食戟のソーマ 十席番外 第零席に座る者   作:北方守護

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第3話 宣言

武昭が入学試験を終えてから数日後………

 

「えっと、ここが入学式の会場か……ん?」

武昭が指定されたテントに入ると赤い髪の男子生徒が座っていたので声をかけた。

 

「んーと、ここにいるって事は……君も高校から編入してきたのか?」

 

「あぁ、そう言うって事はあんたもなんだな。俺の名前は幸平創真だ、ソーマって呼んでくれ」

 

「わかったよソーマ。俺は照杜武昭、俺の事も名前で呼んでくれ」

 

「おぉ、宜しくな武昭(ん、武昭の手……この手は……)」

武昭と握手をしたソーマは、その手に何かを感じた。

 

「おいソーマ、なんか呼ばれてるぞ」

 

「あ、あぁ……所信表明って奴っすか?あんまり、そんなのは得意じゃないんですけど……」

ソーマは係員に言われて壇上で所信表明をしたが上から目線の宣言で

他の生徒達からブーイングを受けていた。

 

「ふぅ、緊張したぜ 痛っ!?何するんだよ!武昭!!」

 

「お前な!俺が次に居るって事を忘れてるんじゃねぇよ!!

全く、俺の番かよ……」

係員に言われたの武昭は壇上に上がった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

武昭が壇上に上がると生徒達の視線が刺さってくる様だった。

 

(ちっきしょー ソーマのせいで俺まで睨まれてるじゃねぇか)

 

「えーっと照杜武昭って言います。 俺の前の奴はここを踏み台みたいな事を言ってましたけど

俺はここにいる皆と切磋琢磨して、そして……男として生まれたからには………

一番になって卒業したいと思います! これで俺の所信表明を終わります」

壇上から降りた武昭はテントに戻るとソーマに軽く説教をしていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

入学式が終わって最初の授業が始まっていた。

 

「入学式の次からすぐに授業……さすが、それだけの場所なだけはあるな………」

 

「ねぇ、君が私と同じクジの人だよね?」

武昭が声のした方を見ると赤紫色の長髪の女生徒がいた。

 

「あぁ、そうだけど……君が俺のペア?」

 

「そうだよ、私の名前は榊涼子。あなたは照杜武昭君だよね」

 

「なんで俺の名前………あぁ、朝の編入式の奴か」

 

「照杜君は、あの幸平君て人と違うね」

 

「まぁ、ソーマとは朝に会ったのが初対面だからな」

 

「ふーん、そうなんだ。あっ、先生が来たよ」

2人が話してると割烹着を着た講師が入ってきた。

 

「今日の課題は“鱧の椀とお造り“だ。では調理開始」

 

「鱧の椀とお造りか……照杜君は椀の出汁を取っておいて」

 

「あぁ、構わないけど………鱧を捌くのは俺がやろうか?」

 

「大丈夫よ、鱧は捌いてある奴を使うみたいだから……キャッ!」

 

「危ない!涼子!! くっ……」

涼子が発泡スチロールを開けると活魚の鱧が飛び出して涼子に噛み付こうとしていたのを

武昭が庇った。

 

「照杜君!?大丈夫なの!!」

 

「あぁ、これ位なら問題ないよ………けど、かなり歯が食い込んでるな……」

 

「そんな事より、早く保健室に行かないと!!」

 

「いや、こんな事は店をしてたら起こる可能性があるんだ。それを教えたかったんだよ」

武昭は講師の方を見たが特に慌ててる様子がなかった。

 

「涼子、コイツを捌けば後を任せても良いか?」

 

「う、うん……問題ないけど……(照杜君に名前で呼ばれてるけど、何処か嬉しいな)」

 

「じゃあ、やりますか! よしっ!涼子、捌いたから続きを頼む」

武昭は鱧に腕を噛まれたまま捌くと身を涼子に渡した。

 

「(嘘……あんな体勢で……)うん!仕上げは私がするから照杜君は傷の手当をして!!」

 

「手当は私がしよう、こっちに来るんだ」

武昭は講師に連れられて隣の部屋に行った。

 

その後、講師が味を確認して武昭と涼子のペアは評価Aを貰った。

 

 


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