俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような? 作:ボストーク
本日は午後から予定がぎっちりなので強行アップです(^^
さて、今回のエピソードは……仄かに”
苦手な方はご注意ください。
先に言っておきますと、一誠は
木場が時折、不穏当な発言をするかもしれませんが、悪魔で
前回までのあらすじ
俺は会長、ソーナお嬢様にボッチだと思われていて、でも別のクラスに独りだけ友達が居ると告げたら本気で驚かれた。
……ちょっと凹んだ。
ついでに言えば、その友達も転生悪魔だったらしい。
「ということが生徒会であった」
「へぇー。そうなんだ?」
”キィーン!”
擦れ違い際に俺と祐斗の刃を潰した
祐斗は両手握りのバスターソードのような肉厚の両刃長剣、俺は左手に”
俺が悪魔に転生する前は祐斗が悪魔だって正体を隠していたせいもあり、互いに木刀だったけど、新人とはいえ俺も同じ悪魔ってステージに立った以上、少々木刀じゃ心許無い……ぶっちゃけ何本折っちまうかわからないから、昨日の夜に祐斗に電話して「使うの実剣にしね?」って提案したわけだ。
すると二つ返事で了承され、しかも「じゃあ剣は僕が用意するよ」と嬉しそうに返された。
もしかしたら祐斗は俺が悪魔になった……より高いレベルで修行できるようになったことが嬉しいのかもしれない。
ちょっと考えればわかるけど、自分が悪魔でしかも正体隠さないとならなけりゃ、今までの俺との鍛錬も相当に加減してただろう。
手を抜くとかっていうのとは別次元の話で、力加減をしなければ”か弱い人間”相手じゃ鍛錬どころか肩慣らしにもならないだろうからな。
俺はいつも全力で祐斗にぶつかっていけたけど、アイツがそうじゃなかった……そうはできなかったって考えると少し心苦しい。
武人にとって、心置きなく全力を向けられる相手が居るってのは実に幸せなことだ。
それにしても、剣を用意するとは言ってたけど……
(まさか、その場で”
いや~、驚いたよ。
祐斗も神器(セイクリッド・ギア)持ちで、それも”
実際、汎用性は高くて名前の通りの魔剣だけじゃなくてこういう訓練用の模造刀もでも瞬時練製で創造できるってんだから大したものだ。
『とりあえず僕と一誠君が全力で打ち合っても壊れない強度には、仕上がってるはずだよ』
と人懐っこいけど隙のない笑顔で言われたら、なるほど確かに祐斗が女子の人気独り占めしてるってクラスの男子(特に
***
ああ、そういえば俺、兵藤一誠が今どこにいるかってまだ話してなかったけ?
ここは駒王町の外れにある雑木林の中、その少し開けた場所だ。
人目につきにくく、なおかつ近くに綺麗な小川もあるって、日帰りで軽く剣術の修行をやるには中々のロケーションだった。
俺が背中に着替えを詰め込んだデイパックを背負い愛用の赤い
実はちょうど1年前、剣術の修行を本格化させたくて木刀とかを振り回す関係上、人目につかない適当な修行場所を探してロードバイクで郊外をうろうろしてた俺が祐斗と偶然エンカウントしたのもここだった。
祐斗は元々、ここがトレーニング場所だったらしく、同じ目的で走り回ってた俺はすぐに意気投合。
おまけに剣客としては俺とは比べ物にならないくらい上に居た祐斗が、「僕も他のジャンルとの格闘家との戦いは参考になるし」ってことで快く指南を引き受けてくれたのだ。
ホント、いい奴だなって思う。
俺みたいな格闘馬鹿のボッチに付き合ってくれるんだからきっとボランティア精神に溢れてるんだろう。
悪魔だけど。
***
「そういえばさ祐斗」
「なんだい? 一誠君」
俺たちは互いに油断なく切っ先を向け合いながら、
「グレモリーお嬢様の眷属悪魔なんだってな? 正直、昨日ソーナお嬢様に聞いたときは驚いたぞ?」
「”グレモリーお嬢様”? ああ、部長のことか。アハハ、さすがに『僕は実は悪魔なんだけど友達になって、一緒に修行してくれるかい?』って人間だった頃の一誠君に言えないだろ?」
と爽やかな笑顔で言ってくれるが、
「まあ、そりゃあな。どちらかと言えば祐斗の場合、女の子に『僕と契約して彼女になってよ?』とか言った方が効果ありそうな気がする」
というか先輩後輩同級生を問わず、」うちの学校の女生徒の大半は「木場きゅんの物になれるなら喜んで♪とか言って喜んで魂を差し出しそうだ。
すると祐斗、ちょっと心外って顔をして、
「流石に
「こらこら。何をいいだすのかな、この子は? ボッチの俺をつかまえて」
俺のボッチは、駒王学園生徒会長のソーナお嬢様公認だぜ?
そんじょそこらのボッチと一緒にすんなよ? あー、虚しい。
「知らぬは本人ばかりなり……」
祐斗は何かボソッと言ったが、どうにも聞き取れない。
「何か言ったか?」
「別に。とりあえず
「まあ、厳密には祐斗の言う通りなんだけどさ。う~ん……
祐斗は苦笑しながら、
「またおかしな新語を……でも僕も驚いたかな? 一誠君がシトリー様の眷属になったって部長に聞いたときは」
「なんだ? そっちは俺のこと結構前に聞いてたのか?」
「うん。ごめんね? 実は一誠君が悪魔になったその日にね。部長から聞いてびっくりした」
「何故、謝るんだよ? 別に俺もお前も気にするような話じゃないだろ?」
「そうなんだけどさ……でも、正直嬉しかったよ。一誠君が悪魔に転生したって聞いて、さ」
と俺が女だったらコロリと逝ったかもしれない綺麗な笑顔の祐斗だったが、不意に表情を曇らせて、
「……本当は喜んじゃいけないのにね」
「そうか? 奇遇なことに俺も祐斗と同じく喜んでるぞ?」
「えっ?」
何を本気で驚いてんだよ?
「これでようやく祐斗と同じステージに立てたからな。これまでの修行、随分と手加減……パワーセーブしてくれてたんだろ?」
「うん。その……」
申し訳なさそうな顔をする祐斗に、
「いや、いいって。悪魔が人間相手に全力出したら、それこそ一方的過ぎて修行になりゃしないだろうからな。それに手加減はしても手抜きはしてなかったんだろ?」
「一誠君に、そんな失礼なことしないよ!」
「ならいい」
俺はブーステッドギアをはめた左手を引きながら貫手の構えをとりつつ、右手のカトラスを片手構えで正眼の位置へ持っていき、
「俺はようやく祐斗が本気出しても壊れないようになったぜ? お前はどうする?」
「もちろん……」
祐斗は珍しく獰猛さを感じる笑みで、
「全力でいくよ。それが一誠君への礼儀だからね?」
「よく言った!」
そして俺と祐斗は裂帛の気合と共に、再び激突する!!
***
「はぁ~……祐斗、やっぱりお前強いわ」
「一誠君、それを君が言ったら駄目だって」
俺たちは仲良く雑草の中で大の字になっていた。
祐斗が放ったのは師匠直伝らしい”三段突き”。
何度も見てきた技だったが、これまでと比較にならないスピードとパワーが乗ったその技は、切れ味や突きの発射速度まで格段に上回っていた。
一段目は篭手で逸らし、二段目はカトラスで受け流したけど……三段目は胴体にもろに受けた。
切っ先も平たく潰してあったから串刺しにはならなかったけど、人間の頃なら間違いなく肋骨全壊&内臓破裂で即死だったろう。
ただやられっぱなしじゃ癪だったんで、倒れ際に勢いを利用して爪先を跳ね上げ、技が決まって微かに油断していた祐斗の顎を、死角から蹴り上げた。
祐斗の顔面蹴飛ばすなんて、クラスの女子が聞いたら卒倒しそうだ。
悔し紛れの一発だし、当たったのは正直祐斗の油断と、たまたまタイミングがドンピシャだった偶然の賜物だ。
だけどそれがアッパーカット気味に入ったからこそ、この結果だった。
まあ、運も実力の内って言うしな。
「ところでさ」
「じぃー」
「何?」
「じぃー」
「最初から気になってたんだが……」
「じぃー」
俺はようやくダメージが抜けてきたことを確認しながら、体操服姿の女の子座りでダブルノックダウン状態の俺たちを覗き込む白髪で小柄なシルエットの童女を見ながら、
「この娘、だれ?」
皆様、ご愛読ありがとうございました。
イッセーと木場が
なんか、ラストのラストに『この娘、誰なんだろうなー?(棒)』って娘も出てきましたが、彼女の正体込みでイッセーが木場相手に剣術修行してる理由とかも出てきます。
基本、木場は実戦剣術でイッセーは「剣術込みの体術」って感じで、拳法に武器格闘が普通に入ってる中国武術に近い印象です。
それにしても……リアス、逃がした魚は巨大だぞっと(笑
そういや鯉は滝を登って龍に至るとかなんとかって……(^^
次回は「休日の修行」パートの続きです。
ホント、原作にない日常編がめちゃくちゃ多いこのシリーズ、皆様に早々飽きられなければいいのですが(汗
それでは皆様、また次回でお会いできることを祈りつつ……
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