やはり俺の福引旅行はまちがっている。   作:EPIPHANEIA

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今回は第1話の最後に出てきた5人の話です。

彼女達はどうして、八幡達の旅行を知ったのでしょうか?

宜しかったら、是非閲覧してください。


第2話

~福引の翌日・奉仕部部室~

 

雪乃「……」チラッ

 

結衣「……」チラッ

 

いろは「……」チラッ

 

雪ノ下雪乃・由比ヶ浜結衣・一色いろはの3人は、それぞれ読書をしたり紅茶を飲んだりスマホをいじりながらも、ある方向をチラ見している。

 

八幡「うーん…………。」

 

そこには、スマホを見ながら唸り声をあげ悩んでいる表情の八幡の姿があった。

 

結衣「……ねぇ、ヒッキー。」

 

その八幡の姿を見かねた結衣が八幡に呼び掛ける。

 

八幡「うん?どうしたんだ、由比ヶ浜?」

 

結衣「さっきからスマホを見ながら何悩んでるの?もし悩み事があるんだったら、相談してよ。」

 

八幡「いや、別に大した事無い悩みだ。心配させて悪い。ありがとな。」

 

結衣「そ、そう。」

 

いろは「私は興味ありますね。先輩の悩み。」

 

八幡の感謝の言葉に結衣が顔を赤くすると、間髪入れずにいろはが口を挟む。

 

八幡「あん?何言ってんだよ?一色。」

 

いろは「なんかいつもの先輩とは違う悩み方をしてるって思ったんです。私の勘なんですけど、今回はどちらかといえばボジティブな悩み方をしてるなぁって。」

 

八幡「はぁっ?なんでそんな事が分かるんだよ?お前、俺の事をいつでも見てるの?」

 

いろは「はっ!?それは俺だっていつでもお前の事を見てるぜとでも言いたいんですか?その気持ちは嬉しくない事もないんですけど、もう少しその目の濁りをとってから出直してきてください。ごめんなさい。」

 

八幡「なんで勝手にフラれてるの?つーか、俺はお前に何回フラれたらいいんだよ。」

 

いろは「それはともかく、どんな事で悩んでいるのか教えてくださいよ。雪ノ下先輩だって興味津々ですから。」

 

雪乃「一色さん、貴女は何を勘違いしているのかしら?そんな死んだ魚の目をした男の悩みを、私が興味を持つなんてあり得ないわ。」

 

八幡「……何気なく、俺をディスってんじゃねぇよ。雪ノ下。」

 

八幡がいろはと雪乃のやりとりに呆れつつも、言葉を続ける。

 

八幡「そんなに聞きたいなら教えてやるよ。今週末から、札幌と函館の3泊4日の旅行に行く事になってな。」

 

雪乃・結衣・いろは『…………えっ?』

 

3人にとって予想外の八幡の言葉に、3人は呆然となる。

 

八幡「何だよ?揃いも揃って、アホヶ浜みたいな間抜け面して。」

 

雪乃「い、いえ。まさかヒキコモリ君の口からそんな言葉が出るとは思わなかったから。」

 

いろは「そ、そうですね。正直予想外でした。まさか休日は家で引きこもるのに命をかけてる先輩が旅行に行くなんて。」

 

結衣「引きこもりのヒッキーが旅行に行くって事自体、信じられない…………ってゆーか、アホっていうなし!マヌケじゃないし!」

 

八幡「……揃いも揃って俺を引きこもり扱いかよ。否定は出来ないけど、泣くぞ。」

 

3人からの罵倒の言葉に呆れつつ、八幡は言葉を続ける。

 

八幡「そういう訳だから、ぐるなびや他のいろんなグルメサイトを見て、札幌と函館のメシの美味しい店を探してるだけだ。大した問題じゃないだろ?」

 

雪乃「そういう事ね。旅行谷君にしては、随分と殊勝な心掛けね。感心するわ。」

 

八幡「お前にしては、誉めてくれるのはありがたいけど、旅行谷君って何だよ。」

 

いろは「それで先輩、誰と行くんですか?北海道旅行。」

 

八幡「はっ?何でそんな事まで聞くの?」

 

結衣「いや、少し興味あるなぁって。まさか1人旅なの?」

 

八幡「馬鹿いえ、そんな訳あるか。その……」

 

言葉を続けようとしたところで、八幡は瞬間的に思考する。

 

八幡「(小町ならまだしも、城廻先輩と留美の名前も出すのはマズイかもしれん。特に留美の名前を出したら、コイツらに何言われるか分からないな。)」

 

数秒間の思考の後、八幡は続ける。

 

八幡「こ、小町とかと行くに決まってるだろ。言わせんなよ、恥ずかしい。」

 

結衣「出た!シスコン発言!ヒッキー、キモい!」

 

雪乃「流石、シス谷君ね。」

 

いろは「年下好きは嬉しいですけど、シスコンはお断りです。ごめんなさい。」

 

八幡「……俺、そろそろ泣いてもいいかな?」

 

八幡「(やっぱり、コイツらじゃなくて、あのメンツで正解だったな、今回の旅行……。)」

 

キーンコーンカーンコーン

 

そんなやりとりをしているうちに、下校のチャイムがなった。

 

雪乃「それじゃ、今日の部活はここまでにしましょう。」

 

八幡「おう、それじゃ帰るぞ。旅行の準備とかあるからな。じゃあな。」

 

雪乃の部活終了の声と同時に、八幡は早々に部室を後にした。

 

いろは「あの、雪ノ下先輩、結衣先輩。この後時間大丈夫ですか?」

 

結衣「うん。あたしは大丈夫だけど、どうしたの?」

 

いろは「この後、ファミレスに行きたいんですけど。今の話で。」

 

雪乃「……一色さんも『気付いた』という事ね。」

 

いろは「勿論です。あんなあからさまな態度をとりましたからね。」

 

雪乃「分かったわ。そこで話しましょう。」

 

結衣「へっ?気付いた?何が?」

 

そして、雪乃・結衣・いろはの3人は、ファミレスへと向かった。

 

 

 

 

 

~某ファミレス店内~

 

某ファミレスの店内でドリンクバーを注文した3人。

 

結衣「ねぇ、ゆきのん、いろはちゃん。さっきの『気付いた』って何?」

 

早速結衣が雪乃といろはに尋ねる。

 

雪乃「由比ヶ浜さん。さっきの比企谷君の話で、1つ引っ掛かる事がなかったかしら?」

 

結衣「へっ?ヒッキーの話で?うーん……特にそういう事はなかったと思うんだけど……。」

 

いろは「では、結衣先輩。最後の話を覚えていますか?先輩が誰と行くかって。」

 

結衣「それは覚えてるよ。小町ちゃんと行くって。それがどうしたの?」

 

いろは「あくまでも推測なんですけど、小町ちゃんだけじゃなくて、私達に隠してる気がするんです。先輩が一緒に旅行に行く人。」

 

結衣「えっ!?どういう事!?ヒッキーと小町ちゃんだったら、家族旅行かなんかじゃないの!?」

 

雪乃「私もその可能性を考えたけれど、おそらくその可能性は無いわ。」

 

いろは「私も同じです。家族旅行の可能性は0に等しいと思います。」

 

結衣「家族旅行の可能性は無いって、どうして分かるの?」

 

雪乃「もし家族旅行だとしたら、あの時にご両親の名前も言ってるはずよ。でも、比企谷君は『ご両親の名前』も『家族旅行』とも言ってなかった。」

 

結衣「あっ!そういえば……!」

 

いろは「それに私と結衣先輩が聞いた時に、一瞬だけ口ごもっていたんです。他の人の名前を出すのに躊躇したのかなって思って。」

 

結衣「ゆきのんもそう思ってるの?」

 

雪乃「私も一色さんの考えと同じね。比企谷君が私達に知られたくない人と旅行に行くから、小町さんの名前しか出せなかったと考えているわ。」

 

結衣「なるほどねー。でも、ヒッキーと小町ちゃんと一緒に旅行行く人って誰なんだろうね?」

 

いろは「うーん、流石にそこまでは私も分かりませんね……。」

 

雪乃「私もそこまではつかめないわね。誰なのかしら?小町さんも知り合いで、私達に知られたくない人物……。」

 

結衣「うーん……。」

 

3人が八幡が誰と一緒に旅行に行くのか、思案している時だった。

 

「……比企谷と小町が旅行?……」

 

「……比企谷さん、お兄さんだけじゃなくて、めぐりさんって人と留美ちゃんって子も一緒だって言ってた……」

 

「……はぁ!?……」

 

3人の2つ隣の席から聞き捨てならない会話が聞こえてきた。

 

~夜のファミレス~(沙希side)

 

京華「さーちゃん、おいしいね!」

 

沙希「そーだね、けーちゃん。」

 

アタシは今日は珍しく外食に来ていた。両親は仕事でいないけど、家族水入らずで。

 

大志「……はぁ……。」

 

川崎弟「どーしたの?たーちゃん?」

 

しかし、大志が注文された料理をそんなに食べずため息をついていた。見かねたアタシは大志に声をかける。

 

沙希「どうしたんだい?大志。今日はアンタが主役なんだよ。なんでそんなに落ち込んでるの?」

 

今日は大志の卒業と総武高校入学のお祝いを兼ねて、外食に来ていた。大志もすごく楽しみにしていたはずなのに、何故か落ち込んでいたので、心配になる。

 

沙希「悩みがあるなら言ってみなよ。相談にのれるかどうかわからないけど。」

 

大志「う、うん……。比企谷さんの事なんだけど……。」

 

沙希「比企谷……?比企谷さんって妹の小町の事?」

 

大志「うん……。比企谷さんと今度の週末遊びに行こうと思ってメールしたんだ……。俺達、4月から総武高校に入学するだろ?それで一緒に祝おうと思ってさ……。」

 

沙希「へぇー。まさかアンタがアイツの妹をデートに誘うなんてね。それで断られたって事?」

 

大志「そうなんだ。比企谷さん、今週末に北海道旅行に行くんだって。お兄さんと。」

 

沙希「えっ?比企谷と小町が旅行……?それも北海道……?」

 

比企谷が旅行に行くと聞いて、一瞬キョトンとする。アイツがそういう事をするのが、少し意外だと思った。

 

大志「うん。家族旅行だと思ったら、比企谷さん、お兄さんだけじゃなくて、めぐりさんって人と留美ちゃんって子も一緒だって言ってた。」

 

沙希「はぁ!?」

 

その話を聞いて、思わず声を大きく驚いてしまった。めぐりって人なら心辺りがある。確かこの間卒業したウチの学校の元生徒会長の城廻めぐり先輩……。あと、もう1人の留美って子も聞き覚えがあるような……。

 

沙希「(アイツ……どれだけの女の子と仲良くなってんの……!?)」

 

そんな事を思いながら、アイツにやきもきをしている時だった。

 

「その話、詳しく聞かせてもらえないかしら?」

 

沙希・大志『えっ?』

 

京華「んっ?」

 

川崎弟「?」

 

突然、席の横から聞き覚えのある声が聞こえて、アタシ達が振り向くと。

 

いろは「なかなか興味深いお話ですね。是非、私達も混ぜてもらえませんか?」

 

結衣「やっはろー!沙希!大志君!京華ちゃん!」

 

沙希「ア、アンタら。なんでここに……!?」

 

そこには、いつのまにか雪ノ下、由比ヶ浜、一色の3人が立っていた。

 

 

 

 

 

~同時刻・某カフェ~(陽乃side)

 

市内のとあるカフェで私はある人物とお茶をしていた。

 

めぐり「すいません~。はるさん。わざわざご馳走してもらって。」

 

陽乃「いいのよ。私がめぐりをお茶に誘ったんだからさ。」

 

その人物とは、城廻めぐり。私の高校時代の後輩だ。

 

市内をふらついていたら、偶然買い物中のめぐりと出会って、お茶に誘った。

 

陽乃「ところで、めぐり。何の買い物をしていたの?見た感じ、旅行のグッズみたいなものもあるけど。」

 

めぐりが買った物を見ると、旅行で使いそうな物がいろいろ見受けられる。何となくそうかなと思い、めぐりに尋ねてみた。

 

めぐり「あっ、分かりました?実は今週末に北海道旅行に行くんですよ。」

 

陽乃「成程、そういう事ね。家族の人と行くの?」

 

めぐり「違いますよ。友達……と行くんです。」

 

友達といいかけたところで、めぐりの顔が少し赤くなる。それを見逃さなかった。

 

陽乃「へぇ~。友達、とね。一体誰なの?私が知っている人?」

 

めぐり「えっ、ええ。比企谷君と行くんです。」

 

陽乃「へっ?……比企谷……君……?」

 

その名前を聞いた時、一瞬呆然となる。まさか、めぐりと比企谷君が一緒に旅行に行くなど、想像もしていなかった。

 

陽乃「そ、そうなんだ。もしかして、比企谷君と2人きりで?」

 

めぐり「ち、違いますよ。他にも比企谷君の妹の小町ちゃんと比企谷君のお友達の留美ちゃんって子も一緒です。」

 

陽乃「へぇー。随分と変わったメンバーで行くんだね。留美ちゃんって子は知らないけど。なんでそのメンバーで行く事になったの?」

 

めぐり「あっ、それはですね……」

 

私はめぐりから、今回の旅行は比企谷君が福引の特賞を当てて、当初は比企谷君の家族で行こうと考えていたのだが、両親が仕事で行けないとしって、どうしようか悩んでいた時に、めぐりと留美ちゃんと偶然出会って、一緒に旅行に行く事になった経緯を知った。

 

表向きはめぐりと小町ちゃんと留美ちゃんの卒業&進学のお祝い旅行で、福引を当てた比企谷君も当然参加するという訳だ。

 

陽乃「あっ、めぐり。私、この後用事があるのを忘れてた。私から誘っておいてなんだけど、そろそろ行かなくちゃ。」

 

めぐり「あっ、大丈夫ですよ。私、もう少しゆっくりお茶を飲んでますから。はるさんにもお土産買ってきますからね。」

 

陽乃「うん、ありがと。ごめんね、めぐり。またね。」

 

めぐり「は~い。はるさん。」

 

そうして、私はめぐりと別れて、店内を出た。

 

陽乃「さ~てと。」

 

店内を出てしばらく歩いたら、スマホを取り出してある人に電話をする。

 

陽乃「ひゃっはろー!雪乃ちゃん!」

 

その人物とは私の妹である雪乃ちゃん。雪乃ちゃんは果たして、この事を知っているのかな?

 

 

 

 

 

~同時刻・ファミレス~

 

結衣「……つまり、大志君は小町ちゃんから城廻先輩と留美ちゃんも旅行に行くってメールで知っただけなんだね?」

 

大志「は、はい。なんでそのメンバーで行くのかは知らないッスけど……。」

 

いろは「まさか、そのメンバーだったなんて思いもしなかったですね……。道理で私達に知られたくないはずですよ。」

 

雪乃「そうね。城廻先輩はともかく、鶴見さんなんてこの間まで小学生だった子なのに。そんなに通報されたいのかしら?あの男。」

 

沙希「鶴見?それって留美って子の事?」

 

結衣「そうだよ。京華ちゃんが出てたクリスマスイベントの劇で、主役をやってた子覚えてる?あの子が鶴見留美ちゃんだよ、沙希。」

 

雪乃・結衣・いろはの3人は、川崎家の席と同席にしてもらい、旅行の件で大志から事情を聞いていた。

 

川崎弟「おねーちゃんたち、こわい……」

 

京華「さーちゃん……」

 

話し合いに参加していない京華と弟は雪乃達を見て怯えている。

 

結衣「あっ、ごめんね。お姉ちゃん達、けーちゃんやさーちゃん達をいじめるつもりなんてないから、安心してね。」

 

そんな空気を察知して、結衣はすかさず京華達の頭を撫でながら、優しくフォローする。

 

京華「うん!ありがとー、ゆーちゃん。」

 

結衣「ゆーちゃんね。なんかいいかも。」

 

いろは「(私はいーちゃんって呼ばれるのかな。)」

 

雪乃「(私もゆきちゃんって呼ばれてほしいかも。)」

 

そんな時に雪乃の携帯の着信が入る。

 

雪乃「姉さん?ちょっと待ってて、みんな。」

 

陽乃からの着信に出る雪乃。

 

陽乃『ひゃっはろー!雪乃ちゃん!』

 

雪乃「姉さん?こっちは今、大事な話をしている最中なの。下らない事だったら、電話を切るわよ。」

 

陽乃『あれあれ~?そんな事言っていいのかな~?もしかして、比企谷君の北海道旅行の話?』

 

雪乃「えっ!?どうして姉さんが知っているの!?」

 

陽乃『やっぱりね~。雪乃ちゃんも知っていたんだ。因みに、どうしてそういう風になったのかも、知っているんだけど。』

 

雪乃「……私は今、市内の○○○にいるわ。」

 

陽乃『わかった、そこで話しようって事ね。結構近くにいるから、今から向かうね。』

 

雪乃「ええ。待っているわ。」

 

電話のやりとりの15分くらい後に、陽乃はやってきた。

 

 

 

 

 

陽乃「あれ、こんなにいたんだ。結構な人数でいるね。」

 

雪乃「待ってたわよ、姉さん。」

 

沙希「(雪ノ下のお姉さん!?確かに見た事あるような気がするけど……。)」

 

大志「(マジッスか!?こんな綺麗な人が雪ノ下先輩のお姉さんで、お兄さんや比企谷さんの知り合いなんッスか!?)」

 

結衣「やっはろーです!陽乃さん!」

 

陽乃「ひゃっはろー!ガハマちゃん!いろはちゃん!」

 

いろは「お久しぶりです。はるさん先輩。」

 

陽乃「それから、初めて話す子やはじめましての人もいるね。私は雪乃ちゃんの姉の雪ノ下陽乃って言います。宜しくね。」

 

沙希「は、はい。川崎沙希です。比企谷と由比ヶ浜のクラスメイトです。」

 

大志「か、川崎大志ッス。比企谷小町さんと一緒に4月から総武高校に入学します。」

 

雪乃「早速、本題に入らせてもらうわ。姉さん、比企谷君達が旅行に行く事になった経緯を説明して。」

 

陽乃「うん。まず比企谷君が……。」

 

そうして陽乃はめぐりから聞いた話を雪乃達に説明する。

 

八幡がららぽーとの福引で旅行を当てた事。

 

家族で行こうとしたら、両親が仕事の為、行けない事。

 

どうしようか悩んでいた時に、ららぽーとでめぐりと留美と偶然出会った事。

 

小町、めぐり、留美が意気投合して、小町が一緒に卒業旅行として行こうと提案した事。

 

めぐりと留美がその提案に賛同して、一緒に旅行に行く事になった事。

 

それら全てを、めぐりから聞いた話として、雪乃達に話した。

 

いろは「成程……。めぐり先輩も留美ちゃんも小町ちゃんも確かに今月で卒業しましたね。その為の旅行だと。」

 

陽乃「おそらく、比企谷君はそういう風に考えていると思うよ。でも……。」

 

雪乃「でも?どうしたの?」

 

陽乃「比企谷君がそう思っていても、相手はどう思っているかなって。」

 

雪乃・結衣・いろは・沙希『えっ……?』

 

陽乃の言葉に雪乃達は呆然となる。

 

雪乃「それって、どういう意味かしら?姉さん」

 

陽乃「だったら、分かりやすく教えてあげる。少なくともめぐりは、今回の旅行をきっかけに狙っていくみたいだよ、比企谷君の事。」

 

いろは「まっ、待ってください!めぐり先輩が!?」

 

陽乃「そうだよ。めぐりがこの話をした時、凄く恋する乙女の表情をしていたからね。あと、会った事ないけど、留美ちゃんって子も怪しいな~。」

 

結衣「る、留美ちゃんも!?まだ、この間まで小学生だった子ですよ!?」

 

陽乃「そうなの?でも、留美ちゃんからしたら、愛さえあれば年の差なんて関係無いって思っているかも。どこかのバスケコーチみたいに『まったく、小学生は最高だぜ!』ってね。あっ、でも今度中学生になるから、『まったく、中学生は最高だぜ!』か。」

 

雪乃「そんな事言ってる場合じゃないわ、姉さん!」

 

陽乃「あと、小町ちゃん、もしかしたらブラコンじゃないかしら?比企谷君、重度のシスコンだって聞いた事あるから、千葉の兄妹エンドもあり得るかもよ。」

 

沙希「ひ、比企谷と小町が!?」

 

大志「じょ、冗談じゃないッス!そんな事、絶対に許さないッス!」

 

陽乃「……まあ、それはさておき、ここにいるみんなは今回の旅行の事をどう思っているのかな?」

 

いろは「正直、面白くないですね。なんかめぐり先輩と留美ちゃんと小町ちゃんに負けた気がして、悔しいです……。」

 

結衣「あたしも悔しいですよ!明日、絶対に問い詰めてやるんだから!」

 

沙希「……アタシも悔しいかも……。」

 

雪乃「わ、私は別にどうとも……。」

 

陽乃「雪乃ちゃん、比企谷君のいない時くらい素直になりなよ。」

 

雪乃「……やっぱり、悔しいわね。明日必ず尋問してやるわ……!」

 

陽乃「……オッケー。みんなの悔しい気持ちが聞けたところで、比企谷君に『復讐』してやりましょうか。『私達のやり方』でね。だから、尋問とか問い詰めるのは無しね♪」

 

 

 

 

 

 

~旅行1日目・成田空港~(八幡side)

 

小町「もう、ゴミぃちゃん!なんで寝坊なんかして、めぐりさんと留美ちゃんを待たせてんのよ!?」

 

八幡「しょうがねぇだろ、二度寝しちまったんだから。それに間に合ったからいいじゃねえか。」

 

留美「八幡が悪い。女の子を待たせるなんてサイテー。」

 

めぐり「まあまあ。小町ちゃんに留美ちゃんもいいじゃない。これから楽しい旅行なんだから、大目に見てあげようよ。」

 

飛行機で向かう為、俺達は成田空港にバスで到着した。

 

集合場所である千葉中央駅にギリギリで到着した為、城廻先輩と留美を大分待たせてしまった。

 

その件で小町と留美から散々言われて、城廻先輩が2人を宥めていたのだった。

 

俺達がバスから降りて、空港のターミナルに入ろうとした時、不意に5つの人影が俺達の前に現れる。

 

八幡「……はっ?」

 

めぐり「あれっ?」

 

留美「えっ……?」

 

小町「ええっ!?」

 

その5つの人影を見た時、俺達は信じられないと言った感じで唖然としていた。何故なら――――

 

いろは「お待ちしてましたよ、先輩♪」

 

結衣「ヒッキー、やっはろー!」

 

陽乃「ひゃっはろー!駄目だよ、比企谷君。こんな楽しそうなイベントに、お姉さんを呼ばないなんて♪」

 

雪乃「おはよう。随分な重役出勤ね、遅刻谷君。」

 

沙希「……おはよ、比企谷。」

 

八幡「……なんでいるの?お前ら……。」

 

―――雪ノ下雪乃・由比ヶ浜結衣・一色いろは・川崎沙希・そして、雪ノ下陽乃―――

 

招かれざる客である5人の闖入者達が、俺達と同じように旅行の支度をして、俺達の前に現れたからであった。




雪乃、結衣、いろは、沙希、陽乃の5人がメインの話でした。

もし、このまま旅行の話を知らなかったら、きっと彼女達(というより雪乃・結衣・いろは)は血の涙を流しながら悔しがっていたかもしれませんねw

最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。

※追記

感想のほうでご指摘がございまして、少し訂正致しました。

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