食戟のソーマ 十席番外 第零席に座る者   作:北方守護

10 / 14
第9話 義兄との再会

授業を終えた武昭は校内を歩いていた。

 

「参ったなぁ……シズ姉に放課後って言われたけど

場所とか聞いてなかったっけ……」

 

「んー?誰かと思えば武昭じゃねぇーか」

 

「あっ、竜胆先輩でしたか、どうも」

武昭が相手を確認すると竜胆だった。

 

「どうしたんだ?何かを探してるみたいだけど」

 

「えぇ、シズ姉……紀ノ国先輩を探してまして」

 

「んー?なぁ!今、紀ノ国の事をシズ姉って呼ばなかったかぁー!?」

 

「う、うわっ!?り、竜胆先輩!離れて下さい!!」

武昭は竜胆に抱きつかれて顔を赤くした。

 

「嫌だ 武昭が紀ノ国との関係を話すまで離れないぞ

なぁ?どうやってあの紀ノ国と付き合い始めたんだ?」

 

「うなっ!?つ、付き合い始めたって、俺とシズ姉は、そんな関係じゃないですよ

昔からの幼馴染ってだけですよ」

 

「ふえっ?幼馴染って……そうなのかぁー」

 

「それよりも、離れて下さい竜胆先輩っ!」

 

「んー?どうしてなんだー? あっもしかして恥ずかしいのかぁ?」

竜胆は武昭が赤い顔をしてるのを見て体を押し付けてきた。

 

「そりゃ、竜胆先輩みたいな綺麗な女性にこんな事されて恥ずかしくない訳ないじゃないですか」

 

「ふえっ!?、き、綺麗って……私がか、そ、そっか……」

武昭の言葉を聞いた竜胆も顔を赤くして離れた。

 

「わ、悪いなふざけちゃって」

 

「いえ、気にしないで下さい…それよりも竜胆先輩は何をしてたんですか?」

 

「いやー 何か面白い事が無いかなって校内をブラついてたんだ」

 

「そうだったんですか」

 

「そうなんですか………先輩は自分の仕事が残ってるのにブラブラしてたんですか………」

何か冷たい声が聞こえたので振り向くと寧々がいた。

 

「よ、よぉー紀ノ国ー どうしたんだ?何か怒ってるみたいだけど…」

 

「別に怒ってませんよ………ただ先輩の仕事が残ってるから探しに来ただけです……」

 

「き、紀ノ国先輩……り、竜胆先輩は「黙ってて…」はい……」

竜胆を庇おうとした武昭は寧々に睨まれて黙り込んだ。

 

その後……

 

「ごめんね武昭君、竜胆が面倒をかけたみたいで………」

 

「い、いえ、俺も悪い所がありましたから」

武昭と竜胆は寧々に連れられて十傑が書類仕事をする部屋に来ていた。

 

「それにしても武昭君と紀ノ国君が幼馴染なんて思わなかったよ」

 

「俺もシズ姉に再会出来るなんて思ってもみなかったです」

 

「僕も君と会えるなんて思わなかったよ………()()()

 

「えっ?………俺をそう呼ぶのは……それに、その声は………」

武昭が相手を確認すると制服を着た一色が立っていた。

 

「ケイ兄……本当に………ケイ兄……なの?」

 

「あぁ、だって僕が、そう呼ぶって決めたじゃないか、アキ君」

一色は武昭の頭を撫でた。

 

「昔もこうして、頭を撫でたよね………本当に大きくなって……」

撫でられた武昭は泣いていたが皆は見て見ない振りをしていた。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。