やはり俺の福引旅行はまちがっている。 作:EPIPHANEIA
今更な話ですが、お気に入り登録が300件越えてましたw
書き始めた当初は、こんなに多くの方々が私の拙文を読んで下さるとは思わなかったので、読んで下さった皆様には本当に心から感謝しています。
では、第15話です。
~北海道大学・構内~(雪乃side)
風○「……少し離れたら、一緒に来た人達とはぐれてしまったって訳ですね。」
雪乃「……ええ。恥ずかしい話ですけど……。」
○子「そ、そんな事ないですよ。むしろ、話してくれて嬉しかったです。」
風○「そうですよ。俺達に相談してくれて、ありがとうございます。」
私はみんなとはぐれてしまった事を、黒沼さんと風○君に相談していた。そうしたら、2人とも親身になって、相談にのってくれた。
少し話しただけなのだが、この2人は凄く優しい人達なのだろうと感じた。
風○君に関しては、第一印象が『葉山君に似ている』と感じたのだが、その言葉を撤回したいと思う。似た者同士だと思っていた彼と葉山君の優しさは、『何か』が違う。
そして、黒沼さんは、私と比企谷君みたいに、孤独に過ごしていた事が多かったのではないだろうかと推測する。妙におどおどした性格や何処と無く暗い雰囲気が、その理由。しかし、それと同時に周りの空気を読んで行動するような性格も見受けられる。それが、由比ヶ浜さんに似ているとも感じた理由だ。
雪乃「……ところで、1つお願いがあるのですが……。」
○子「えっ?何ですか?」
雪乃「敬語ではなくて、常語で話しませんか?私達、同じ年齢ですから。」
○子・風○『えっ?』
私の言葉に一瞬きょとんとした顔になる2人。
風○「……そうだよね。俺達、同級生だし。」
○子「うん。私もいいよ。せっかく出会ったのも、何かの縁だから。」
雪乃「……ありがとう。黒沼さん、風○君。」
次に、2人は笑顔で快く了承してくれた。私もそれに笑顔で応じる。
○子「……あの、私もお願いがあるんだけど。」
雪乃「何かしら?黒沼さん。」
○子「『雪乃ちゃん』って呼んでいい?凄く素敵な名前でいいなと思ったから。」
雪乃「ええ、いいわよ。素敵な名前って言ってくれて、ありがとう。」
○子「う、ううん。どういたしまして……。宜しくね、雪乃ちゃん。」
黒沼さんのお願いに、私も快く応じる。お礼を言うと、黒沼さんが照れながらそれに応えてぐれた。
なんか一瞬、黒沼さんが2頭身になったような気がしたけど、気のせいかしら?見た瞬間、非常にほっこりしたのだけれど……。
○子「そ、そう言えば、雪乃ちゃんが一緒に来た人達って、どんな人達なの?」
風○「あっ、そうだね。お姉さんや友達と来たって聞いたけど、一緒に探すにあたって、どんな人達か知りたいから。」
雪乃「……ええ、分かったわ。」
私は2人に、一緒に来たみんなの事を話した。由比ヶ浜さんや一色さんや姉さん達の事を。
風○「へー、なんか凄いね。雪ノ下さんのお姉さんの大学生から小学校を卒業した子まで、いろんな年齢の人達で来てるんだ。」
○子「うん、同じ高校の人達と来てるのかなって思ってたから、ビックリした。その人達とどんな繋がりなの?」
雪乃「一言で言えば、部活で関わった人達ね。奉仕部って言う部活なんだけど。」
○子「奉仕部?初めて聞いた部活だね。どんな部活なの?」
雪乃「簡単に説明すると、悩みを持つ相談者の依頼を手助けする部活ね。因みに、私はその部長を務めているわ。」
風○「そうなんだ。ボランティア部みたいなもの?」
雪乃「似ているけど、少し違うわ。……ところで、私からも黒沼さんと風○君に聞きたい事があるのだけれど。」
○子「えっ?私達に聞きたい事?」
雪乃「失礼な質問になるけど、2人は恋人同士なのかしら?」
○子・風○『っ…………!!//////』
私が質問した途端、2人の顔が真っ赤になっていく。
雪乃「あら、ごめんなさい。もしかして、聞いてはいけない質問だったの?」
○子「ううん、そんな事無いよ!そう思ってくれるなんて、凄く嬉しいよね、風○君!///」
風○「そ、そうだな、黒沼。付き合って1年もたってないけど、雪ノ下さんもそんな風に見えたんだ……///」
雪乃「それはそうでしょう。わざわざ、バスで3時間ぐらいかけて札幌に来たぐらいですもの。まだまだ初々しい感じがして、良いカップルだなって思ったから。」
○子「あ、ありがとう。私達、去年の夏ぐらいから恋人同士になったの。本当は1年の時から、ずっと好きだったんだけど……。///」
風○「俺も入学した時から、ずっと好きだったんだ。いろいろすれ違いが多かったけど、今こうやって付き合えて、凄く幸せだなって思えるよ……。///」
○子「風○君!私も同じだよ!私も風○君と付き合えて、凄く幸せになれた気がするもん!///」
こうやって話を聞いてみても、凄く微笑ましく感じる。
この2人は、『思わず私が次に口にした言葉』を手に入れたのかもしれないと思うぐらい。
雪乃「……『彼』のいう『本物』なのかもしれないわね、この2人は……。」
○子・風○『えっ?』
私が思わず口走ってしまった時、2人が私の声に反応する。
風○「雪ノ下さん、『本物』って何の事?それに、今『彼』って……。」
雪乃「あっ……///」
○子「えっ?もしかして、雪乃ちゃんにも好きな人が……?」
何て迂闊な事を口走ってしまったのだろう。2人に尋ねられた私は、顔を赤くしてしまいながら、反論する。
雪乃「い、いいえ。違うわ、黒沼さん、風○君。あ、あなた達は何を勘違いしているのかしら。わ、私があんな男の事を好きだなんてあるはずないじゃない。あ、あの死んだ魚の目の男が、私を好きだと言うのなら、やぶさかではないのだけれど。そんな事言うなら、名誉毀損で訴訟も辞さないけど、よろしいかしら?」
○子「ひっ!ご、ごめんなさい!まさか、それだけで訴えられるなんて!」
風○「ご、ごめん!雪ノ下さん!もしかして、失礼な事聞いちゃった!?」
雪乃「あっ、ご、ごめんなさい……///」
私は、先程の反論と違い、縮こまりながら2人に謝罪する。穴があったら入りたい気分だった。きっと、私の顔も真っ赤になっているに違いない。
暫くの間、私達3人は気まずい雰囲気のまま、沈黙していた。しかし
雪乃「……黒沼さんと風○君に、もう1つお願いがあるのだけれど……。」
○子・風○『……えっ?』
雪乃「もし、良かったら聞いてくれないかしら?私が出会った『ある男』……『彼』の話を。」
私の心が平常じゃなかったかもしれない。こんな事、私らしくもないと思った。しかし、この2人にどうしても聞いて欲しかったのだ。
『彼』――――比企谷君の話を。
○子・風○『…………』
雪乃「……『彼』と出会ってからの今までの話は、以上よ。」
私は2人に比企谷君と出会ってから今までの話を全て話した。
比企谷君が奉仕部に入部した時の事、由比ヶ浜さんのクッキーの話、川崎さんの話、林間学校、文化祭、修学旅行、生徒会選挙、クリスマスイベント等……。
話していた時、黒沼さんと風○君はずっと黙って聞いていた。比企谷君の事を、どう捉えたのかはわからない。話終えて暫くしてから、2人が口を開く。
○子「……私、その人の事、凄い人だなって思ったよ。雪乃ちゃん。」
風○「俺も同じ意見だよ。その人の事、尊敬するよ。同じ年なのに。」
雪乃「えっ?」
2人が次に口にしたのは、比企谷君を褒めた言葉だった。
○子「その人、他の人達の為に悪者になったんじゃないのかな。凄く優しい人なんだなって思うよ。その人の味方になってあげたいなって思ったもん。」
風○「俺も同じ高校だったら、黒沼と同じようにその人の味方になりたいな。その人、もっと報われるべきだよ。みんなの為に頑張っている人なんだなって感じたから。」
雪乃「…………」
2人の発言を聞いて、私は沈黙してしまう。まさか、2人が彼のやり方を肯定する人達だとは思わなかった。あくまでも、当事者ではない第3者からの意見だろうが、それでも私は驚きのあまり、押し黙ってしまう。
そうか……。考え方によっては、そう捉える人もいるんだ……。
今さらながら、かつて、私は彼のやり方を否定した事を後悔してしまう。確かに、私や由比ヶ浜さんが何もしなかった事、比企谷君に解決を任せてしまった事があったのも事実なのだから……。
そして、彼が心の奥底から言ってくれた『あの言葉』―――『『本物』がほしい』
その言葉を聞いて、私は―――――
風○「俺、会ってみたいな、その人に。凄く興味あるよ。」
○子「私も会ってみたいかも……。何となく、その人と通じるものを感じる……。」
雪乃「えっ……?」
私がそんな事を考えていると、2人が意外な言葉を口にする。比企谷君に興味を持つ人達が、会ってみたいという人達がいるとは、予想外だった。
○子「……雪乃ちゃんはその人の事が好きなの?」
私が呆然としているうちに、黒沼さんが私に問い掛ける。
ここまで話しておいて否定するとしたら、もはや只の欺瞞になってしまう。だから、私は
雪乃「……そうね。好きなのかも……いいえ、愛してるわ。」
『あの言葉』を聞いてから、自分の中で確信になった、『秘めている想い』――――それをはっきりと口にした。
○子「……やっぱり、そうなんだね。私、応援するよ。雪乃ちゃんの事。」
風○「俺も雪ノ下さんの事、応援するよ。雪ノ下さん見てると、昔の黒沼を見てるみたいだから。その人と恋人になれたらいいね。」
○子「か、風○君!雪乃ちゃんに失礼だよ!私、こんなに可愛くないよ!」
雪乃「いいえ。そんな事無いわよ、黒沼さん。ありがとう、風○君も。」
私の事を応援すると言った2人に、心からの笑顔で感謝する。しかし
八幡「――――ゆ、雪ノ下……!?」
雪乃「えっ……!?」
○子・風○『えっ?』
聞いた事がある声が聴こえて、私達はその方へ振り向くと
八幡「お前……今、『愛してる』って……!?」
そこには、私達が話題にしていた、私の想い人―――比企谷八幡が驚愕の表情で私達を見ていたのであった。
――――おまけ・第13話――――
~千葉市内・某カフェ~
川崎弟「ケーキおいしいね、けーちゃん!」
京華「うん!ありがとー!おねーさん!」
雪ノ下母「ふふふ、どういたしまして。喜んでくれて良かったです。」
どうも、川崎大志です。
俺達3兄妹は、あれから凄く綺麗で素敵なママさん2人と一緒に、とあるカフェに来ていました。京華達がケーキを美味しそうに食べているのを見て、着物姿の綺麗なママさんが喜んでいます。
由比ヶ浜母「本当にすみません。私までご馳走になって。私でしたら、自分で出してたのに。」
大志「本当に申し訳ないッス……。」
雪ノ下母「いいのですよ。言ったではありませんか。何かの縁だって。」
着物姿のママさんにご馳走してもらって、俺ももう1人のママさんも、恐縮しています。
大志「ところで、お姉さん達にお聞きしたい事があるんですけど、いいッスか?」
ご馳走してもらったカフェオレを一口飲んでから、俺は2人にどうしても尋ねたい事があったので、聞きました。
由比ヶ浜母「まあ、お姉さんだなんて♪君、なかなかお上手ね。」
雪ノ下母「フフ、ありがとうございます。それで何でしょうか?」
大志「高校生の娘さんがいらっしゃるって聞いたんですけど、もしかして総武高校ですか?俺、じゃなかった、僕も4月から総武高校に入学するんですけど。」
さっきの2人の話から、何か引っ掛かる物を感じた俺は、ひょっとしたらと思い、勇気を出して尋ねてみました。
由比ヶ浜母「そうだよ。私の娘、総武高校に通っているよ。君、娘の後輩になるんだ。」
雪ノ下母「あら、そうなのですね。私の下の子も通っていますよ。上の子も卒業生ですけどね。」
由比ヶ浜母「へえ、それは奇遇ですね。まさか、娘同士が同じ高校だったなんて。」
雪ノ下母「そうですね。しかも、貴方も4月から入学するのでしょう?何かの縁だと思いましたが、意外な所で縁がありましたね。」
大志「そ、そうッスね。しかも、僕の姉も通っているんですよ。姉は今度、3年生になるんですけど。」
由比ヶ浜母「あら、そうなの?私の娘も今度3年生になるのよ。」
雪ノ下母「それも奇遇ですね。私の下の子も、今度3年生ですよ。」
あれれ……?やっぱり、そうッスよね……?この2人、ひょっとしたらひょっとして、ですよね……?
大志「あの……もう1つお伺いしたい事があるんですけど……。お姉さん達、もしかして――――」
俺がある程度の確信を得て、2人に尋ねようとした、その時でした。
?「何か美味しそうな匂いのするお店なんだよ!と○まのお見舞いに行く前に、ここで休んだ方が良いかも!」
??「そーだね!せっかく遠出してきたんだから、あの人とお姉様に会いに行く前に休みたいと、ミ○カはミ○カは賛同してみたり!ついでに、あの人のお見舞いの品も買った方が良いかもって、ミ○カはミ○カは提案してみる!」
???「……ったく、うるせェンだよ。少しは静かにしろ。クソガキ共。」
雪ノ下母・由比ヶ浜母『んっ?』
京華・川崎弟『ふぇ?』
大志「へっ?」
これまで落ち着いた感じだったカフェに、どこかで見たことあるような謎のお兄さんと美少女達が入店してきて、余りにも目立つ風貌だったのか、俺達は勿論、他のお客さんや店員の人達も、その人達に注目していたのでした。
以上、第15話でした。
さて、雪乃の言葉を八幡はどう捉えたのでしょうか?
そして、千葉にはまさかのあの人達が……!!w
では、また次回お会いしましょう!