俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような?   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ。
さて、今回のエピソードは……ある意味、サブタイ通りに”この世界”における黒歌の正体、正確には人間バージョンの初登場になります(^^

果たして彼女は何者なのでしょうねー(棒




第48話 ”黒歌ちゃんってなんですか?”

 

 

 

さて、世の中には色々な報酬がある。

金銭授受はその代表格だ……というより、報酬と言ったら普通は金である。

もちろん、現物支給とかもあるのだけど……

 

「えいっ☆」

 

俺のベッドで寝転がっていた魔王少女ことセラフォルーお嬢様が、我が家のマスコット兼アイドルである愛猫の黒歌をポーンと天井近くまで放り投げると……

 

”BOM !”

 

魔法少女物っぽいピンクのスモーク・エフェクトの後にストンと音を立てずに降り立ったのは、

 

「にゃあ♪」

 

黒く長い髪に猫耳、白い肌に金色の猫目に尻尾を付けた……

 

「やっとこの姿で”()()()()()”に会えたにゃあ♪」

 

凹凸のない小さな肢体をミニの黒い着物に(くる)んだ、

 

「び、()()()ぉ~~~~っ!?」

 

って、えええ~~~っ!?!

 

 

 

***

 

 

 

ぼ、僕……じゃなかった俺の胸にダイブしてきてそのままの勢いで押し倒し、腹の上に馬乗りでちょこんと座るのは、おそらく見た目二桁に届いてないように見える猫耳幼女……というか”黒ぬこ幼女”?

 

ああ、そういえばドラグ・ソボールが連載されてた週刊少年誌(ジャプン)に、こんなキャラが出てきた漫画があったけ? そう確か……”() Loveる”とかって感じのタイトルのバトル系ラブコメで。

 

「お前、本当に黒歌……なのか?」

 

ただ、向こうは褐色の肌でこの娘は黒髪や着物とのコントラストが映える白い柔肌、言うならば2Pカラーってとこか?

 

「にゃあ♪」

 

黒猫幼女……いや、黒歌は嬉しそうに頷くと、座った姿勢のまま前に倒れこみ俺の胸板をスリスリしながら匂いを嗅いで、

 

「いつものごしゅじんさまのにおいにゃ……」

 

お耳ピクピク、尻尾&お尻フリフリでうっとり顔で呟いた。

な、なにこの可愛い生物?

 

 

 

”ぽこっ”

 

「にゃ!?」

 

そのままクンカクンカしてた黒歌の頭に軽く拳を落としたのは、セラフォルーお嬢様だった。

 

「こーら☆ そろそろちゃんと自分のことちゃんと説明しないと、イッセーちゃん困惑しちゃってるよ?」

 

「にゃあ……()()()()()、わかったよお」

 

 

 

***

 

 

 

「ご主人さま、えっとね……」

 

黒歌の言葉を借りれば、本来の姿は”猫又”の由来となった「二又の尻尾」をもつ”黒い成猫”だったらしい。

 

「でもね……」

 

だけど、”SS級はぐれ悪魔”認定され追いかけてきた悪魔を全滅させた後、自分の強力な妖力は更に来るだろう、よりプロフェッショナルな追っ手(チェイサー)にとって格好のマーキングになると思い立ったのだ。

 

妖怪の持つ固有の超常の力である妖力は、魔力とほぼ同じ物でありながら”エネルギー質(フレーバー)”が僅かに異なる。

その僅かな質感の違いに気付かぬプロのチェイサーはいないだろう。

しかも転生悪魔となった”()()の黒歌”の波動は、妖力に魔力が相乗された”特有のエネルギー波形パターン”……つまり、これ以上ないほど黒歌の存在を示してしまうのだ。

 

「だからね……」

 

だから、黒歌は自分が持てる仙術と妖術の知識を総動員して、”()()()()()”に出たのだった。

即ち、「肉体的な擬似時間逆行による能力の隠蔽」だ。

本来は、”猫猖(ねこしょう)”という猫又の上位種にあたる黒歌だが、生まれ乍らに全盛期の力を持っていたわけじゃない。

子供の頃はやはり弱い妖怪であり、弱さゆえに住処を追われた……つまりはそういうことらしい。

それを思い出した黒歌は、猫又の象徴とも言える二又の尻尾が一本になるまで擬似的に肉体を退行させ、己の力を封じたらしい。

聞いただけで黒歌の持つ力量が伺えるエピソードだった。

 

「だけどね……」

 

完全に仔猫の姿に戻り、妖力も魔力も並みの悪魔じゃ探知できないレベルまで小さくし、見事に腕利きのチェイサー達から逃げ延びた黒歌だったけど……それが仇になってしまった。

 

本当ならなんてことはなく返り討ちに出来る筈の野良の雑魚妖怪に奇襲を受け、深手を負ってしまったのだ。

相手にしてみれば、「ちょっとだけ力を持った仔猫」などいかにも美味そうな餌に見えたに違いない。

命からがら逃げることには成功したけど、自分は瀕死の重態……もはや力尽きようとしたときにたまたま通りかかったのが、

 

「ご主人さまだったにゃん♪」

 

 

 

あー、思わず俺が黒歌の言葉のほとんどを掻い摘んでしまったけど……これには理由がある。

 

「それでね、今も仔猫だから人化して童子の姿になっちゃうにゃあ♪」

 

とまあそんな訳だ。

アリストテレス(あるいはそれの解釈者であるトマス・アクィナス)によれば、「人間の精神と肉体は不可分なもの」であるらしい。

それはどうやら妖怪にも悪魔にも該当するようだ。

何が言いたいのかと言うと……黒歌はひどく舌っ足らずなのだ。

頭の出来は最盛期の頃と変わらないのかもしれないけど、身振り手振りまで加えて一所懸命喋ろう伝えようとする姿は愛らしいのだが、どうにも取り留めなく長くなりすぎる。

 

という訳で俺がまとめたのだけど、

 

「えっ? じゃあ本来の黒歌って……」

 

「セラにゃんより背が高くてバインボインにゃん♪」

 

「むー☆ それはお姉さんに対する挑戦状かなかな?」

 

とはいつの間に横に寝転がっていたセラフォルーお嬢様の弁。

あっ、ちなみにセラフォルーお嬢様はソーナお嬢様に胸で大勝し身長で敗北していて、かなりの童顔だけあっていわゆる”ロリきゅぬー”に近いカテゴリーらしい。

確かに今はいてるイチゴ柄のパンツとか似合ってるし。

 

押し倒されたままの体勢の俺は、黒歌の黒髪を撫でる。

気持ち良さそうに目を細める黒歌……俺の腹の辺りが妙に生暖かく湿った感触があるが、今は気にしないほうがいいだろう。

 

「いや、黒歌はそのままでいいよ。ナイスバディの大人な黒歌ってのは、どうもチグハグな感じがする」

 

これは仕方のないことだと思うぞ?

なんせ俺の中の黒歌のイメージって「拾ったときからずっと成長しない仔猫」のまんまだ。

今の状態を擬人化と考えるなら、せくしーだいなまいつなボディで現れても違和感が半端じゃなく仕事するだろう。

 

「ご主人さまはもしかして、ちっちゃくて幼い娘が好きにゃん?」

 

何か期待を込めた瞳で見られてますが……

 

「特にそうってわけじゃないが、黒歌は人化はそっちの方が似合うとは思う。というか多分、大人バージョンで現れたらリアクションに困りそうだ」

 

 

 

***

 

 

 

「でも、ちゃんとした戦闘やるなら”大人(フル)バージョン”じゃないときついんじゃないかな?」

 

「格闘戦ならそうじゃないときついかもしれにゃいけど、”うぃざーどの戦い方”にゃら尻尾を二本に戻して妖力と魔力の封印を外せば元通りにゃん」

 

そして黒歌はニシシと笑い、

 

「それに飛んでも跳ねても微動だにしないおっぱいとちっちゃい体のメリットもあるにゃん。リーチもパワーもないけど、その分、(まと)が小さくてすばしっこく動けるにゃん♪」

 

要するに当たらなければどうと言う事はないって奴か?

猫としてはそっちの方が正道な気がするな。

力強さと打たれ強さを誇る小猫ちゃんは、同じ猫科でも虎とか大型のそれの戦い方かもしれない。心意六合拳とか似合いそうだ。

 

「それにセラにゃん、このぐらい力を絞らないと”れーでぃんぐげーむ”に出させてもらえないにゃんよ?」

 

あー、そうだ。

 

「すっかり忘れていたけど、そもそも事の発端は『黒歌を俺の使い魔にする』って所から始まってたんだっけ?」

 

「にゃん♪」

 

そう言えば、黒歌からお尋ね者の頸木(くびき)を外したのも、”始末屋稼業作戦(オペレーション・パニッシャー)”で()()()したのも、根本的にはそこが理由なんだよなー。

 

 

 

「だからご主人さまぁ……黒歌をどうかご主人さまの使い魔にしてください」

 

「そうだよ☆ そのためにイッセーちゃんは頑張ったんだしね?」

 

そりゃそうだな。

すると、黒歌は俺に跨ったまま再び上半身を起こして……

 

「だからね、ご主人さま……」

 

”するり”

 

ハイライトの消えた金色の瞳で黒い着物を肌蹴(はだけ)させ……

 

「黒歌の胎内(なか)に、ご主人様との”契り”を恵んでくださいにゃん♪」

 

……

………へっ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
黒歌ちゃん(人化ver)の正体は、合法ロリでしたぁ~♪なエピソードは如何だったでしょうか?

ロリ黒歌のヴィジュアルイメージは、『ToLOVEる-ダークネス-』に出てくる”マスターネメシス(猫耳&尻尾仕様)”の2Pカラー(色白)です。
実はロリ黒歌の設定は古く、シリーズ当初から仔猫と表現し続けたのはこの伏線だったりします(^^
予想していた読者様はいるでしょうか?

言うならば、ナイスバディの原作黒歌に対する”原作乖離の象徴”みたいな感じでしょうか?
た・だ・し……言動はいくぶん幼くても、中身はやっぱり黒歌。その上イッセーには命の恩人であることも相まって、原作とは比べ物にならないくらいにぞっこん。
故にビジュアル的にも台詞的にもなんだか不穏なことに……

次回、果たしてセラフォルーはストッパーになれるのか!?
絶対、無理な気がするけど……
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!






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