谷は、アタシにイ○ヤを追いかけるように言う。

 

八幡「心配すんなよ……。久しぶりに全力疾走しただけだからな……。ハァ……ハァ……少しだけ休んだら、すぐ追いかけるから……。」

 

沙希「……分かった。待ってるからね、比企谷。」

 

アタシは比企谷にそう言うと、イ○ヤを再び追いかけた。

 

暫く走って、アタシは大○公園に着いた。

 

沙希「何処にいるの……?あの子……。」

 

周囲を見回して、イ○ヤの姿を探してみる。

 

沙希「っ……!いた……!」

 

噴水の向こう側で、アタシと同じように周囲を見回しながら、自分の家族を探しているイ○ヤの姿があった。

 

 

 

 

――――おまけ・第5話(璃夢side)――――

 

璃夢「ちょっ、ちょっと待って~~~~!!八幡君~~!!沙希ちゃ~~~~ん!!」

 

予想外の事態になってしまった。

 

私が先輩―――姉様からの電話を一旦切って、メールであの子の写真を送っている時に、迷子の子が突然何処かへ走り出してしまい、それを沙希ちゃんと八幡君が追いかけてしまったのだ。

 

私はなんとか引き留めようとしたのだが、後の祭りだった。

 

璃夢「ああ……どうしよう……。八幡君達をお迎えに来たのに、どうしてこんな事に……。」

 

『八幡君達をお迎えに行く』という、自分の本来の仕事もやり遂げる事も出来ずに、こんな事態になってしまって、私は頭を抱えてしまう。

 

ピリリリ……

 

そうこう悩んでいるうちに、姉様からの着信が入る。

 

璃夢「あっ、もしもし。……えっ、そうなんですか!?あの、実は――――」

 

私は姉様に、八幡君達が私の所から離れてしまった事、何処に向かったのか分からない事を報告し、姉様からその家族の人達が、大○公園に向かっているかもしれない事、私と合流する為に姉様達が今から私の所に向かう事を聞き、姉様達を待つ事にした。

 

璃夢「――――分かりました、先輩。ここで待ってます。…………ハァ…………。」ピッ

 

私は姉様との通話を終えると同時に、深い溜息をつく。

 

璃夢「……本当に申し訳ないな。私が担当する初めてのお客様なのに……。」

 

私の初めてのお客様である、陽乃ちゃん御一行と八幡君御一行に、心底申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 

朝から寝坊はするわ、八幡君には荷物持ちをやらせる事になるわ、お迎えに行ったのに見失ってしまうわ、本当に迷惑ばかりかけてしまっている。

 

幸い、八幡君も女の子達もみんな、良い人達みたいだから救われている。だからこそ、楽しい旅行を過ごしてもらいたいと思い、私が頑張らなくちゃいけないのに……。

 

璃夢「……なんで私って姉様と違って、こんなにダメなんだろう…………。」

 

そんな自己嫌悪に陥いり、凄く落ち込んでいる時だった。

 

?「あの、すいません!」

 

璃夢「……えっ!?」

 

突然、後ろから男の人の声を掛けられて、ビックリしながら振り向いてみる。

 

?「ハァ……ハァ……。」

 

そこには、八幡君と同い年くらいの亜麻色の髪の男の子が、息をきらせながら深刻そうな顔で、立っていた。その後ろには、男の子で一緒にいると思われる同年代の3人の女の子達の姿もあった。

 

璃夢「あ、あの、どうされたんですか?そんなに息をきらせて。」

 

?「ここら辺の公園で大○公園って所があるって聞いたんですけど、何処なのか分からなくて……。」

 

璃夢「大○公園ですか?それでしたら、そこの角を…………」

 

私は彼等に、大○公園の道を説明する。

 

?「そうですか。大体分かりました。ありがとうございます。」

 

璃夢「あの、つかぬことをお伺いするんですけど、何かあったのですか?見た感じ、観光で来られたみたいですけど……。」

 

?「……ええ。実は、俺達の連れがここら辺ではぐれて迷子になっちゃったんです。もしかしたら、ソイツに公園に行くって言ったから、そっちに向かったのかと……。」

 

璃夢「迷子……?あっ……!」

 

男の子の話を聞いて、私はもしかしたらと思い、携帯を取り出す。

 

璃夢「もしかして、この子の事ですか?その迷子って。」

 

そして、携帯で撮った女の子の写真を、彼等に見せる。

 

???「えっ、イ○ヤちゃんじゃないですか!?この子!」

 

??「何ですって!?アイツ、ここら辺にいたの!?」

 

????「教えてください!何故、貴女が彼女の写真を持っているのですか!?」

 

?「何処でコイツと出会ったんですか!?コイツ、今いないみたいですけど、何処にいるんですか!?」

 

写真を見せた瞬間、彼等は驚くと同時に私に必死な顔で尋ねてくる。

 

間違いない。この人達が姉様の言っていた、あの子の家族の人達なのだろう。

 

璃夢「あ、あの……これはですね…………」

 

そうして、私はあの子の写真を撮った経緯、私がバスガイドとして担当しているお客様と一緒にいた事、そして、突然あの子が何処かへ走り出してしまい、お客様も追いかけていった事を説明した。

 

????「そうですか……。それでは、何処に向かったのかは、貴女も知らないのですね?」

 

璃夢「ええ……。……あれっ?」

 

??「どうしたんですか?」

 

璃夢「そう言えば、この子達の走っていた方向って、確か、大○公園があったような……。」

 

???「えっ!?本当ですか!?」

 

璃夢「はい。そこ以外だと少し離れていますが、札幌駅やその近くぐらいしか考えられません。」

 

?「分かりました!貴重な情報を頂いて、ありがとうございます!行くぞ!!」タッタッタッ……

 

璃夢「あっ……!」

 

そして、彼等は私の所から離れ、八幡君達が向かっていった方向へと走り去ってしまった。

 

璃夢「…………」

 

彼等が走り去ってしまう姿を見届けて、暫くしてから呟く。

 

璃夢「……私、少しは役に立てたのかな?会えるといいな、八幡君達とあの人達……。」

 

そんな風に思えて、少し嬉しくなる。そうして、暫くしてから、

 

奈呼「璃夢ー!!」

 

璃夢「あっ、ねえ……じゃなかった、先輩!」

 

姉様達がやって来て、私と合流し、私達は大○公園へと向かうのであった。




以上、第7話でした。

次回で沙希回は完結となります。

果たして、八幡達は迷子の家族と出会えるのでしょうか?

では、また次回お会いしましょう!

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