やはり俺の福引旅行はまちがっている。   作:EPIPHANEIA

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俺ガイル二次小説第10話です。

今回は、謎の男と女の子の正体が明らかになります。

宜しかったら、閲覧のほう、お願い致します。

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第10話

~ホテル・501の部屋~

 

?「ハァ……ハァ……。た、助かった……。ありがとな、坊主………。」

 

八幡「あっ、ああ……。ところで、何かやらかしたのか、アンタ?言っておくけど、命を狙われているとかだったら、マジで勘弁してくれよ。」

 

必死の形相で匿ってほしいと頼まれ、俺はその男を部屋に入れる事にした。(見た感じ、年齢は平塚先生と同じぐらいか少し年上のようであった。)

 

その男から礼を言われて、俺は何があったのか尋ねてみる。

 

?「いや、命を狙われているとかじゃないんだ。ただ、『ある場所』に行きたいんだが、それが連れにバレちゃってな。今、ソイツらを撒いたところなんだ。」

 

八幡「そ、そうか。で、その『ある場所』って何処なんだ?」

 

?「決まってるだろ!!男の夢が詰まっている札幌の理想郷(アヴァロン)、『すすきの』だ!!」

 

八幡「……はい?」

 

突然、何言ってんだよ。コイツは……。すすきのって言うと、俺も調べたからある程度なら分かっている。そこに行きたいって言う事は……。

 

八幡「まあ、その何だ。アンタがすすきのに行きたいというのは、分かったよ。で、アンタが揉めた連れというのは、女なのか?」

 

?「へぇー、お前なかなか鋭いな。むしろ、その内の1人は俺の嫁さんだけど?」

 

八幡「はぁ!?」

 

マジかよ、コイツ……!?嫁さんだけじゃなくて、女何人か連れて来ているのに、すすきのに行きたいだと……!?

 

八幡「ア、アンタ、正気かよ!?嫁さんや他の女連れて来ているのに、何考えてんだよ!?」

 

?「いや、嫁さんもソイツらも仕事仲間なんだ。彼女らと東京から出張みたいな感じで来ていてな。仕事が今日で終わりで明日帰るから、どうしても行きたいんだ!何だかんだ、アイツらに監視されて行けなかったし!」

 

八幡「そうか……。それならバレないように何とかしなくちゃいけないよな……。」

 

?「そうだな……。ん……?待てよ……?そうだ、お前だ!!」

 

その時、男は俺を見て、何か名案が閃いたような顔をする。

 

八幡「えっ!?俺がどうしたんだよ!?」

 

?「何、難しい事じゃない。『お前の姿を借りたい』ってだけだ。」

 

八幡「はい……!?」

 

マジでコイツ何なんだよ!?『俺の姿を借りたい』って……!!

 

八幡「と、どういう意味だよ!?それ!アンタ、俺に何かしようってのか!?」

 

?「別にお前に危害を加えようって事じゃない。ちょっと、『これ』を使ってな。」

 

男はそう言いながら、スーツの胸ポケットから2個のビー玉らしきものを取り出す。

 

八幡「ビー玉?そんなもんで何をしようって……!?」

 

?「しっ!少し黙って見てろって!」

 

そう言うと、男はビー玉に『念』らしきものを送るように、力を込めている。

 

キィィィィィン‼

 

八幡「なっ…………!!」

 

すると、次の瞬間、2つのビー玉が光り輝き出したのだ。

 

そして、そのビー玉から文字が浮かび出して、男は『ある人物』の姿に変わったのであった。

 

八幡「な、何だよ、これ…………!?」

 

男が姿を変えた『ある人物』、それは………………

 

 

 

 

~ホテル・フロント~

 

「ねぇ、何、あの人達?」ヒソヒソ

 

「双子なのかな?まるで、ザ・た○ちみたい。」ヒソヒソ

 

「ホントだね。太らせたら、そのまんまじゃない?」ヒソヒソ

 

数分後、俺と『その男』は、ホテルのフロントを堂々と歩いていた。但し、その男は『ある人物』の姿になりながら。

 

俺達が歩いている時に、周りの人達からいろいろとヒソヒソ話が聴こえてくる。言っておきますけど、俺達、双子でもザ・た○ちでもありませんからね。

 

?(八幡の姿)「いやー。お前には、本当に感謝するわー。姿を借りたどころか、わざわざすすきのに付き合ってもらえるなんてな。」ヒソヒソ

 

八幡「何言ってんだよ。どうしてもお礼をしたいって言うからだろ。だから、アンタが付いてこいって言ったから来たんじゃねぇか。」ヒソヒソ

 

男が姿を変えた『ある人物』、それは『俺自身』だった。

 

っていうか、どういうマジックかトリックだよ!?突然、ビー玉が光りだしたその次には、俺の姿に変身したんだぜ!?平然を装っているけど、心の中ではかなりテンパってますよ!

 

?(八幡の姿)「……ん?マズイ!!」

 

八幡「あっ?どうしたんだよ?」

 

?(八幡の姿)「おい、坊主。決してあっちを振り向くなよ……。」ヒソヒソ

 

八幡「えっ?それって……。」ヒソヒソ

 

男が僅かに指差した方向をチラッと見てみる。すると、

 

????「おかしいでござる……。先生の匂いがさっきから感じられないでござるよ……。」

 

?????「本当ね……。私でも嗅ぎ付けられないなんて……。パッタリと消えてしまったわ……。」

 

??「アンタ達、何やってんのよ!?あのヤドロクを草の根分けても探しなさいよ!!」

 

???「そうは言っても……。ここまで見つからないなんて、おかしいですね……。」

 

そこには、4人組の美女達が揉めている姿があった。もしかして、あの人達……コイツが言っていた、嫁さんと仕事仲間なのか!?

 

?(八幡の姿)「おい!そんなに注目するな!バレたらお前まで巻き添えになるぞ!!」ヒソヒソ

 

八幡「あ、ああ。悪い。分かった。」ヒソヒソ

 

男に促されホテルを無事に出た俺達は、止まっていたタクシーをに乗る事になった。

 

?(八幡の姿)「よし。ここまでくれば大丈夫だろ。」キィィィィィン

 

男は俺の姿から元の姿に戻る。マジでコイツ何者だよ……?

 

横○「おっ、そう言えば、自己紹介してなかったな。俺は横○忠夫って言うんだ。それでお前は?」

 

八幡「……比企谷八幡だ。」

 

横○「そうか。宜しく頼むぜ、兄弟!」

 

八幡「……誰が兄弟だよ……。」

 

こうして俺は、謎の男改め横○とタクシーに乗り、すすきのに行く事になったのであった。

 

 

~すすきの~

 

横○「いやー!やって来たぜ!!すすきのよ、私は帰ってきたーーー!!」

 

ニッカウイスキーの絵やいろんなビール会社の看板をはじめ、きらびやかな街の灯りが彩られている街、すすきの

 

そこに到着した途端、横○はこのハイテンションである。

 

アンタ、初めて来たんだろ?何で某ガン○ムの名台詞を使って、そんなデタラメ言ってんだよ?

 

八幡「なあ、横○さん。」

 

横○「うん?どうした?」

 

八幡「アンタ、お礼がしたいって言ってたけど、まさか……。」

 

横○「おう、そのまさかだ。お前に風俗を奢るよ。」

 

八幡「…………へっ!?」

 

や、や、や、やっぱりか……!!ま、ま、ま、まさか、本当にそうだったとは……!!

 

八幡「い、いや、でも悪いだろ!たがが、ここに行くのを協力しただけで……!!お金だって、そんな余裕あんのかよ!?」

 

横○「いや、お前がいなかったら、俺はここに来れなかったかもしれないだろ?本当にお前には感謝してるんだ。お金の事なら、心配するな。」

 

八幡「えっ!?マジかよ……!?」

 

横○はそう言いながら、スーツの胸裏のポケットから1万円の札束をこっそり見せつける。アンタ、マジに何者だよ……?如何わしい仕事してんじゃねぇだろうな……?

 

横○「まあ、そういう訳だからさ。お前に借りを返す意味でも、風俗を奢らせてくれよ。大人としてさ。」

 

…………以前、『ある人』が俺を『ある言葉』で評した事がある。その人に対して、こう言いたい。

 

『俺は理性の化け物をやめるぞーーーーーー!!雪ノ下陽乃ーーーーーー!!』

 

……はい。DI○様ですね、わかります。

 

しかし、今の俺の心境は、それぐらい興奮していた。だって、考えてみろ?見ず知らずの男をすすきのに行くのを助けて、お礼が風俗奢るだぜ?

 

普通に考えて、こんな大チャンス、滅多にないじゃないか!!

 

横○「ん?どうした?お前、風俗行くの嫌なのか?」

 

心の中で興奮していて返答していなかった俺に、横○が尋ねてきた。その問いに対して、すかさず俺は答える。

 

八幡「とんでもない!!付いていきますぜ、兄弟!!」

 

横○「お~!お前もノッて来たじゃないか!!では、共に行こうぜ、兄弟!!」

 

八幡「おおーーーっ!!」

 

親父、お袋、小町、戸塚、どうやら俺は、魔法使いにも天使にも妖精にもなれないようだ。今日で汚れた体になってしまう、俺を許してくれ。

 

八幡「それで横○さん、もう行く店は決まってんだろうな?」

 

横○「ああ、勿論だ!少し先に、俺の行きたい店があるからな。付いてこれるか?」

 

八幡「付いてこれるかじゃねぇ!アンタの方が付いてきやがれ!」

 

横○「良いね~!最高だね~!兄弟!!」

 

最早、自分でも信じられないくらいのハイテンションで有頂天になっている。横○もそんなハイテンションに便乗して、有頂天になっている。さっきの眠気なんて、あっという間に無くなったぐらいだ。

 

しかし、運命の女神がそんな俺に天罰を降す事になるとは、この時の俺は知るよしもなかった。

 

~すすきの・ラーメン横丁付近~

 

「ちょっ、ちょっとやめてよ!それ、ないんですけど!マジウケないんだけど!」

 

「なあ、そんなに嫌がる事ねぇじゃん。少し遊びに行こうって言ってるだけだろ?」

 

「そうだぜ。せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?そんなに怒っちゃ。」

 

「いいじゃねぇか。俺達と一緒に遊んだら、楽しいぜ?」

 

八幡「あん……?何だ?」

 

俺と横○が目的の風俗店の付近にやって来ると、何人かの男が1人の女を強引にナンパしている光景が見えた。

 

女の方の声は、どっかで聴いた事があるような声だ。口調も何となく、聴いた事があるような……。

 

横○「ほうほう、強引なナンパか。これは、少し頂けないな。」

 

横○がナンパの光景を見て、顔を少し歪ませる。まあ、確かに見てて気分の良いものではないからな。

 

「いい加減にしなよ!私、アンタ達のようなゲスなヤツら、興味なんて全く無いんだから!舐めんじゃないわよ!」

 

八幡「……あれ?」

 

やっぱり、何処かで聴いた事あるよな?この声……。そう思い、女の方をよく見てみると……。

 

八幡「……はぁっ!?う、嘘だろ!?何で……!?」

 

横○「へっ?どうしたんだ?」

 

その女は、『俺のよく知っている女』だったのだ。『その女』は、ナンパしている3人組の男達に対して、啖呵を切っていた。

 

「…………えっ!?」

 

八幡「あっ…………!!」

 

俺が思わず大声で驚いた事で、『その女』も俺がいる気が付いてしまう。それまでの怒りの表情が、見るからに希望に満ちた表情になっていく。そして、『その女』は俺に向かって、こう叫んだ。

 

「ダーーーーリーーーン!!」

 

八幡「…………はいっ!?」

 

『その女』――――『折本かおり』はそう言いながら、こっちに向かって走っていく。

 

俺にとっての『いろんな意味で最悪な夜』の1つ、それは、折本かおりとの旅行先でのまさかの再会だった。

 

 

 

 

 

 

 

――――おまけ・第8話――――

 

~すすきの(折本かおりside)~

 

かおり「へぇー、なかなか悪くないかもね。」

 

私はサッポロビール博物館から帰ってきた後、しばらくホテルで過ごしていた。しかし、あまりにも退屈過ぎたので、母さんに『コンビニ行ってくる』と言って、すすきのの街を散策していた。(因みに父さんは、飲み過ぎて酔いつぶれていた。)

 

いろんな看板が綺麗に彩られているし、流石は日本3大歓楽街と言われるくらいの街だなぁと、素直に感じた。

 

かおり「さて、何処のコンビニ行こうかな?定番のローソンやセブンもあるけど、やっぱり北海道と言ったら、セイコーマートかな。」

 

そんな感じでブラブラしていたら、私にとって最悪な瞬間がやって来た。

 

「よう、そこの可愛い姉ちゃん。」

 

かおり「えっ?」

 

私の目の前に突然、私に声をかける3人組のガタイの良い男達が現れた。突然の事で、私は思わず後ずさりしてしまう。

 

「めっちゃ可愛いじゃねぇか。この後、暇だったら、俺達と少し遊ばねぇか?」

 

「何、心配する事はねぇよ。姉ちゃんの悪いようにはしねぇからよ。」

 

かおり「はぁっ!?」

 

突然現れた上に、このナンパ行為……!マジでないんだけど!

 

かおり「悪いけど、他当たってくれる?私、アンタ達に構うほど暇じゃないから。」

 

私は、胸の中に秘めた怒りを抑えつつ、出来るだけ丁重に断ろうと思った。しかし、怒りを隠しきれないのか、少し口調を厳しくしながら断ってしまったのだ。

 

「へえ、俺達を目の前にして、なかなか度胸のある女だぜ。」

 

「こんなに厳しく断られたのは、『アイツら』以来だなぁ。ますます、一緒に遊んで欲しくなっちまった。」

 

「『アイツら』に負けないくらいの可愛い子ちゃんだし、可愛がってやろうぜ。ホラ、来いよ!」

 

かおり「いや!ちょっ、ちょっと!!」

 

私は逃げ出そうとしたが、その寸前に男達の1人に腕をつかまれ、逃げ出すのを失敗してしまい、別の所に連れてかれた。

 

 

 

~すすきの・ラーメン横丁付近~

 

かおり「ちょっ、ちょっとやめてよ!それ、ないんですけど!マジウケないんだけど!」

 

逃げられない事は分かっていても、私はせめてものの抵抗で、男達を精一杯睨みながら、怒りの言葉を吐いていた。こんなヤツらと遊びに行くなんて、私のプライドが許さない。許す筈がない。

 

「なあ、そんなに嫌がる事ねぇじゃん。少し遊びに行こうって言ってるだけだろ?」

 

「そうだぜ。せっかくの可愛い顔が台無しだぜ?そんなに怒っちゃ。」

 

「いいじゃねぇか。俺達と一緒に遊んだら、楽しいぜ?」

 

しかし、男達はそんな私を厭らしい目付きで嘲笑っている。そんな男達の態度に、私は完全にブチギレた。

 

かおり「いい加減にしなよ!私、アンタ達のようなゲスなヤツら、興味なんて全く無いんだから!舐めんじゃないわよ!」

 

この後、どうなるのか分からない。しかし、コイツらの女を舐め腐った態度が、どうしても許せなかった。だから、言わずにはいられなかった。

 

それと同時に、何故かは知らないけど、『アイツ』の姿が脳裏に浮かぶ。ナンパしてきたのが、こんなヤツらより『アイツ』だったら……と何故か思ってしまった。(『アイツ』は絶対、ナンパなんてしないだろうけど。)

 

そんな事を思っていた時、私にとっての『奇跡』が起きた。

 

「……はぁっ!?う、嘘だろ!?何で……!?」

 

突然、聞き覚えのある大きな声が、私の耳に入ってきた。

 

かおり「(えっ……今の声……!?)」

 

まさかと思い、私は声のした方を振り向くと

 

かおり「…………えっ!?」

 

八幡「あっ…………!!」

 

こんな『奇跡』ってあるんだろうか。そこには、知らない男と一緒にいる『アイツ』――――『比企谷八幡』の姿があったのだ。

 

比企谷の姿を見た瞬間、これまでの怒りの感情と違い、心の中に暖かいものを感じて、私の表情が柔らかくなっていくのを感じる。

 

そして、男達が比企谷達の方を振り向いた一瞬の隙を突いて、男達から脱出した私は、

 

かおり「ダーーーーリーーーン!!」

 

八幡「…………はいっ!?」

 

この場を凌ぐ為に、比企谷と『偽の恋人』を演じる為に、比企谷のもとに一目散に駆けていった。




以上、第10話でした。

謎の男の正体及び今回のゲストの作品は、変化球どころかビーンボールクラスでしたw

今の10代~20代で知っている人、いるんでしょうかねw

では、また次回お会いしましょう!

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