俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような?   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ。
今回のエピソードは……イッセーvsチェイサーの後半戦です。

大技が出た前回のラストですが、その顛末は……?

そしてお久しぶりの面々が再登場かもです(^^




第44話 ”ドラゴン・クレイモアってなんですか?”

 

 

 

殲滅の剣龍散弾(ドラゴン・クレイモア)”は、原理で言えばそう難しい技じゃない。

言ってしまえば、”赤龍の雷炎弾(ブラスト・ショット)”のバリエーションと考えてもそう的外れじゃないかもしれない。

 

実際、体内の素龍子(DQ粒子)を”赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”の掌底に仕込まれた励起システム、翠の”()()”に集中/発射するというプロセスやアクションは、男堕天使を完全消滅させた『”赤龍の雷炎弾(ブラスト・ショット)”、そのフルチャージ・リリース(全エネルギー圧縮解放)』と変わらない。

 

だが、”弾の精製”段階が全く違う。

ブラスト・ショットは基本的にドラゴン・ブレスが変化した亜種で、ドライグが得意な火炎と雷の性質……電磁球体力場の中に高温高圧のプラズマ火球を封入し、リニアバレルで打ち出す技、SFなんかによく出てくる”ブラスター”の一種だと言える。

 

巨大な1発弾(フルチャージ)”なら高強度電磁力場の球体にそのままプラズマを封入し、必要なら再圧縮すればいい。

 

だがドラゴン・クレイモアは、”貯蔵(プール)”している任意のエネルギー量を任意の数に分割し、個別圧縮/個別封入をする……つまりは”DQ粒子の圧縮エネルギー散弾”を精製し、それを掌の励起宝玉で「巨大な一粒弾に見えるほど」まで圧縮し、掌に励起させ任意のタイミングで解放する技だ。

 

通常のプラズマ火球は、不可視の”電磁加速力場砲身(リニアバレル)”で加速して放つのだが、この散弾は加速砲身ではなく弾の散らばる範囲(散布界)を調整する”電磁拡散力場(スプレイ・フィールド)”を用いる。

散弾はその性質上、発射点から円錐状もしくは放射状に飛び散るため、その飛び散る範囲と方向を電磁力場で調整するという発想なのだ。

僅かながら力場内で散弾は加速するが、それは二の次で速度のほとんどは、圧縮から解放されたときに得られる初速だ。

 

そう、原理的には散弾銃(ショットガン)ではなく世界一有名な対人散弾地雷である”クレイモア”寄り、それがこの技名の由来にもなった。

 

その性質上、射程は短いけど……

 

(雑魚を薙ぎ払うには役に立つ!)

 

「”殲滅の剣龍散弾(ドラゴン・クレイモア)”!!」

 

『Maximam Shoot !!』

 

 

 

***

 

 

 

俺が放ったのは残存エネルギーの何割かを用い、表面を”硬化”させた2400発のエネルギー散弾だ。

散弾1発あたりの総合的な威力は、旧ソ連の14.5x114mm機銃の徹甲榴弾と同等くらいだろうか?

人間相手なら胴体のどこに当たってもお陀仏の威力だろうが、頑丈な悪魔相手なら『当たり所が悪ければ即死』という感じだろう。

実際、中級悪魔ともなれば障壁さえ”()()()()()()”防ぐことも可能かもしれない。

 

だが、中級悪魔まで多くの悪魔は移動しながら同時に障壁を展開できる者は少ない。

俺が一度包囲を抜け、「俺を追いかける集団」という形に絞込み、振り向き際に奇襲効果を狙ってドラゴン・クレイモアを放った理由がそれだった。

 

水平同時投射される2400発の散弾は、障壁を張れてない悪魔の群れに飛び込み、その凶悪な威力を発現させる!

 

 

 

「ぐぅぅ……!」

 

「げふっ……」

 

運が悪い奴はどこにでも居る。

この運が悪いというのも定義によりけりって気もするけど……例えば、至近距離から鱈腹エネルギー散弾を喰らって、自分の身に何がおこった分らないまま蜂の巣だか挽肉だかになって即死した悪魔は、普通なら運が悪かっただろう。

 

だが、たまたま散弾の当たり所が急所から逸れ、悪魔の頑丈さが”()()”して死んでも死に切れないまま生き地獄を味わいながら倒れ付す連中よりはマシじゃないだろうか?

 

俺は左手を翳して……

 

「後は射的かよ」

 

今度は、フリードと戦ったときのように”速射(ラピッド)モード”に切り替えたブラスト・ショットで戦闘力が残っていそうな悪魔から優先的にしとめていく。

 

反撃にちょっと寂しい数の魔力弾が飛んでくるが、

 

「赤い人が言ってたっけ……『当たらなければどうということはない』って」

 

と俺はリニアローラーを再び起動させ、固定砲台から戦車へとジョブチェンジする。

イメージ的には某”装甲騎兵(ホルムズ)”って言ったほうがしっくりくるか? 少なくとも同じサンセット作品のダンガムよりは近い。

いっそ、”コード・ギルティ”の人型兵器って言いたいけど、あっちはあっちでR2から空中戦メインになってるし……俺は、いまのところ空中戦は得手とは言えないからなぁ~。

 

もっとも俺の場合”レッドショルダー”というより”レッドガントレット”か?

とりあえず硝煙がない分、咽る(むせ)ことは無いけど……明日の朝のコーヒーが苦くなりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

************************************

 

 

 

 

 

 

「これで決着のようだね? おそらく一誠君にとって残りは”()()”でしかないだろうし」

 

そう苦笑するのは、絶好の”()()()()()()”に陣取っていた四大魔王の一角、サーゼクス・ルシファーだった。

 

「むしろ一誠的には不満が残る結果だろうさ。”赤龍帝の軽装鎧(ブーステッド・ギア・ライトアーマー)”の全力テストと呼ぶには、少々消化不良だ。なにしろ全ての機能を使う前に決着が着いてしまったんだからな。特に防御フィールド関係なんかが」

 

とは同じく観戦に来ていたアジュカ・ベルゼブブであり、

 

「しょうがないよぉ☆ あんな薄い弾幕じゃイッセーちゃんを捕捉出来る分けないもん☆ やっぱり黒歌ちゃんのご主人様は強いねー?」

 

「にゃあ♪」

 

とどめは本来なら黒歌をシトリー家まで護送してるはずのセラフォルー&黒歌。

ちなみに彼女、先にこの地点に陣取っていた”()()”……おそらくは大王派の”観測者”を死なない氷付けにしていたりする。

生かしといてる理由は無論、尋問するためにだ。

 

 

 

「ホント、末恐ろしいガキだなぁ、おい。確かに瞬間最大出力が凄まじいタイプじゃないが、()()()()は桁違いじゃねぇか? 赤龍帝、もしかして戦い始めてから一度も残存エネルギーがイエローゾーンにも入ってないんじゃねえか? ”赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”の固有能力もさることながら、その特性を理解し生かしきる頭脳と精神力も若手離れしてるぜ」

 

そんな今にも口笛を吹きそうな雰囲気でいつの間にか転移してきていたのは、髪にメッシュを入れた如何にも不良中年っぽい伊達男で、

 

「やっほー☆ アザゼルちゃん☆」

 

そう、誰であろう堕天使総督のアザゼルだった。

 

「よお、セラ。じかに会うのは結構、久しぶりだな? サーゼクス、今回は『滅多に見れないエンターテイメント』とやらに招待あんがとよ」

 

「こっちこそ招きに応じてくれて感謝だ」

 

そう微笑むのは先の大戦以来の種族を超えたアザゼルの友人であるサーゼクスだった。

もっと言えば、アザゼルを密入国まがいの方法で冥界へ招きこんだのも彼だったのだが。

 

「それとこいつは土産だ」

 

と何か結晶体を放り投げる。

ナイスキャッチしたサーゼクスは怪訝な顔で、

 

「これは?」

 

「中に封じられてんのは、多分そこの冷凍食品モドキになってる奴の御同輩さ」

 

「なるほど、”携行式圧縮封印結界”か。相変わらずユニークな物を作るな? 元ネタは『ドラグ・ソボール』の”ポンポンカプセル”あたりか?」

 

と感心したのはアジュカだった。

 

「御明察。この間、久しぶりに最初の方を読み返してたときにふと思いついて作ってみたのさ」

 

どうやら人間界のサブカルは、順調に各勢力に浸透してるようだ。

 

 

 

***

 

 

 

「ところでアザゼル、その娘は?」

 

サーゼクスの視線の先に居たのは……

 

「かぁ~! あの方相手によく我ながらよく生き残ったッスね~。さすがウチ♪」

 

戦場の様子を食い入るように、ついでに言えば”()()()()の漆黒の翼”を犬の尻尾のように振りながら見ていたのは、ゴスロリ姿の金髪幼女(ロリパッキン)属性な堕天少女だった。

 

「ああ、単なるオマケだ」

 

「酷いっすっ!?」

 

ぞんざいな扱いに抗議の声を上げる配下に、総督は面倒臭そうな雰囲気で……

 

「冗談だよ。こいつは”ミッテルト”。見ての通り中級の堕天使さ。なりたてのホヤホヤだけどな……なんか赤龍帝と縁があるって主張が激しいんで連れて来た」

 

「えっへん♪ こう見えてもイッセー様と対峙して、生き残った歴戦の堕天使ッスよ~♪」

 

あるのかないのかわからない薄い胸を張る()()堕天使”ミッテルト”……平行世界(げんさく)と異なる(えにし)により、何か色々と運命の変わってしまった女の子。

 

どうやら”この世界”の兵藤一誠は、よほど「薄い胸の女の子」に縁があるようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、御愛読ありがとうございました。
散弾で雑魚一掃というお約束と言えばお約束な展開は如何だったでしょうか?

実は本体初登場のアザゼル総督と、久しぶり登場のミッテルトちゃんはどうでしたでしょうか?
というかいつの間にかミッテルトにフラグが立ってたっ!?
何がどうしてそうなったかは次回にて……になると良いなぁ~と。

ちなみにドラゴン・クレイモアの元ネタは「紅蓮可翔式って輻射波動に広角射モードが追加されてたなぁ~」というのと、幽白”浦飯幽助”の霊光弾(ショットガン)だったりします(^^

次回は()()()達の視点かな?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!


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